玉ねぎを調理するときに困ることといえば、カットをする際に目に染みて涙が出てくることですよね。本記事では玉ねぎを切ると涙が出る原因や玉ねぎが目にしみない方法を詳しく解説します。
玉ねぎの調理で困ることといえば、切るときに目に染みたり涙が出てしまうことですよね。
玉ねぎを切るときに涙がでる原因は、「硫化アリル」とよばれる成分が原因です。硫化アリルは玉ねぎのツンとした辛さにもなっている成分で、長ネギやニラ、らっきょうなどにも含まれています。
硫化アリルは揮発性の高い成分であるため、玉ねぎを切ると硫化アリルが気化し鼻や目の粘膜を刺激してしまいます。そのため脳が「洗い流せ」という信号を出し涙が止まらなくなるのです。
硫化アリルは涙を出させるだけではなく、辛味が苦手な方や小さなお子様にとっては、食べにくさを感じる原因となる厄介な成分ですが、体にとってよい成分でもあります。
例えば、硫化アリルの一種である「アリシン」には、血栓を予防する作用があるといわれています。玉ねぎを食べると血がサラサラになるといわれるのはこのためです。また、血液中の悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働きがある他、動脈硬化を遅くして心臓血管障害や脳血管障害を予防するといわれています。
また、ある種の硫化アリルは胃の中に住み着いているピロリ菌を殺す作用も期待できます。さらには、血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防したり血圧を下げて高血圧を防ぐ効果があるといわれています。
上述したように涙を出させる原因となっている硫化アリルは揮発性の高い成分ですが、低温だと気化しにくくなるという性質があります。
そのため玉ねぎを冷蔵庫で冷やしてから調理をすると涙が出にくいです。サラダなどに使う場合は特におすすめの方法です。常温に戻すと再び硫化アリルの揮発性が高くなり気化しやすくなりますので、調理をする直前に冷蔵庫から取り出すようにしましょう。
常温で保存していた玉ねぎを今すぐ調理したい!というときは冷凍庫に入れて冷やしてもOKです。ただし、冷凍庫で凍らせてしまうと玉ねぎの細胞が壊れてしまい反対に硫化アリルが飛びやすくなってしまうので注意しましょう。
硫化アリルは水溶性の成分です。そのため玉ねぎを切る前に10分ほど水に浸けることで硫化アリルが水に溶け、切るときに放出される硫化アリルの量が減り涙が出にくくなります。
しかし、長く水につけていると硫化アリル以外の水溶性の栄養素も流出してしまいます。栄養素を流出させてしまわないようにするには水につけすぎないことが大切です。
硫化アリルは加熱することで蒸発するため、電子レンジで加熱をしてから切ると涙が出にくくなります。
電子レンジを使う場合は、玉ねぎを電子レンジ(600W)で1分ほど加熱します。皮がついたままでもOKです。皮を付けたまま加熱する際は、玉ねぎの上下を切り落とし、縦に1ヶ所切り込みを入れて少しめくってから加熱します。ラップは不要です。皮がついたまま加熱すると、皮も剥きやすくなります。
皮を剥いた状態の玉ねぎを加熱する場合は、ラップで包んで30秒ほど加熱します。
玉ねぎを切る際は、包丁を研いで切れ味の良い状態にしておきましょう。
切れ味の悪い包丁を使うと玉ねぎの細胞を壊してしまい、硫化アリルの放出量が多くなってしまいます。玉ねぎを切る前にシャープナーなどを使って研いでおくと良いです。
玉ねぎを切るときに限らず、切れ味の悪い包丁は怪我の原因にもなります。また、余計な力がかかり食材の水分やうまみを減らしてしまうので切れ味の良い状態をキープできるよう日頃からお手入れをしておくと良いです。
包丁を使って玉ねぎを切るときは、包丁についてしまった硫化アリルも目に染みる原因になります。そのため、包丁を水で濡らし硫化アリルを落としながら切ることで目の痛みを軽減することができます。
水を入れたボウルを用意しておき、こまめに包丁を水につけながら切ると良いです。少々面倒ではありますが、この方法であれば玉ねぎ自体を水につけて硫化アリルを落とすよりも、栄養素の流出を防ぐことができます。
切るときに力を入れすぎてしまうのも玉ねぎの細胞を壊し硫化アリルの放出量を増やす原因になりますので、力を入れすぎないことも大切なポイントです。
包丁を持つときは親指と人差し指は添えるような意識で軽く握ります。ギュッと握ってしまうと力が入ってしまいます。玉ねぎに包丁を入れたら、刃の面を広く使うようなイメージで軽く押し出してカットしていきます。切り出しから切り落としまで大きく包丁を動かすと、玉ねぎの細胞を壊さずにきれいに切ることができます。
硫化アリルが目や鼻を刺激して涙が出てしまう前に素早く切ってしまいましょう。とくにみじん切りなど細かくカットする場合は時間がかかってしまいがちですが、切れ味の良い包丁を使ったり正しい包丁の使い方ができていれば、素早く切ることができます。
玉ねぎは繊維に沿って切ることで、細胞が破壊されるのを防ぐことができるため涙が出にくくなります。玉ねぎの繊維を断ち切らずに残しておくことでシャキシャキとした食感も残り、食べごたえがUPします。
ただし、繊維を断ち切らずに残しておくことで食べたときに辛味が強くなります。辛味が苦手な方や小さなお子様が食べる場合などはやはり工夫して涙が出るのを抑えながら、繊維を断ち切るように切ったほうが辛味が抑えられて食べやすくなります。
包丁ではなくスライサーやフードプロセッサーなどのキッチン用品を使ってカットするというのも一つの手です。スライサーやフードプロセッサー、フードチョッパー(手動)を使えば、涙が出る前に素早くカットすることができます。
玉ねぎの涙予防といえばメガネやゴーグルをかけて切るという方は多いのではないでしょうか。メガネやゴーグルをつけることで硫化アリルが目を刺激するのを防ぐことができるため、涙が出にくくなります。しかし、目だけではなく鼻から入った硫化アリルも涙の原因となりますので、目だけ守っていても完全に涙が出るのを防ぐことはできません。
鼻から硫化アリルが入るのを防ぐという点ではフェイスシールドも効果がありそうです。ただ、顔全体を隙間なく覆っているわけではないため、気化した硫化アリルが隙間から入ってしまって涙が出てしまうということも考えられます。
目や鼻だけではなく、口から硫化アリルを吸い込むことも目に染みる原因となります。そのため玉ねぎを切るときは口をガードすることでも硫化アリルの付着を防止することができます。
科学的根拠はないものの、目よりも口や鼻の粘膜をガードする方が効果的だと感じる方も多くいます。目や鼻ばかりをガードしがちですが、マスクをして口から硫化アリルが入ることも防ぎましょう。
気化した硫化アリルが鼻や目に入るのを防ぐために、換気扇を回しておくと良いでしょう。
特にキッチンは空気の流れが悪いことが多いため、場合によってはカットし終わったのに涙が止まらないということもあります。換気扇を回しておくことで、玉ねぎの独特の匂いが部屋中に充満してしまうのを防ぐことができますので、玉ねぎをカットする際は換気扇を回しておいたほうが良いです。
鼻呼吸で直接硫化アリルを吸い込むよりは、口呼吸をしたほうが涙が出にくいと感じる方が多くいますが、口呼吸をするという方法に関しては科学的根拠はありません。鼻呼吸をしなければ鼻に硫化アリルが入らないというわけではありませんし、鼻に入ることを防げたとしても目には入ります。
「割り箸をくわえながら玉ねぎを切ると涙が出ない」という裏技を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。テレビなどでもよく取り上げられている方法の一つです。
割り箸をくわえて切ることで、口の中に唾液が分泌されます。唾液が出ると「涙を出せ」という命令よりも「唾液を出せ」という命令が優先されて、涙がでにくくなるといわれています。
この原理を利用するとレモンや梅干しなどの唾液を出す酸味の強い食べ物を食べたり、ガムを噛みながらカットをしても涙がでにくくなると考えられます。
玉ねぎをカットしたらすぐに調理をするようにしましょう。カットした玉ねぎを置いておくと、気化した硫化アリルをいつまでも吸い込むことになり、涙が止まらなくなってしまいます。
玉ねぎ以外の野菜と一緒に使う場合は、玉ねぎのカットは最後にしてカットしたらすぐに炒めるなどの工程に移れるようにしておくと良いでしょう。
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