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黒い斑点がある白菜は食べて大丈夫?原因と対処法は?予防法は?  

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黒い斑点がある白菜は食べて大丈夫?原因と対処法は?予防法は?  

白菜に黒い斑点があるのを見つけて「カビが生えてしまった」とがっかりしたことがある方は多いのではないでしょうか。白菜にできる黒い斑点は「ゴマ症」と呼ばれる生理障害である可能性があります。本記事では白菜の黒い斑点について詳しく解説します。

白菜にできる黒い斑点の正体

白菜に黒い斑点ができていると「カビが生えてしまった」と思う方が多いかと思いますが、白菜の黒い斑点=カビとは限りません。

ゴマ症という生理現象

白菜に黒い斑点ができる現象は「ゴマ症」と呼ばれます。小さなゴマが散らばっているような様子から「ゴマ症」と言われるようになりました。

ゴマ症は生理現象です。例えば、人間で言えば紫外線に当たることで蓄積されたメラニンがしみとなって皮膚に現れるのと同じです。

ポリフェノールが原因

ゴマ症は白菜にポリフェノールが蓄積されることが原因で起こる現象です。

ポリフェノールは多くの植物が共通して持つ成分で、主に植物が光合成をするときに作り出されます。

ポリフェノールには抗酸化作用があり、動脈硬化や老化予防、生活習慣病予防にも効果が期待できます。さらにはコレステロール値を下げる働きもあると言われています。心臓を守る作用や、病気に伴う血管新生(新しく血管ができること)を抑える効果などの研究も進められており、一定の効果があると報告されています。

食べても問題ない

ポリフェノールが蓄積されてゴマのような黒い斑点ができている場合は、腐敗ではありませんので食べても問題ありません。

黒い斑点が狭い範囲であれば味や食感に大きな変化はありません。しかし広範囲に広がってしまっている場合、苦味を感じる方もいます。これは、ポリフェノールが苦味成分の一種であるためです。苦味が強くなっていても人体に害はありません。

栄養価が高いわけではない

黒い斑点の正体がポリフェノールなのであれば、黒い斑点が出ている白菜の方が栄養価が高いのではないかと思う方も多いと思いますが、黒い斑点ができている方が栄養価が高いという科学的根拠は残念ながらありません。

また、ポリフェノールが蓄積されている状態の白菜はビタミンCの含量が低下していることがわかっています。特段栄養価が高いとは言えないですし、問題なく食べることができても「状態が良い白菜」というわけではありませんので、購入する際は黒い斑点の出てないものを選ぶようにしましょう。

白菜がゴマ症になる原因

肥料過多

白菜に黒い斑点ができる原因は様々ありはっきりと解明できているわけではありませんが、最も多いのは肥料過多だと言われています。

白菜は肥料の与えすぎにより、窒素が多くなりすぎてしまうと窒素濃度を下げるためより多くの水分を吸収するため細胞の膨張が起こります。これがストレスとなり、ポリフェノールが多く生成されてしまい白菜の表面にゴマのような斑点が現れます。

また、窒素が多い白菜は軟腐病(なんぷびょう)という病気を発生する可能性が高くなります。そこで軟腐病を防ぐために使われる「銅水和剤」を散布することにより、白菜の成長が阻害され酸化酵素活性が上昇することもゴマ症の発症を誘発しているとも言われています。

出典:

環境のストレス

白菜のゴマ症は、高温・低温の環境での栽培や密植栽培、収穫遅れなど栽培環境によるストレスでも発症すると言われています。

白菜の生育に適した温度は20℃前後で、比較的冷涼で乾燥している気候がよいとされています。夏場の高温多湿の環境は特にストレスを感じやすくゴマ症を発症することがあります。

また、適切な時期に収穫することも大切です。収穫時期を迎えた白菜をそのまま畑に生やしておくと、菜の花が咲きます。菜の花も食べることができますが、成長し続けたことにより過結球となりゴマ症を発症しやすくなります。

栽培時・収穫後ともに発生する

ゴマ症は上述したように肥料過多や栽培時の環境によるストレスなどで発症する場合もあれば、収穫後の保存環境が原因で発症する場合もあります。

特に外葉(がいよう)を除去した状態での保存はゴマ症の発生が多くなると言われています。

また、低温環境で保存をした方がゴマ症の発生が高くなることもわかっており、2℃の貯蔵温度でゴマ症が多くなることが実験でわかっています。冬場などの寒い季節は特に温度に注意しましょう。

ゴマ症になりやすい品種も

白菜と一口に言っても様々な品種があります。品種によってはゴマ症になりやすいことがわかっています。例えば、「ひばり」という品種が黒い斑点がでやすいと言われています。反対にゴマ症になりにくい品種もあります。

食べてはいけない黒い白菜の特徴

黒カビとの見分け方は?

白菜にできる黒い斑点=黒カビではないものの、黒カビが発生する可能性も0ではありません。

ゴマ症の場合は小さな斑点が芯を中心にポツポツとできます。一方黒カビは一箇所にまとまり黒く変色しているように見えたり、白菜全体が黒く変色したりします。また、カビ臭がすることもあります。さらに一部が溶けていたり茶色い汁が出るなどの腐敗のサインが見られる場合もあります。

黒カビが生えてしまった場合は残念ですが食べることはできませんので破棄しましょう。黒カビが生えた白菜を食べてしまうと吐き気や胃痛などの中毒症状が起こる可能性があります。一部だけの場合であってもカビの胞子が見えない部分で根を張っていることもありますので食べない方が良いです。

ゴマ症も症状がひどいものは斑点が全体に広がることがあります。黒カビと判別がつかない場合は破棄するのが無難です。

全体的に変色している

通常の白菜は外側の色が緑色で、中の葉は黄色っぽい色をしています。(品種によってオレンジ色のものもあります)全体的に茶色や黒色に変色してしまっている場合は、腐敗が進んでいますので残念ですが破棄しましょう。白菜は芯から腐敗していくことが多いため、葉が全体に変色しているということはすでに腐敗がかなり進行していると考えられます。

変色が葉だけの場合や一部のみの場合は食べることができる場合がありますが、変色している箇所は取り除いて食べた方が良いです。

ヌメリがある

白菜は元々水分量が多い野菜ですので、芯の部分がヌルヌルしてるのはよくあります。新鮮な白菜である場合は問題ないのですが、購入してから時間が経っている場合や元々水分が出ていなかったのに保管中に水分が出てきてヌルヌルしてきたといった場合は、腐敗が原因の可能性が高いです。

表面に異常が出ていなくてもカットしてみたら中が腐敗していることもありますので、他に腐敗のサインが出ていないか確認をして腐敗しているようであれば破棄しましょう。

茶色い汁が出ている

水分が出てくるということはありますが、茶色い汁が出てくるのは通常の白菜にはないことです。茶色い汁が出てくるのは、中側の腐敗が進行し溶け出していることが原因であると考えられます。

このような場合は、完全に腐敗してしまっているので食べずに処分しましょう。

葉が溶けている

葉が溶け出してドロっとした状態になってしまっている場合は、内側も腐敗した状態であることがほとんどなので、残念ですが破棄した方が良いです。

上述したように葉の一部が茶色っぽく変色しているぐらいであれば、取り除けば食べることができますが溶け出してしまっている場合は食べないようにしましょう。

白菜の正しい保存方法

丸ごと常温保存

白菜丸ごと常温保存

寒い季節は常温での保存が可能です。常温で保存する場合は、直射日光が当たらない冷暗所で保存します。常温で保存すれば約1ヶ月前後日持ちします。

白菜を新聞紙に包みます。白菜が大きい場合は、新聞紙を数枚使用して全体を覆うように包みます。新聞紙がない場合は、キッチンペーパーや梱包材の紙を使用してもOKです。

段ボールなどに入れて立てて保存します。立てて保存することで、余計なストレスがかからず鮮度を保って保存することが可能です。横に倒して保存してしまうと、白菜の重みで葉が傷んでしまうことも。

白菜は冷えると甘みが増すと言われています。鮮度を保つためにも、室温が上がりにくい冷暗所での保存を行いましょう。冬場で暖房器具を使用する場合は、室温が高くなってしまうので、常温以外の保存がおすすめです。

なお、カットした白菜は常に常温以外の方法で保存するようにしましょう。

冷蔵保存

冬場でも長く保存したい場合や、カットした白菜を保存する場合は、冷蔵保存がおすすめです。白菜は冷蔵で保存することで2ヶ月(丸ごと冷蔵する場合)日持ちします。

丸ごと

白菜を丸ごと新聞紙に包んで冷蔵保存

丸ごと保存する場合は、白菜全体を新聞紙で包みます。新聞紙がない場合はキッチンペーパーなどでも代用可能です。野菜室で保存します。高さが問題なければ立てて保存するのがベストです。

1/2または1/4個

1/2株の白菜をキッチンペーパーで包みラップをして冷蔵保存

カットした白菜を保存する場合は、白菜の生長を止めるために芯を切り落とします。カットした断面を濡れたキッチンペーパーで覆い、全体をラップで包みます。切り口を下にして野菜室で保存します。

カットした白菜は切り口から傷みやすいので1週間を目安に使い切るようにしましょう。

カットして

白菜をカットして冷蔵保存

カットして冷蔵保存することも可能です。

細切りやざく切りなど料理に合わせてカットし、冷蔵用保存袋に入れて密封し冷蔵庫で保存します。

カットした白菜は乾燥しやすく傷みやすいので、3〜4日を目安に食べきるようにしましょう。

カットして茹でて

白菜をカットして茹でて冷蔵保存

カットして茹でてから冷蔵保存しておけば、調理時間が短縮できます。

ざく切りや細切りなど料理に合わせてカットした白菜をさっと茹でます。粗熱が取れたら水けを拭き取り、冷蔵用保存袋に入れて冷蔵庫へ。

ただし冷蔵方法の中では1番傷みが早いので、2〜3日以内に使い切るようにしましょう。

冷凍保存

白菜は大きい野菜なので、すぐに使い切れない場合は冷凍保存を。冷凍すれば約1ヶ月ほど保存することができます。

生のまま

白菜を生のままカットして冷凍保存

ざく切りなど使いやすい大きさにカットして冷凍用保存袋に入れ冷凍庫へ。冷蔵庫の急速冷凍機能を使えば、旨みをぎゅっと閉じ込めて冷凍することができます。急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。

凍ったまま調理に使用することができます。全解凍してしまうと、白菜の水分が流れ出てしまい、食感や味、栄養が落ちてしまいます。

塩もみして

白菜を塩もみして冷凍保存

塩もみをして冷凍すれば、色や食感がキープしやすく、また白菜の水分が抜け長持ちします。

生のまま細切りにした白菜を塩(適量)でもみ、水けを絞ります。小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ。なるべく薄く、平らに包むことで、短時間で凍らせることができます。

食べる際は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍がおすすめです。塩の味がついているので、そのまま和え物などに使用したり、スープやチャーハンなどの具材にも使用できます。凍ったまま使ってもOKです。

茹でて

白菜を茹でて冷凍保存

冷凍する前に茹でることを「ブランチング」と言います。ブランチングすることで変色しづらく、食感も悪くなりづらいというメリットがあります。

ざく切りや細切りなど、お好みの大きさにカットし固めに茹でます。粗熱が取れたら水けを絞り、小分けにしてラップで包み冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存します。

前日(または半日前)に冷蔵庫に移して自然解凍し、おひたしや和え物などに使用できます。凍ったままの状態でスープや炒めものの具材として調理するのも◎。

炒めて

白菜を炒めて冷凍保存

下味をつけてから冷凍することもできます。

白菜をざく切りにして熱したオリーブオイルでさっと炒め、塩こしょうで味付けをします(醤油、酒、砂糖の味付けでも可)。粗熱が取れたら小分けにしラップで包んで冷凍用保存袋に入れ冷凍庫へ。

凍ったままの状態で野菜炒めなどに使用したり、鍋の具材として使うのが◎。蒸した鶏や豚肉などを加えるだけで簡単に一品料理も作れます。

その他にも乾燥させて保存する方法もあります。