にんにくは辛味が特徴の野菜です。薬味として最適な一方でにんにくの辛味や匂いが苦手という方も多いのではないでしょうか。本記事ではにんにくが辛い理由や辛い時の対策方法などを詳しく解説します。
にんにくといえば、辛味があるのが特徴です。
にんにくの辛味の元になっているのは、アリシンという成分です。アリシンはにんにく以外にも長ネギや玉ねぎ、ニラ、らっきょうなどの野菜にも含まれていて、匂いの元にもなっています。
にんにくのアリシンは、にんにくに含まれているアイリンと呼ばれる成分が、加水分解酵素であるアリイナーゼと結びつくことで分解され生成されます。また、にんにくにはアリルジスルフィド類(メチルアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィドなど)も含まれており、これらもにんにくの辛味や匂いの元となります。
アリシンは強い抗菌作用があり、胃の中に住み着いているピロリ菌を殺す働きがあると言われています。また、血栓を予防する働きや血液中の悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やす効果が期待できる他、動脈硬化を遅くして、血管の障害を予防すると考えられています。
ちなみに一般的にスーパーなどで販売されているにんにくは、収穫した後乾燥させてから出荷されています。乾燥させることで保存性が高くなり1年中出荷できるようになります。
にんにくは、生の状態ですりおろすのが最も辛味を強く感じ、匂いもきつくなります。
上述したように、辛味成分であるアリシンはアイリンと呼ばれる成分が、加水分解酵素であるアリイナーゼと結びつくことで分解され生成されます。生の状態でにんにくをすりおろすと、アイリンが急速に分解されるためアリシンが多く生成されます。そのため、辛味も匂いもきつくなるのです。
にんにくの辛味成分であるアリシンは揮発性の高い成分です。そのため、加熱することでアリシンが気化し辛味が弱くなるため、辛味が苦手な方でも食べやすくなります。
例えばにんにくをすりおろすのではなく、そのまま食べるのであればトースターやオーブンで加熱をするのがおすすめです。トースターで加熱をする場合はクッキングシートを敷いた鉄板の上にバラバラにした皮付きのにんにくを並べて、軽く焦げ目がつくぐらいまで加熱します。
その他にも炒めたり、揚げたりといった加熱方法でも効果があります。ただし、あまり高温で加熱しすぎると、辛味成分以外の成分も飛んでしまい栄養価が低くなってしまいますので低温でじっくりと加熱するようにしましょう。揚げ物の場合も、唐揚げなどを揚げるときよりも低い160℃程度で揚げるのが良いです。
レンジで加熱をしてもにんにくの辛味は弱くなります。
ただし、一般的に販売されているにんにくは収穫してから乾燥させているため水分量が少ないです。水分量が少ないものをレンジで温める場合、非常に焦げやすく、発火の危険性もあるため注意が必要です。レンジでにんにくを温める場合は、一度水にくぐらせたり霧吹きで水をかけた後に水分が逃げないようにラップをすると一瞬で焦げてしまったり、発火することを防ぐことができます。
上述したように辛味成分のアリシンは揮発性が高いため、空気にさらして置くだけでも辛味は弱くなります。匂いがきついので密閉できる容器に入れて冷蔵庫に入れて置くのが良いです。
にんにくのアリシンは、刻んだりすりおろしたりすると急速に生成され辛味が強くなります。そのため、辛味を弱くしたい方は細かく刻んだり、すりおろすよりも、にんにく一片を包丁の刃の平らな部分で軽く潰すようにした方が辛味を感じにくくなるのでおすすめです。
アリシンは水溶性の成分なので、水に浸しておいてもアリシンが溶け出して辛味が弱くなります。そこでおすすめなのが、酢漬けや醤油漬けにする方法です。
漬けるときは、にんにくの皮を剥いてそのまま酢や醤油に入れます。
醤油漬けは、にんにくを取り出したあとも「にんにく醤油」として冷やっこにかけたり、チャーハンの味付けに使ったりと様々な調理に使えるのでおすすめです。
にんにくは繊維が壊れることで辛味成分が出て、辛味や香りが強くなります。そのため、切り方やすり方を工夫することでも辛味や香りが変化します。
辛味を抑えたい場合は、細かく刻まずに包丁などで軽く潰す程度にとどめておくと良いです。細かく刻んで炒めものなどに使うことも多いですが、軽く潰したにんにくも炒め料理や煮込み料理に使うことができます。
すりおろすときは、繊維を壊さないように優しく「の」の字に動かすと辛味を軽減することができます。大根の辛味も同じ方法で軽減することができるので、覚えておくと大根おろしの辛味を抑えたいときなどにも役立ちます。
新にんにくとは、収穫した後に乾燥させずに出荷されるにんにくです。「生にんにく」とも言われます。新にんにくは、一般的に販売されている乾燥させてから出荷されるニンニクよりも辛味が少なくみずみずしいのが特徴です。
新にんにくは5~6月下旬頃に市場に出回ります。乾燥させてから出荷されている一般的なにんにくとは異なり日持ちしないため、新にんにくを購入できる期間は限られています。また家庭で保存する場合も水分量が多い分カビが生えやすいので湿気がこもらないように注意し、できるだけ早めに使い切るようにしましょう。
一口に「にんにく」といっても様々な品種があります。にんにくの辛味が苦手な方は、辛味がマイルドな品種のにんにくを使うのも一つの手です。
例えば「遠州極早生(えんしゅうごくわせ)」という暖地型にんにく(暖かい地域で栽培されるにんにく)は、一般的なにんにくと比較して辛味がマイルドであっさりしているため生のまま薬味として使われることが多く、辛みや風味が苦手な人でも食べやすいと人気がある品種です。
乾燥にんにくは、にんにくの皮を剥きスライスしてから乾燥させて完全に水分を飛ばした状態のにんにくです。「にんにくチップ」と言われることもあります。
乾燥にんにくは、乾燥させる際に空気にさらしているため生の状態のにんにくよりも辛味が弱くなります。水に戻して使うこともできますが、乾燥した状態のままでもサラダに加えて食べたりすることができます。
にんにくは生でも食べることができますが、食べ過ぎるのはNGです。強い刺激を持ちかつ殺菌作用のある香味野菜なので適量を大幅に超えた量を摂取すると、胃腸への刺激が強く粘膜を傷つけ、下痢や胃炎などを引き起こす恐れがあります。また、腸内の細菌のバランスが崩れてビタミンB6欠乏症になり、皮膚の炎症などの副作用が起こることも。さらに生のにんにくは臭気も強いため、食べ過ぎると口臭も強くなってしまいます。
にんにくの摂取上限は農林水産省や文部科学省などでも定められていませんが、生で食べる場合は1日1片〜2片を目安にしましょう。これよりも多く食べてしまうと、上述したように消化器官に悪影響を及ぼす可能性があります。あくまで目安ですが、まずは少量からスタートしてみて、体調に問題が起きないかどうかを確認しながら適量を定めましょう。
にんにくには強い殺菌・抗菌効果があります。1日の摂取目安量を守っていても、長時間に渡って食べ続けることで胃腸の動きを抑制してしまう恐れがあります。また、強い殺菌作用によって腸の善玉菌を殺してしまう危険性もあります。さらに、体臭や口臭の原因となっている成分は代謝されるまでに約16時間かかるともいわれており、新陳代謝が悪い人はより長い時間がかかることもあるため、長時間摂取は口臭や体臭がより長い時間きつくなってしまいます。
上述したように、生のにんにくは胃や腸を刺激してしまう特徴があるため、空腹時には食べない方がベターです。胃に何も入っていない状態だと、にんにくの成分の影響をダイレクトに受けて胃の粘膜だけでなく胃壁自体が荒れる原因となります。場合によっては胃痛や腹痛などの症状が出ることがありますので、生のにんにくを食べる際は、他の料理をまず始めに食べるように心がけましょう。
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