コシアブラはウコギ科コシアブラ属の落葉高木で、枝の先から出た芽の部分は山菜として食べることができます。本記事ではコシアブラの下処理方法や美味しい食べ方などを詳しく解説します。
コシアブラは、ウコギ科コシアブラ属の落葉高木です。
枝分かれが少なく横に広がらず上に伸びる傾向があり、成長すると高さ7m〜20mにまでなります。枝の先から出た芽の部分が山菜として食用になります。
古くは木の樹脂を絞り、こしたものを塗料として使われていたため「コシアブラ」といわれるようになりました。別名「イリコシアブラ」「金漆(ごんぜつ)」といいます。ウサギが好んで食べることから「ウサギカジリ」などと呼ばれたり、その他にも「トウフキノ」「ソラッポ」など地域によって様々な呼び方があります。
原産国は中国です。冷温帯林で育ち、日本では沖縄を除く全国各地の山や丘、林道脇、日当たりの良い斜面などで自生しています。秋に葉の色が黄色く染まり、秋の終わり頃に葉を全て落として枝だけになると春に枝の先から芽が出て収穫されます。旬の時期は、一般的に4月〜5月です。ただし、育っている地域や標高など環境によってずれます。例えば、九州から中部地方あたりの比較的気温が高い平地では4月上旬に旬を迎えますが、気温が低い東北地方の平地では、5月初旬から下旬ごろにかけて旬となります。標高の高い場所では、6月頃まで収穫することができます。
コシアブラは同じく山菜として食用になるタラの芽と非常に似ていますが、タラの芽よりアクが少なくうまみや香りが強いのが特徴です。「山菜の王様」といわれるタラの芽に対して、コシアブラは「山菜の女王」といわれています。ちなみに、タラの芽はトゲがあるのが特徴でコシアブラにはトゲがないので、トゲの有無でコシアブラかタラの芽か判別することができます。
コシアブラは、まずハカマ(根元にある逆三角形の固い葉)を取り除く必要があります。包丁を使って取り除いても良いですが、手でも簡単にちぎることができます。
ハカマを取り除いたら、流水で表面についている汚れをしっかりと落とします。洗い終わったらキッチンペーパーなどで水気をしっかり切りましょう。
コシアブラは、ふきのとうやわらびなどの山菜と同じように調理をする際は下処理としてアク抜きをする必要があります。ただし、それほどアクが強いわけではないので天ぷらにする場合など高温で加熱する場合はアク抜き不要です。
アク抜きは、鍋にたっぷりの水を入れて沸騰させた後にコシアブラと塩を少々いれて2〜3分茹でたら火から下ろし、10分ほど水にさらして完了です。
芽が出始めたばかりで葉が閉じた状態のコシアブラの場合は、柔らかくアクも少ないため熱湯にさっとくぐらせる程度でも大丈夫です。
コシアブラは、ハカマをとって洗ったらアク抜きせずにそのまま調理をすることができる天ぷらが最もポピュラーな食べ方です。
濃いめに作った衣にくぐらせてカラリと揚げます。根元付近のオクラのようなしっかりとした食感が残り、ほどよい苦味がクセになります。天つゆをつけて食べるよりも塩を添えていただくのがおすすめです。
コシアブラは、沸騰した鍋に塩とコシアブラを入れて茹でてアク抜きをした後、水気を切って醤油などで味付けをするだけで簡単におひたしを作ることができます。
すりごまを加えて胡麻和えにしても、香ばしいごまの風味とコシアブラの苦味がよく合い美味しく食べることができます。一口に「おひたし」といっても、様々なバリエーションがあるので、ぜひお好みの味を見つけてみてください。
コシアブラは炒めものの具材にもなります。甘辛い和風の味付けはもちろんのこと、洋風の味付けにも合うので、ベーコンやにんにくと一緒にオリーブオイルで炒めてペペロンチーノ風にしたり、バター醤油で味付けをしても美味しく食べることができます。
茹でたパスタに、ペペロンチーノ風などに味付けをして炒めたコシアブラを和えるだけで簡単にパスタを作ることもできます。様々な具材と相性が良いので、コシアブラ以外の具材を加えてもOKです。
タケノコなどコシアブラ以外の山菜と組み合わせ、醤油などで味付けをする和風パスタにしても美味しく食べることができます。
アク抜きしたコシアブラを豚バラ肉で巻いて肉巻きにしたり、アスパラベーコンのようにベーコンで巻いてベーコン巻にしても美味しく食べることができます。
お肉やベーコンの油の甘味とほろ苦い苦味の相性は抜群です。お肉やベーコンを巻くことで食べごたえも増すのでご飯のお供にもおすすめです。
たけのこご飯のように、お米と一緒に炊いて炊き込みご飯にすることもできます。
炊き込みご飯にする場合は、適当な長さに刻んで入れるとご飯にコシアブラの香りがほんのり移って美味しくなります。味付けは醤油は控えめにし、塩で加減する方が美味しくなります。
コシアブラ100gに含まれている成分は、下記の通りです。
たんぱく質…4.2g
脂質…0.2g
炭水化物…4.3g
食物繊維…4.2g
三大栄養素といわれるたんぱく質・脂質・炭水化物以外の栄養成分は、文部科学省の食品成分データベースなどにも記載がないため含有量など詳細は不明ですが、ポリフェノールの一種であるケンフェロールやイソクエルチトリン、ケルセチンなどの成分も含まれているといわれています。
コシアブラ100gあたりのカロリーは27kcalで、糖質量(炭水化物から食物繊維を引いた値)は0.1gです。低カロリー・低糖質であるためコシアブラはダイエット中の方にもぴったりです。ただし天ぷらなど料理によってはカロリーが高くなるので、食べすぎないように注意しましょう。
コシアブラは、芽が出始めると葉と共に紫がかった柄が数本まとまってまっすぐ上に伸び、成長が進むと次第に葉が広がっていくのですが、葉の部分が大きくなっていくとだんだんと固くなってしまうため、食感が悪くなってしまいます。そのため、芽が出始め葉の柄が広がる前のものを選びましょう。
芽が出始めたばかりで葉が閉じた状態のコシアブラの姿は、筆を空に向けて立てた様子と似ているため「筆葉」と呼ばれ、希少価値が高いです。
コシアブラは、コシアブラを収穫することができる地域の道の駅などで販売されていることがあります。残念ながらタラの芽ほど知名度は低く栽培が普及していないため、イオンなどの一般的なスーパーや八百屋などに出回ることはありません。近くに購入できる場所がない場合は自力で採取しにいくか、Amazonや楽天などのネット通販の利用がおすすめです。ただし、ネット通販でも出回る数に限りがあるため予約が必要な場合があります。旬の季節を迎える前の2月頃に予約を開始することが多いので、確認してみてください。
コシアブラは、乾燥を防ぐため新聞紙などに包んでから、穴をあけたポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。ただし、コシアブラは基本的に日持ちする食べ物ではありません。香りや風味が落ちてしまうため、2日〜3日を目安に早めに食べきるようにしてください。
すぐに食べきれない場合は、アク抜きをした後水気を拭き取り小分けにしてラップなどで包み、保存袋などに入れて冷凍すれば2〜3週間ほど保存することが可能です。
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