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溶けにくい氷の簡単な作り方|不純物の有無がポイントだった?

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溶けにくい氷の簡単な作り方|不純物の有無がポイントだった?

ドリンクを薄めることなく美味しく飲みたいときや、アウトドアに保冷剤として持っていきたいときなどに溶けにくい氷を作れたら非常に便利ですよね。本記事では溶けにくい氷の作り方など溶けにくい氷について詳しく解説します。


溶けにくい氷の特徴

家庭の冷蔵庫で作る氷はすぐに溶けてしまうのに、レストランなどで出される飲みものに入っている氷が中々溶けないのはなぜだろうと疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。家庭の冷蔵庫で作る氷と溶けにくい氷には決定的な違いがあります。

不純物が入っていない

溶けにくい氷には不純物が入っていません。不純物が入っていないことで氷がしっかりと結合するため溶けにくくなります。

家庭の冷凍庫で氷を作る場合、多くは水道水を使う方が多いと思いますが、水道水にはカルキが含まれています。カルキとは、消石灰(水酸化カルシウム)に塩素を吸収させてできる物質です。水道水の元となる原水に含まれている微生物を殺菌・消毒するためにカルキを含んでいます。「不純物」といっても人体に害があるわけではありません。

また、ナトリウムなどのミネラル類も含まれており(含有量は各地で異なります)ミネラル類も不純物となり氷の結合を妨げてしまうため、家庭で作る氷は溶けやすくなってしまいます。

出典:東京都水道局

時間をかけて凍らせている

溶けにくい氷は、基本的に不純物を取り除きながら時間をかけて凍らせるため、最終的に大きな氷の結晶になります。氷屋では約50時間もの時間をかけて凍らせているところもあります。

一方、家庭の冷凍庫で作る氷は冷蔵庫の性能にもよりますが、約2時間とそれほど時間をかけずに凍ります。時間をかけずに一気に凍らせることにより、小さな氷の結晶の集まりとなり溶けやすくなってしまいます。

空気が入っていない

溶けにくい氷は、不純物を取り除くのと同時に空気も取り除いています。空気が含まれていないことにより熱が伝わりにくくなるため、溶けにくくなります。

家庭の冷蔵庫で氷を作る場合は、ミネラルなどと一緒に空気もそのまま凍ってしまうため、熱が伝わりやすく手で掴んだだけでも溶け出してしまいます。

色が透明

溶けない氷の見た目は透明で、透き通っています。これは上述してきたように不純物が含まれず空気がはいっていないためです。

家庭の冷蔵庫で作る氷はカルキなどの不純物と空気を含んだ状態で凍るため、見た目は白っぽく濁った色になります。

溶けにくい氷を作る方法

溶けにくい氷は水道水を使って家庭の冷凍庫でも作ることができます。

水道水を沸騰させる

上述したように水道水には不純物となるカルキが含まれていますので、はじめにカルキを取り除く必要があります。カルキは水を沸騰させることで取り除くことができます。沸騰させることで水道水に含まれている空気も取り除かれるので、ひと手間かかりますが必ず沸騰させましょう。

製氷皿に移す

水道水を沸騰させたら、常温まで冷まして製氷機に移します。このとき空気が入らないようにゆっくりと入れるのが大切なポイントです。

製氷皿は蓋付きのものが良いですが、なければ密閉できる容器でもOKです。

製氷皿をタオルで包む

沸騰させた水を製氷皿に移したら、製氷皿をタオルで包んでから冷凍庫に入れます。タオルで包むことにより、そのまま入れるよりもゆっくりと凍らせることができるため大きな結晶にすることができます。

冷凍庫に他の食材が入っていない場合は、温度を下げるというのも一つの手です。温度を下げることによりさらにゆっくりと凍らせることができるので溶けにくい氷になります。ただし、食材が入っている場合は危険なのでやめましょう。

半分まで凍ったら水を捨てる

水が半分から2/3くらいまで凍ったら、氷になっていない部分の水は捨てます。

空気や不純物が凍る速度は水が凍る速度より遅いため、先に凍っている部分は不純物が含まれていないということになります。反対に凍っていない部分には不純物が追いやられている状態なので、凍っていない水を一度捨てることで不純物の少なくなるため溶けにくい氷になります。

水を捨てた後、沸騰させた水を加えて再び凍らせても問題ありません。

溶けない氷はミネラルウォーターでも作れる?

ミネラルウォーターを使って溶けにくい氷を作ることもできます。ただし、ミネラルウォーターにはカルキは含まれていませんが、不純物となるミネラル類が多く含まれています。そのため、ミネラルウォーターを使う場合はミネラル類の含有量が少ない軟水のものを選びましょう。

ミネラルウォーターにはカルキは含まれておりませんので、製氷皿に入れる前に沸騰させる必要はありません。ミネラルウォーターを沸騰させてしまうとミネラル類が凝縮されてしまい逆効果なので注意してください。

さらに溶けにくい氷にするには丸い製氷皿を使う

一般的な製氷皿は四角い形のものが多いですが、丸い形の製氷皿を使って丸い形の氷にするとさらに溶けにくくなります。四角い氷は表面面積が大きく空気や水に接触する面積が広いのに対して、丸い形の氷は表面面積が小さくなるためです。

アイスピックなどで氷を削って表面面積を小さくするのでも効果があります。

塩を入れるのはNG?

塩は温度を下げるという認識がある方は多いかと思いますが、これは塩を入れることによって0℃以下の低温で周りの熱を奪いながら溶けるという性質により保冷効果が高まるというものです。氷と塩とを質量比で3対1で混ぜることで-20 ℃まで温度が下がるといわれています。

雪が降ったときに塩をまくのは、この塩によってより低い温度で氷が溶け出すという性質を利用しているものです。

また、水の凝固点(固まる温度)は通常0℃で、0℃になるとお互いの分子がくっつき氷となります。そこへ塩を加えると分子がくっつくのを邪魔するため塩分濃度が高くなればなるだけ家庭用の冷凍庫では凍らなくなっていきます。ゆっくり凍らせることで溶けにくい氷ができますが、塩分濃度に注意しないと中々凍らないどころか、反対に溶けやすい氷になってしまいます。

出典:公益財団法人塩事業センター

溶けにくい氷の活用方法

ドリンクに

溶けにくい氷は、コップに入れて飲み物を飲むときに便利です。一般的な氷とはすぐに溶けて水になってしまうので時間が経つと飲み物が薄まってしまいますが、溶けにくい氷はゆっくりと溶けていくので冷たさを保つだけではなく、飲み物の美味しさも保つことができます。

バーでは、ウイスキーをロックで提供する際に、丸い氷を入れていることが多いです。上述したように丸い形にすることで表面面積が小さくなり、溶けにくくなるためウイスキーを薄めることなく冷やすことができるためアルコールの味や香りが控えめになり口当たりがまろやかになります。ちなみに、ドラマなどでは氷を指で回して氷を溶かすような光景を見かけることがありますが、薄めるために氷をいれているわけではないですし、丸い氷の場合はそう簡単に溶けるものではないので意味がないようです。

アウトドアに

紙パックやペットボトルなどに溶けにくい氷を作って大きな氷にすることで、アウトドアに持っていく保冷剤として活用することができます。

紙パックやペットボトルで作る場合も、上記で紹介したように一度沸騰させた水を入れてタオルなどで包んで冷凍庫に入れ、半分ぐらい固まったところで凍ってない水の部分を捨てて、さらに水を付け足して凍らせます。

おしゃれなアイスキューブに

水の中にレモンの輪切りなどを入れて見た目もおしゃれなアイスキューブを作ることもできます。溶けにくいので飲み物の味を変えてしまうことがありませんし、見た目も美しいのでお客様を招いたときなどにぴったりです。エディブルフラワーとよばれる毒性のない食用の花を入れたエディブルフラワーアイスキューブもおすすめです。

溶けにくい氷は市販されてる?

溶けにくい氷は一般的なスーパーやコンビニなどで購入することができます。価格はメーカーによっても異なりますが、1.1kgで200〜250円程です。ドリンク向けに500gのカップもあり、値段は108円程です。

コンビニやスーパーで販売されている氷も不純物の入っていない水を時間をかけて凍らせているため溶けにくいです。コストはかかってしまいますが、手軽に購入できるので作る時間がない場合などにおすすめです。

炭酸水を氷にすると溶けにくい?

炭酸水を氷にしても溶けにくい、というわけではありません。

そもそも炭酸水は、二酸化炭素(炭酸ガス)が含まれた水のことです。炭酸ガスは水に溶けやすい性質をもつ気体ですが、水が凍って個体となると溶け込んでいられなくなります。そのため、カルキやミネラルなどの不純物を含んでいる水道水と同じように不純物が含まれていない部分の水だけが先に凍っていき、炭酸ガスは残されてしまいます。このとき残された炭酸ガスは空気中に抜けていこうとするので、製氷皿やペットボトルなどの密閉された容器では爆発する危険があります。

一方で蓋をしていない開放された状態では、炭酸ガスは空気中に抜けていきただの水になります。特に糖分が含まれている炭酸水の場合は、凝縮された糖が不純物となり水道水で一般的に作る氷と同じように溶けやすい氷となってしまいます。