秋から冬にかけて旬を迎える柿。常温や冷蔵保存以外に、冷凍や乾燥、漬け保存などを行うことで、より長く保存することが可能です。柿は乾燥に弱いため、ヘタの部分を下にして置いたり、ヘタの部分に濡らしたキッチンペーパーをかぶせるのがポイントです。この記事では、柿の保存方法と保存期間を詳しく解説します。
柿は、ヘタの部分から乾燥しやすいです。ヘタの乾燥を防ぐことで、より長く鮮度を保って保存することができます。
丸ごと保存する場合はヘタが下になるように置くことで、乾燥を防ぐことができます。さらには、濡らしたキッチンペーパーをヘタの部分にかぶせることでもヘタの乾燥を防ぐことができます。
エチレンガスとは、野菜や果物が放つ成熟ホルモンとも呼ばれる成分で、追熟を促進する作用があります。
柿自体、放出するエチレンガスは少ないですが、影響を受けやすいため注意が必要です。
すでに熟れていて食べ頃の柿を、エチレンガスを多く放出する食材と一緒に保存してしまうと、老化が促進され腐敗が進みやすくなってしまいます。したがって、食べ頃の柿は他の食材から放出されるエチレンガスの影響を受けないように、保存袋やポリ袋などに入れて保存することが大切です。
逆に、エチレンガスの性質を生かして、柿の追熟を早めることに利用することができます。かたい柿をエチレンガスを多く放出する食材と一緒に保存すれば、成熟が促されます。
エチレンガスを多く放出する食材には、バナナやりんご、アボカド、メロン、梨、桃、ブロッコリーなどがあります。
スーパーなどに並んでいる柿は、出荷前に「渋抜き」という柿の渋みを取る処理が行われているため、購入後は美味しく食べることができます。
自宅の庭になっている柿が渋いのは、この「渋抜き」が行われていないからです。渋抜きは自宅でも簡単にできるので、渋みを取ってから美味しくいただきましょう。
柿の渋みを取る方法はいくつかありますが、自宅でも簡単にできるのはアルコールを使う方法です。アルコール度数が30〜40%(焼酎など)のアルコールを柿のヘタの部分に数秒間つけ、ポリ袋に入れて1〜2週間ほど置けば、柿の渋みが取れます。
また、ドライアイスを使用する方法もあります。ドライアイスを新聞紙で包み、柿と一緒にポリ袋に入れ空気を抜いて口をしっかりと閉じ常温(冷暗所)で4日ほど置きます。
【柿の渋みの原因】
柿にある渋みは、タンニンというポリフェノールの一種です。ポリフェノールはワインやコーヒーなどにも含まれており、水溶性なので口の中で渋みを感じさせます。ただし、柿が熟すとこのタンニンが不溶性になるため、口の中で溶けないので渋みを感じなくなります。
ポリフェノールは抗酸化作用が強いので、アンチエイジングや生活習慣病予防が期待できます。
当たり前ですが、新鮮な柿を購入する方がより長く美味しく保存することができます。新鮮な柿には下記のような特徴があります。
ヘタが濃い緑色で実にぴったりとついている
ヘタの形がきれいで4枚揃っている
実が均一に色づいている
実が大きい
ハリとツヤがある
ずっしりと重い
実がやわらかすぎない
柿の状態によって保存期間は異なります。かたい柿であれば1週間程度、やわらかい柿は2〜3日程度が目安です。直射日光が当たらない風通しの良い冷暗所で保存するようにしましょう。
柿を常温で保存する際のポイントは、ヘタを下にすることです。柿はヘタの部分で呼吸をしており、呼吸量が多いほど乾燥が進んで傷みやすくなってしまいます。そのため、ヘタを下にすることで呼吸量を抑えることができ、乾燥を防ぐことができます。
柿を追熟させたい場合は、ヘタを下にしてポリ袋に入れて保存すると◎。柿自体が放出するエチレンガスによって追熟します。早く追熟させたい場合は、エチレンガスを多く放出するりんごやアボカドなどを一緒にポリ袋に入れて保存するのがおすすめです。2〜3日ほどで食べ頃になります。それ以上そのままの状態で放置しておくと、腐ってしまいますので、食べ頃になったらりんごやアボカドなどは取り出しましょう。
柿は丸ごと冷蔵すれば2〜3週間ほど保存することが可能です。カットした柿は傷みやすいので、当日中に食べるのがおすすめ。
柿を冷蔵保存する際は、ヘタの部分に水で濡らしたキッチンペーパーをかぶせ1個ずつラップに包み、ヘタが下になるようにしてポリ袋に入れます。ポリ袋の口を軽く閉じて野菜室で保存します。
ヘタが乾燥すると柔らかくなってしまうので、乾燥しないようにキッチンペーパーをかぶせます。柿は低温で保存することで、追熟のスピードが遅くなるため、より長く保存することができます。
カットした柿の冷蔵保存も可能です。ただし乾燥しやすいのですぐに食べるようにしましょう。ちなみに、柿をカットする際、葉の先(先端のとんがっている部分)に包丁を当て4等分に切ると、種も一緒に切ることができます。切れた種はスプーンなどで取り除けば◎。葉の切れ目(葉と葉のつなぎ目あたり)の部分に包丁を当てて4等分に切ると、種に当たらずカットすることができます。
柿を長期保存したい場合は冷凍保存がおすすめです。柿は冷凍すれは約1ヶ月ほど日持ちします。冷凍することで甘みがさらに増し、ジューシーな味わいに。
丸ごと冷凍すれば、解凍後シャーベット感覚で美味しく食べられます。
濡らしたキッチンペーパーで柿の表面の汚れを取って、丸ごと冷凍用保存袋に入れて保存します。丸ごと冷凍する場合は、熱伝導率が低く凍りづらいため、急速冷凍機能を使ってなるべく短時間で冷凍するようにしましょう。急速冷凍機能がない場合は、金属バットの上に柿をのせて冷凍するのがおすすめです。
常温で10分ほど置くと包丁が入るくらいのかたさに。ヘタの部分を切り落としてスプーンで食べるのがおすすめです。カットする場合は、冷凍した柿を水に30秒〜1分つけると、手で皮がするっと剥けるようになります。
カットして冷凍するのも◎。
皮と芯を取り除き、食べやすい大きさ(8等分など)に切って冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ。なるべく重ならないように入れて密閉するのがおすすめです。
ピューレ状にして冷凍するのもおすすめです。半解凍にしてヨーグルトに入れたり、他の食材と合わせてスムージーにするのも◎。
柿の皮と種を取り除いてミキサーにかけピューレ状にします。小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れます。製氷器に入れて凍らせてもOKです。
柿は乾燥させることで保存期間が延びる(常温・冷蔵に比べて)、栄養価が高くなるなどのメリットがあります。ビタミンCは減ってしまいますが、β−カロテン、カリウム、食物繊維などが増えるといわれており、β−カロテンの量は3倍にもアップするというデータがあります。また、柿は干すことで甘みが4倍にも増すため、より美味しく食べることができます。
乾燥させた柿は、密閉容器に入れて常温または冷蔵で1週間、冷凍で1ヶ月ほど保存することが可能です。柿が熟れすぎていると水分が多く乾きにくいので、ある程度形がしっかりしているものを選ぶのがおすすめです。
乾燥させた柿はドライフルーツとしてそのまま食べるのも美味しいですし、ヨーグルトやシリアルに混ぜて食べても◎。
前述した通り、乾燥方法で一番おすすめなのは天日干しです。
皮と種を取り除いた柿を7〜8mmほどの厚さに切ってザルに並べ1日ほど干します。表面が乾いたら裏返し再び1日ほど天日干しをします。
天日干しができない方はオーブンで水分を抜くこともできます。
鉄板の上にクッキングシートを敷き、その上に7〜8mmにカットした柿を並べます。100〜110度で20〜30分程度でゆっくり加熱します。
乾燥の具合をみて、必要であればさらに加熱してください。
オーブンよりももっとお手軽なのが電子レンジで乾燥させる方法です。
耐熱皿の上にキッチンペーパーを敷き、その上に切った柿を並べます。600Wで5〜8分ほど加熱します。
電子レンジでは柿の実が焦げる場合があるので、注意しながら乾燥させましょう。
上記ではカットして乾燥させる方法をご紹介しましたが、丸ごと干し柿にして保存することもできます。一般的な干し柿の作り方は下記の通りです。
干し柿が完成したら、冷蔵では1ヶ月、冷凍で2ヶ月ほど保存が可能です。ラップで包んで冷蔵用・冷凍用の保存袋に入れて保存します。
柿は砂糖やシロップなどに漬けて保存することで、酸素から遮断し酸化を防ぎ、微生物の繁殖も防ぎます。
漬け保存は冷蔵で2週間ほど保存がききます。
皮と種を取り除いた柿をくし形に切って、煮沸消毒したビンに入れます。てんさい糖をまんべんなくまぶしてフタをし冷蔵庫で保存します。
砂糖漬け(コンポート)にして保存するのもおすすめです。
柿
2個(約500g)★てんさい糖
大さじ3★白ワイン
1/4カップ★水
1/2カップレモン汁
小さじ1皮と種を取り除いた柿を4等分にカットします。鍋に★を入れ中火にかけ、煮立ったら柿を加えて5分加熱します。火を止めてレモン汁を加え軽く混ぜ、粗熱を取ります。粗熱が取れたら、煮沸消毒した保存ビンに入れフタをし冷蔵庫で保存します。
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