ヤーコンの栄養と効能について解説します。
ほとんどが水分であまり栄養価の高い野菜ではありませんが、カリウムなどのミネラル、ビタミンB群などを比較的多く含んでいます。見た目が似ているサツマイモはデンプンを地下茎に貯蔵しますが、ヤーコンはオリゴ糖として貯蔵するので、カロリーがサツマイモの半分です。オリゴ糖には整腸作用があります。
三大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。
ヤーコンの可食部100gあたり
エネルギー...52kcal
水分...86.3g
たんぱく質...0.6g
炭水化物...12.4g
脂質...0.3g
食物繊維...1.1g
です。
糖質は11.3gです(炭水化物から食物繊維を引いた値)。
他の野菜と比べてみると、
ほうれん草:糖質0.3g、18kcal
トマト:糖質3.7g、20kcal
ピーマン:糖質2.8g、20kcla
じゃがいも:糖質8.4g、59kcal
西洋かぼちゃ:糖質17.1g、78kcal
です。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
フラクトオリゴ糖が野菜の中で1番多く含まれています。フラクトオリゴ糖はオリゴ糖の一種です。
オリゴ糖は、腸内で善玉菌のエサとなるため、腸内環境を整える効果があります。善玉菌は腸内を酸性にして悪玉菌の増殖を抑制しています。それによって腸の運動を活発化し、食中毒菌や病原菌による感染予防など腸内環境を整えています。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換されます。皮膚や喉など全身の粘膜を健康に保ち、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐことで免疫力をアップします。また、抗酸化作用もあるので、アンチエイジング効果が期待できます。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目や視力低下の抑制効果、他にも皮膚の健康維持に関与していることから乾燥肌やニキビ肌の改善など美肌効果も期待できます。
ビタミンB6は肉や魚に豊富で、特に生魚に豊富です。
ビタミンB6はたんぱく質を分解する補酵素としての役割を担います。血液のもととなる赤血球や神経伝達物質セロトニンの合成にも働きます。
また、免疫機能を正常に保つ役割も担います。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
鉄分はミネラル成分のひとつです。体に必要な栄養素で、成人のからだには約3〜5gの鉄が存在しています。
鉄は大きく分けて2種類あります。ひとつは機能鉄といって赤血球のヘモグロビンの材料となり、酸素を運びます。
もうひとつは貯蔵鉄といって肝臓や骨髄、筋肉などに蓄えられており、機能鉄が不足すると体内に放出されます。また、酵素の構成成分で、エネルギー代謝を助ける働きがあります。
クロロゲン酸はポリフェノールの一種です。
コーヒーにも多く含まれている成分で、血圧の上昇や血糖値の急上昇を抑制する効果があります。これは、糖質を分解する酵素を阻害する働きがあり、これによって糖質の吸収をゆるやかにしているからです。
さらに脂肪燃焼促進の効果もあり、体内にすでに溜まっている脂肪も新しく発生した脂肪も燃焼させてくれます。特にメタボリックシンドロームの原因である肝臓脂肪の燃焼効果が期待され、ダイエットをする際にも注目される成分のひとつです。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、ヤーコンの食物繊維のほとんどが不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
ちなみに水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性を高めます。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇をゆるやかになります。
また、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
ヤーコンはアク抜きなどのために下茹ですることが多いです。ヤーコンには水溶性の栄養素であるカリウムやビタミンCが含まれていますが、茹でたときの減少率は低いです。
生のヤーコン100gあたりのカリウムの含有量は240mgですが茹でると190mgまで減ります。ビタミンCは3mgから2mg、ビタミンB6は0.08mgから0.06mgまで減ります。
そのほか、食物繊維は1.1gから1.2g、β-カロテンは22μgから27μgに増えます。
茹で以外の調理法による栄養素の変化はデータがありません。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
ヤーコンを切ると黒変するのはポリフェノールの作用です。酢を垂らすと変色を抑えることができます。実はこのポリフェノールがアクの主体でもあります。ただ、ほうれん草に含まれるシュウ酸などのような「体に悪いアク」ではないため体に害はありません。
上述したように、変色やアクを防ぐために水にさらすことがありますよね。ただし、水に浸けすぎたりしないようにしましょう。水溶性の栄養素が溶け出してしまいます。アク抜きのために水にさらす場合はさっと通すだけにしましょう。
ヤーコンに含まれる水溶性食物繊維のイヌリンは長時間加熱すると失われやすくなっています。そのため、加熱する場合は短時間で済ませられる料理がいいでしょう。また、ヤーコンは生でもおいしく食べられるので加熱せずにサラダなどに入れて食べるといいでしょう。食感が梨に似てることからヨーグルトなどに入れてもおいしくいただけます。
ヤーコンに限らずですが、野菜の多くは皮や皮の近くに栄養素がつまっています。そのため皮ごと食べる方がより栄養を摂取することができます。ヤーコンに多く含まれるオリゴ糖やポリフェノールも皮付近に多く含まれていますので、なるべくそのまま食べましょう。渋みや苦味がある場合は、ポリフェノールによるものですので、害はありません。
特にヤーコンは皮も薄く食べやすいので、よく洗えばそのまま調理することができます。
ヤーコンの葉には、血糖値を下げる働きがあると言われています。
芋のような見た目から、でんぷんが多く含まれていると思われがちですが、実はほとんど含まれていません。また食感もシャキシャキとしていて、畑の梨と呼ばれるほどです。
さつまいもは地下茎にでんぷんを貯蔵するのに対し、ヤーコンはフラクトオリゴ糖を貯蔵します。そのためカロリーが低くなりさつまいもの1/2です。甘みを感じますが、体内で消化分解されにくいので、糖分はあってもエネルギーになりにくいうえに血糖値も上がりにくいのでダイエットに向いています。
β-カロテンは加熱することで吸収率が1.5〜2倍にアップ。また、脂溶性なので野菜炒めなど油と炒めることでβ-カロテンの吸収率は6倍にもなります。
ヤーコンは炒め物などで調理し、積極的に油と一緒に摂りましょう。鶏肉などと一緒に食べれば、鶏肉の脂質でβ-カロテンの吸収率が高まります。β-カロテンの吸収率が高くなれば、動脈硬化の改善や美肌効果にも繋がります。また、人参を生食する場合でも、油が入ったドレッシングと合わせるだけでそのまま食べるより4倍の吸収率になります。
β-カロテンのことを考えると油で炒めるのがおすすめですが、オリゴ糖は熱に弱いので加熱時間は短い方がいいでしょう。ヤーコンは生のまま食べられるので、サラダにしてもおいしいです。β-カロテンは他の野菜からも多く摂れるので、ヤーコンからはオリゴ糖を摂取することを考えるのもいいでしょう。
前述した通り、ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。ヤーコンにはビタミンCが含まれているので、たんぱく質が豊富な食材と食べ合わせましょう。
また、カルシウムはたんぱく質が豊富な食材と一緒に取ることで、筋肉の修復や合成を促進しやすくなります。豚肉の薄切り肉で巻いて焼く、鶏ひき肉と一緒に炒め煮にする、などがおすすめです。
腸内環境を整えるには、腸内の善玉菌の活動を活発にすることと、善玉菌の数と種類の増やすことの両方が大切です。冬瓜に含まれる食物繊維は、食物繊維は胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで到達し、善玉菌の活動を活発にするエサになります。発酵食品の効果は個人差が大きいですが、善玉菌の数と種類を増やすのに貢献します。そのため、冬瓜を味噌や納豆、漬物と一緒に摂ると整腸作用が期待できます。
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