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オリーブオイルと米油の違いと使い分け|体によいのはどっち?

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オリーブオイルと米油の違いと使い分け|体によいのはどっち?

オリーブと米油はどちらも植物油の一種で、栄養価が高いことで知られています。本記事ではオリーブオイルと米油の違いを詳しく解説します。

オリーブオイルと米油の違い①原料

オリーブオイル

オリーブオイルは、オリーブの果実を原料に作る植物油の一種です。

「オリーブ油」ともいわれます。

主にイタリアやスペイン、ギリシャなど地中海に面した地域で好んで使われ、これらの地方では単に油といえばオリーブオイルをさすことが多いです。

オリーブは世界に1000種以上あるともいわれており、オリーブの品種や収穫時期によって含まれるオイルの量が異なります。基本的には成熟前の青い実だとオイルの含有量が少なく、成熟が進み色が濃くなるにしたがって、オリーブオイルの含有量は増えます。オリーブオイルの含有量は実の重量(約1~15g)に対して、少ないものだと約9%、多いものでも約30%です。

日本でオリーブを生産しているのは香川県と岡山県で、香川県が95%を占め日本一の生産量です。香川県小豆島で栽培されているものは、主に「ミッション」「マンザニロ」「ネバディロ・ブランコ」「ルッカ」の4種類です。

米油

米油は、米糠(こめぬか)を原料に作る植物油の一種です。

「米糠油(こめぬかゆ・こめぬかあぶら)」ともいわれます。

米糠とは玄米を精白したときに出る果皮や種皮、胚芽などの部分で、約18%〜20%の油分が含まれています。米油は米糠に含まれている油分を抽出し精製したものです。

玄米から出る米糠はわずかであり、含まれている油分も18〜20%と少ないため例えば米油1本分(600g)作るには約43kgもの玄米が必要になります。

オリーブオイルと米油の違い②製造方法

オリーブオイル

オリーブオイルは、まずオリーブを収穫したら、不純物が入って風味を損なわないよう傷がついた実や余分な葉・枝を取り除いて洗浄します。洗浄したら石臼や機械で実をすり潰してペースト状にして練り、香りの成分を生み出します。次に油を抽出していきます。抽出方法はメーカーなどにより異なり、主に圧搾式製法、遠心分離法またはパーコレーション法などです。

オリーブから抽出された油をろ過して容器に充填すると「バージンオリーブオイル」が完成します。オリーブオイルは酸度の違いによって「エキストラバージン」「バージン」「オーディナリーバージン」「ランパンテバージン」とグレードが分けられて販売されます。中でも最高級のオリーブオイルは酸度0.8%以下の「エキストラバージンオリーブオイル」です。

さらに、バージンオリーブオイルと精製したオリーブオイル(香りや味のない状態にしたもの)をブレンドすると「ピュアオリーブオイル」になります。

圧搾式製法では、ペースト状にした実をフェルトのマットに挟み、圧力をかけることで固形の植物組織と液体状の油分と水分が分離させます。分離した液体は油と水の比重の違いにより二層に分離し、その上澄みがオリーブオイルとなります。圧搾式製法では油が空気に触れやすいため品質の管理が難しいといわれています。


遠心分離法では、ペースト状にした実を遠心分離機にかけて、油分・水分・実のかすを分けます。空気に触れにくく衛生的であるといわれており、現在は遠心分離法が主流となっています。


パーコレーション法では、遠心分離機にかけて実と果汁に分けたあと、金属のプラスとマイナスの電極を利用して、果汁の中からオイル分だけを金属に引き付けて集めます。無理な圧搾や遠心分離をしないので高品質のオイルを生産できるといわれていますが、手間がかかり効率が悪いといった難点があります。

米油

米油の製造方法はメーカーによって異なりますが、まず米糠から圧搾式製法または抽出法で油を抽出します。

米糠から抽出した油は、温水を加えてリン脂質を水和させた後に遠心分離機を使って油と分離し、リン脂質を取り除きます。リン脂質の性状からガム質と呼ばれこの製造工程を「脱ゴム」といいます。さらに、遊離脂肪酸や微量金属の一部や色素を取り除き脱臭をして、ろ過した後に容器に充填して販売されます。

圧搾式製法は、化学溶剤を使わずに圧力だけで油を抽出します。中でも「玉締め圧搾法」と呼ばれる圧搾式製法は、機械でゆっくりと手間をかけ自然に近いかたちで抽出するため栄養価が非常に高くなります。


抽出製法は、ヘキサンなどの溶剤を溶かして油を抽出します。


圧搾式製法では原料残油が10~20%あり、この残りを採油するために抽出法を併用する圧抽法を使うこともあります。例えば菜種油の原料であるアブラナの種子は油分の多いため、圧抽法を使うことが多いです。

オリーブオイルと米油の違い③見た目・風味

オリーブオイル

オリーブオイルの見た目は緑色です。これは原料であるオリーブの果実に含まれている色素によるものです。

オリーブオイルはオリーブオイル特有の香りや風味があるのが特徴ですが、上述したようにグレードによって酸度などが違うためそれぞれ風味が異なります。中でも最高品質であるとされているエクストラバージンオリーブオイルは、香り高くオリーブの風味を存分に味わうことができます。

米油

米油は色はついておらず、サラサラとしています。オリーブオイルとは見た目が全く異なるため目視で区別することができます。

米油は米糠を原料に作られていますが、米の風味や香りはしません。クセがないためどんな料理にも使いやすいという特徴があります。

オリーブオイルと米油の違い④栄養素

オリーブオイル

オリーブオイル(エクストラバージンオイル)100gに含まれている栄養成分は下記の通りです。

  • たんぱく質…0g

  • 脂質…100g

  • 炭水化物…0g

  • ビタミンA…15μg

  • ビタミンE…7.4mg

  • ビタミンK…42μg

オリーブオイルにはオレイン酸やリノール酸を多く含みます。また、オリーブオイルにはポリフェノールが含まれています。ただし、ポリフェノールが豊富に含まれているのはエクストラバージンオイルのみです。酸度の高いオリーブオイルは酸度を下げるために精製する過程で大部分のポリフェノールが失われてしまいます。

オリーブオイル100gのカロリーは921kcalで、糖質量は0gです。

米油

米油100gに含まれる栄養素は下記の通りです。

  • たんぱく質…0g

  • 脂質…100g

  • 炭水化物…0g

  • ビタミンE…25.5g

  • ビタミンK…36μg

  • カリウム…Trmg

  • カルシウム…Trmg

  • リン…Trmg

  • クロム…1μg

米油にもオレイン酸と、リノール酸、ビタミンE(トコフェノール・トコトリエノール)、ビタミンKが豊富に含まれている他、こめ油特有の栄養素γ―オリザノール(ガンマオリザノール)も含まれています。

元々玄米はビタミンB群などのビタミン類、カルシウムなどのミネラル、食物繊維などの栄養素を豊富に含んでおり、白米より栄養価が高いことで知られています。これは栄養素の多くは糠層(ぬかそう)や胚芽(はいが)に含まれているからです。米油は栄養素を多く含んでいる糠層や胚芽から抽出した油であるため、栄養価が高くなります。

米油100gあたりのカロリーは約921kcal、糖質量は0gで、オリーブオイルのカロリーは同じです。

出典:文部科学省日本食品標準成分表2020年版(八訂)

オリーブオイルと米油どちらが健康に良い?

オリーブオイルと米油は、どちらもサラダ油などの一般的に使われている油脂製品よりも栄養価が高く、健康に良いといえます。

オリーブオイルと米油に多く含まれている不飽和脂肪酸の一種でオメガ9(n-9)系脂肪酸に属するオレイン酸は、血液中の悪玉コレステロールと善玉コレステロールを適正に保つ働きもあり、動脈硬化防止や心臓障害の予防に繋がるといわれています。

また、どちらにも抗酸化作用のあるビタミンEやオリーブオイルにはポリフェノールが含まれており、ストレスなどにより体内に発生した活性酸素が細胞へダメージを与えることを防ぎ、生活習慣病などの予防に繋がります。また、しみやしわを予防するなどのエイジングケア効果も期待できます。実際に米油やオリーブ油を配合したクレンジングオイルなども販売されています。

さらにどちらにもコレステロールの吸収を抑える作用のあるといわれている天然成分「植物ステロール」が含まれています。

出典:厚生労働省e-ヘルスネット

オリーブオイルと米油の用途はほぼ同じ

オリーブオイルと米油は、どちらも調理をする際に炒め油や揚げ油として使ったり、ドレッシングやマリネを作るときに使うことができる他、バターの代用品としてクッキーなどの焼き菓子を作ることもできます。

香りや風味を良くしたいときはオリーブオイル

オリーブオイルは上述したように、オリーブ特有の香りや風味があるのが大きな特徴です。そのため、ドレッシングやマリネ、カルパッチョなどオリーブの風味や特徴を活かすことができる非加熱調理に使われることが多いです。

また、炒め物などの加熱調理やバターの代用品として使う場合もオリーブオイルを使うことで香りや風味を良くすることができます。ただし和食など料理によってはオリーブオイルの香りや風味が合わないこともあります。

米油は特に香りもなく風味もなくあっさりとしているため、オリーブの香りや風味が苦手な方や和食などを作る場合は米油がおすすめです。

揚げ油には米油がすすめ

米油には揚げ物をするときに感じることが多い油特有の嫌な匂いがない他、サラっとしていてベタベタとしないため揚げ油に適しています。

また、米油は揚げ物をする際に気泡ができにくいという特徴があります。この気泡は、加熱することにより食材や衣から水分が蒸発することによってできます。特に油が酸化している場合などは大きな気泡がぶくぶくと出てしまいやすいです。気泡がでていると揚げむらや油っぽさの原因となります。そのため、米油を使うことで揚げむらもなく均一にカラッと揚げることができます。

米油は米との相性が良い

特に米油は原料が米糠ということもあり、お米との相性が非常に良いです。そのため、ご飯を炊く際に米油を入れて炊飯するというサラダ油にはない使い方をすることもできます。米油を入れることで、米粒がコーティングされふっくらと粒感のよいご飯が炊きあがる他、米粒がお釜にこびりついてしまうのを防ぐことができます。また、米油によってお米本来の甘味や旨味を引き出すことができ普段より美味しい白米になります。

オリーブオイルと米油はお互いに代用可能?

基本的に代用可能

上述したように米油とオリーブオイルの用途は、ほぼ同じであるためお互いに代用可能です。

ただし、やはりオリーブオイルに強い香りや風味があるといった点で、米油をオリーブオイルで代用することにより料理の味を損ねてしまうことがあります。反対に、アヒージョなどオリーブオイルの風味を生かした料理をサラダ油で代用すると全く違うものになってしまいます。

混ぜて使うこともできる

オリーブオイルと米油は、どちらも植物油の一種であるため混ぜて一緒に使うこともできます。

例えば、揚げ油として米油を使う場合にオリーブ油を加えるとオリーブの香りと風味を加えることができます。オリーブオイルもさっぱりとした油であるため、米油に加えてもこってりとしてしまうことはありません。