れんこんの栄養素について解説していきます。加熱することでれんこんの効能はどのように変化するのかも併せて紹介していきます。
れんこんは主成分がでんぷんで、ビタミンCやカリウム、食物繊維を多く含みます。れんこんのビタミンCはでんぷんに守られているので、加熱に強いといわれています。また、日本人に不足しがちなビタミンB1も含まれています。
三大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。
れんこんの可食部100gあたり
エネルギー...66kcal
水分...81.5g
たんぱく質...1.9g
炭水化物...15.5g
脂質...0.1g
食物繊維...2.0g
です。
糖質は13.5gです(炭水化物から食物繊維を引いた値)。根菜なので、カロリーも糖質も野菜の中では高めです。
それぞれ100gあたり
ほうれん草:カロリー18kcal、糖質0.3g
トマト:カロリー20kcal、糖質3.7g
ピーマン:カロリー20kcal、糖質2.8g
じゃがいも:カロリー59kcal、糖質8.4g
西洋かぼちゃ:カロリー78kcal、糖質17.1g
です。他の野菜と比べると、じゃがいもよりカロリーと糖質が高いことがわかります。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
リンはミネラルの中で、カルシウムの次に多く体内に存在しています。リンの約80%はカルシウムやマグネシウムと結合して歯や骨の構成成分となっています。また、リンは体内でビタミンB1やB2と結合して補酵素になり、糖質の代謝促進をします。
さらに、エネルギー代謝に不可欠であるATP(アデノシン三リン酸)の構成成分であり、エネルギー発生やエネルギーの貯蓄に関わっています。さらに筋肉や神経などの機能を正常に保つ効果もあります。
リンとカルシウムは血液中で一定のバランスを保っているため、この2つの成分のバランスがとても大切です。カルシウムとリンの割合は1:1で摂取するのが理想的な比率とされていますが、加工食品や清涼飲料水をよく摂取する人はリンを多く摂取しがちですので、カルシウムもバランスよく摂取するようにしましょう。
ビタミンB1は豚肉に特に豊富で、れんこんにも少量ですが含まれており、野菜の中では多い方です。
糖質がエネルギーに変わるときには酵素が働きますが、その酵素の働きを促す補酵素の役割を果たすのがビタミンB1です。糖質の分解をサポートし、体を元気にします。
また、糖質は脳や神経系のエネルギー源ですから、イライラを抑える作用もあります
葉酸はほうれん草の葉っぱから発見されたビタミンB群のひとつで、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球をつくるのに必要な栄養素で「造血ビタミン」とも言われています。
また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。
葉酸は水に溶けやすく、熱や光にも弱い性質があるため、葉酸を摂取したい場合は加熱せずに生野菜サラダや生搾りジュースがおすすめです。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
クロロゲン酸は、ポリフェノールの一種です。
クロロゲン酸はコーヒーにも多く含まれている成分で、血圧の上昇や血糖値の急上昇を抑制する効果があるとされます。これは、糖質を分解する酵素を阻害する働きがあり、これにより糖質の吸収をゆるやかにしているためと考えられます。
さらに、脂肪燃焼の促進効果も期待できます。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられます。れんこんの食物繊維はほとんどが不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性を高めます。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇をゆるやかになり糖尿病予防になります。
便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。他にも免疫やうつ病、脳とも関連があることが近年の研究で明らかになってきています。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
加熱したり茹でたりすることで減ってしまう栄養素はあります。
例えばカリウムは水に溶けやすい性質があり、茹でると葉菜類は50%以上が失われてしまいますが、れんこんやごぼうなどの根菜類は比較的損失が少なくなっています。さらに水溶性の食物繊維も水に溶けだしてしまいますが、熱には強いので、煮汁ごと食べられる料理や汁物がおすすめです。
茹でると水溶性のものは減ってしまいますが、調理法や食べ方を工夫することで多くの栄養素を摂取することができます。
茹でたれんこん可食部100gあたり
エネルギー...66kcal
水分...81.9g
たんぱく質...1.3g
炭水化物...16.1g
脂質...0.1g
食物繊維...2.3g
生のごぼうの食物繊維が100gあたり2.0gのため、0.3g増えています。
茹でたごぼうの可食部100gあたりの糖質は13.8gです。
ビタミンCは熱に弱いと言われていますが、ビタミンC自体が熱に弱いわけではありません。ビタミンCには2種類あり、そのうちの1つが熱によって分解反応が加速してしまうためです。
基本的に新鮮な野菜に含まれるのは熱に強いビタミンCであるため、加熱によってビタミンCが大きく損失されることはありません。
ただし、茹では注意です。ビタミンCは水溶性であるため、水に漬けていると溶け出してしまいます。茹で時間は短くし、また茹でる場合は汁ごといただけるスープや味噌汁などにするといいでしょう。
れんこんを生で食べることはありませんが、食物繊維が豊富な食材は加熱することでカサを減らしてたっぷり摂りたいものです。
ただし、食物繊維の摂り過ぎには注意。厚生労働省が発表してる日本人の食事摂取基準(2020年版)では、18〜64歳の食物繊維の1日あたりの目標量は男性が21g以上、女性が18g以上です。キャベツなら2玉以上分の食物繊維になります。
れんこんは、皮や節と節のつなぎめを捨ててしまうことがありますが、実は皮や節と節のつなぎめにも栄養素はたっぷり詰まっています。抗酸化作用に優れているタンニンですが、節には実の5倍、皮には実の2倍含まれています。ちなみに、下の節の方(1節目より3節目)が抗酸化作用が高くなります。れんこんは1節目が細長く、2節目は丸みを帯びていて、3節目は丸くて小さいのが特徴です。最後の節にはお尻に芽がついているのでわかりやすいでしょう。
れんこんの1節目は、でんぷんが多いです。そのため、加熱するとお芋のようにホクホクになるのが特徴です。2節目だとでんぷんが減るので、シャキシャキとした食感になります。節ごとで食感も栄養素も違うのがれんこんの特徴です。
また、れんこんは切り方でも食感が変わります。例えばきんぴらなど、シャキシャキ食感にしたいのであれば薄い輪切りにするのがおすすめです。煮物にする場合は乱切りにすることでホクホクになります。これに加えて節も考えれば、より食感を楽しめるでしょう。
れんこんを切ると黒変するのは、ポリフェノールの作用です。酢を垂らすと変色を抑えることができます。実はこのポリフェノールがアクの主体でもあります。ただ、ほうれん草に含まれるシュウ酸などのような「体に悪いアク」ではないため体に害はありません。
旬の時期は、水煮れんこんよりも生のれんこんがおすすめです。ビタミンCやカリウムなど水溶性の栄養素は水煮をする際に多くが溶け出してしまいます。そのため、生のれんこんの方が栄養素が高いんです。
薬膳には「五気」というものがあり、植物分類の基礎理論です。「寒」「涼」「平」「温」「熱」の5つの性質を表され、れんこんは「寒」に分類されます。
簡単に説明すると
寒…身体を冷やす食べ物、鎮静作用・消炎作用があり高血圧の人やのぼせやすい人が摂るべきもの
涼…寒より作用が弱いが身体を冷やす食べ物、鎮静作用と消炎作用あり
平…身体を冷やしたり温めたりする作用がない食べ物
温…身体を温める食べ物、興奮作用があり冷え性の人が摂るべきもの
熱…温よりさらに身体を温める食べ物、冷え性の人に加えて貧血の人も摂るべきもの
です。
また、寒い時期には「温」「熱」のものを、暑い時期は「寒」「涼」ものを食べるといいとされています。
れんこんは体に潤いを与え、のどの乾きや痛み、痰、咳などを改善する効果が期待できます。さらに食欲不振や下痢の解消にも役立ちます。血中の熱を冷まし、瘀血(血行不良による肌荒れや月経トラブルなど)を改善します。
前述した通り、ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。れんこんにはビタミンCが含まれているので、たんぱく質が豊富な食材と食べ合わせましょう。
また、カルシウムはたんぱく質が豊富な食材と一緒に取ることで、筋肉の修復や合成を促進しやすくなります。豚肉の薄切り肉で巻いて焼く、鶏ひき肉と一緒に炒め煮にする、などがおすすめです。
ビタミンCは、鉄の吸収率をアップさせます。
鉄は、吸収率が低いと言われています。そのためビタミンCを含むれんこんを食べるときは、鉄を含む食材を一緒に食べるようにするといいでしょう。鉄を多く含む食材にはレバーや赤身肉があります。他にもカツオや鶏卵、あさりや牡蠣、野菜では小松菜に多く含まれています。
れんこんはビタミンCが比較的多めに含まれますが、ビタミン類が全般的にそこまで豊富ではありません。そのため、抗酸化作用のあるビタミンAやEを含む野菜と組み合わせるのがおすすめです。
ビタミンA(β-カロテン)が豊富な人参や、ビタミンEが豊富なかぼちゃなどを煮物で一緒に使うのは大変よい組み合わせです。
れんこんは室温が25℃以下になる秋や冬であれば常温での保存が可能です。れんこんを常温保存する場合の保存期間の目安は2〜3日です。
れんこんを新聞紙で包みザルなどに入れ、風通しのよい冷暗所で立てて保存します。横にした状態で保存すると、ストレスがかかってしまい鮮度が落ちやすくなってしまいます。畑で育った環境にできるだけ近づけてあげることで、鮮度を保って保存することができます。
室温が高くなる季節や、カットしたれんこんは常温以外の方法で保存するようにしましょう。
れんこんは冷蔵庫で保存することでより長く保存することができます。
れんこんを丸ごと冷蔵保存する場合、約1週間ほど日持ちします。
乾燥と低温障害の発生を防ぐためにれんこんを新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて口を軽く閉じ冷蔵室で立てて保存します。
使いかけのカットしたれんこんは冷蔵庫で4〜5日ほど保存することができます。丸ごと保存するよりも鮮度が落ちやすいためなるべく早く使い切るのがポイントです。
カットしたれんこんを塩水につけ水けをしっかり拭き、切り口にラップをかけて全体を包みポリ袋に入れます。口を軽く閉じ冷蔵室で立てて保存します。
輪切りや薄切りなど、料理に合わせてカットしてから保存することも可能です。その場合は乾燥しやすくまた変色も起きやすいので、塩水もしくは酢水に漬けて保存します。
カットしたれんこんを密閉容器に入れ、浸るくらいの水を入れて塩をふたつまみ加えて(もしくは酢を少々)ふたをし冷蔵庫で保存します。2日に1度水を取り替えるようにしましょう。
ただしこの方法では、れんこんのビタミンCやデンプンが水中に流れ出てしまうので、栄養素的には△。傷みが早いので1〜2日を目安に食べきるようにしましょう。
時間がない時は丸ごと冷凍も可能です。土などの汚れをしっかり落とし水けを取ります。全体をラップで包んで冷凍用保存袋に入れて冷凍室で保存します。全体が凍るまでに時間がかかるので、冷蔵庫の急速冷凍機能を使うと◎。さらに金属バットの上にれんこんをのせてから冷凍室に入れることで、より短時間で凍らせることができます。
丸ごと冷凍したれんこんを解凍する際は、水に1分ほどつけることで包丁でサクっと切れる程度のかたさまで半解凍されます。水に長くつけすぎると栄養が逃げていくので、短時間に留めましょう。
カットしてから冷凍すれば調理にすぐに使うことができて便利です。
れんこんを薄切りや厚切り、半月切り、乱切りなどお好みの大きさにカットします。用途がまだ決まっていない場合は縦半分に切るのもおすすめです。カットしたれんこんを酢水(水2カップに対して酢小さじ1〜2程度)に5分ほどつけ変色を防ぎます。キッチンペーパーで水けをしっかり取り、冷凍用保存袋になるべく平らになるように入れます。小分けにしてラップに包んでから冷凍用保存に入れれば、使いたい量だけさっと取り出すことができてより便利です。
カットしてから冷凍したたれんこんは、凍ったまま料理に使用してOKです。サラダや煮物、炒め物、汁物など幅広く使用することができます。
カットして茹でてから冷凍すれば、調理時間が短く済みます。
5mm〜1㎝程度の厚さに切り(乱切りでも可)、酢水(水2カップに対して酢小さじ1〜2杯)に5分ほどします。かために茹で(電子レンジでの加熱もOK)冷まし、キッチンペーパーで水けをしっかりと拭き取ってから冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。
カットして茹でてから冷凍したれんこんは凍ったままポトフや煮物などの料理に使うことができます。電子レンジで解凍も可。
れんこんをすりおろしてから冷凍するのもおすすめです。すりおろしたれんこんはお好み焼きやたこ焼きのつなぎやれんこん餅、味噌汁など様々な料理に使うことができます。
小分けにしてラップに包むのOKですし、直接冷凍用保存袋に入れ、菜箸で切れ目を入れてから冷凍すれば、切れ目からポキっと折って必要な分だけを取り出すことができます。
すりおろししたれんこんを解凍する方法は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍するか、電子レンジで加熱解凍をします。
Most Popular
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
のらぼう菜の食べ過ぎは危険?栄養・効能は?アク抜きすればOK?
食品事典
ほうれん草から黒い汁が出る原因と対処法。食べても大丈夫?
食品事典
玉ねぎにカビが!食べて大丈夫?色別の種類と対処法も解説
食品事典
腐ったレタスの見分け方。味やニオイは?原因も解説
食品事典
ハンバーグの温め直し。固くならない方法はレンジ・フライパンどっちがおすすめ?
食品事典
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
変色した長ネギは食べられる?原因と対処法を色別に解説
食品事典
根が生えた人参は食べられる?栄養は?対処法を解説
食品事典
赤紫色に変色した長ネギは食べられる?原因と対処法を解説
食品事典