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黒酢の代用品の作り方。普通の酢・ソース・ポン酢から作るには?

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黒酢の代用品の作り方。普通の酢・ソース・ポン酢から作るには?

黒酢は玄米を原料に作る醸造酢であり、穀物酢の一種です。炒めものやマリネを作るときに使われる事が多いですが、普通の酢と比較すると家に常備しているという家庭は少ないのではないでしょうか。本記事では黒酢の代用品について詳しく解説します。

そもそも黒酢とは?

原料・製造方法

黒酢は玄米を原料に作る醸造酢(じょうぞうす)であり、穀物酢の一種です。「黒米酢」ともいわれます。

醸造酢とは穀物や果実を原料に作られる酢のことで、米や大麦、とうもろこしなどの穀類を原料に作られるものは「穀物酢」、りんごやぶどうなどの果実を原料に作られる酢は「果実酢」といいます。

黒酢は、もみ殻だけを取り除き、ぬかや胚芽が残っている状態のお米(玄米)を使って作られます。現代では、玄米ではなく精米度の低い米や大麦を原料に作ることもあり、農林水産省の規格(JAS)では、1Lにつき180g以上の玄米を原料に使用したものを「米黒酢」、原料に大麦を使用したものを「大麦黒酢」と区別しています。

黒酢は古くからある陶製の壷(つぼ)を使って発酵させ、熟成させるのが伝統的な製法で、古くは「壺酢(つぼす)」とも言われていましたが、日本では1975年に鹿児島県にある坂元醸造株式会社で製造を開始し、「黒酢」という製品名で全国販売したことから「黒酢」と呼ばれるようになりました。

現代でも多くの黒酢は壺に玄米や麹などの原料を入れ、長い年月をかけて熟成させるという伝統的な製法で作られています。

出典:農林水産省日本農林規格

特徴

黒酢は普通の酢とは異なり、色が黒いです。これは、壺の中で長い年月をかけて熟成させる過程でアミノ酸と糖が化学反応を起こすことで液体が着色されるためです。熟成期間が長ければ長いほど色が濃くなります。

黒酢は長い年月をかけて熟成させることにより、酸味が落ちてまろやかでコクのある味わいになっているのが大きな特徴です。

黒酢の代用になる調味料の組み合わせ

黒酢が自宅にない場合は、酢と他の調味料を組み合わせて黒酢の風味を再現することができます。基本的には酢と他の調味料を合わせて作ります。

酢+オイスターソース

酢とオイスターソースを組み合わせれば黒酢の代用に

黒酢の代用品として使われることが多いのは、酢とオイスターソースの組み合わせです。ウスターソースでもOKです。酢には様々な種類がありますが、普通の酢はもちろん、米酢やすし酢、果実酢(リンゴ酢、ぶどう酢など)など、基本的にはどんな酢を使っていただいてもOKです。

オイスターソースの「オイスター」とは英語で「牡蠣(かき)」を意味し、その名の通り牡蠣を原料に作られているソースです。オイスターソースは、牡蠣を茹でた煮汁を煮詰めたものに砂糖や酢など調味料を加えてとろみをつけています。

オイスターソースには、酢には足りない旨味やコクをプラスすることができる成分が入っているため、オイスターソースと混ぜ合わせることで黒酢に近くなります。

酢とオイスターソースの割合ですが、酢:オイスターソース=2:1がおすすめです。酢大さじ2であればオイスターソースは大さじ1加えます。オイスターは味が濃いので、味を確認しながら調節してください。すし酢を代用品として使用する場合は、すし酢自体に砂糖が含まれているので、レシピで砂糖を使う際は量を減らして甘みを抑えるのがポイントです。

より黒酢に近づけたい場合は、レモン汁と黒糖を加えるのがおすすめです。味を確認しながらお好みの量を加えましょう。

オイスターソースと中華料理の相性はよいので、酢豚や酸辣湯、担々麺などに使用するのがおすすめです。

【オイスターソースの代用品】

オイスターソースが自宅にない場合は、他の調味料を組み合わせてオイスターソース風味を再現することができます。おすすめの組み合わせは下記の通りです。

ウスターソース(大さじ1)+砂糖、はちみつなど(小さじ1/2)

中濃ソース(大さじ1)+醤油(小さじ1)+砂糖(小さじ1/2)+中華顆粒だし(小さじ1/2)

・醤油(大さじ2)+はちみつ(小さじ2)+中華顆粒だし(小さじ1/2)

バルサミコ酢+レモン汁

バルサミコ酢酢とレモン汁を組み合わせれば黒酢の代用に

バルサミコ酢はぶどうの果実を原料に作られた酢です。黒酢と同じように熟成されているため黒酢に似たまろやかさとコクがありますが、黒酢と比較して酸味が足りません。

そのため、バルサミコ酢のみでも黒酢の代用品になるのですが、レモン汁で酸味を加えるとより黒酢に近くになります。バルサミコ酢に少しずつレモン汁を加えて味を調節してください。

レモン汁がなければ、普通の酢を加えても良いです。ケチャップやウスターソースを加えると、より旨味やコクを出すことができます。

黒酢の代用品としてバルサミコ酢を使用する場合は、洋風の料理と相性が良いです。特に肉料理に合うので、ステーキと合わせて食べたり、洋風の煮物料理に使用するのがおすすめです。

ワインビネガー+めんつゆ

ワインビネガーとめんつゆを組み合わせれば黒酢の代用に

ワインビネガーは、普通の酢と比較してまろやかな酸味とコクがあり、そのままでも黒酢の代用品として使えますが旨味成分を加えることでより黒酢に近くなります。ワインビネガーには白ワインビネガーと赤ワインビネガーがありますが、赤ワインビネガーの方が果実感やコクがあっておすすめです。

そのため、旨味成分が含まれているオイスターソースやめんつゆをプラスするのがおすすめです。カツオ出汁や昆布出汁でも良いですが、めんつゆだと出汁を摂る必要がないので手軽です。

めんつゆを入れすぎてしまうとワインビネガーの酸味やコクが消えてしまいますので、ワインビネガーに少しずつめんつゆを加えて味を調節してください。

ワインビネガーを黒酢の代用品として使う場合は、洋風の煮込料理に使うのがおすすめです。ワインのコクもプラスされて美味しく仕上がります。めんつゆを使用するので、和風の料理にも◎。

ポン酢は向いてない?

ポン酢は黒酢の代用として向いていない?

黒酢の代用品としてポン酢が使えるのではないかと思う方が多いと思いますが、ポン酢は黒酢の代用品としては不向きといえます。

そもそもポン酢とは、柑橘系の果汁に酢を整えた調味料を指しますが、それに醤油を混ぜた「ポン酢醤油」も一般的にポン酢として呼ばれています。醤油が加わっておらず、柑橘系の果汁と酢のみのポン酢であれば、果実酢に近い風味があるので、オイスターソースと合わせれば黒酢の代用品として使用可能です。ただし醤油が使われているポン酢醤油では、醤油の風味が加わってしまうので黒酢の代用品としてはおすすめできません。

ただし、レシピに黒酢と醤油の両方を使用してる場合は、黒酢の代用品としてポン酢を使用し、その分醤油の分量をなくすもしくは減らすことで全体的として味のバランスを取ることは可能です。

もろみ醤油で代用もできる?

もろみ醤油

黒酢の代用品としてもろみ醤油を使用することは可能です。

もろみ醤油とは、大豆や小麦で作った麹を塩水で発酵、熟成して作ります。醤油の液体の部分と固形の部分を分離させる前の状態なので、普通の醤油よりもとろみがあるのが特徴です。

味わいとしてはコク、そしてほのかな甘さがあるのが特徴的で、黒酢に近しい味わいを演出することができます。とはいえもろみ醤油も醤油であり酢ではないので、酢の酸味を再現することは難しいといえます。酸味を出すには、レモン汁などを加えてみるとよいかもしません。

黒酢は自宅で作れる?

リンゴ酢

黒酢は長時間熟成させる必要あり

黒酢は壺に玄米や麹などの原料を入れ、長い年月をかけて熟成させるという伝統的な製法で作られていることがほとんどです。材料だけを見ると自宅でも作れるように思いますが、壷に雑菌が入ってしまうと酢酸発酵まで上手く行われないため、365日休むことなく職人が毎日チェックをしながら2年〜3年と長い年月をかけて熟成させて黒酢が完成します。自宅で黒酢そのものを作ることは非常に難しいといえますが、他の種類の酢をベースに、黒酢に近い味わいの酢をオリジナルで作ることは可能です。

普通の酢から簡単黒酢にする方法

一般的に調理をするときに使われる普通の酢の原料は、精米された米です。酸味が強く鼻にツンとくる香りと尖った酸味が特徴で、料理に酸味を加えるという点では普通の酢で代用できるといえます。ただし、黒酢のようなまろやかさやコクはないため普通の酢で代用すると黒酢を使ったときとは異なる味わいになります

普通の酢を黒酢の味に近づけるためには、普通の酢の酸味を抑え、コクを与える必要があります。

ステップ1:加熱

普通の酢を黒酢に近づけるためには、まずは酢の酸味を弱くする必要があります。上述したように、普通の酢は黒酢と比べてツンとする刺激臭が強いため、酸味をまろやかにすることで黒酢の風味に近づけることが可能です。

酸味を弱くするには、酢を加熱します。酢の酸味は蒸発しやすい性質があるため加熱することで酸味が飛んでまろやかになります。火にかけるか電子レンジで加熱することで酢の酸味を飛ばすことができます。ただし酢の主成分である酢酸の沸点は118度なので、瞬時に揮発させることは難しいです。高温で調理するか、加熱時間を長くして酸味を飛ばしましょう。

ステップ2:甘みを加える

また、はちみつなどの甘さを加える、旨味成分を加える方法が挙げられます。

また、みりんやはちみつを加えることで「酢カド」とよばれる強すぎる酸味や刺激臭を抑えることができます。みりんやはちみつに含まれているオリゴ糖には酢カドを抑える働きがあり、まろやかにすることができます。

さらに、旨味成分を加えることで酸味を和らげることもできます。旨味成分とは、醤油や昆布出汁に含まれている「グルタミン酸」や、かつお出汁に含まれている「イノシン酸」です。そのため昆布出汁やめんつゆを加えるのが効果的です。

ステップ3:コクを加える方法

酢の酸味を弱くした後は、コクやうまみをプラスします。カレーにチョコレートやインスタントコーヒーを入れてコクを出すことができるように、調味料や食材をプラスすることでコクを加えることができます。

酢にコクを与えたい場合は、元々深いコクを持つ食材を加えます。例えば黒糖などがあげられます。黒糖には黒酢と同じようにまろやかなコクがあるので、白砂糖を加えるよりも黒酢に近くなります。

黒糖以外では、カラメルでもOKです。人間にはおこげなどの雑味をコクと認識する性質があるため、砂糖を焦がして作るカラメルでもコクを感じます。ちなみに酢と砂糖、水を絡めると「ガストリック」と呼ばれる調味料になり、フランス料理などでは料理にコクを出すためによく使われています。

果実酢から簡単黒酢を作る方法

果実酢とは上述したように、果実を原料に作られる酢です。代表的なものにはリンゴ酢やワインビネガー(ぶどう酢)、バルサミコ酢などがあります。

果実酢は普通の酢と比較して酸味が弱く、鼻にツンとくる刺激臭もなく味もまろやかです。そのため、普通の酢よりも黒酢の代用品に向いているといえます。特にバルサミコ酢は黒酢と同様に長い期間熟成させているため、黒酢に似たまろやかさとコクがあります。

果実酢をより黒酢に近づける方法

果実酢は原料によりそれぞれ味の特徴が異なるため、それぞれの特徴に合わせて酸味やコク、旨味を加えることで黒酢により近くなります。

例えば、酸味が足りない場合はレモン汁などを加え、コクや旨味が足りないときはオイスターソースやめんつゆなどを加えます。

他の調味料で代用する場合の注意点

栄養素が異なる

他の調味料で代用する場合、やはり黒酢そのものとは原料や製造方法が異なる調味料であるため含まれている栄養素は異なります。

黒酢と似た味付けをすることはできますが、黒酢に含まれている栄養成分を摂取したい場合はやはり黒酢を購入するしかありません。ただし他の調味料では全く栄養成分を取り入れることができないというわけではありません。例えば果実酢にはポリフェノールやビタミン類が豊富に含まれていますし、普通の酢にもクエン酸やアミノ酸が含まれていますので、疲労回復などの効果が期待できます。 

ドリンクにはできない

黒酢は炭酸水などで割ってドリンクとして飲まれることも多いですが、他の調味料を組み合わせて使う場合はあくまでも料理をするときの味付けとして使うときのみで、ドリンクとして飲むことはできません。

味は似ているかもしれませんが、上述したようにやはり栄養素が異なりますので健康面を考えてもドリンクにする場合は黒酢を使うのが一番です。