生もずくは、塩漬にしたり三杯酢につけるなどの味付けをしていない状態のもずくのことをいいます。本記事では生もずくの食べ方や栄養素などを詳しく解説します。
もずくはナガマツモ目モズク科またはナガマツモ目ナガマツモ科に属する海藻の一種で、「生もずく」は乾燥させたり、塩漬けや三杯酢につけるなどの加工をしていない状態を指します。
もずくはそうめんのような細長く枝分かれした糸のような形状をしています。ヤツマタモクやホンダワラなどの褐藻類に付着することから「藻付く」という意味で「もずく」と呼ばれるようになりました。沖縄の言葉では「スヌイ」といいます。
日本海でも広く自生していますが、現在では天然のもずくはあまり流通しておらず、販売されているのは主に沖縄県で養殖されたものです。日本の生産量の90%を沖縄県が占めており、日本のもずく生産量NO1を誇ります。
一口に「もずく」といっても、実はもずくには様々な種類があります。
糸もずくはナガマツモ目モズク科モズク属の海藻です。学名を「もずく」といいます。
能登半島や山陰沿岸に自生しています。1本1本の藻体が非常に細いことが特徴であるため、「糸もずく」と呼ばれるようになりました。また「細もずく」と呼ばれることもあります。
糸もずくは繊維のまわりにぬめり成分があって柔らかく、つるつるとしたなめらかな口あたりを楽しむことができます。
太もずくは、ナガマツモ目ナガマツモ科オキナワモズク属の海藻です。
沖縄など南西諸島特有のもずくで「オキナワもずく」ともいわれます。その名の通り、一本一本の藻体が太いことが特徴で、コリコリとした歯ごたえがあり、繊維の中にヌメリを蓄えているため歯切れがよく口当たりなめらかです。
スーパーなどで一般的に販売されているもずくの多くはこのオキナワもずくです。
石もずくはナガマツモ目ナガマツモ科イシモズク属の海藻です。
主に新潟~東北の日本海沿岸に分布しており、石や岩に張り付いて育つため「石もずく」と呼ばれるようになりました。「岩もずく」ともいわれます。
藻体は細いですが糸もずくと比較してしっかりとしていて固く、シャキシャキとした食感を楽しむことができます。また、旨味が強いです。スーパーなどで塩漬けして販売されていることがありますが、一般的に食べられている太もずくなどと比較して高価です。
もずくの旬は4月〜6月で夏になると枯れてしまいます。そのため、生もずくはちょうど旬である4月〜6月頃にのみ店頭に並びます。
一般的に1年を通して販売されているのはもずくを収穫した後に乾燥させたり、塩漬けや酢漬けにして味付けをして保存性を高めたものです。
塩蔵もずく(えんぞうもずく)は塩漬けしたもずくのことです。「塩もずく」ともいわれます。
塩蔵もずくは塩漬けにすることにより保存性を高めているため、常温で1ヶ月ほど保存することが可能です。生もずくよりも日持ちするという利点がありますが、下処理として塩抜きをしないと食べることができません。
塩抜きをすることによって、生もずくよりも栄養価が下がり、旨み成分のアミノ酸なども流失するといわれています。また塩蔵もずくは塩抜きをすることにより生もずくよりも柔らかい食感になります。
調理法などは生もずくと同じです。
味付けもずくは、三杯酢や黒酢なので予め味付けをしてあるもずくのことです。
値段も比較的安価で、下処理や調理をせずにそのまま食べることができます。メーカーによって様々な味付けがあるので、好みの味付けを見つけてみるのも良いでしょう。
スーパーで販売されている味付けもずくの多くは、塩蔵もずくで作られており、生もずくよりも食感が柔らかいことが多いです。
予め味付けをしてあるため生もずくのように用途は広くありません。スープなどにアレンジすることもできますが、天ぷらなどもずくを調理して使いたいという場合は生もずくや塩蔵もずくのほうが適しています。
生もずくは基本的に下処理なしでそのまま食べることができます。
海水による塩分が含まれていますが、3%~4%ほどと少ないため塩抜きや水洗いをする必要はありません。ただし、塩分や汚れが気になる場合はさっと水洗いをしても良いです。また、加工をしていないぶん磯臭さが強いため匂いが気になる方は湯通しをすると食べやすくなります。
水洗いをする場合は、生もずくをザルにいれて流水でさっと洗います。水に浸けてしまうと風味や食感が損なわれてしまうため、長時間水に浸けないようにするのがポイントです。もずくのぬめりが苦手な方は、ぬめりごと洗い流しても良いですが、多少残しておいたほうが栄養価が高くなり、口当たりもよくなります。
湯通しをする場合は、鍋に水を入れて沸騰させてからサッと生もずくをくぐらせます。またザルに入れた生もずくの上からお湯をかけても良いです。湯通ししたら、氷水に入れて冷やし水気を拭き取ります。新鮮な生もずくであれば、磯臭さを軽減するだけではなく湯通しすることで茶色だった生もずくが鮮やかな緑色になり、見た目がよくなるという利点もあります。
茹でてしまうとしんなりとしてしまい、食感が損なわれてしまうので注意しましょう。
生もずくは調理をしなくてもそのまま食べることができます。ポン酢やめんつゆと酢で作ったタレをかけても美味しく食べることができますが、磯の風味を楽しみたい方は味付けなどをせずそのまま食べるのがおすすめです。
生野菜と一緒にサラダにして食べるのもおすすめです。ドレッシングをかける場合は青じそドレッシングや和風ドレッシングなどのさっぱりとしたものがおすすめです。生もずくをサラダに加えることで食べごたえがまして満腹感を得やすくなるのでダイエット中の方にもおすすめです。
もずくは酢との相性がよく、上述したように三杯酢や黒酢で味付けをした商品も多く販売されています。
生もずくを使って酢の物を作ると、スーパーなどで販売されている商品よりもシャキシャキとした食感を楽しむことができるという利点があります。
三杯酢でもずくの酢の物を作りたい場合は、だし汁と酢、醤油、みりんを混ぜ合わせて三杯酢を作り、生もずくにかけます。食べる直前にかけることでもずくがしんなりしてしまうことを防ぐことができます。
黒酢でもずくの酢の物を作りたい場合は、黒酢と砂糖、醤油を混ぜ合わせたタレを生もずくにかけます。
生もずくは、お味噌汁やスープなど汁物の具材としても使うことができます。
もずくは海藻ですのでワカメやアオサなどと同じように味噌と相性も良いです。また、味噌汁やスープにすることで水に溶け出た水溶性食物繊維を丸ごと摂取することができるという利点があります。ただし、上述したように加熱しすぎると食感が損なわれてしまうため、他の具材と同じタイミングではなく最後に入れるのがポイントです。
もずくは酸味のある食べ物と相性が良いので、トマトと一緒にスープにしても美味しいです。夏バテなどで食欲がないときにもサラッと食べられてしっかりと栄養を摂ることができるのでおすすめです。
沖縄の有名な食べ物にゴーヤなどの野菜と豆腐を炒めたチャンプルーがありますが、沖縄の名産品であるもずくを使ってチャンプルーを作ることもできます。
もずくチャンプルーは、生もずくとにんじんなどの野菜、豚肉、豆腐を炒めて塩コショウや醤油などお好みの味付けをするだけで完成します。ゴーヤチャンプルーは苦手で食べられない小さなお子様でももずくチャンプルーなら食べやすいので、家族で沖縄料理を楽しむことができます。
沖縄ではもずくを天ぷらにして食べることも多いです。関東などではもずくを天ぷらにすることはあまりないと思いますが、生もずくの磯の風味と歯ごたえが、天ぷらの衣とよく合います。
天ぷらにする場合は、生もずくの水気をよく拭き取ってから衣に入れて、おたまなどですくって油に入れてあげます。ナスの天ぷらなどと同じように天つゆにつけて食べても美味しいですが、シンプルに塩をつけるだけでも美味しく食べることができます。
生もずく(オキナワもずく)100gに含まれている栄養素は下記の通りです。
たんぱく質…0.3g
脂質…0.2g
炭水化物…2g
食物繊維…2g
ビタミンA(βカロテン)…220mg
ビタミンK…18μg
ビタミンB1…Trmg
ビタミンB2…0.09mg
葉酸…2μg
ピオチン…0.4μg
ナトリウム…240mg
カリウム…7mg
カルシウム…22mg
マグネシウム…21mg
リン…2mg
鉄…0.2mg
亜鉛…Trmg
銅…0.01mg
ヨウ素…140μg
セレン…1μg
生もずくは三大栄養素とよばれるたんぱく質・脂質・炭水化物の他、もずくのぬめり成分である水溶性食物繊維フコイダンやアルギン酸が豊富に含まれています。また、ナトリウムやカルシウムなどのミネラルも含まれています。
生もずく100gのカロリーは約7kcalで、糖質量(炭水化物から食物繊維を引いた値)は0gです。カロリーが低く糖質も含まれていないためダイエット中の方にもぴったりの食材です。ただし、炒めものにしたり天ぷらにする場合はカロリーが高くなります。ダイエット中の方は調理法に注意しましょう。また、生もずくに多く含まれているヨウ素は、甲状腺に大きく影響する成分であるため摂取しすぎると甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて疲れやすくなってしまったり、汗をかきやすくなるなどの症状が出ることがあります。ヨウ素は生もずく以外の食材にも含まれている成分なので、神経質になる必要はありませんが、過剰摂取は避けたほうが良いでしょう。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
生もずくに豊富に含まれている食物繊維には整腸作用があり、腸内の環境を整えることで便秘を解消したり予防に繋がるといわれています。また、食物繊維を摂取することでコレステロールの吸収速度を緩める効果も期待できます。
さらにもずくに含まれている水溶性食物繊維フコイダンには、ピロリ菌が胃壁に付着することを防ぐ作用があるため胃潰瘍や胃炎を予防する他、胃潰瘍を修復する働きがあるといわれています。ただし、人によっては食物繊維が体に合わず反対にお腹の調子が悪くなってしまう人もいるので注意しましょう。
食物繊維には血糖値の上昇を抑える働きがあるといわれています。血糖値が急上昇すると血糖値の急降下が起こりやすく空腹を感じやすくなります。そのため食事の際に生もずくを食べておくと血糖値の上昇が緩やかになり満腹感を持続する効果が期待できます。
フコダインには整腸作用や血糖値の上昇を抑えるだけではなく、抗酸化作用があり生活習慣病や老化などを引き起こす原因になるといわれている「活性酸素」を取り除く効果が期待できます。また、シミの原因となるメラニンの生成を抑える作用があり肌の老化予防に繋がるともいわれています。
モズクに含まれているアルギン酸は、体内のナトリウムと結合することでアルギン酸ナトリウムとなり体外へ排出されるため、高血圧の原因となるナトリウムを排出するといわれています。そのためもずくにはナトリウムが多く含まれていますが、アルギン酸の働きにより血圧を安定させることができることがわかっています。
また、モズクにはカリウムも豊富に含まれており、体内のナトリウムを排出し摂り過ぎた塩分の調整することができ、高血圧だけではなく塩分のとりすぎによる むくみを解消する効果が期待できます。
お酒の飲み過ぎによる頭痛や吐き気などの二日酔いの症状は、アルコールが肝臓で分解されたときに発生するアセトアルデヒドとよばれる物質が原因であることがわかっています。フコイダンには体内のアルコールの分解が促進する作用があるため、飲酒前に生もずくを食べることで血中と呼気中のアセトアルデヒドの分泌が減り二日酔いを防ぐ効果が期待できます。
出典:
生もずくの購入はAmazonや楽天などのネット通販がおすすめです。4月〜6月の旬の時期はもちろんのこと、冷凍された状態の生もずくは1年を通して購入することができます。
値段は500gで500円〜600円、1kgで900円〜1300円程です。
旬の時期であればイオンなどの一般的なスーパーでも鮮魚コーナーに並ぶことがあります。ただし、必ず取り扱いがあるというわけではないので店舗に確認してみてください。
生もずくの賞味期限は販売元によっても異なりますが、未開封の場合常温保存で1日〜2日、冷蔵保存で2週間程です。
常温保存するときは直射日光の当たる場所や高温多湿の場所を避けた冷暗所で保管し、冷蔵保存するときは密閉できる容器に移し替えて冷蔵庫にいれます。開封後は賞味期限に関係なくできるだけ早めに食べきるようにしましょう。
生もずくは冷凍保存することも可能です。冷凍保存するときは水気をきったあと小分けにしてラップに包み、保存袋に入れて冷凍すれば1ヶ月程保存することが可能です。食べるときはそのまま調理をするか、冷蔵庫で自然解凍をしてから使います。
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