Fily Kindle
  1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. ニンニクの種類・品種25選|見た目や味、産地などの特徴を解説

ニンニクの種類・品種25選|見た目や味、産地などの特徴を解説

公開日

更新日

ニンニクの種類・品種25選|見た目や味、産地などの特徴を解説

にんにくには実は様々な品種があることをご存知でしたか?スーパーでよく見かける白いにんにく以外に、ピンクにんにくや黒にんにくなど、実にたくさんの種類があります。この記事では、25種類のにんにくについて詳しく解説しています。


にんにくについて

にんにくは、ヒガンバナ科ネギ属の多年草です。多年草とは、季節が変わっても枯れることなく毎年花や実をつけ、数年間そのサイクルを繰り返す植物です。

にんにくには強い香りや風味があり、香味野菜として使われます。球根部分は「にんにく」、茎の部分は「にんにくの芽(茎)」として販売されています。

ニンニクの原産地は中央アジア(現在のタジキスタンやウズベキスタン周辺)だと言われています。日本には古墳時代の360年代後半に百済との交流に伴い入ってきたと言われています。

旬・生産地

一般的なにんにくの旬は5月〜9月です。地域によって収穫時期は多少ずれますが、にんにくの生産量が日本一である青森県では、梅雨に入る6月中旬あたりから収穫が始まります。北海道ではそれよりも少し早い5月中旬あたりから収穫期に入ります。

にんにくは、海外では中国の生産量がダントツで1位です。世界全体の3/4もの量が生産されていると言われています。ちなみに2位はインド、3位はバングラデシュ、日本の生産量は37位です。

国内では主に青森県や北海道、香川県などで栽培されます。特に日本産のにんにくの約7割が青森県産です。令和3年度の都道府県別の収穫量を見ると、青森県で13,500トン、北海道で898トン、香川県で751トンでした。

栄養価

にんにくには、疲労回復や免疫力アップ、冷えの改善やアンチエイジング、動脈硬化予防などの効果が期待できます。その他下記のような効果・効能もあると言われています。

  • 抗酸化作用

  • 抗炎症作用

  • 抗菌作用

  • 血糖低下作用

  • コレステロール・脂質低下作用

  • 血圧降下作用

  • 強壮作用

にんにくの主成分であるアリシンは、体内でビタミンB1と結びついて(アリチアミン)、ビタミンB1の吸収率を上げ、糖分をエネルギーに変えることでスタミナ回復に効果的と言われています。

にんにくの品種の分け方

にんにくには様々な品種がありますが、それらの分類方法は様々です。ここでは、主な分類方法をご紹介します。

気候

にんにくは、栽培される地域の気候に応じて「暖地型にんにく」と「寒冷型にんにく」に分けることができます。

暖地

比較的暖かい地域で栽培されるにんにくを「暖地型にんにく」と言います。日本国内では、関西以西(九州沖縄や四国)で栽培されてます。

暖地向きのにんにくは、休眠期間(生長が一時止まる期間)が非常に短いのが特徴です。品種によっては休眠期間がないものもあります。

寒地

気温が下がりやすい地域で栽培されているにんにくは「寒地型にんにく」と言います。関西以東(北海道や東北など)で栽培されています。

寒冷地向きのにんにくは、寒さにとても強い耐性があります。ただし天候などの影響を受け、病気になってしまったり思うように生長しないこともあるため、最適な品種を選ぶ必要があります。

鱗片数

鱗片(りんぺん)とは、一般的に私たちがにんにくとして食べてる部分を指します。基本的に暖地型にんにくの鱗片は多く、寒地型にんにくの鱗片は少ないです。

在来種

主に暖地に分布するにんにくです。鱗片数が1球あたり12〜13前後と多いのが特徴です。

鱗片数は多いですが、1片あたりの大きさは小さいのも在来種の特徴です。鱗片が小さいため皮が剥きづらいというデメリットはありますが、一度ににんにくを少量しか使わない料理をする場合は、在来種を用いるとよいです。

にんにく特有の香りや辛みが穏やかな傾向があります。そのため、にんにくが苦手な方や翌日に持ち越したくない場合などにおすすめの品種です。

六片種

主に寒地に分布するにんにくです。鱗片数は1球あたり6個が一般的です。

在来種に比べると鱗片数は少ないものの、1片あたりが大きいのが特徴です。にんにくを丸ごと食べたい場合や、一度にたくさん使う場合は六片種がおすすめです。

にんにく特有の香りや辛みが強い傾向があります。にんにくの風味をしっかりとつけたい場合は六片種の品種がおすすめです。

生産国

上述したように、にんにくは国内外で生産されています。

日本(国産)

国産で栽培されているにんにくのメリットとデメリットは下記の通りです。

メリット

・新鮮なにんにく(生にんにくなど)が食べられる

・鱗片が大きく形が揃っていることが多い

・品質管理が高い(情報開示を積極的に行っている農家が多い)


デメリット

・海外産のにんにく(特に中国産)よりも値段が高い傾向がある

・国内で栽培しにくい品種は手に入らない

海外

日本で販売されているにんにくには海外産のものもあります。上記でご紹介したように、中国産にんにくが圧倒的に多いです。

中国産のにんにくは、国産にんにくと比べて安く手に入りやすいのが最大のメリットと言えます。その金額は国産にんにくの1/2や1/3程度になることも!

海外からの輸送の段階で鮮度が落ちやすかったり、粒の大きさが不揃いなものが多いなどのデメリットもあります。

にんにくの種類

福地ホワイト六片

国産にんにくの代表品種といっても過言ではない寒地型のにんにく(六片種)です。

原産地は青森県福地村で、外皮も鱗片も雪のように白いのが特徴です。原産地や白く美しい見た目から、「福地ホワイト」という名前がつけられたそうです。他の国産にんにくと比較して栽培期間が長く、収穫までに10ヶ月以上もかかります。福地ホワイトの旬の時期は7〜8月頃です。

福地ホワイト六片は、粒が大きく、甘みと辛味のバランスが良く、にんにく特有の香りもマイルドなので調理に使いやすい品種です。

福地ホワイト六片の優良株を選抜して作られた「ニューホワイト六片」という品種も近年注目を浴びています。

富良野にんにく

主に北海道の富良野地域で栽培されている寒地型のにんにく(六片種)です。

外皮や鱗片は福地ホワイト六片と同じように白いですが、外皮を剥くと中の薄皮は鮮やかな赤紫色をなしているのが特徴です。富良野にんにくの旬は8月頃です。

富良野にんにくは福地ホワイト六片よりもやや小さいサイズ感です。加熱することで得られるホクホクとした食感も富良野にんにくの特徴です。

富良野にんにくは、葉にんにくや茎にんにく(いずれも詳細は後ほどご紹介します)としても美味しく召し上がれます。

ピンクにんにく

100年以上も前、北海道の開拓期からほとんど品種改良されることなく受け継がれているにんにく(六片種)です。他のにんにくと比べて病気やウイルスに強く丈夫な品種です。

収穫直後のにんにくの色がピンク色であることから「ピンクにんにく」という名前がつけられたそうです。見た目は富良野にんにくと似ており、中の薄皮がピンク色をなしています。ピンクにんにくの旬は9〜10月頃です。

他のにんにくと比べてにんにく特有の香りや辛味が強いのが特徴です。また、抗酸化作用があると言われるフラボノイド(ポリフェノールの一種)や脂肪燃焼作用があるピルビン酸などの栄養価を多く含むこともピンクにんにくの特徴です。

現在は白いにんにくを栽培している農家が増加したことから希少な品種となってしまいました。

島にんにく

沖縄県で栽培されている暖地型のにんにく(従来種)です。旬は3〜4月頃です。

富良野にんにくやピンクにんにくと同じように、皮が赤紫色やピンク色を帯びています。鱗片部分は白いです。あらゆるにんにくの中でも香りや辛味が強く、小さい粒に旨味が凝縮されています。

島にんにくの葉は柔らかいため、葉にんにくとしても重宝されています。ちなみに、沖縄の方言では島にんにくは「ヒル」と呼ばれているそうです。

ジャンボにんにく

別名「エレファントガーリック」や「ジャンボリーキ」、「グレートヘッド・ガーリック」とも呼ばれるジャンボにんにくは、厳密にはにんにくではなく、リーキという西洋ネギに分類されますが、見た目はにんにくそのものです。名の通りビッグサイズのにんにくで、鱗片1つだけで普通のにんにくの1玉分ほどの大きさです!直径8〜10㎝、重さは500g〜1kgにもなります。

主に九州や四国、中国地方などの温暖地域で栽培されています。栽培方法は普通のにんにくと同じですが、ジャンボにんにくの方が育てやすいと言われています。ジャンボにんにくの旬は7〜9月頃です。

ジャンボにんにく自体がにんにく特有の香りは強くないですが、その中でも特に香りが弱いにんにくを「無臭にんにく」と言います。詳細は次に解説します。

無臭にんにく

無臭にんにくは、上でご紹介したジャンボにんにくの一種で、特に香りが少ない品種を指します。無臭にんにくの香りは、一般的なにんにくの香りの14分の1程度とかなり控えめです。大きさはジャンボにんにくよりも一回り小さいですが、一般的なにんにくよりは大きいサイズです。

香りだけでなくにんにく特有の風味もマイルドなのが特徴です。にんにくが苦手な方や、翌日に臭いを持ち越したくない時におすすめです。

プチにんにく(一片種にんにく)

一般に多く出回っているにんにくの約半分程度の大きさで、直径は3cmほどで、一般的なニンニクの2片ほどの大きさです。

プチニンニクは日本国内では栽培が難しい(標高2,000m以上の寒冷地で栽培される高山種)ため、ほとんどが輸入品で、主な生産国は中国です。特に旬はなく、通年収穫可能なにんにくです。

プチニンニクの最大の特徴は、鱗片が1片しかつかないという点です。上記でご紹介したように、にんにくのほとんどが1球に6片の六片種もしくは12片の在来種のどちらかに分類されますが、プチニンニクは鱗茎がわかれておらず、1球あたりに1粒しかつかない品種です。

外側の皮が白いものや、赤紫色のものがあります。可食部である鱗片は普通のにんにくと同じ白です。一般的なにんにくよりも香りや辛みはマイルドですが、うまみはしっかりとあり美味しく召し上がれます。分球していないため、外側の皮を剥けばすぐに調理に使えるので便利です。

たくさんの魅力があるプチニンニクですが、一般的のにんにくと比べて希少性が高く手に入りにくいのが唯一の難点と言えます。

黒にんにく(フルーティーにんにく)

黒にんにくは品種ではなく、通常の白いにんにくを特殊な方法で熟成させたものです。様々な品種の白にんにくを高温多湿の環境で約1ヶ月間熟成させて作られます。黒にんにくの旬は通年です。

加工前のにんにくの品種によって大きさが異なります。熟成後のにんにくの皮は茶色、鱗片は茶色〜黒(熟成具合によって異なる)になります。熟成させることでにんにく特有の香りや辛みが弱まります。糖度が増しプルーンのような甘みがあるため、別名「フルーティーにんにく」とも呼ばれます。

熟成させた黒にんにくは、通常のにんにくと比べて抗酸化力が数倍にアップします。また、ビタミンやミネラルなどの栄養価も高く、健康食品として人気を集めています。

行者にんにく

行者にんにくは主に北海道で栽培されている寒地型にんにくです。にんにくという名がついていますが、厳密にはにんにくではなく、ニラなどと同じユリ科ネギ属に分類されます。

近畿から北海道にかけて分布している多年草(山菜)で、東北より南の地域では高山でしか見られません。そのため、「行者が食べるにんにく」という意味で「行者にんにく」と名付けられたという説が存在します。近年では天然物が激減しており、現在出回っているもののほとんどは人工栽培によって作られたものです。行者にんにくは成長スピードが非常に遅く、栽培には5年以上の時間を要します。

行者にんにくは、にんにくというよりニラに近い見た目をしています。10〜20㎝程度の長さで、根元は白、葉先は緑色をなしています。根と葉の中間部分は赤紫色っぽくなっています。行者にんにくの旬は1〜6月頃です。

強い香りが特徴で、にんにくの風味を感じながら葉物野菜として食べられます。にんにくよりもアリシンやβ−カロテンを多く含み、ビタミンKの含有量はあらゆる食材の中でもトップクラス(320μg/可食部100gあたり)と言われています。

出典:食品成分データベース

イタリアにんにく

イタリアで栽培されているにんにくの総称です。様々な品種があり、モリザーノにんにくやローザ・ナポレターノ、ロッソ・ディ・スルモーナ、ローザ・ディ・アグリジェントなどがあり、アーリオロッソ(Aglio Rosso)は高級品として知られています。イタリア料理には欠かせない食材です。イタリアにんにくの旬は6月頃です。

イタリアにんにくは品種によって皮が白いものや赤紫色のものがあります。鱗片もピンクっぽくなっているものがあり、別名「赤にんにく」とも呼ばれます。大きさは小ぶりで、直径4.5〜6㎝程度です。

日本産のにんにくよりも香りや辛みが強く、料理に一片加えるだけで本格的な味わいに仕上がります。そのため、自宅で使用する際は使用量に注意が必要です。

にんにくの芽(茎にんにく)

「にんにくの芽」と言いますが、実際にはにんにくの「花茎(かけい)」の部分を開花後に収穫したもので、別名「茎にんにく」ともよばれます。古くから中国料理でよく利用されており、食品としては緑黄色野菜に分類されます。

日本で出回っているにんにくの芽のほとんどが中国産で、国産のものは青森県産のものが多いです。福地ホワイト六片などの品種では花茎が伸びにくく、中国産にんにくや暖地型にんにくでよく栽培されます。

にんにくとして食べられる鱗片部分に栄養が行き渡るように、蕾の部分を切り落とした状態で販売されています(国産のものはつぼみがついていることもあります)。にんにくの鱗片部分よりも先に収穫されるため、5〜6月頃に旬を迎えます。

ネギのような見た目ですらっと細長く、10〜30㎝程度の長さが一般的で、鮮やかな緑色をしています。

にんにく特有の香りや風味は鱗片よりも穏やかで、シャリシャリとした歯ごたえが特徴です。餃子の具材などの中国料理や炒め物、煮物、和え物、サラダなど幅広く使うことができます。

にんにくの鱗片部分と同じ栄養がありますが、鱗片部分よりも一度にたくさん食べることができる(鱗片は1日1〜2片が目安)ため、十分に栄養摂取が可能です。

葉にんにく

葉にんにくは、にんにくの成長途中で収穫された若い葉の部分を食用にした野菜です。葉が柔らかい品種が使われます。一般的な品種からでも収穫することはできますが、葉にんにくの専用品種を使うことで効率よく収穫量を増やしています。

主に高知県や鹿児島県などの温暖地域で作られており、古くから冬の葉野菜として食べられています。葉にんにくは傷みやすいため、生産地外に出回ることはほとんどありません。葉にんにくの旬は11〜3月頃です。

長さは30〜60㎝前後で、見た目はニラと長ネギに近く、根元は白、葉の部分は緑色です。

にんにくよりも香りや甘みが弱く、甘みを感じる上品な味わいが特徴です。茎にんにくよりも食感は柔らかいです。ニラと同じように使うことができ、炒め物や煮物、鍋物におすすめです。

高知県では土佐ぬた(葉にんにくをすりつぶし酢味噌で和えたもの)として食べられます。また、中国四川の回鍋肉では、キャベツではなく葉にんにくを使います。

ちなみに葉にんにくを高知県では「ニンバ」、鹿児島県奄美大島では「フル」と呼ぶそうです。

発芽にんにく

発芽にんにくは、にんにくを日光を浴びない暗室で発芽させたものを指します。日光を当てない状態で水耕栽培した茎は黄色っぽくなり、見た目は黄ニラに似ていて長さは30㎝ほどで収穫されます。

にんにく特有の香りはありますが、鱗片部分の香りほど強くないです。生食もできますが、加熱料理の方が適しています。ニラと同じように炒め物や揚げ物、和え物などに向いています。

全国的に栽培されていないため、あまり出回りませんが、静岡県では10〜5月にかけて出荷しています

芽子にんにく

芽子(めご)にんにくとは、鱗片を発芽させたにんにくを指します。芽も根も丸ごと食べられます。発芽させるため「スプラウトにんにく」とも呼ばれます。

芽子にんにくは主に水耕栽培されることが多いです。

一般的なにんにくよりも香りが残りづらいのが特徴です。天ぷらや炒めもの、サラダなど幅広く使用することができます。

栄養価が高く、鉄分は一般的なにんにくの9倍、カルシウムは8倍以上も含まれていると言われています。

生にんにく

にんにくの品種ではありませんが、収穫直後のにんにくを「生にんにく」と言います。収穫から10日以内のものを生にんにくと呼びます。

一般的なにんにくは保存性を高めるために収穫後乾燥させてから出荷されますが、生にんにくは乾燥させないそのままの状態のにんにくです。乾燥させないため貯蔵性は低いですが、みずみずしく柔らかく、加熱するとじゃがいものようにホクホクとした食感になります。

一般的なにんにく(乾燥させたにんにく)よりもにんにくの香りや辛みは弱く、甘みが感じられます。

平戸にんにく

平戸にんにくは、長崎県平戸市周辺で栽培される暖地型にんにく(在来種)です。暖地型のにんにくの中では大きめの品種で、草丈が1mほど(一般的なにんにくは20〜40cm前後)になるほど生育旺盛です。旬は5月頃です。

皮は白く、一般的なにんにくと比べるとやや黄色みがかった鱗片で、加熱するとねっとりとした食感になります。にんにく特有の風味が強いため、薬味として使われることも多いです。

平戸にんにくは、葉にんにくの栽培としても重宝されています。

嘉定にんにく

嘉定(かてい)にんにくは、暖地型にんにく(在来種)です。中国由来のにんにくとして知られています。

福地ホワイト六片と見た目は似ていますが、大きさは小さめです。1球あたり10前後の鱗片をつけます。

にんにく特有の香りや辛みは強く、薬味としても重宝されます。加熱しても香りが抜けにくいため、加熱料理でにんにくの香りを楽しむことが可能です。

嘉定にんにくは葉にんにくの栽培で使用されることも多い品種です。

博多八片にんにく

博多八片にんにくは、主に福岡県で栽培されている暖地型にんにく(在来種)です。名の通り1球に8片程度の実がつきます。旬は8月頃です。

外見は福地ホワイト六片とよく似ていますが、サイズは小ぶりです。にんにくの香りや辛みは強めで、カツオのたたきや馬刺しなどの薬味としても使われます。

博多八片にんにくのルーツは、ひとつ前にご紹介した嘉定にんにくと言われています。

最上赤にんにく

山形県最上地域(最上町、真室川町、戸沢村、鮭川村など)で古くから栽培されている寒地型にんにく(在来種)です。外側の皮が赤紫色をなしているためこの名がついたと言われています。

一般的なにんにくより大粒で、1球あたり6〜8の鱗片をつけます。最上赤にんにくの旬は6〜7月頃です。

生食ではツンとしたにんにくの辛みが強く感じられますが、加熱することで甘みが増します。ホクホクとした食感もクセになります。

最上赤にんにくは貯蔵性に優れており、発芽期である3月でも芽が出にくい品種です。そのため、首都圏の飲食店などでも重宝されています。

山東にんにく

山東(さんとう)にんにくは、中国の山東省で主に栽培されているにんにくです。山東省は東海岸に面しており、にんにくの生産がとても盛んに行われています。日本で販売されている中国産のにんにくのほとんどが山東省産のにんにくです。山東にんにくの旬は8月頃です。

山東にんにくは、大別すると蒼山産と金郷産の2種類にわけることができます。どちらのにんにくも皮は白や淡いクリーム色で、鱗片の色も白です。蒼山産と金郷産では、大きさや形、味が異なります。

  • 金郷産・・・鱗片がやや大きめで三日月形。香りや辛みがマイルド。ヨーロッパで人気。

  • 蒼山産・・・鱗片が小さく、丸い形。香りや辛みが強い。生食として中国や韓国で人気。

紫々丸

紫々丸(ししまる)は、暖地型にんにく(在来種)です。外側の皮が赤紫色をしているので、この名がついたと言われています。

球の大きさは一般的なにんにくと同じくらいですが、鱗片数は20個前後とかなり多いです。生育がとても旺盛で、草丈は90㎝程度にまで伸びます。紫々丸の収穫期は一般的なにんにくよりも早いため、5月頃に旬を迎えます。

味や香りはそこまで強くなく、コクがあり美味しく召し上がることができます。鱗片が小さいため、スライスやみじん切りにして料理の風味づけに使用するのがおすすめです。

紫々丸は、葉にんにくの栽培にも使用されます。

上海早生

上海早生(しゃんはいわせ)は、主に九州や四国で栽培されている暖地型にんにく(在来種)です。原産国が中国なため、上海早生という名がついています。

見た目は福地ホワイト六片に似ていますが、上海早生の方が若干皮が茶色っぽいです。鱗片の色は白で、鱗片数は約12個前後と多いため、寒地型のにんにくよりも1片あたりの大きさは小さいです。上海早生の旬は6月頃です。

あっさりとした味わいが特徴です。にんにく特有の香りや辛みがマイルドで、火を通すと柔らかい食感になります。

上海早生は、次にご紹介する同じ暖地型にんにく「壱州早生」よりも栽培期間が短く早く収穫できるため、農家に人気の品種となっています。

壱州早生

壱州早生(いっしゅうわせ)は、暖地型にんにく(在来種)です。1925年に朝鮮半島から長崎県壱岐市に伝わったと言われており、この名がつけられました。

見た目は福地ホワイト六片などの一般的なにんにくと似ていますが、鱗片は12片前後と多いです。そのため、鱗片1片あたりの大きさは福地ホワイト六片などと比べると小さいです。鱗片1片あたりの大きさや重さは、上記でご紹介した上海早生と同じくらいです。壱州早生の旬は5月頃と言われています。

香りや味は穏やかなので、料理の風味づけとしておすすめの品種です。全国的に流通数がそこまで多いわけではありませんが、スーパーやインターネット通販などで購入することが可能です。

壱州早生はかつては国内で人気が高かった品種です。生産者の高齢化などの理由により一度は規模が縮小してしまいましたが、近年は新規栽培者が増え生産量がまた増えつつあります。

沖縄早生

沖縄早生は名の通り、沖縄県で栽培されている暖地型にんにく(在来種)です。一般的ににんにく全般には休眠期間(生育が止まる時期)があるのですが、沖縄早生には休眠期間がありません。あらゆる国産にんにくの中でも栽培期間が短く早く収穫することができます。

皮が薄い赤紫やピンク色をしているのが特徴です。鱗片は一般的のにんにくと同じ白や淡いクリーム色をしています(鱗片も薄いピンク色をしているものもあります)。同じく沖縄県で栽培されている島にんにくと同じように小ぶりなにんにくで、鱗片の数は12片前後と多いです。沖縄早生は3〜4月頃に旬を迎えます。

一般的なにんにくと比べると香りも風味もマイルドです。クセがそこまで強くないため、料理の邪魔をすることなく風味づけをすることができます。薬味としてもおすすめです。

遠州極早生

遠州極早生(えんしゅうごくわせ)は、主に静岡県西部地域で古くから栽培されている暖地型にんにく(在来種)です。沖縄早生と同じく休眠期間がない品種で、他の品種よりも早く収穫することができます。

表面の皮は赤紫色っぽくなっており、鱗片は一般的なにんにくと同じように白い色をしています。サイズは小ぶりですが、1球あたりに鱗片が12個前後ついています。遠州極早生の旬は5月頃です。

一般的なにんにくと比べてあっさりとした風味が特徴です。にんにく特有の香りや辛みがマイルドなので、薬味にしても食べやすいです。

にんにくの保存方法

保存性が高いにんにくですが、正しく保存することでより長く美味しいにんにくをキープすることができます。日本には四季がありますので、季節に応じて保存方法を変えるのがポイントです。

常温保存

春・夏など暖かい季節は、ネットなどに入れて、風通しのよい冷暗所で吊るして保存がベストです。外皮は剥かずに保存しましょう。夏が終わり涼しくなると発芽してしまうので、常温保存はNGです。にんにくの匂い成分アリシンのおかげで、虫は近寄ることはありません。

常温保存した場合、約1ヶ月程度の保存が可能です。

冷蔵保存

にんにくは秋になったら冷蔵保存します。にんにくを丸ごとペーパータオルで包み、ポリ袋に入れて軽く口を閉めて、チルド室で保存します。1片ずつ包んでも◎。キッチンペーパーに包むことで、冷蔵庫の冷気と乾燥から守ります。ポリ袋に入れることでさらに乾燥を防ぐことができます。ポリ袋は軽く閉じることで通気性をよくします。

冷蔵保存した場合、約2ヶ月程度の保存が可能です。

冷凍保存

にんにくは常温で長く保存することができるので、冷凍保存するメリットが他の野菜と比べてあまりありませんが、カットしたものを冷凍すると調理するときに楽です。やや香りが飛んでしまうデメリットもあります。切ったにんにくは常温・冷蔵保存では傷みが早いので注意です。

薄皮を剥いて1片ずつ冷凍保存したり、薄切りやみじん切りにして冷凍保存することも可能です。1片ずつ冷凍保存したにんにくは前日に冷蔵庫に移して自然解凍、カットして冷凍保存したにんにくは凍ったまま調理に使用することができます。

冷凍保存した場合、約1ヶ月程度の保存が可能です。

上記以外にも、にんにくは天日干ししたりオイルに浸けて保存することもできます