パクチーの独特の香りをカメムシの匂いと例える方は非常に多いですが、なぜパクチーとカメムシの匂いが似ていると感じるのか不思議ですよね。本記事ではパクチーの匂いについて詳しく解説します。パクチーの匂いを抑える方法なども合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
パクチーは、地中海沿岸や西アジアが原産国といわれているセリ科コエンドロ属の植物です。
パクチーは葉をはじめ根や茎、種子まで食用になり、タイやベトナム、中東、メキシコなどのスパイスをきかせたエスニック料理のアクセントとして使われることが多いです。
パクチーはタイ語であり正式名称は「コリアンダー」といいます。英語では正式名称の「コリアンダー」、中国語では「香菜(シャンチャイ)」と呼ばれ国や地域によって様々な呼び方があります。
日本では生の葉を「パクチー」、種子を乾燥させたものを「コリアンダー」と呼ぶことが多いです。
パクチーの特徴といえば、なんといっても独特の強い香りと風味です。パクチーの独特の香りと風味はカメムシやワキガ、排水溝、うんこの臭いなどと言われることが多いですが、爽やかな香りだと感じる人もいます。
そのため好き嫌いがはっきり分かれる食材であるといえます。カメムシやワキガの臭いがするといわれると「まずそう」と思う方も多いかと思いますが、最近では専門店ができるほどパクチーファンは多くいます。
パクチーの和名は「カメムシ草」ではなく「コエンロド」です。「カメムシ草」はパクチーの匂いがカメムシと似ていることから日本で呼ばれるようになった別名です。
和名の「コエンロド」は、パクチーの正式名称である「コリアンダー」に由来しているものです。
パクチーの和名はカメムシ草ではありませんが、そもそも正式名称である「コリアンダー」はカメムシに大きく関係しています。
「コリアンダー」は、古代ギリシャ語の「コリアン(koríannon)」に由来するといわれており、「コリアン」はカメムシを意味する「koris」、同じくセリ科の植物でスパイスとして使われるアニスの実を意味する「annon」を組合わせた言葉だと考えられています。
よって、日本だけではなく各国で古くからカメムシに似ていると思われていたことがわかります。
パクチーの匂いがカメムシと似ていると言われるのは、パクチーとカメムシが出す刺激臭に同じ成分が含まれているためです。
パクチー独特の匂いの成分は、デセナールやヘキセナールなどのアルデヒド類です。特に葉っぱ部分に多く含まれています。この匂い成分は苗にすでに含まれており、苗から成長していく過程で減少していきます。そのため成長しきったパクチーよりも若いパクチーの方が匂いがきついです。
カメムシは危険を感じると足の付け根から刺激臭のする液体を出します。この刺激臭の成分はパクチーと同じくデセナールやヘキセナールなどのアルデヒド類です。低濃度では森林を思わせるようなフレッシュな香りですが、高濃度では激臭となります。カメムシはこれらの香り成分を高濃度で発散することで身を守っています。
厳密にいえば全く同じ構造の匂い成分をもっているというわけではありませんが、このように共通した成分をもつため、パクチーとカメムシの匂いが似ていると感じる人が多いのです。
実はパクチーやカメムシと同じ匂い成分をもつ植物や野菜はその他にも沢山あり、例えばミョウガやシナモンなどがあげられます。
パクチーが苦手という方はミョウガやシナモンもカメムシの臭いがすると感じることがあるようで、パクチーと同じように苦手意識がある方が多いです。
出典:コーネル大学
パクチーがカメムシと同じ臭い成分をもつのなら、仲間だと思ってカメムシが寄ってくるのではないかと思いもいますよね。カメムシがパクチーを仲間だと思ってしまうことが原因なのかは不明ですが、パクチーにカメムシは寄ってきます。
カメムシはセリ科の植物の臭いを好むようで、パクチー以外にもパセリなどにも寄ってきやすいことがわかっています。そのため、パクチーを自宅で栽培する場合はベランダなどに置いてしまうとカメムシが洗濯物についたりして大変なことになります。パクチーを栽培する場合は注意しましょう。
カメムシの匂いが得意な人なんていないはずなのに、なぜパクチーが美味しいと感じるのか不思議に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
アメリカの遺伝子解析サービス「23andMe」の研究結果では、パクチーが好きか嫌いには人間がもつ臭覚受容体遺伝子「OR6A2」が大きく関係していることが判明しています。
パクチーが苦手な人のOR6A2に変異があり、変異があるとパクチーの匂い成分である「アルデビト」に過剰に反応するようになります。そのため、パクチーが好きな人が感じる爽やかな風味を感じることができずカメムシと似た匂いや辛味を感じてしまい「まずい」と感じます。
パクチーの匂い成分でもあるアルデビトは石鹸や制汗剤などにも含まれている成分でもあります。そのため、OR6A2に異変がある場合、パクチーを食べ物ではないと脳が認識し拒否反応が起こるといわれています。
7人に一人はOR6A2に変異があるといわれており、遺伝子レベルでパクチーを苦手と感じている人は意外と多くいます。単に食べ慣れていないだけの場合はパクチー嫌いを克服することもあるようですが、遺伝子が原因である場合は、パクチー嫌いを克服するのは難しいでしょう。
パクチーがカメムシと同じ臭い成分をもつとなると、パクチーが食べられる人はカメムシをいい匂いだと思ってるの?臭いと思わないの?と疑問に思う方も多いでしょう。
パクチーが好きな方でもカメムシの臭いはもちろん臭いと感じます。そもそもパクチーの臭いとカメムシの臭いは別物だと思っている方が多いようです。
これはやはり、遺伝子の違いによりパクチーレベルのアルデビドの量では反応せず、良い香りに感じるものの、カメムシレベルでアルデビドを高濃度で感じるとやはり悪臭に感じるということです。
パクチーがもつ匂い成分は、乾燥に弱いという性質があります。そのためパクチーを乾燥させることで匂いを軽減させることができます。
乾燥させたパクチーは食べやすくなり、ふりかけのようにご飯にかけたり、パセリのようにスープやグラタンなどの中央にかけるなど用途も広がります。
パクチーを乾燥させるときは一度水洗いして水気をとった後に茎をとり、葉だけをザルなどに重ならないように並べ、1日〜2日程天日干しします。乾燥したら細かくし煮沸消毒した容器に入れて保管します。
パクチーは細かく刻むと匂いが強くなります。そのためパクチーの匂いが苦手な方は、細かく刻まずにちぎるなどできるだけ形を残した状態で食べたほうが食べやすいでしょう。
サラダなどに入れる場合は、食べやすい大きさにちぎり酸味の強いポン酢や香ばしい風味の強いごま油を使ったドレッシングや、ごまドレッシングなどの濃い味のドレッシングを使うとパクチーの匂いが気にならなくなります。
反対にパクチーの香りを堪能したいという方は、細かく刻んで使うと良いです。
パクチーの匂い成分は、加熱に弱いです。そのため、肉や他の野菜と一緒に炒めたりスープに加えて煮込むなど加熱処理をしたほうが匂いが軽減されて食べやすくなります。
反対にパクチーの香りを堪能した方は、例えばスープにするときは一緒に煮込まずに直前にトッピングとして乗せると良いでしょう。
ニンニクや生姜などの香りの強い食材と一緒に使うとパクチーの匂いは軽減されます。
例えば、ニンニクと炒ったカシューナッツ、オリーブ油、ナンプラー、粉チーズなどをフードプロセッサーにかけてペースト状にしてジュノベーゼソースのようにすると、ニンニクで匂いが抑えられるだけではなく、オリーブ油やナンプラーなどのオイルでコーティングするのも匂いの軽減に繋がります。
パクチーとカメムシに共通する匂い成分があるということは、カメムシはパクチーの代用になるのではないか?と思いますよね。
日本ではカメムシを食用にすることはまずありませんが、実は東南アジアなどカメムシを食用にする国があり、カメムシのように匂いが強い虫は高級食材として扱っているところもあります。
「カメムシ」と一口にいっても様々な種類のカメムシがいて、中にはフルーティーな味わいのカメムシもいるのだそうです。カメムシなら絶対にパクチーと同じ味がするというわけではありませんが、やはりパクチーと似たような味がするカメムシもいます。カメムシをパクチーの代用品として使おうと思う方はなかなかいないと思いますが、パクチーと似た味のカメムシであればパクチーの代用品になるといえるでしょう。
ドクダミは、ドクダミ科ドクダミ属の植物です。
原産国は東アジアで、日本の全国各地の半日陰から日陰の湿地で自生しています。白く可愛らしい花を咲かせますが、パクチーと同じ匂い成分のアルデビドをもつため悪臭を放つ植物として知られています。
「ドクダミ」という名前の由来は、毒があるからではありません。古くからドクダミは薬草として重宝されたことから、毒や痛みを取るという意味で「毒痛み」と呼ばれていたのがなまって「ドクダミ」といわれるようになったのではないかといわれています。
ドクダミは、乾燥させた後にどくだみ茶として飲まれたりすることが多いです。
セリはパクチーと同じセリ科の植物です。
日本原産の植物です。東アジアや東南アジア、オーストラリア大陸など幅広く分布し、水田の畔道や湿地などに生え、野菜として栽培もされています。
若葉の成長が競り合うように背丈を伸ばし群生して見えることに由来して「競り(セリ)」といわれるようになったと言われています。
パクチーと同じように強い香りがあるのが特徴で、独特の歯ざわりがあります。日本では春の七草の一つとして七草粥に入れて食べたりします。パクチーとはまた異なる独特の香りで、パクチーほど苦手だと感じる人は少ないです。
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