ケバブは肉や魚、野菜などをオーブンに入れて焼き上げたり、串に刺して直火で焼く料理の総称です。日本でも屋台などで販売されているので食べたことがあるという方が多いのではないでしょうか。本記事ではケバブについて詳しく解説します。
ケバブは、肉や魚、野菜などをオーブンに入れて焼き上げたり、串に刺して直火で焼く料理の総称です。
「ケバブ」はペルシア語あるいはトルコ語で、現トルコ語では「kebap」と表記します。日本では「カバブ」と表記されることもあります。
ケバブは世界三大料理にも数えられるトルコ料理の一つです。中近東を中心に全世界で食べられており、調理法や味付けは様々です。日本で一般的に食べられているのは「ドネルケバブ」と呼ばれる種類のケバブを生野菜と一緒にピタパンに挟んだケバブサンドで、日本でケバブといえばケバブサンドを指すことが多いです。
ケバブの発祥については諸説ありますが、トルコや周辺国に住んでいた遊牧民が、飼っていたヤギや羊を串に刺して焼いて食したのがケバブのはじまりなどと言われています。紀元前17世紀の現在のギリシャで串焼きをした跡が発見されており、その時代からケバブが食べられていたと推測できます。
「ケバブ」という名前の由来もはっきりとはしていませんが、古代アッカド語に「揚げる、焼く、燃やす」という意味で使われていた「カバブー」という言葉があり、これが「ケバブ」の語源だと考えられています。
ケバブに使われる肉の種類は主に羊肉、牛肉、鶏肉の3種類です。
発祥の地であるトルコではイスラム教徒が多く、イスラム教の戒律では豚肉を食べることを禁止されているため豚肉は使われません。
基本的には羊肉のラムやマトンが使われますが、現在は羊肉では鶏肉や牛肉なども使われるようになり、日本では入手しやすい鶏肉や牛肉が使われることが多いようです。また、複数の種類の肉を使った「ミックスケバブ」もあります。
上述したように、ケバブには様々な調理法があります。
シシケバブはケバブの最も基本的な調理法で、四角形に切った肉を金串に刺して炭火で焼いた料理です。
「シシ」はトルコ語で「串」を意味します。
本場トルコでは基本的に肉以外の具材は刺さずに炭火で焼き、肉とは別の串で焼かれた野菜や、ラヴァシュとよばれる薄焼きパンと一緒に食べるのが伝統的な食べ方ですが、肉と野菜を交互に串に刺してバーベキューのようにしているシシケバブもあります。
ドネルケバブは、味付けした鶏肉・牛肉・羊肉などの薄切り肉を重ねた塊を串にさして、グリルで回転させながら外側をローストする調理法です。
「ドネル」にはトルコ語で「回転」という意味があります。
お店では外側の焼けた部分を包丁で削り取ってお皿に乗せて提供します。屋台ではピタパンにキャベツなどの生野菜と一緒に挟んでオーロラソースをかけてケバブサンドにすることが多いです。日本で一般的に食べられているのもドネルケバブです。スパイスが効いたドネルケバブはスパイシーな食欲を誘う独特の香りが特徴で、ついつい買ってしまうという方も多いのではないでしょうか。
ドネルケバブは1930年代後半にトルコの都市カスタモヌから広がったとされていますが、実はドネルケバブと生野菜をピタパンに挟むケバブサンドはトルコ料理ではなく、ドイツ発祥のファーストフードです。ケバブサンドは「ドイツの国民的ファーストフード」と呼ばれるほど人気で、現在ではドイツに16000店舗ほどのケバブサンドを取り扱う店舗があります。
イスケンデルケバブは、ピデとよばれる窯で焼き上げた直径30cm程の円形でふっくらとしたトルコのパンの上にあぶり焼きにした羊肉を乗せ、香辛料の効いたトマトソースと溶かしバターをかけて、ヨーグルトを添えた料理です。
トルコでは「シラ」と呼ばれるぶどうジュースと一緒に食べるのが伝統的な食べ方です。
イスケンデルケバブは19世紀後半にオスマン帝国の古都ブルサで考案された料理で、料理を考案者の名前がイスケンデル・エフェンディだったことから、イスケンデルケバブと呼ばれるようになりました。
パトゥルジャンケバブは、スパイスで味付けした肉だんごと太めの輪切りにしたなすを交互に鉄串に刺して炭火で焼き上げたり、なすをくり抜いて肉詰めにした料理です。
「パトゥルジャン」とはトルコ語でナスという意味があります。
トルコにも日本と同様に様々な種類の茄子が栽培されており、本場トルコでは一般に長なすが使われます。トルコの長なすは、日本の長なすの2倍近い大きさがあり、皮も厚みがあります。そのため時間をかけてゆっくり焼いて柔らかくして食べます。
アダナケバブは、挽肉を長い鉄串に刺して炭火で焼いた料理です。
もともとアダナやメルスィンなどの都市部やトルコ南東部で食べられていた料理で、「アダナ」は、トルコ第5の大都市からとってつけられました。「クイマナケバブ」ともいわれます。
アダナケバブは、基本的に植物を飼料にした雄のラム肉に羊の尾脂を混ぜて寝かせたあと、大きな包丁を使って細かく切りひき肉状にして塩や赤胡椒、状況に応じてスパイシーな緑唐辛子やニンニクなどを加えて味付けをし、炭火の残り火で弱火で焼きます。トルコ以外にもシリアやイラク等他の地域でも食べられていて、それぞれの土地オリジナルのアダナケバブが存在します。
アダナケバブは皿に盛って食べるか、「ドゥルム」と呼ばれる平たいパンの上に乗せて食べるのが一般的です。
テスティケバブは、素焼きの壺の中に肉と野菜を入れて煮込んだカッパドキア地方の名物料理です。
テスティは、赤色の土で作られた壺を意味します。
サルチャと呼ばれるトルコ料理定番のトマトペーストと塩で味付けをするのが定番です。壺に入れてじっくり窯で焼き上げるためお肉が柔らかくなり、野菜がホクホクとしています。煮込み汁も肉や野菜の旨味が凝縮されているため、ピラフやパンと一緒に食べることが多いです。
現地のレストランでは、目の前で金づちやナイフの背を使って壺を割ってケバブを取り出すパフォーマンスを見ることができます。
チョップシシは、小さくした肉を竹串に刺して焼いた料理です。
日本でいうところの焼き鳥に近いですが、日本の焼き鳥とは食べ方が大きく異なります。チョップシシは「ラヴァシュ」と呼ばれる薄いパン生地とトマトや玉ねぎなどの生野菜、辛いペーストなどがサービスで一緒に提供され、串から外した肉と野菜をラヴァシュで包んで食べます。
牛肩ロース…150g
(漬けダレ)
無糖ヨーグルト…大さじ2
ケチャップ…大さじ1
すりおろしニンニク…小さじ1
コリアンダー (粉末)…小さじ1
クミンパウダー…小さじ1
塩こしょう…小さじ1/3
(ケバブソース)
チリパウダー…小さじ1
ケチャップ…小さじ2
マヨネーズ…小さじ2
無糖ヨーグルト…小さじ2
レモン汁…小さじ1
できあがったケバブは、ピタパンにキャベツやトマトなどの生野菜と一緒に挟んでケバブソースをかけるとケバブサンドになります。また、イングリッシュマフィンやバンズに挟んでバーガーにしたり、ご飯にケバブとケバブソースをかけてケバブ丼にしてもおいしく食べることができます。
ケバブの含まれている栄養素は、使われている肉の種類や調理法によって異なります。例えば最も基本的な調理法である牛肉を串に刺して焼くシシケバブに含まれている栄養素は下記の通りです。
たんぱく質…21.0g
脂質 …20g
炭水化物…8.9g
食物繊維(総量)…1.4g
肉類には、たんぱく質・脂質・炭水化物などの三大栄養素が豊富に含まれています。特に肉類はたんぱく質を含む食材の中でも必須アミノ酸がバランスよく含まれています。必須アミノ酸とは、人体で作ることができず食物などから摂取しなければならないアミノ酸のことです。必須アミノ酸とたんぱく質がバランスよく含まれているかを表す指標であるアミノ酸スコアは牛肉と鶏肉、どちらも最高値の100です。
ケバブのカロリーも肉の種類や調理法によって異なりますが、シシケバブ1人前(125g)のカロリーは317kcalで、糖質量(食物繊維から炭水化物を引いた値)は、7.5gです。
日本で最も食べられているケバブサンドはピタパンや野菜、ケバブソース(オーロラソース)などが加わるため1人前400kcal〜500kcalにもなり、糖質量も多くなります。牛丼並盛がおよそ669kcal、ビーフカレーのカロリーがおよそ706kcalであるため、その他の肉料理と比較すると低カロリーですが、ダイエット中の方は食べすぎないように注意が必要です。
ケバブサンドを食べたいけれどカロリーを抑えたいという方は、肉の量を減らし野菜の量を多めにするなどの工夫をすると良いでしょう。また、お酒のおつまみとして食べられることも多いですが糖質の多い飲み物は避けたほうが良いです。
出典:
現在日本では、ケバブを食べることができる専門店が沢山あります。ケバブの専門店を経営している方の多くはトルコ人で、本場の味を楽しむことができます。店舗によって使われている肉の種類や味付けなどが異なるため、ぜひ好みの味のお店を探してみてください。
近くにケバブを食べられる店舗がない場合は、Amazonや楽天などのネット通販の利用がおすすめです。日本でもおなじみのケバブサンドをはじめ、シシケバブやアダナケバブなども購入することができます。
業務スーパーではケバブを作るために必要な材料が揃っているので、手作りで楽しむのも良いでしょう。
ケバブは調理された状態のものを持ち帰って保存する場合、粗熱をとりラップに包んで冷蔵で2日ほど保存することができます。
自宅で作って保存しておきたい場合は、下味をつけた状態で一回で食べ切れる量に小分けし、それぞれラップに包んで密閉できる保存袋にいれると冷凍で2〜3週間程保存しておくことができます。使うときは、冷蔵庫に移して自然解凍するのがおすすめです。冷蔵保存よりも冷凍保存のほうが日持ちはしますが、味や食感が損なわれないうちに早めに食べきりましょう。
シークケバブは、マトンや鶏のひき肉を串につけてやくインド料理です。
「シーク」は串を意味し、「シークカバブー」といわれることもあります。
シークケバブは肉に様々なスパイスで味をつけ、タンドールと呼ばれる高温の釜を使って焼くのが特徴です。ケバブと似ているため混合されることが多いですが、ケバブとは調理法が異なり、ケバブと比較するとシークケバブの方がよりスパイシーな味わいです。また、本場のインドではヒンドュー教が多いため、牛肉を使うことはありません。
ブリトーは、トルティーヤとよばれるトウモロコシをすりつぶした粉を原料に作る薄焼きパンに、牛肉のバーベキューとソーセージのチリトマト煮などの具材を乗せて巻いて食べるメキシコ料理です。
地域によっては「ブリート」や「ブリータ」、「タコ・デ・アリナ」と呼ばれることもあります。
「ブリトー」の由来は諸説あり、見た目がロバの耳やロバの背中に積んでいる荷物の形に似ているといったことからスペイン語で「小さなロバ」を意味する「ブリトー」と呼ばれるようになったといわれています。
アメリカ南西部ではスクランブルエッグやポテト、ベーコン、チーズなどが好まれ、日本ではてりやきチキンを巻いたブリトーなども販売されています。
シュラスコは牛肉や豚肉、鶏肉の大きなかたまりを串に刺して炭火でじっくり焼くブラジル料理です。基本的には岩塩や専用のソースで味付けして食べたり、フランスパンに挟んで食べたりします。
周辺国のアルゼンチンなどにも同様の料理があり、「チュラスコ」や「アサード」と呼ばれることもあります。
シュラスコもケバブと似ていますが、本場トルコのケバブは豚肉を使わず羊肉を主に使うのに対して、シュラスコは豚肉も使われます。また、味付けもスパイスなどで味付けをするケバブに対してシュラスコはシンプルに岩塩で味付けをするという違いがあります。
タンドリーチキンは、鶏肉をヨーグルトやスパイスに漬け込んで味付けをして焼くインド料理です。
「タンドール」と呼ばれる円筒形の土窯で焼く鶏肉料理であるため「タンドリーチキン」といいます。レストランではカレーのように同じくタンドールで焼かれるナンを添えて提供されることも多いです。
タンドリーチキンの味付けは様々ありますが、基本的にはカレー風味が中心でケバブのスパイシーな味とはまた違った味わいです。また羊肉や牛肉、鶏肉などで作られるケバブとは異なり、タンドリーチキンは鶏肉を使って作るという違いもあります。日本の家庭では手羽元などを使って作られることも多いです。
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