ザーサイはアブラナ科アブラナ属の植物で、一般的には漬け物にした状態で販売されています。本記事ではザーサイの食べ方や栄養素などを詳しく解説します。
「ザーサイ」と聞くと、漬物を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は植物そのものの名前です。
原産国は中国で、中国語で「搾菜」と表記します。
ザーサイはアブラナ科アブラナ属の植物です。からし菜の変種であり、高菜の仲間に分類されます。アブラナ科の植物にはキャベツなどがありますが、ザーサイは全体の2/3がこぶのような茎であり、葉ではなく茎が可食部になります。
「ザーサイ」として販売されている漬物の原料は、その名の通りザーサイという植物の茎です。ザーサイの茎を塩で漬け込んでいます。
ザーサイは味付けをしなくてもピリっとした辛さがあり、コリコリとした食感を楽しむことができます。そのため「畑のアワビ」といわれています。中国では「茎瘤芥」または「棒棒菜」ともいいます。
ザーサイは漬物にするのが定番で、日本では野菜としてザーサイが売られていることはほとんどありません。一般的に「ザーサイ」といえば漬物にした状態のものを指します。
ザーサイは1898年に中国の四川省の陵(フーリン)で栽培されはじめ、農民がザーサイを使って漬物を作ったことがきっかけで1930年頃より四川省陵の特産品としてザーサイの漬物が流通するようになりました。
ザーサイが流通されはじめた当初は中国の四川省でしか栽培できない特産品とされていましたが、からし菜の変種であると判明して以降、四川省以外でも栽培されています。日本でも茨城県のつくば市や神奈川県の三浦市などで商業生産されていますが、販売されているザーサイの漬物の多くは中国産です。
本場四川省で生産されるザーサイの漬物は、茴香(ウイキョウ)や肉桂(シナモン)、山椒、唐辛子などの香辛料と一緒にかめに入れて漬け込んだもので、重石をのせて塩水を搾るという製造工程に由来して「搾菜」と呼ばれるようになったといわれています。
現在では香辛料を入れずに塩漬けにし一度塩水を搾って味付けをしたものもあり、塩漬けにしたものを「搾菜」、香辛料を入れて塩漬けしたものを「四川搾菜」と区別しています。
メンマは、イネ目イネ科マチク属の植物で、たけのこの一種である「麻竹(マチク)」を乳酸発酵させた台湾発祥の食べ物です。
見た目がザーサイの漬物と同じく茶色で似ているため混合されがちですが、異なる野菜を使った食べ物です。ザーサイはコリコリとした食感が特徴であるのに対して、メンマは繊維が多くシャキシャキとした食感が特徴です。
メンマはラーメンなどのトッピングとして使われることが多く、ラーメンの「メン」と麻竹の「麻」を合わせて「メンマ」と呼ばれるようになったといわれています。漢字では「麺麻」と表記します。
また、メンマは「シナチク」ともいわれます。第二次世界大戦前後の日本では中国のことを「支那(シナ)」と呼んでおり、中国の支那で栽培されたたけのこを原料に作られているということから「支那竹(シナチク)」と読んでいました。現在でもその名残で「シナチク」とよばれることもありますが、「メンマ」とよぶのが一般的です。
ザーサイは漬物にした状態で販売されていることがほとんどです。
一度塩漬けしたものを塩抜きし、味付けをしてから食べやすい大きさにカットして瓶詰にしているものや、細かく刻んで袋詰にしているもの、塩漬けにしたものをそのままパック詰めしたホールタイプのものなど様々あり、販売状態によって扱い方が異なります。
日本で一般的にスーパーで見かけることが多いのは桃屋から発売されている瓶詰の商品です。桃屋のザーサイは四川搾菜を塩抜きしたものに、独自の味付けをして薄切りにして瓶詰めされているので、瓶から取り出してすぐに食べることができます。
一方ホールタイプのザーサイは塩漬けが済んだあとのザーサイをそのままパック詰めしており、塩辛くそのままでは食べることはできません。そのため下処理として塩抜きをする必要があります。
ホールタイプのザーサイを購入した場合の塩抜きの方法を紹介します。
まず、袋からザーサイを取り出してボウルに入れ、2〜3回水を変えながら流水で洗います。洗ったら水気を取って包丁で切ります。4等分に切ってから薄くスライスしていくと良いです。薄さがバラバラだと塩抜き加減にばらつきがでてしまうので、できるだけ均等にスライスしましょう。ザーサイを切ったら、ボウルに入れて軽く洗い、水を張って漬けて塩気を抜いていきます。漬け込む時間はだいたい1時間〜2時間程ですが、ザーサイの厚さなどにより調節してください。味見をしながら良い塩加減になったら、キッチンペーパーなどで包んでしっかりと水気を切って、塩抜き完了です。
ザーサイは塩抜きしないとしょっぱすぎてしまいますし、塩分を取りすぎてしまうためホールタイプのザーサイは塩抜き必須です。しかし、塩抜きしすぎてしまうと味がなくなってしまうので良い塩梅に調節することが重要となります。
万が一、ザーサイを塩抜きしすぎてしまったらごま油で炒めてきんぴらにするなど、風味がよくなる調味料を使って調理をしたり、オイスターソースを使って中華風の炒めものにするなど濃い味付けにすると、美味しく食感を楽しむことができます。
味付けをして瓶詰めしたりパック詰めにして販売されているものは、そのまま食べることができます。お皿に乗せておつまみとして食べたり、ご飯のお供にも最適です。
ホールタイプで購入したザーサイをそのまま食べる場合は、塩抜きした後に醤油やごま油などを使いお好みの味つけにしてから食べます。ホールタイプのザーサイは元々塩気があるので、醤油で味付けをする場合は入れすぎないように注意してください。
刻んだザーサイを薬味として冷奴などに乗せて食べるのも定番です。刻んたザーサイを乗せることで、ピリっとした辛味とコリコリとした食感をプラスすることができるので、食べごたえがでます。
本場中国では中華粥に乗せて食べることが多いですが、ラーメンや冷やし中華などのトッピングにもぴったりです。
ザーサイは、もやしやきゅうりといった野菜やささみなどと一緒にあえて和え物にしても美味しく食べることができます。ザーサイを和え物にすることで、ピリっとした辛味と食感を楽しめる中華風のおかずになります。
ザーサイは、加熱調理をしても独特の食感がしっかりと残ります。そのため、炒めものの具材にもぴったりです。野菜やお肉などさまざまな具材と相性が良いのも嬉しい点です。
炒めものにザーサイを加えるだけで、コリコリとした食感がプラスされて食べごたえがでます。
ザーサイはスープの具材としても使うことができます。
ザーサイをスープに入れると、ザーサイからうま味と塩分が出て良いダシになります。スープに入れる際は、ザーサイに元々塩気があるためひと煮立ちしてから味の調整をするのがポイントです。ザーサイ以外の具材は何でも大丈夫ですが、卵や豆腐などシンプルな具材と合わせるのがおすすめです。
コリコリとした食感が加わり食べごたえもでるため、ダイエット中の方にもおすすめです。
ハンバーグや餃子を作る際の肉ダネに刻んだザーサイを入れると良い隠し味になります。
ハンバーグに入れることで手軽に中華風のハンバーグに味変することができますし、餃子のタネに入れるとより本格的な餃子になります。
中国では、中華まんの肉ダネにザーサイを入れることが多いです。
コリコリとした食感を楽しめるのり巻きの具材といえばかんぴょうですが、ザーサイを使ってもコリコリとした食感を楽しめるのり巻きになります。
ザーサイをのり巻きにしようと思う方はなかなかいないと思いますが、かんぴょうの食感を思い浮かべるとザーサイものり巻も想像がつきやすいのではないでしょうか。ザーサイののり巻きは、一般的なのり巻きを食べるように醤油をつけても美味しいですが、ラー油をつけて食べるのがおすすめです。
ザーサイは天ぷらの具材にもぴったりです。衣のサクサクとした食感とコリコリとした食感がくせになる一品になります。たけのこや竹輪などと一緒に揚げても良いです。
一般的な天ぷらと同じように天つゆをつけて食べても良いですが、もともと塩気があるのでそのまま食べても美味しいです。
ザーサイ(漬物)100gに含まれている栄養素は下記の通りです。
たんぱく質…2.5g
脂質…0.1g
炭水化物…4.6g
食物繊維…4.6g
ビタミンA…12μg
ビタミンE…0.3mg
ビタミンK…24μg
ビタミンB1…0.04mg
ビタミンB2…0.07mg
ナイアシン…0.4mg
ビタミンB6…0.09mg
葉酸…14μg
パントテン酸…0.35mg
ナトリウム…5400mg
カリウム…680mg
カルシウム…140mg
マグネシウム…19mg
リン…67mg
鉄…2.9mg
亜鉛…0.4mg
銅…0.10mg
マンガン…0.34mg
食塩相当量…13.7g
ザーサイは、三大栄養素といわれるたんぱく質・脂質・炭水化物の他にも、ビタミンB1 ・B6などのビタミンB群やカリウムや、マグネシウム、鉄などのミネラル類も含まれています。
ザーサイ(漬物)100gのカロリーは20kcalで、糖質量(炭水化物から食物繊維を引いた値)は0gです。低カロリーで糖質を含まないザーサイはダイエット中の方でも安心して食べることができます。
ただし、ザーサイの漬物は塩漬けしているため、塩分を多く含みます。食べ過ぎるとむくんでしまったり、高血圧になりやすいです。特に妊娠中の場合は塩分代謝機能が落ちているため、摂取しすぎないようにしましょう。
出典:厚生労働省日本食品標準成分表2020年版(八訂)
食物繊維には整腸作用があるため、腸内の環境を整えることで便秘を解消したり予防に繋がるといわれています。また、食物繊維を摂取することで糖やコレステロールの吸収速度を緩める効果が期待できます。ただし、人によっては反対にお腹の調子が悪くなってしまう人もいるので注意しましょう。
ビタミンB群(B1・B6)には、糖質を燃やしてエネルギーに変える働きがあります。ビタミンB6には、アミノ酸の分解・吸収をサポートする他、女性ホルモンのバランスを整える作用があるといわれています。
その他、ビタミン類には皮膚をすこやかに保つのを助けるため美肌効果が期待できます。
カリウムとカルシウム、鉄は人体に必要なミネラルの一つです。
カリウムは、体内のナトリウムを排出し摂り過ぎた塩分の調整する働きがあり塩分の摂り過ぎによる むくみを解消する効果が期待できます。
カルシウムは健康な骨や歯を保つのに大切な役割を果たしており、骨粗しょう症予防などに効果があるといわれています。
鉄分は全身に酸素を運ぶヘモグロビンとして不可欠な栄養素であり、集中力の低下や、頭痛、食欲不振、筋力低下や疲労感、貧血予防に繋がります。
ザーサイはお漬物にした状態であれば、イオンや西友などの一般的なスーパーやセブンイレブンなどのコンビニの一部店舗、輸入商品を多く取り扱うカルディなどで購入することができます。
一般的なスーパーで多く取り扱っているのは、上述したように桃屋が製造・販売している瓶入りのザーサイです。なめたけなどの瓶入り商品と同じ棚に陳列されていることが多いです。
桃屋のザーサイは100g289円〜300円程で販売されています。
業務スーパーでは瓶詰めだけではなく、刻んで袋詰にしているものやホールタイプのものも取り扱っており、ホールタイプ1kg200円前後で購入することができます。
Amazonや楽天などのネット通販では、漬物にしていない生のザーサイを購入することもできます。
生のザーサイは漬物にするのはもちろんのこと、スライスにしたものをごま油やお好みの調味料で味付けして食べたり、サラダにして食べることができます。
自分好みの味付けで楽しみたい方は、ネット通販の利用がおすすめです。
生の状態のザーサイを購入した際のザーサイの漬物の作り方を紹介します。
生ザーサイ…1/2個
塩…小さじ1/2
唐辛子の輪切り…お好みで
漬け物にしたザーサイはそのままでも食べることができますが、ごま油や醤油で味付けをしても美味しく食べることができます。
ザーサイの賞味期限は製造メーカーによって異なりますが、瓶詰めや袋詰されたものは製造日から数週間、長いものでは1年程です。記載されている賞味期限を目安に、開封をしたら早めに食べ切るようにしましょう。
基本的に未開封の場合であれば直射日光が当たる場所や高温多湿の場所を避けた冷暗所で常温保存することができますが、開封をしたら冷蔵庫で保存します。瓶詰めの場合はそのまましっかりと蓋をしめ、袋詰の場合は密閉できる容器に移し替えて冷蔵庫に入れます。
小分けにしてラップに包み、保存袋に入れて冷凍庫で保存することもできます。冷凍保存だと1ヶ月程もちます。特にホールタイプで販売されているものは量が多いですので、塩抜きをしたら小分けにして冷凍保存しておくのがおすすめです。
冷凍保存したザーサイは冷蔵庫に移して自然解凍して使います。炒めものにする場合などはそのまま使うことも可能です。
ターサイは、ザーサイと同じくアブラナ科アブラナ属の植物です。
ザーサイと名前が似ていますが、ザーサイはからし菜の変種、ターサイはパクチョイの変種という違いがあり見た目も大きく異なります。ターサイは小松菜のような見た目をしています。
漢字では「塌菜」と表記します。「塌」には、中国語で「押しつぶしたような」という意味があり、地を這うように葉を広げる姿に由来して「塌菜(ターサイ)」と呼ばれるようになったといわれています。ターサイの旬は2月ごろで、霜が降りる頃に甘味を増した状態で収穫されるため、日本では「キサラギナ(如月菜)」ともいわれます。
若干の苦味と甘味があり癖がないことから、炒め物や煮物、スープに調理をするだけではなく、浅漬けや和え物、お浸しにして食べることも多いです。
アーサイもザーサイと同じくアブラナの一種であり、からし菜の変種です。
ザーサイと見た目も似ていますが、ザーサイと比較して小ぶりです。ザーサイは基本的に茎の部分を食用にしますが、アーサイは葉っぱの部分も食用になり、まるごと天ぷらにして食べたりすることができます。
漢字では「児菜」と表記します。大きく膨らんだ株からたくさん脇芽が出てくる様子に由来して「児菜」と呼ばれるようになったといわれています。日本では「子持ち高菜」とも呼ばれます。
アーサイの旬は1月から3月頃です。ザーサイと同じく加熱してもコリコリとした食感が残り、心地よい歯ごたえを楽しむことができる他、加熱することで甘さが増すといわれています。
高菜もザーサイと同じくアブラナ科の植物で、からし菜の変種ですが、見た目が大きく異なります。
高菜は小松菜に似た株を形成し、20cm〜大きいものでは1mにもなります。外側の葉は深い緑色をしていて固めですが、内側の葉は茎も葉もやわらかく生でたべることができます。花茎がのびてくるころになるとピリッとした辛味が出てきます。
高菜の原産地は中央アジアで、平安時代の日本に伝来していたといわれています。現在日本では福岡県などで生産されており、国産の高菜も多く販売されています。
高菜は主に漬け物にして食べるのが一般的で、野沢菜や広島菜と共に日本三大漬け菜として知られています。高菜の漬物は、そのままつまみや付け合せとして食べることができますが、高菜チャーハンなどに調理して食べることも多いです。
からし菜もザーサイと同じくアブラナ科の植物で、上述したようにザーサイはからし菜の変種です。
ザーサイとは見た目が大きく異なり、形は小松菜と似ています。大根の葉のようにギザギザとしてい柔らかい葉の部分を中心に食用となります。
漢字では「辛子菜」と表記します。その名の通りピリっとした辛味があるのが特徴で、葉茎は油炒めやおひたし、漬物などに利用される他、おでんなどに添えられる「和からし」の原料にもなります。
からし菜は春が旬で、主に2月〜3月頃に市場に出回ります。日本では北海道や東北地方、関東地方などで栽培されています。
チンゲン菜もザーサイと同じく同じアブラナ科の植物です。
チンゲン菜は白菜の仲間で、ザーサイとは見た目が大きく異なります。軸の下の方が厚みがあってしっかりしていて、肉厚の葉柄がきつく重なり合って、葉は丸みを帯びています。
中国語では「青菜」や「上海白菜」「蘇州青」「青江菜」など様々な表記がありますが、日本では漢字で「青梗菜」または「青梗白菜」と表記します。
チンゲン菜の旬は10月〜4月です。
チンゲン菜の味は淡泊でアクが少なく、加熱しても煮崩れしません。炒め物やスープ、煮込み料理、お浸し、和え物にして食べることが多いです。茎の部分はシャキシャキとした食感を楽しむことができますが、分厚く火が通りにくいため、炒めものにする際は葉と茎をわけて調理をすることが多いです。
山くらげはレタス科の植物で、茎レタスの仲間に分類されます。「ステムレタス」や「アスパラガスレタス」とも言われ、ザーサイといえばザーサイの漬物を指すことが多いように、山くらげも干して乾燥させたものを指します。
山くらげもザーサイと同じく中国が原産の野菜です。「山くらげ」と呼ばれるようになった由来には諸説ありますが、歯ごたえがクラゲの食感に似ていることから「山クラゲ」と呼ばれるようになったなどといわれています。
山くらげの旬は種を蒔く時期により6月〜7月と、11月中旬〜12月中旬の2回あります。日本で販売されている山くらげの多くは中国産のものですが、埼玉県や青森県、山形県などでも栽培されています。
山くらげは乾燥させた状態で販売されているため、調理をする際は水に漬けたりお湯で茹でたりして戻す必要があります。下処理をした山くらげは和え物にして食べることが多いです。
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