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梨の保存方法と期間。常温はNG?切った後は砂糖水が長持ち?

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梨の保存方法と期間。常温はNG?切った後は砂糖水が長持ち?

梨は大別すると和梨と洋梨に分けることができます。日本の梨(和梨)は収穫後に追熟しない果物なので、常温保存するからといって甘さが増すことはありません。梨自体、あまり日持ちしない果物ですので、購入後はできるだけ早く食べ切るのが理想です。保存する場合は、冷凍保存がおすすめです。この記事では梨の保存方法と保存期間を詳しく解説していきます。

梨の保存のポイント

和梨は追熟できないので常温保存のメリットなし

ラ・フランスなどの洋梨は収穫後に追熟しますが、日本の梨(和梨)は追熟しません。したがって、和梨は常温保存するメリットがありません。和梨はあまり日持ちしない果物なので、長期保存したい場合は冷凍保存がおすすめです。

30℃以下の高温で常温保存すると、新水などの品種では黒変現象という生理障害が起き、外観を著しく損ねてしまうので注意が必要です。

ちなみに、洋梨の追熟の適温は15〜21℃、湿度80〜85%といわれています。1〜2週間ほどで追熟し、甘みが増します。

品種によって保存期間が異なる

和梨には様々な品種があり、品種によって保存できる期間が異なります。

最も一般的な品種である幸水(こうすい)や豊水(ほうすい)は冷蔵で1週間ほどしか日持ちしませんが、南水(なんすい)や新高(にいたか)、新興(しんこう)などの品種は冷蔵保存で1ヶ月ほど日持ちします。さらに日持ちする品種が晩三吉(ばんさんきち)。うまく保存すれは3ヶ月〜半年と長期間保存することが可能です。

購入時にしっかりと品種を確認し、賞味期限を把握することが大切です。

エチレンガスに注意

梨に限りませんが、野菜や果物を保存するとき、エチレンガスを放出する食材に要注意です。

野菜や果物はエチレンという植物ホルモンによって生長し熟しますが、収穫後もエチレンによるガスを放出します。エチレンガスをよく出す果物は梨やりんご、メロン、バナナなどです。野菜だとブロッコリーがダントツです。

梨をそのまま置いておくと、他の野菜や果物が梨のエチレンガスを吸って傷みが早くなってしまいます。そのため、ポリ袋や容器で密閉することが大変重要です。

新鮮な梨の見分け方

当たり前ですが、新鮮な梨を購入する方が、鮮度や美味しさをキープすることができます。新鮮な梨には下記のような特徴があります。

  • ハリがあり締まっている

  • ずっしりとした重みがある

  • 肩が張っているようなふくらみ(枝つき側)

  • お尻がふっくらと豊か

  • 大きめのもの

  • 軸が太い

梨の保存方法と期間【常温】

ネットのまま冷暗所で(3〜4日)

梨はネットに入ったまま風通しのよい冷暗所で常温保存する

和梨は洋梨と異なり、常温保存しても追熟はしませんが、常温保存をすること自体は可能です。ただし乾燥しやすいため、常温保存した梨は3〜4日を目安に早めに食べるようにしましょう。

購入時に入っているネットのまま、かごなどに入れて風通しのよい冷暗所で保存します。室温が高くなる季節は常温以外の方法がおすすめです。

切った梨は常温保存に向きません。常温以外の方法で保存しましょう。

梨の保存方法と期間【冷蔵】

なしの冷蔵保存の最適温度は−1℃、湿度は85〜90%です。梨は冷蔵保存すると約1週間ほど日持ちします。丸ごと1個で保存する場合と、カットして保存する場合で保存方法が異なりますので、それぞれ詳しく解説します。

丸ごと(1週間)

梨を丸ごとキッチンペーパーで包みポリ袋に入れて冷蔵保存する

梨を丸ごと冷蔵保存する場合は、キッチンペーパーで包んで、ヘタ側が下になるようにポリ袋に入れます。

ヘタを下にする理由はいくつかあります。

  • ヘタを下にすることで、呼吸が抑えられて鮮度の劣化が緩やかになる

  • 梨はお尻の方が甘みので、逆さにすることで糖分がまんべんなく行き渡る

  • ヘタを下にすることで乾燥しづらくなり水分が抜けにくくなる

キッチンペーパーで包んだ後にさらにラップで包んでからポリ袋に入れると、乾燥を防ぐことができるので◎。

カット(3〜4日)

カットした梨は切り口をラップで包みポリ袋に入れて冷蔵保存する

使いかけの梨やカットした梨は、ラップに包んでポリ袋に入れて保存します。

ラップに包む前に、砂糖水や塩水、レモン水などに5分ほど浸けると、変色を防ぐことができます。砂糖水の場合は、200ccの水に対して砂糖10g(大さじ1強)を加えます。

水けをしっかりととってラップでぴったりと包み、ポリ袋に入れ軽く口を閉じて冷蔵庫で保存します。

丸ごと保存した梨よりも傷むのが早いので、3〜4日を目安になるべく早めに食べきるようにしましょう。

梨の保存方法と期間【冷凍】

梨は冷凍保存することでより甘みが増すといわれています。丸ごと冷凍する方法もありますが、凍るまでに時間がかかったり、解凍後の食感が悪くなりやすいので、カットしたりすりおろしてから冷凍保存するのがおすすめです。冷蔵したなしは1ヶ月ほど日持ちします。

生の梨の食感は失われてしまいますが、シャーベットやコンポート風の食感を楽しむことができます。

カット(1ヶ月)

くし形に切った梨を冷凍用保存袋に入れて冷凍する

梨の皮と芯を取り、くし形切りなど食べやすい大きさに切ります。200ccの水に対して、砂糖10g(大さじ1杯強)の砂糖水に5分程度浸け、キッチンペーパーで水けをしっかりと拭き取ってから冷凍用保存袋に重ならないように平らに並べます。

金属製のトレーにのせて冷凍室へ。急速冷凍することが可能です。

食べるときは自然解凍して

シャーベット風

冷凍した梨を半解凍すればシャーベットのような食感になる

冷凍した梨を解凍すると、水分が出すぎてしまい食感が悪くなりやすいので、半解凍の状態で食べるのがおすすめです。

冷凍室から梨を取り出し、15分ほど常温に置いておくとシャーベットのような食感になります。夏場はもっと早く解凍されるので、5分ごとに様子を見て解凍するようにしましょう。

コンポート風

常温で30分ほど置いた梨はコンポートのような柔らかい食感になる

常温で30分ほど置くと、コンポートのような食感に。お好みの食感に合わせて解凍時間を調整しましょう。

こちらも夏場はもっと早く解凍されるので、5分ごとに様子を見て解凍するようにしましょう。

すりおろして(1ヶ月)

梨はすりおろしてから冷凍保存することもできる

梨をすりおろしてから冷凍するのも◎。ドレッシングやジュースなどで食べると美味しいです。ヨーグルトなどにまぜて食べても美味しく召し上がることができます。

皮を剥いた梨をおろし器ですりおろし、冷凍用保存袋に平らになるように流し入れ、空気を抜いて密封します。

前日に冷蔵庫に移して解凍するか、常温での解凍がおすすめです。

梨の保存方法と期間【漬物】

梨は砂糖に漬けて保存することもできます。そうすることで、食材を酸素から遮断し酸化を防ぎ、微生物の繁殖も防ぎます。梨の漬け保存は、冷蔵で2週間ほど日持ちします。

砂糖漬け(冷蔵で2週間)

くし形に切った梨に砂糖をまぶして冷蔵保存すれは2週間ほど日持ちする

皮と芯を取り除いた梨をくし形切りにし、キッチンペーパーで水けを拭き取ります。密閉容器に入れてんさい糖(適量)をまんべんなく入れます。冷蔵庫で保存し、1日1回は軽く容器を振って砂糖と梨がしっかりと絡むようにしましょう。

ジャム(冷蔵で1〜2ヶ月)

梨でジャムを作って冷蔵保存すれば1〜2ヶ月ほど冷蔵保存することができる

ジャムにして保存するのもおすすめです。

皮を剥き、軸を取り除いた梨2個をすりおろし鍋に入れ、レモン汁大さじ1とてんさい糖大さじ3も鍋に加えます。とろみがでるまで弱火でじっくり煮詰め、粗熱が取れたら保存用の瓶に移し替えます。

パンに塗ったり、ヨーグルトなどにのせて食べると美味しいですよ。

梨の保存方法と期間【乾燥】

梨は乾燥させてから保存することもできます。乾燥させることで栄養が凝縮し旨みが増します。完全に乾燥したら密封容器に入れて常温または冷蔵で保存します。乾燥させた梨は常温または冷蔵で約2週間ほど保存できます。

ヨーグルトやアイス、サラダのトッピングなどにおすすめです。ヨーグルトに7〜8時間ほど浸けて置けば、ヨーグルトの水分で戻すこともできます。

天日干し(常温・冷蔵で2週間)

薄くくし形に切った梨をザルに広げて天日干しする

乾燥方法で一番おすすめなのは天日干しです。薄くくし形切りにした梨を砂糖水(200ccの水に対し砂糖大さじ1強)に5分浸けて変色を防ぎます。キッチンペーパーで水けを拭き取り、重ならないようにザルに並べて2日ほど天日干しにします。太陽が沈む夜は室内に移動させましょう。

天日干しする時間帯は、晴天の午前10時から午後3時までの間が最適です。

オーブン(常温・冷蔵で2週間)

オーブンを使って梨の水分を飛ばすことも可能

オーブンを使うと、短時間で乾燥させることができます。天板の上にクッキングシートを敷き、薄くくし形切りにし砂糖水に浸けた梨を並べ、100〜110℃の低温で20〜30分ゆっくり加熱します。乾燥が足りなければさらに加熱します。

乾燥が足りないようであれば、さらに加熱しましょう。

電子レンジ(常温・冷蔵で2週間)

電子レンジを使えば短時間でなしの水分を飛ばして乾燥させることができる

レンジで乾燥させる方法はもっと簡単。薄いくし形に切り砂糖水に浸けた梨をキッチンペーパーを敷いた耐熱皿の上に並べて、600Wで5〜8分程度加熱します。

電子レンジは時短で便利ですが、焦げる場合があるので、こまめに確認しながら乾燥させましょう。