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トルティーヤとは?原料は?タコス・ブリトーとの違いは?

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トルティーヤとは?原料は?タコス・ブリトーとの違いは?

トルティーヤはトウモロコシをすりつぶした粉を原料に作る薄焼きパンです。本記事ではトルティーヤの原料や一般的な作り方、トルティーヤを使った料理、栄養素などを詳しく解説します。

トルティーヤの原料

トルティーヤは、トウモロコシをすりつぶした粉を原料に作るメキシコの伝統的な薄焼きパンです。

本来は「マサ」と呼ばれるトルティーヤ専用の粉を原料に作られますが、近年では同じトウモロコシ粉末であるコーンフラワーやコーンミールを使用することが多いです。しかし、生地として粘り気のある質感を得ることができないため、グルテンが含まれている小麦粉を加えることで質感を得ていることが多いです。

また、現在では小麦粉のみを使用して作ることもあり、トウモロコシで作ったものを「corn tortilla(コーントルティーヤ)」、小麦粉で作ったものを「flour tortilla(フラワートルティーヤ)」と区別します。

スペインの卵料理「トルティーリャ」と見た目が似ていることから「トルティーヤ」と呼ばれるようになったといわれています。

トルティーヤはそのまま食べることもできますが、チリソースをつけたり野菜やお肉などを巻いて食べることが多いです。そのためトルティーヤを野菜やお肉を巻いた料理名だと思っている方も多いですが、トルティーヤはあくまでも生地の部分のみを指します。

トルティーヤの一般的な作り方

トルティーヤはコーンフラワー、薄力粉、または強力粉を使って作ることができ、生地を薄く成形し発酵させずに焼くという特徴があります。自宅でも作れるトルティーヤの作り方を紹介します。

材料(一人分)

  • コーンフラワー…50g

  • 強力粉…20g

  • 塩…ひとつまみ

  • サラダ油またはオリーブオイル…大さじ1

  • 熱湯…60g

作り方

  1. ボウルにコーンフラワーと強力粉、塩を入れてよく混ぜる。
  2. サラダ油と熱湯を加えてよく混ぜて、まとまってきたら手で捏ねる。
  3. 生地がしっとりしたらひとまとめにして丸め、ラップをかぶせて10分程休まる。
  4. 直径約14.5〜15cmの大きさに薄く伸ばす。
  5. 中強火のフライパンで、両面に軽く焦げ色が付くまで焼く。

まず、ボウルにコーンフラワーと強力粉、塩をいれてよく混ぜます。よく混ざったら、サラダ油またはオリーブオイルと熱湯を加えて混ぜ、ある程度粒がまとまってきたら手で捏ねます。生地がしっとりしたらひとまとめにして丸め、ラップをかぶせて休ませます。10分程度休ませたら生地を直径約14.5〜15cmの大きさに薄く伸ばします。伸ばしすぎてしまうと破けやすくなってしまうので注意してください。生地を薄くのばしたらフライパンで軽く焦げ色がつくまで焼きます。焼いている間に生地が大きく膨らんでしまったら、ひっくり返すかフライパンから一度取り出したほうが良いです。そのまま焼いてしまうと膨らんだ部分が破れてしまう原因になります。

コーンフラワーは製菓材料専門店などで購入することができますが、近くに購入できる店舗がない場合は薄力粉などの小麦粉で代用可能です。

トルティーヤを使った料理

上述したように、トルティーヤは様々な料理に使われます。

タコス

タコスは、トルティーヤに具材をのせて二つ折りにしたメキシコの国民食とも呼べるほどメジャーな料理です。

軽食を意味するスペイン語「taco」に由来して「タコス」と呼ばれるようになったといわれています。魚介類のタコを意味するわけではありません。

タコスは鉄板で焼いたトルティーヤに具を盛り、好みでライムの絞り汁やサルサをかけて食べます。使われる具材は牛肉などの肉類や海老や白身魚などの魚介類、野菜などです。

サルサは、細かく刻んだトマトやタマネギ、チリから作られる辛いソースです。サルサ以外にもアボガドを使ったワカモレとよばれるソースなど様々な種類があり、具材や味付けは地域や好みによって異なります。

ブリトー

ブリトーは、トルティーヤに具材をのせて巻いたメキシコ料理です。

地域によっては「ブリート」や「ブリータ」、「タコ・デ・アリナ」と呼ばれることもあります。

「ブリトー」の由来は諸説あり、見た目がロバの耳やロバの背中に積んでいる荷物の形に似ているといったことからスペイン語で「小さなロバ」を意味する「ブリトー」と呼ばれるようになったといわれています。

ブリトーもタコス同様に使われる具材やソース地域や好みによって異なります。例えば、メキシコでは牛肉のバーベキューとソーセージのチリトマト煮など比較的ボリュームのあるものが好まれます。アメリカ南西部ではスクランブルエッグやポテト、ベーコン、チーズなどが好まれます。日本では、セブンイレブンなどでハムとチーズを巻いたものやテリヤキチキンを巻いたブリトーが一般的に販売されています。

エンチラーダ

エンチラーダは、フィリングと呼ばれる具材をトルティーヤに詰めてトマトと唐辛子のソースをかけたメキシコ料理です。

「エンチラーダス」や「インチラーダ」、「インチラーダス」といわれることもあります。

エンチラーダは、スペイン語で「唐辛子を加える」という意味がある「enchilar」の動詞の過去分詞です。

フィリングには鶏肉などの肉類や魚介、チーズ、ジャガイモなどの野菜、またはこれらを組み合わて使われます。トッピングや付け合わせにはチーズやサワークリーム、レタス、オリーブ、刻みタマネギ、唐辛子、コリアンダーなどが使われ、タコスやブリトーなどと同様に地域や好みによって異なります。

チミチャンガ

チミチャンガはトルティーヤに具材を包み丸揚げにしたメキシコ料理で、マーベル・コッミクのヒーロー「デットプール」の大好物としても知られています。

チミチャンガの発祥や名前の由来には諸説ありますが、ブリトーを揚げ油の中に偶然落としたときに出来上がったものがチミチャンガで、スペイン語で罵る意味のある「chingada!」と発する代わりに「名無し」を意味する「chimichanga!」と叫んだことが由来で「チミチャンガ」といわれるようになったなどといわれています。

チミチャンガはブリトーを揚げたものなので、ブリトー同様に具材には様々なものが使われます。一般的には米やチーズ、マチャカ(牛か豚の乾燥肉)、アドバーダ(マリネ)または細切りにした鶏肉を包んで揚げて、サルサやワカモレ、サワークリーム、チーズ等を添えて食べます。

ケサディージャ(ケサディーヤ)

ケサディージャはトルティーヤとチーズを使ったサンドイッチのようなメキシコ料理で、メキシコではタコスとならんで一般的に食べられています。

ケサディーヤは「Quesada (ケサーダ)」が語源となっています。スペイン語で「Queso 」はチーズを表し、単語の語尾に「ーada (アーダ)」がつくと「〜を含む」または「〜が詰まったもの」という意味になります。つまり、「ケサディージャ」には「チーズが含まれた料理」という意味があります。

主な具材はチーズで、伝統的には「オアハカチーズ」が使われることが多いです。チーズ以外に肉類・豆類・香辛料などを具材にすることもあります。

ナチョス

ナチョスは、トルティーヤを小さく切り揚げたトルティーヤチップスにチェダーチーズとひき肉・ハラペーニョなどをトッピングしたメキシコ料理です。

「ナチョ」や「ナーチョ」といわれることもあります。

メキシコにあるレストランでウエイター長をしていた男性が、手早く揚げたトルティーヤチップスにチェダーチーズをトッピングしてお客様に提供したことがナチョスのはじまりで、ウエイター長をしていた男性の愛称「ナチョ」に由来して「ナチョス」とよばれるようになったといわれています。

家庭で作られる場合は、耐熱皿または天板にトルティーヤチップスを敷きつめ、その上をおろしたチェダーチーズまたはモンテレージャックチーズをかけてひき肉などのトッピングを加え、オーブンか電子レンジでチーズが溶けるまで加熱して作ります。レストランでは、チーズソースまたはチリコンケソを小さなカップに入れてトルティーヤチップスとは別に提供することもあります。

トルティーヤの栄養素・カロリー

トルティーヤ(コーントルティーヤ)100gに含まれる栄養素は下記の通りです。

  • たんぱく質…4.5g

  • 脂質…7.7g

  • 炭水化物…46.91g

  • 食物繊維…1.3g

  • ビタミンA…3.38μg

  • ビタミンB…0.97g

  • ビタミンB1… 0.07mg

  • ビタミンK…10.74μg

  • ナイアシン…0.63mg

  • ビタミンB6…0.07mg

  • 葉酸…5.58μg

  • パントテン酸…0.26mg

  • ビオチン…0.37μg

  • ナトリウム…435.87mg

  • カリウム…99.85mg

  • カルシウム…8.29mg

  • マグネシウム…13.46mg

  • リン…49.37mg

  • 鉄…0.37mg

  • 亜鉛…0.26mg

  • 銅…0.07mg

メキシコや中米諸国ではご飯やパンのように主食として食べることが多いトルティーヤには、三大栄養素といわれるたんぱく質・脂質・炭水化物が多く含まれています。またその他にもビタミンAなどのビタミン類やナトリウムなどのミネラル類も豊富に含まれています。

トルティーヤ100gあたりのカロリーは286kcalで、糖質量(炭水化物から食物繊維を引いた値)は45.61gです。一枚あたり77kcal12gほどです。一枚あたりのカロリーはそれほど高くなく糖質量も多くありませんが、タコスにしたりブリトーにするとカロリーや糖質量は多くなります。ブリトーやタコスにする場合はダイエット中の方は具材を選ぶと良いでしょう。また、玄米粉やオートミールなどを使って作るとカロリーや糖質量を抑えることができるのでおすすめです。

トルティーヤはどこで買える?

トルティーヤは、イオンや業務スーパー、西友、成城石井などのスーパーをはじめ輸入商品を多く取り扱うカルディやコストコでも購入することができます。ただし、必ず取り扱っているというわけではないので店舗に確認してみてください。

Amazonや楽天などのネット通販でも購入可能なので、近くに取り扱っている店舗がないという方はネット通販の利用がおすすめです。

値段は製造メーカーによっても異なりますが、例えばイオンでは5枚213円で販売しています。業務スーパーでは小麦ブラン(ふすま粉)を混ぜこんで作られたトルティーヤが12枚213円で購入することができます。

トルティーヤの賞味期限・保存方法

市販のトルティーヤの賞味期限は製造メーカーによって異なりますが、製造日から2〜3日、冷凍保存で販売されている場合は半年〜1年程です。ただし、記載されているのは未開封である場合や正しく保存されている状態での賞味期限であるため、開封をしたらできるだけ早めに使い切りましょう。

市販のトルティーヤは未開封の場合は2〜3日であれば直射日光の当たる場所や高温多湿の場所を避けた冷暗所で常温保存することが可能です。開封をしたら一枚一枚ラップに包んで密閉できる保存袋に入れ、冷蔵保存で2~3日保存することができます。

トルティーヤは乾燥しやすいため、自家製の場合もすぐに食べきれない場合は一枚一枚ラップに包んでから密閉できる保存袋に入れて冷蔵庫で保存することが重要です。自家製のトルティーヤを冷凍保存する場合は、2〜3週間を目安に食べきるのが望ましいです。食べるときは自然解凍して食べます。

自家製の場合は、生地を伸ばした焼く前の状態で冷凍保存しておくこともできます。この場合は、解凍が不十分な状態だと生地と生地がくっついて破れやすくなってしまうので注意が必要です。冷蔵庫で半解凍の状態になったトルティーヤに、ナイフを入れてはがすようにすると破れることを防ぐことができます。

トルティーヤに似た生地・料理

ナン

ナンはインドや中近東で食べられている平たく焼いたパンです。

もともととうもろこしをすり潰した粉を平たく成形して焼くルティーヤとは異なり、小麦粉に卵・バターなどを練り込んで発酵させてから、タンドールと呼ばれるかまどの内壁に張りつけて焼きます。日本ではしずくのような形に成形していることが多いですが、丸や三角の形など国や地域によって形が異なります。

「ナン」には、ペルシャ語で「パン」という意味があります。元々インドでは原料である小麦粉は高級食材で宮廷料理として食べられていました。日本では一般的にカレーと一緒にナンを食べますが、本場では高級品であったという名残から「レストランで食べるもの」として日常的に食べているわけではないそうです。

チャパティ

チャパティは、アーターとよばれる全粒小麦粉を水とギー(バター)だけで練った後、円型に平たく伸ばし、熱した鉄板かタンドールで焼き上げたパンです。

生地を平たく伸ばして発酵させずに焼くという点でトルティーヤと同じですが、トルティーヤはとうもろこしをすりつぶした粉を原料に作られるので原料が異なります。

チャパティは北部インドを中心に広範な地域で主食として食べられていて、インドでは自宅でカレーを食べる際にはナンではなくチャパティを一緒に食べます。間にギーを塗りパイのように層をつくって焼いた「パラーター」やチャパティを揚げた「プーリー」など、チャパティを使った料理は様々あります。

ケバブ

ケバブは、調味料やスパイスで下味をつけた肉や魚、野菜などを焼いたトルコ料理の一種です。

ケバブは肉料理のことであり、トルティーヤのように生地の名前ではありません。

ケバブにはシシドケバブやドネルケバブなど様々な種類があり、中でも縦型式回転グリルに味付けした肉を刺して焼くドネルケバブは、サラダと一緒にピタパンに挟んで提供されることが多いため、トルティーヤと混合されることが多いですが、ピタパンとトルティーヤは異なるものです。

ピタパンは、古代エジプトのパンの直系にあたる平焼きパンです。「ピタ」にはヘブライ語で「アラブのパン」という意味があります。300℃近くの高温で一気に焼くため、大きく膨らみ焼き上がると中が空洞になるという特徴があります。半分に切るとポケット状になるため、野菜やお肉を挟んで食べることができます。

トルティージャ

トルティージャは、オムレツのようなスペインの卵料理です。

日本では「スペイン風オムレツ」といわれることが多く、トルティーヤとトルティージャは名前が似ているだけで全くの別物です。

中南米では、スペインのトルティージャは「tortilla española(スペイン風トルティージャ)」や、「torta(トルタ)」と呼ばれることもあります。「トルタ」は洋菓子の「タルト」の語源でもある古代ローマ時代の円形の菓子のことで、トルタが語源となって「トルティージャ」といわれるようになったといわれています。

トルティージャは溶いた鶏卵に塩を加え、炒めたじゃがいもやタマネギ、ベーコンなどの具材とともに丸く焼きます。その他にもほうれん草や生ハムなどが使われることもあります。

一般的なオムレツのように半月形ですが、半月形にせずトルティージャは丸いフライパンの形状を利用して円形の厚焼きにするという特徴があります。基本的にはピザやケーキのように六等分や八等分などに切り分けて食べます。