サラダ油とオリーブオイルは、どちらも料理を作るときに良く使われる植物油です。本記事ではサラダ油とオリーブオイルの違いを詳しく解説します。
サラダ油は、日清オイリオ(日清オイリオグループ株式会社)が開発した植物油です。
生野菜にドレッシングをかけて食べる習慣があった西洋の食文化を元に「サラダにも使える油」という意味で「日清サラダ油」と名付けられました。英語では「salad oil」や、「植物油」を意味する「vegetable oil」といわれます。
現在、日本では日本農林規格(JAS)の基準を満たした原料を用い成分その他の諸条件を満たしているもの、さらにJAS認定工場で製造されたもののみが「サラダ油」と表示して販売することを許されています。
原料は、綿実・大豆・ごま・サフラワー・ひまわり・とうもろこし・ぶどう・菜種・米です。オリーブや椿油などはJASの規格にないため、原料として使われることはありません。
メーカーによって原料は異なり、2種類以上の植物油を合わせていることもあります。その場合「調合サラダ油」といいます。例えば現在の「日清サラダ油」は、大豆油と菜種油を原料に用いた調合サラダ油です。
出典:
オリーブオイルは、オリーブの果実から抽出した植物油の一種です。
主にイタリアやスペイン、ギリシャなど地中海に面した地域で好んで使われ、これらの地方では単に油といえばオリーブオイルをさすことが多いです。
オリーブは世界に1000種以上あるともいわれており、オリーブの品種や収穫時期によって含まれるオイルの量が異なります。基本的には成熟前の青い実だとオイルの含有量が少なく、成熟が進み色が濃くなるにしたがって、オリーブオイルの含有量は増えます。オリーブオイルの含有量は実の重量(約1~15g)に対して、少ないものだと約9%、多いものでも約30%です。
日本でオリーブを生産しているのは香川県と岡山県で、香川県が95%を占め日本一の生産量です。香川県小豆島で栽培されているものは、主に「ミッション」「マンザニロ」「ネバディロ・ブランコ」「ルッカ」の4種類です。
サラダ油などの植物油は、まず原料に含まれている茎や葉を取り除き精製した後に油分をとりやすくするために加熱したり、破砕、平たく潰すなどの前処理をして、圧搾式製法または抽出法で原料から油を抽出します。
抽出した油は、温水を加えてリン脂質を水和させた後に遠心分離機を使って油と分離し、リン脂質を取り除きます。リン脂質の性状からガム質と呼ばれこの製造工程を「脱ゴム」といいます。脱ゴムを行ったら、遊離脂肪酸や微量金属の一部や色素を取り除き脱臭をします。菜種油などの植物は脱臭を行った後ろ過し、容器に充填して完成しますが、サラダ油はろ過をする前に蝋(ろう)を取り除く「脱ロウ」という工程が入ります。
サラダ油は精製度が高く、低温下でも濁ったり固化することがないという特徴があります。
圧搾式製法は、化学溶剤を使わずに圧力だけで油を抽出します。中でも「玉締め圧搾法」と呼ばれる圧搾式製法は、機械でゆっくりと手間をかけ自然に近いかたちで抽出するため栄養価が非常に高くなります。
抽出製法は、ヘキサンなどの溶剤を溶かして油を抽出します。
圧搾式製法では原料残油が10~20%あり、この残りを採油するために抽出法を併用する圧抽法を使うこともあります。
オリーブオイルは果実から油を抽出するため、菜種油など植物の種子から油を抽出する植物油とは製造方法が異なります。
オリーブオイルは、まずオリーブを収穫したら、不純物が入って風味を損なわないよう傷がついた実や余分な葉・枝を取り除いて洗浄します。洗浄したら石臼や機械で実をすり潰してペースト状にして練り、香りの成分を生み出します。次に油を抽出していきます。抽出方法はメーカーなどにより異なり、主に圧搾式製法、遠心分離法またはパーコレーション法などです。
オリーブから抽出された油をろ過して容器に充填すると「バージンオリーブオイル」が完成します。オリーブオイルは酸度の違いによって「エキストラバージン」「バージン」「オーディナリーバージン」「ランパンテバージン」とグレードが分けられて販売されます。中でも最高級のオリーブオイルは酸度0.8%以下の「エキストラバージンオリーブオイル」です。
さらに、バージンオリーブオイルと精製したオリーブオイル(香りや味のない状態にしたもの)をブレンドすると「ピュアオリーブオイル」になります。
圧搾式製法では、ペースト状にした実をフェルトのマットに挟み、圧力をかけることで固形の植物組織と液体状の油分と水分が分離させます。分離した液体は油と水の比重の違いにより二層に分離し、その上澄みがオリーブオイルとなります。圧搾式製法では油が空気に触れやすいため品質の管理が難しいといわれています。
遠心分離法では、ペースト状にした実を遠心分離機にかけて、油分・水分・実のかすを分けます。空気に触れにくく衛生的であるといわれており、現在は遠心分離法が主流となっています。
パーコレーション法では、遠心分離機にかけて実と果汁に分けたあと、金属のプラスとマイナスの電極を利用して、果汁の中からオイル分だけを金属に引き付けて集めます。無理な圧搾や遠心分離をしないので高品質のオイルを生産できるといわれていますが、手間がかかり効率が悪いといった難点があります。
サラダ油は、黄みがかった白色です。精製の段階を踏むことで意図的に味や臭いを取り、クセのない味に仕上げているため、調理をしたときに食材の味を損なうことがありません。
オリーブオイルの色は緑色です。これは原料であるオリーブに含まれている色素によるものです。
オリーブオイルは、ほとんど香りや風味がしないサラダ油とは異なりオリーブの香りが濃厚なものが多いです。上述したようにグレードによって酸度などが違うためそれぞれ風味が異なります。
サラダ油100gに含まれている栄養成分は下記の通りです。
たんぱく質…0g
脂質…100g
炭水化物…0g
ビタミンE…12.8g
ビタミンK…170μg
オレイン酸…40000mg
リノール酸…34000mg
α-リノレン酸…6800mg
サラダ油には、不飽和脂肪酸の一種でオメガ9(n-9)系脂肪酸に属するオレイン酸と、オメガ6(n-6)系脂肪酸に属するリノール酸、オメガ3(n-3)系脂肪酸に属するα-リノレン酸を豊富に含み、その他にもビタミンEやビタミンKが含まれています。
サラダ油100gのカロリーは921kcalで、糖質量は0gです。油脂ですのでカロリーは高いです。摂取のしすぎは太ってしまう原因になるのでダイエット中の方は注意しましょう。
オリーブオイル(エクストラバージンオイル)100gに含まれている栄養成分は下記の通りです。
たんぱく質…0g
脂質…100g
炭水化物…0g
ビタミンA…15μg
ビタミンE…7.4mg
ビタミンK…42μg
オレイン酸…73000mg
リノール酸…6600mg
α-リノレン酸…600mg
オリーブオイルはサラダ油と比較してオレイン酸やリノール酸を多く含みます。また、オリーブオイルにはポリフェノールが含まれています。ただし、ポリフェノールが豊富に含まれているのはエクストラバージンオイルのみです。酸度の高いオリーブオイルは酸度を下げるために精製する過程で大部分のポリフェノールが失われてしまいます。
オリーブオイル100gのカロリーは921kcalで、糖質量は0gです。オリーブオイルを使って料理をするほうがカロリーが低くなると思う方も多いですが、実はサラダ油と同じカロリー量です。
出典:文部科学省日本食品標準成分表2020年版(八訂)
サラダ油の値段はメーカーによって異なります。例えば一般的にスーパーで置かれていることが多い「日清サラダ油」は400g318円〜330円程で購入することができます。
上述したように原料や製造方法はメーカーによって異なるため、こだわりたいという方はAmazonや楽天などのネット通販の利用がおすすめです。
オリーブオイルの値段は安いもので250mlで500円程、高いものでは3,000円と幅広く、サラダ油と比較して高価です。
特にエキストラバージンオリーブオイルは、高品質でオリーブオイル全体の中の2%程しか製造されないため値段が高いものが多いです。
オリーブオイルも一般的なスーパーで購入することができますが、メーカーによって原料であるオリーブの品種や製造方法などが異なり、それぞれ風味などが異なるためこだわりたい方はAmazonや楽天などのネット通販で購入するのが良いでしょう。
サラダ油とオリーブオイルの用途はほぼ同じです。どちらもドレッシングにしてサラダにかけたり、炒め油・揚げ油として使ったり、焼き菓子を作るときのバターの代用品として使うことができます。
基本的にオリーブオイルはオリーブ独特の香りや風味が強いため、マリネやパスタなど洋食を作るのに適していて、ほとんど香りや風味がないサラダ油は和食・洋食のどちらにも合いますが、和食を作るときに使われることが多いです。
上述したようにサラダ油とオリーブオイルの用途は、ほぼ同じであるためお互いに代用可能です。
ただし、やはりオリーブオイルに強い香りや風味があるといった点で、サラダ油をオリーブオイルで代用することにより料理の味を損ねてしまうことがあります。反対に、アヒージョなどオリーブオイルの風味を生かした料理をサラダ油で代用すると全く違うものになってしまいます。
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