バナナは収穫後に自らが放つエチレンガスによって熟されます。このエチレンガスによってバナナが傷んでしまうことも。また、他の野菜や果物にも影響してしまうこともあります。購入したバナナが未熟な場合は常温でしばらく保存することで食べ頃になります。この記事ではバナナの保存方法と保存期間を詳しくご紹介します。
バナナは熱帯地域で栽培される果物なので、低温が苦手です。保存の最適温度は12〜15℃といわれています。10℃以下の低温で保存すると、低温障害が生じ皮が黒く変色してしまいます。
また、バナナは常温に置くことで追熟しますが、低温保存では追熟が遅くなります。したがって、まだ熟れていない若いバナナは常温にて保存し、食べ頃になった時に冷蔵庫で短時間冷却するのがおすすめです。ただし冷やすと甘みを感じにくくなるため、甘いバナナがお好きな方は常温のバナナを食べるのが◎。
<低温障害で皮が黒くなるメカニズム>
冷蔵庫に入れるとバナナがストレスを感じ、不飽和脂肪酸が大量に増え細胞が破壊されてしまいます。細胞が破壊されることで酵素が活性化し、ポリフェノールが生成されて皮が黒く変色します。
エチレンガスとは、野菜や果物が放つ成熟ホルモンとも呼ばれる成分で、追熟を促進する作用があります。バナナは皮が緑色な未熟なうちに収穫され、自らが放つエチレンガスによって熟した後に市場に出荷されます。
エチレンガスは野菜や果物を追熟させるには効果的な成分ですが、追熟が進むと老化や腐敗へと繋がる危険性も。他の野菜や果物へ悪影響を及ぼさないためには、エチレンガスが漏れないように保存することが大変重要になります。
エチレンガスの栄養を受けやすい野菜や果物には、キウイや柿、マンゴー、すいか、キャベツ、レタス、きゅうりなどがあります。これらの食材と一緒に野菜室に保存する際は、バナナをしっかりと密封してから保存するようにしましょう。具体的な保存方法はこの記事の下部で詳しく解説しています。
バナナは特にヘタの部分からエチレンガスを放出するといわれているため、茎の部分をしっかりとラップで包むことで、他の野菜や果物への影響を最小限に抑えることが可能です。
ちなみに、エチレンガスを多く放出する野菜や果物には、バナナ以外にりんごやアボカド、メロン、梨、桃、ブロッコリーなどがあります。
当たり前ですが、新鮮なバナナを購入する方が、より長く美味しく保存することができます。新鮮なバナナの特徴は下記の通りです。
房の付け根がしっかりしている
全体がまんべんなく黄色く傷や黒ずみがない
弾力がある
バナナは、室温が高くなりすぎない、25℃前後の室内で常温保存するのが基本です。常温での保存では1週間ほど日持ちします。購入時はまだ食べ頃ではないバナナも、常温保存することで甘みが増し完熟バナナに。黒い斑点が皮に出てきたら食べ頃の合図です。
購入したバナナを袋から取り出し、バナナスタンド(バナナラック)に吊るして保存するのが基本です。バナナラックがない場合は、S字フックなどに吊り下げて保存してもOKです。いずれもない場合は、バナナのカーブしている部分を上にして、山型になるように伏せて保存します。仰向けの状態で置いておくと、接触面が多くなり、バナナの重みで下の部分がつぶれ傷んでしまうので置く向きには十分注意しましょう。
直射日光が当たらず、風通しが良い冷暗所で保存します。常温で保存すると、夏は3日前後で、冬は5日前後で追熟が進み食べ頃になります。「シュガースポット」と呼ばれる黒い斑点が皮に出たら完熟のサインです。糖度が増すだけでなく、抗酸化作用があるポリフェノールも倍増します。完熟したバナナは酸化しやすく、また1週間経過するとビタミンCの残存率が33%まで激減してしまうので、すぐに食べるか冷蔵もしくは冷凍保存がおすすめです。
バナナには様々な品種があり、中には完熟してもシュガースポットが出ない品種(モンキーバナナなど)があります。この場合は、皮の青みが取れて全体的に濃い黄色になったら食べ頃です。
購入したバナナがまだ若い場合は、新聞紙にくるんで購入時の袋やポリ袋に入れて常温保存する方法も。自らのエチレンガスで追熟します。袋で密封することで早く追熟させることができるため、すぐに食べたい場合はぜひお試しください。
ただし、食べ頃のバナナを袋に入れっぱなしにしておくと、追熟が進み腐敗してしまいますので要注意です。食べ頃になったら袋から取り出し、冷蔵保存か冷凍保存を行いましょう。
上述した通り、バナナは低温保存することで低温障害を起こしやすくなりますが、黒くなるのは皮のみです。低温で保存することで追熟のスピードが遅くなるので、食べ頃になったバナナは、冷蔵庫に移して保存するようにしましょう。
冷蔵保存したバナナの保存期間の目安は約10日ですが、完熟したバナナはなるべく早く食べるようにしましょう。
上述の通りバナナは低温に弱く、また低温では追熟しにくいため、常温で好みの状態まで追熟させてから、冷蔵保存するようにしましょう。房のまま保存すると、エチレンガスによって追熟が進みやすくなるので、1本ずつ切り離してから保存します。
切り離したバナナを1本ずつラップで包み、ポリ袋にいれ口を閉じます。特に茎の部分はしっかりラップで包むようにしてください。また、エチレンガスが他の野菜や果物に移らないように、ポリ袋の口も閉じるようにしましょう。
ポリ袋に入れたら、温度が低すぎない野菜室で保存します。バナナの状態にもよりますが、10日ほど保存が効きます。低温障害で皮が黒くなっていても、実はきれいなままであることが多いです。皮が黒い=腐っているというわけではないので、すぐに捨てるのではなく皮を剥いて実を確認するようにしましょう。
すぐに食べきれない場合は冷凍保存がおすすめです。冷凍バナナは1ヶ月ほど日持ちします。時間がない時はそのまま丸ごと冷凍するのもOK。事前にカットしておけば、解凍後すぐに使えて便利です。
全解凍すると変色しやわらかくなってしまうので、凍った状態で使うのが基本です。半解凍してそのままシャーベット感覚で食べたり、スムージーなどに使うのもおすすめです。ホットケーキの生地にまぜて使うのも◎。
バナナの皮を剥いて輪切りにし、重ならないように冷凍用保存袋に入れます。空気を抜いて密封し冷凍室へ。金属トレイの上にのせて冷凍すれば、急速冷凍で旨みを閉じ込めることができます。
レモン汁をかければバナナが変色するのを防ぐことができます。バナナ2本に対して小さじ1/2が目安です。
輪切りで冷凍したバナナは、凍ったまま使います。
ペースト状にしてから保存するのも◎。ビニール袋に皮を剥いたバナナとレモン汁(バナナ2本に対し小さじ1/2が目安)を入れ、ビニールの上から手で潰してペースト状にします。ペースト状にしたバナナを小分けにしてラップで平らに包み冷凍用保存袋で保存します。
ペースト状のバナナは解凍するとなめらかな食感です。
バナナは丸ごと冷凍保存するのも◎。皮あり、皮なし両方で保存が可能です。すぐに冷凍したい場合や、バナナの用途が決まっていない時などにおすすめの保存方法です。
皮つきの場合は1本ずつしっかりとラップで包みます。その後、冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。カットしたバナナと比べて凍るのに時間がかかるので、金属トレイの上で急速冷凍するのがおすすめです。
しばらく室温に戻しておけば包丁で切れる程度の固さになります(もしくは30秒ほど水につけるのもOK)。凍った状態でカットし、ドリンクやデザートなどに使用します。
丸ごと冷凍する時は、皮を剥いてから冷凍するのも◎。その場合は1本ずつラップで包み、冷凍用保存袋に入れて保存します。
皮つきと同様にカットしたバナナと比べて凍るのに時間がかかるので、金属トレイの上で急速冷凍しましょう。
バナナは乾燥させることで保存期間が伸びる(常温・冷蔵に比べて)、旨みが増す、などのメリットがあります。密閉容器に入れて常温もしくは冷蔵で1ヶ月ほど保存できます。
乾燥させたバナナはヨーグルトやケーキのトッピングにしたり、ドライフルーツとしてそのまま食べるのもおすすめです。
乾燥方法で一番おすすめなのは天日干しです。バナナの皮を剥いて輪切りにしレモン汁をかけます。ザルの上に重ならないように並べ3日ほど天日干しにします。太陽が沈む夜は室内に移動させましょう。
バナナは甘い香りを放ち、虫が寄ってきやすいので、カバーを被せてから天日干しするとよいです。レモン汁をかけることで、変色を抑えることができます。
天日干しするのは、晴天の午前10時から午後3時までの時間帯がおすすめです。
天日干しができない時はオーブンを使って水分を飛ばしましょう。天板の上にクッキングシートを敷き、輪切りにしたバナナを並べ、100〜110℃で20〜30分加熱します。乾燥が足りなければさらに加熱します。
レンジで乾燥させる方法はもっと簡単です。輪切りにしたバナナをキッチンペーパーを敷いた耐熱皿の上に並べて、600Wで5〜8分程度加熱します。
電子レンジでの乾燥は時短で便利ですが、焦げたり燃えたりする場合があるので、こまめに確認しながら乾燥させましょう。
バナナは砂糖に漬けて保存することで、酸素から遮断し酸化や変色を防ぎ、微生物の繁殖も防ぎます。砂糖漬けにしたバナナは冷蔵で約1ヶ月ほど保存できます。
ジャムとしてパンに塗ったり、ホットケーキやヨーグルト、アイスクリームのトッピングとしても◎。
皮を剥いたバナナ2本を細かく刻みます。鍋に刻んだバナナ、レモン汁小さじ1、てんさい糖大さじ2を入れ、中火で5分ほど煮ます。粗熱が取れたら煮沸消毒した清潔な保存容器に入れ冷蔵庫で保存します。
お好みで塩を少々いれると甘じょっぱい仕上がりになります。シナモンも加えるのも◎。
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