おぼろ豆腐は大豆を原料に作る豆腐の一種です。スーパーなどでも手軽に購入することができるので、口にしたことがある方は多いのではないでしょうか。本記事では、おぼろ豆腐の製造方法やその他の豆腐との違い、食べ方など詳しく解説します。
おぼろ豆腐は大豆を原料に作られる豆腐の一種です。
製造方法はメーカーによっても異なりますが、一般的には大豆を水に浸してすりつぶし水を加えて煮つめた後、汁をこして豆乳にし、豆乳が冷めないうちににがりを加えて完全に固まる前にすくいあげるという方法で製造されています。
豆腐の製造工程において、こした豆乳ににがりを加えて固まるまでの工程を「寄せ」といいます。そのため、おぼろ豆腐は「寄せ豆腐」といわれたり、固まる前にすくい上げることから「汲み上げ豆腐(くみあげどうふ)」、沖縄県では「ゆし豆腐」など、地域によって様々な呼び方があります。
おぼろ豆腐だけではなく、木綿豆腐や絹ごし豆腐などすべての豆腐の製造過程に「寄せ」があるため、「おぼろ豆腐の味の良し悪しは豆腐店の格を表す」といわれています。
おぼろ豆腐は漢字で「朧豆腐」と表記し、「朧」には「物の姿がかすんで、はっきりしないさま」という意味があります。
おぼろ豆腐の完全に固まっておらずほろほろとした見た目を、霧がかかってはっきり見えない「おぼろ月夜」に例えて「おぼろ豆腐」といわれるようになったといわれています。
ちなみに「豆腐」の「腐」は、日本では「くさる」という意味で使われますが、中国では「液状のものが寄り集まって固形状になった柔らかいもの」という意味で使われます。豆乳をこして固形状にした柔らかいものということから「豆腐」といわれるようになり、そのまま日本に伝わったため「豆腐」と表記します。
おぼろ豆腐はしっかりと固まる前にすくい上げているので、木綿豆腐や絹豆腐と比較してやわらかくとろけるような食感が特徴的です。木綿豆腐や絹豆腐とは異なり、製造工程が少なく水分や油分がそのまま残っているため大豆本来の風味や味を楽しむことができます。
豆腐には、おぼろ豆腐の他にも木綿豆腐や絹ごし豆腐など様々な種類があります。どの豆腐も大豆を原料に作られていますが、上述したように「寄せ」以降の製造方法がそれぞれ異なるため、食感や風味などに違いがあります。
木綿豆腐は豆乳を型に入れて豆腐状に凝固させたら、一度くずします。この「崩し」と呼ばれる工程により、豆腐に取り込まれなかった「ゆ」と呼ばれる水分や油分を分けやすくなり、次の工程の型箱にきちんと入れやすくなります。
崩したら、柄杓(ひしゃく)などで木綿を引いた型箱に入れ覆います。さらに蓋をして、上から重しを乗せ圧力を加えます。これを「圧搾(あっさく)」といいます。型箱には穴があいており、圧力を加えることで、穴から「ゆ」が出てキッチリとした形に成型することができます。
成型した豆腐は、水槽に取り出して水に晒します。これを「水晒し」といいます。水晒しを行うことで余分なアクなどを取り除くことができます。水晒しをしたら、一定の大きさに切り分けて完成です。
木綿豆腐は、豆腐の表面に木綿の布目が付くため「木綿豆腐」と呼ばれるようになりました。
木綿豆腐はしっかりと固めた後にさらに圧搾して水分を抜いているため固めで、しっかりと食感が残ります。また、表面に木綿の布目がついているためザラザラとした舌触りが特徴です。
絹豆腐と比較して大豆の風味が強く、にがりによる苦味を感じることがあります。
木綿豆腐は固めで崩れにくく扱いやすいため、ゴーヤチャンプルーなど炒め物や揚げ出し豆腐などによく使われます。
絹ごし豆腐は木綿豆腐より濃い豆乳を作り、凝固剤を入れた型箱に一気に流し込んで豆腐状に固めます。固まったら型出をし、木綿豆腐と同様に水晒しをして一定の大きさに切り分けて完成です。濃い豆乳を使うのは、木綿豆腐とは異なり圧搾や「ゆ」を取らないためです。
圧搾して水分を少なくして固く仕上げている木綿豆腐とは反対に、水分をたっぷり含んでいるため非常に柔らかくクリーミーな味わいです。
絹ごし豆腐は崩れやすいため炒め物などには不向きであるため、冷奴(ひややっこ)にしてそのまま食べることが多いです。キメ細かく口当たりなめらかでつるんとしていて、おつまみやデザートとしても楽しむことができます。
ざる豆腐の製造方法は、おぼろ豆腐と同じです。豆乳が冷めないうちににがりを加えて完全に固まる前にすくいあげ、ザルに盛って完成です。
おぼろ豆腐をザルに盛ることで、豆腐の水分や「ゆ」が自然に水切りされるため、おぼろ豆腐として販売されている物よりも、ややしまった豆腐となります。木綿豆腐や絹ごし豆腐とは異なり水晒しを行っていないため、大豆そのものの風味が強いです。
充填豆腐(じゅうてんどうふ)は、冷やした豆乳を凝固剤と一緒にパックに入れ、密封してから加熱をして固めるという方法で製造されています。
戦後に誕生した新しい製造方法であり、機械で大量生産することが可能であるため、3パックで100円など木綿豆腐や絹ごし豆腐、おぼろ豆腐などと比較して値段が安いことと、木綿豆腐や絹ごし豆腐とは異なり、パックに水を張らずに販売されているという特徴があります。
充電豆腐も絹ごし豆腐と同じようにキメが細かく口当たり滑らかで、冷奴などにして食べることが多いですが、充填豆腐の多くはにがりを使わずに凝固剤を使って固めているため絹ごし豆腐や木綿豆腐ほど濃厚な味はしません。
おぼろ豆腐は、調理をしたり醤油など味付けをしなくても美味しく食べることができます。そのまま食べることで、大豆本来の味を楽しむことができます。
レンジなどで一度温めてから食べると、大豆の風味がより強くなり甘みも増します。
パックに張っている水は「封入水」とよばれるもので、空気との接触部分を減らすことで豆腐を痛みにくくしています。水道水のようなものであるためそのまま水切りをせずに食べても人体に問題ありませんが、水っぽさが気になる方は一度洗い流してから食べると良いでしょう。
お豆腐の食べ方といえば、冷奴(ひややっこ)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。冷奴(ひややっこ)は、豆腐はネギなどの薬味と醤油をかける一般的な食べ方の一つです。
おぼろ豆腐を冷奴にしても、もちろん美味しく食べることができます。おぼろ豆腐は大豆の風味が強いためシンプルに塩をかけるだけでも大豆の旨味を感じられ美味しくなります。
めんつゆや白だし、オリーブオイルの他、とろみをつけたタレをかけても良いでしょう。選択肢がたくさんあるので迷ってしまいますが、まずはシンプルに塩や醤油から試して、お好みの味付けを見つけてみてください。
おぼろ豆腐は、スープの具材にしても美味しく食べることができます。例えば、韓国料理のスンドゥブチゲに入っている豆腐も大豆の濃厚な味を楽しむことができるおぼろ豆腐が使われていることが多いです。
その他にも豆乳鍋などの具材としても適しています。ただし、長時間煮込みすぎると崩れてしまうため煮込んで食べる場合は、最後に入れてさっと煮込むようにするのがポイントです。
おぼろ豆腐は自宅でも作ることができます。
無調整豆乳…250ml
にがり…小さじ1/2
まず、土鍋に無調整豆乳とにがりを入れて木べらで混ぜます。このとき泡立てないようにゆっくりと混ぜます。泡立ててしまうと出来上がったときに蜂の巣状に穴があいてしまいボソボソとした食感になってしまいやすいです。豆乳とにがりを混ぜたら、10〜15分ほど弱火で加熱して表面がフツフツとしてきたら火を止めます。火をとめたら蓋をして15分ほどおき、ある程度固まったら完成です。
電子レンジを使って作ることもできます。電子レンジを使って作る場合は、耐熱容器に無調整豆乳とにがりを入れて混ぜた後、ある程度固まるまで様子を見ながら加熱します。
にがりがない場合は、天然塩で代用することができます。天然塩は海水を天日で乾燥させているため、にがりが含まれています。分量は調整豆乳200mlに対して塩5gとなります。天然塩であれば何でも大丈夫ですが、おすすめは沖縄の天然塩「雪塩」です。
天然塩の他にもレモン汁や酢で代用することも可能です。レモン汁や酢を入れることにより「酸凝固」が起こるため豆乳が固まるため豆腐になるのです。ただし、レモン汁や酢で代用すると若干酸味が出てしまうので大豆の風味が落ちてしまうことがあります。
おぼろ豆腐100gに含まれている栄養成分は下記の通りです。
たんぱく質…4.3g
脂質…2.8g
炭水化物…1.7g
食物繊維…0.3g
ビタミンE…0.1mg
ビタミンK…9μg
ビタミンB1…0.1mg
ビタミンB2…0.04mg
ナイアシン…0.2mg
ビタミンB6…0.07mg
葉酸…13μg
パントテン酸…0.2mg
ナトリウム…240mg
カリウム…210mg
カルシウム…36mg
マグネシウム…43mg
リン…71mg
鉄…0.7mg
亜鉛…0.5mg
銅…0.14mg
マンガン…0.3mg
おぼろ豆腐には三大栄養素といわれるたんぱく質・脂質・炭水化物の他にビタミンEやビタミンB群、ナトリウムやカリウムなどのミネラル類などを多く含んでいます。
おぼろ豆腐の原料である大豆に含まれるたんぱく質の主要成分「グリシニン」には、血中のコレステロール値を低下させる働きがあるといわれています。その他にも大豆たんぱく質には中性脂肪を低減させる効果もあります。
また、大豆にはイソフラボンが豊富に含まれています。イソフラボンはポリフェノールの一種で、女性ホルモンに似た働きをするため、更年期や月経前のつらい症状を和らげたり、肌荒れを改善するなどの美容効果や肩こり改善、イライラを抑えるなど精神を安定させるなどの効果が期待できます。
おぼろ豆腐100gあたりのカロリーは50kcalで、糖質量は1.4gです。おぼろ豆腐1パック(500g)とすると、カロリーは250kcal、糖質量は7gになります。1パック食べるとなるとカロリーはやや高めですが、糖質量は少なく栄養価が高いです。ただし、豆腐は柔らかくあまり噛まなくても食べれてしまうため満腹感を得られにくく食べすぎに繋がってしまうことがあります。ダイエット中におぼろ豆腐を食べる場合は、食べすぎてしまわないように注意しましょう。
おぼろ豆腐はイオンや業務スーパーなどの一般的なスーパーで購入することができます。一口に「おぼろ豆腐」といっても、原料に使われている大豆の種類が異なるなどメーカーによって風味や味わいが異なります。タレ付きのものなどさまざまな種類があるためお好みのおぼろ豆腐を見つけてみてください。
メーカーによっては「寄せ豆腐」という名前で販売していることもあります。上述したようにおぼろ豆腐と寄せ豆腐は同じものです。
おぼろ豆腐の値段はメーカーによって異なりますが、250g210円〜300円ほどです。
おぼろ豆腐の賞味期限は水を張ったパックに入っている場合、製造日から3~5日です。ただし、パックごと熱殺菌処理をされている場合は10日程度などメーカーによって長く設定されていることもあります。
おぼろ豆腐の基本的な保存方法は、木綿豆腐や絹ごし豆腐の保存方法と同じです。未開封の場合はそのまま冷蔵庫に入れて保存します。
開封後は綺麗な水を入れた容器に移し替えて冷蔵保存します。すぐに使い切れない場合は毎日水を入れ替えれば5日ほど持ちますが、できるだけ早めに使い切りましょう。水分を切って冷凍すれば1ヶ月程保存することもできますが、風味が落ちたり食感が変わってしまうことがあるため、豆腐類は冷蔵保存がおすすめです。
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