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レンズ豆ってどんな豆?食べ方や栄養、皮の有無の違いを解説

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レンズ豆ってどんな豆?食べ方や栄養、皮の有無の違いを解説

レンズ豆はマメ科ヒラマメ属の植物の実で、栄養素を多く含む他低糖質であるためスープにしたりサラダにして食べられることが多いです。本記事ではレンズ豆の原料や使い方、栄養素、カロリーなどを詳しく解説します。


レンズ豆ってどんな豆?

レンズ豆は、マメ科ヒラマメ属の植物の実です。

原産国はメソポタミアやシリア付近で、そこから地中海沿岸の地域やアジア西南部に伝わり世界中で栽培されるようになったといわれています。しかし、日本ではほとんど栽培されていないため日本で販売されているレンズ豆の多くはカナダやアメリカ産から輸入したものです。

レンズ豆は地域によって大きさや色は異なりますが、一般的には直径4 〜8mm程度で、厚さは2~3mm程度の平たく丸い形をしているという特徴があります。

そのため、日本では扁豆(ひらまめ)ともいわれます。ちなみに英語だと「レンティル」といいます。

レンズ豆の「レンズ」はラテン語で、由来はカメラなどで使われる光学レンズではありません。「人類が最初に栽培した植物のひとつ」といわれているほどレンズ豆の歴史は古く、反対にレンズ豆のように平たい形としているという理由で光学「レンズ」という名前がつきました。

レンズ豆の種類

レンズ豆には大別して茶レンズ豆・赤レンズ豆・緑レンズ豆の3種類あります。

茶レンズ豆

茶レンズ豆は、皮付きの状態のレンズ豆です。英語だと「ブラウンレンティル」といいます。

皮付きですが、全粒粉などとは異なり茹でているとすぐに柔らかくなり、丁度よく皮の食感が残ります。

また、発芽させてスプラウト料理に使うこともできます。スプラウトとは、穀類や豆類、野菜の種子を人為的に発芽させた新芽のことで、発芽した芽と茎を食べることができます。

赤レンズ豆

赤レンズ豆は、皮なしの状態のレンズ豆です。英語だと「レッドレンティル」といいます。

赤レンズ豆は皮がついていないため、舌触りが良いです。また、煮ると黄色くなるため料理に彩りを添えてくれます。

緑レンズ豆

緑レンズ豆は、皮付きの状態のレンズ豆です。英語だと「グリーンレンティル」といいます。

皮付きという点では茶レンズ豆と同じですが、茶レンズ豆とは品種が異なり、緑色をしています。日本では茶レンズ豆または赤レンズ豆が一般的に販売されていて、緑レンズはあまり販売されていません。

皮付きと皮なしの違い

こちらが皮なしのレンズ豆です。

上述したように、レンズ豆には皮付きと皮なしのものがあります。

皮付きのレンズ豆は煮崩れしにくいという特徴があり、煮物にしたりサラダに入れて食感を楽しみたいという場合に適しています。一方皮なしのレンズ豆は、火が通りやすく柔らかくなるためマッシュしたり、スープにとろみをつけたい場合に適しています。用途に合わせて使い分けると良いでしょう。

レンズ豆の食べ方

大豆などの乾燥豆は硬く熱が伝わりにくいため、下ごしらえとして一晩水に浸して戻すのが基本です。しかし、レンズ豆は柔らかく火が通りやすいため水戻しは不要です。

煮物にする場合やスープに入れる場合は、そのまま投入することができます。

ただし、サラダなどに入れる場合は軽く下茹でをしてから使います。下茹でする時間を省きたいという方は予め下茹でした状態の水煮タイプのものを購入しましょう。

下茹での方法

  1. レンズ豆を軽く水洗いする。
  2. 鍋にお湯を入れて沸騰させる。
  3. 沸騰したお湯にレンズ豆を入れて10分〜15分茹でる。
  4. 茹でたレンズ豆をザルに入れてお湯を捨てる。
  5. 粗熱をとる。

まず、レンズ豆を軽く水洗いします。水洗いをしたら、沸騰したお湯に入れて10〜15分レンズ豆が柔らかくなるまで茹でます。皮なしのレンズ豆の場合は、より早く火が通るので柔らかくなりすぎないように時間を調節してください。レンズ豆が柔らかくなったら、ザルにあけて粗熱をとります。

用途

レンズ豆には豆特有の風味があります。ホクホクとした食感で噛むと枝豆のような甘みが口の中に広がるのが特徴で、スープや煮込み料理、サラダなどさまざまな料理に使うことができます。

スープ

レンズ豆は、上述したように水戻し不要なので、野菜などと一緒に入れてスープにすることが多いです。

スープには皮なしの赤レンズ豆を使うと、煮崩れて程よいとろみをつけることができます。コンソメスープやトマトスープなどの洋風スープはもちろんのことお味噌汁の具にもなります。レンズ豆を入れることで腹持ちもよくなるのでダイエットにピッタリです。

イタリアでレンズ豆のスープを大晦日に食べるのが定番で、日本のおせちに子孫繁栄など意味があるように「金運・幸運を呼ぶ」という意味があるそうです。

カレー

レンズ豆はカレーの具材としても使うことができます。

インドではレンズ豆をメインに使ったレンズ豆カレーが良く食べられています。「ダール(ダル)カレー」と呼ばれ、ダールは剥いた小粒の豆(ヒラマメなど)を挽き割ったものやそれを煮込んだ料理を指します。欧米や日本では「ダール・カレー」といわれることが多いですが、加える水の量によって濃さはカレーのようにルー状になっているものやスープのようになっているものまで様々なタイプがあります。

レンズ豆カレーは、レンズ豆の甘みが出るため香辛料が苦手な方でも比較的食べやすいです。

煮込み料理

レンズ豆は煮込み料理にもよく使われます。

レンズ豆は肉類との相性がとても良いのでお肉やソーセージと一緒に煮込むことが多く、イタリアでは家庭料理の定番となっています。煮込み料理は時間がかかるイメージがあるかと思いますが、火が通りやすいのでレンズ豆を使うことで時短になります。

レンズ豆を使ったフランス料理では、塩漬けの豚肉と煮込んだ「プチ・サレ」が有名です。

レンズ豆を使ってチリコンカンを作ることもできます。

チリコンカンは、牛ひき肉と豆、玉ねぎなどの野菜チリパウダーやパプリカパウダーで味付けをして煮込んだメキシコ料理です。学校給食で食べたことがあるという方が多いのではないでしょうか。チリコンカンに入れる豆に決まりはないので好みの豆を使うことができますが、主にレンズ豆やひよこ豆を使うことが多いです。

サラダ

レンズ豆は野菜と一緒にサラダにすることもできます。

レンズ豆をサラダに加えることで栄養価が高くなるだけではなく、食べごたえが出て満足度がUPします。肉料理の付け合せにも適しています。

肉の代用

レンズ豆は、大豆ミートなどと同じように肉のように加工することで肉の代用としてヴィーガンやベジタリアンの人向けの料理に使われることもあります。ヴィーガンやベジタリアン以外にも、お肉を使用しないことでカロリーを低くすることができるため、ダイエット中の方にもおすすめです。

レンズ豆はひき肉の代用品としてミートボールなどを作るのに適しています。

デザート

レンズ豆を甘煮にすることで、デザートとして食べることが可能です。

レンズ豆の甘煮は、ヨーグルトに入れたり小豆の代用品としておしるこにすることができます。小豆とは原料が異なるため風味などが異なりますが、低カロリーなのでダイエット中のおやつに適しています。

レンズ豆の栄養素・カロリー

レンズ豆100gに含まれる栄養成分は下記の通りです。

  • たんぱく質…23.2g

  • 脂質…1.5g

  • 炭水化物…60.7g

  • 食物繊維…16.7g

  • βカロテン…24μg

  • ビタミンE…0.8mg

  • ビタミンK…17μg

  • ビタミンB1…0.52mg

  • ビタミンB2…0.17mg

  • ナイアシン…2.5mg

  • ビタミンB6…0.55mg

  • 葉酸…77μg

  • カリウム…1000mg

  • カルシウム…57mg

  • マグネシウム…100mg

  • リン…430mg

  • 鉄…9.0mg

  • 亜鉛…4.8mg

  • 銅…0.95mg

  • マンガン…1.57mg

レンズ豆は、三大栄養素といわれるたんぱく質・脂質・炭水化物の他に食物繊維やビタミンB類、カリウムなどを多く含む栄養価の高い食べ物です。

レンズ豆100gのカロリーは313gで、糖質量(炭水化物から食物繊維を引いた値)は、44gです。

効能

上述したようレンズ豆には栄養価が高い食べ物であるということがおわかりいただけたかと思います。では実際にどのような効果があるのでしょうか。

食物繊維

レンズ豆に豊富に含まれている食物繊維には、腸内の環境を整えることで便秘を解消したり予防に繋がります。また、食物繊維を摂取することで糖やコレステロールの吸収速度を緩めることができる他、代謝がよくなります。

カリウム・カルシウム・鉄分・亜鉛

カリウムとカルシウム、鉄分、亜鉛は人体に必要なミネラルの一つです。

カリウムは、体内のナトリウムを排出し摂り過ぎた塩分の調整する働きがあり塩分の摂り過ぎによる むくみを解消する効果が期待できます。

カルシウムは健康な骨や歯を保つのに大切な役割を果たしており、骨粗しょう症予防などに効果があります。

鉄分は全身に酸素を運ぶヘモグロビンとして不可欠な栄養素であり、集中力の低下や、頭痛、食欲不振、筋力低下や疲労感、貧血を防ぐことができます。

亜鉛は、主に骨格筋や骨、皮膚、肝臓などにある成分です。亜鉛も必須アミノ酸と同じく体内で作り出すことができないため、食事で摂取する必要があります。亜鉛は、体内にあるビタミンAの代謝を促して抗酸化作用を活性化させる働きがあるため、アンチエイジングや生活習慣病の予防になります。

ビタミンB類

ビタミンB群は、糖質を燃やしてエネルギーに変える働きがあります。特にビタミンB2は、脂質を分解してエネルギーに変換する働きがあり、効率よく摂取することでダイエット効果が期待できます。ビタミンB6は、アミノ酸の分解・吸収をサポートする他、女性ホルモンのバランスを整える作用もあります。

その他、ビタミン類には皮膚をすこやかに保つのを助けるため美肌効果が期待できます。

葉酸

葉酸は、水溶性ビタミンで赤血球を作るのを手助けする働きがあり貧血を予防することができます。また、代謝に関与している成分でもあり、たんぱく質の生合成を促進したり細胞の生産や再生を助けることから、体の発育にも重要なビタミンです。さらに葉酸は細胞の分裂や成熟を大きく左右する重要な栄養成分です。妊娠中の方が積極的に摂取したほうが良いといわれるのは、このためです。

ダイエットに効果ある?

レンズ豆は、大豆などと比較して低脂質で良質な食物繊維とたんぱく質を豊富に含まれているためダイエットに利点があるといえます。

また、レンズ豆は少量でも満腹感が得られるため食べすぎを防止することもできます。ただし、食物繊維が豊富に含まれているためダイエットに良いからといって食べすぎてしまうと消化不良をおこしてお腹を壊したり便秘になってしまうことがあるので注意しましょう。

レンズ豆はどこで買える?

レンズ豆は、業務スーパーやイオン、成城石井などのスーパーで購入することができます。また、カルディなど輸入商品を多く取り扱っているお店でも購入することが可能です。

乾燥タイプのレンズ豆は乾物のコーナー、水煮タイプのレンズ豆は缶詰のコーナーに置かれていることが多いです。ただし、全ての店舗でレンズ豆を取り扱っているというわけではないので店舗に確認してみてください。

近くにできる店舗がないという場合は、Amazonや楽天などの通販の利用がおすすめです。

レンズ豆の値段は製造メーカーによって異なりますが、500g400円程です。有機栽培のレンズ豆もあり、値段は500g600円程です。

レンズ豆の賞味期限・保存方法

レンズ豆の賞味期限は製造メーカーによって異なりますが、乾燥タイプの場合だと製造日から1年〜3年と長めです。ただし、記載されているのは未開封である場合や正しく保存している状態の賞味期限であるため、開封をしたら早めに使い切りましょう。

レンズ豆は未開封であれば、直射日光の当たる場所や高温多湿の場所を避けた冷暗所で常温保存することができます。開封後は密閉できる容器に移し替えて冷蔵保存しましょう。

下茹でをした状態で保存をする場合は、茹で汁ごと容器に入れて冷蔵することで2〜3日保存することができます。茹で汁ごと冷凍すれば1ヶ月〜2ヶ月保存することが可能です。ただし、劣化を完全に防ぐことはできないため、おいしく食べるためにも早めに使いきることをおすすめします。

似た食べ物・代用できる?

ひよこ豆

ひよこ豆は、インドや西アジア、中南米などで栽培されているマメ亜科植物の種子です。

ひよこ豆の色は黄色く、形がひよこの頭に似ていることから「ひよこ豆」という名前がついたといわれています。スペインでは「ガルバンソ」といい、日本でもガルバンソーと呼ばれることがあります。

ひよこ豆もレンズ豆と同じく多くの栄養素を含み、スープしたり、カレー、サラダの具材として使うことができるためレンズ豆の代用品として使うことができます

ただし、ひよこ豆はレンズ豆とは異なり、6時間ほど水に浸して戻す必要があるので注意が必要です。柔らかくなるまで時間がかかるため煮物などにする場合も予め茹でてから投入したほうが時短になります。

ムング豆

ムング豆はマメ亜科ヤエナリの種子です。

緑色をしているので日本では「緑豆(りょくとう)」や「青小豆(あおあずき)」ともいわれますが、英名が「ムング」であるため「ムング豆」といわれることが多いです。

原産国はインドで、現在はおもに東アジアから南アジア、アフリカ 、南アメリカ、オーストラリアなどで栽培されています。

ムング豆もレンズ豆と同じく多くの栄養素を含み、スープしたり、カレー、サラダの具材として使うことができるためレンズ豆の代用品として使うことができます。

日本ではあまり見かけることのないムング豆ですが、日本ではもやしの原料として使われていることが多いです。