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とうもろこしの食べ過ぎはNG?1日の摂取目安量はどのくらい?

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とうもろこしの食べ過ぎはNG?1日の摂取目安量はどのくらい?

とうもろこしを食べ過ぎた場合、どんなことが起こるのでしょうか?1日の摂取目安量も紹介します。

とうもろこしの食べ過ぎがNGな理由

カロリー・糖質

とうもろこしと他の野菜のカロリー・糖質を比較した表

とうもろこし可食部100gあたりのエネルギー量(カロリー)は、89kcalで、糖質は13.8gです。とうもろこしは野菜の中でもカロリーと糖質が高いです。

とうもろこしは他の野菜はもちろんイモ類と比べても、カロリーと糖質ともに高いのがわかります。一般的には食べ過ぎると太る食品といえるでしょう。

しかし、ごはん100gあたりカロリー156kcal・糖質35.6gです。ミルクチョコレートだと100gあたりカロリー550kcal・糖質51.9gです。ごはんやお菓子に比べたら、とうもろこしのカロリーと糖質は低いといえます。

とうもろこしのダイエットに取り入れたい方は、炭水化物のかさ増しに使うのがおすすめです。

出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)

栄養バランス

とうもろこしに限った話ではありませんが、一つの食品ばかり食べていると、栄養が偏ってしまいます。

例えば、とうもろこしはビタミンDやB12の含有量が0です。ビタミンDは骨の形成を助け、ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。とうもろこしばかり食べているとこれらが不足し、骨粗しょう症や貧血のリスクが伴います。ビタミンB12はレバーや牡蠣、あさりやしじみなどの魚介類、海苔をはじめとする藻類に多く含まれています。ビタミンDが多い食材には、魚類や卵などがあります。

同じ栄養素でも複数の食品から摂取した方がよいので、なるべく多くの種類の食品を食事に取り入れるようにしましょう。

出典:農林水産省|食事バランスガイド

食物繊維

とうもろこしには水溶性と不溶性どちらの食物繊維も含まれますが、不溶性食物繊維の方が多めです。

不溶性食物繊維の一種であるセルロースが含まれています。その含有量はさつまいもの4倍です。

不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘を引き起こす場合があります。

ちなみに水溶性食物繊維は摂りすぎるとお腹がゆるくなる場合があります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうこともあります。

出典:

リン

とうもろこしはリンを多く含む野菜です。

昨今では、加工食品の利用が増えていることにより、リンの過剰摂取が問題になっています。リンを摂りすぎるとカルシウムの吸収を妨げます。カルシウムの摂りすぎはリンの吸収を妨げるので、カルシウムとリンの摂取比率はほぼ同じくらいの量が望ましいといわれています。

また、腎機能に障害のある人は、尿によるリンの排出量が減るので血液中のリン濃度が増加します。さらにリンを長期に渡って過剰摂取すると腎機能が低下するとされています。

ちなみにリンの1日の摂取目安量は成人女性で800mg、成人男性で1,000mgです。

参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス

カリウム

とうもろこしには特別多いわけではありませんが、カリウムが含まれています。

カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。高カリウム血症の症状は、軽度ならば筋力低下がみられる程度ですが、重度の場合は不整脈や心停止することがあります。

塩や醤油、味噌を使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。

参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス

遺伝子組み換え

とうもろこしには遺伝子組み換えのものがあります。特に輸入品に多いです。害虫に強いものや除草剤で枯れないものなど有用性の高いとうもろこしが開発されています。

この遺伝子組み換えの作物については様々な意見があります。人体に害があるとする発表と、食しても問題ないとする研究家もいます。厚生労働省は遺伝子組み換えの作物に大して厳しい審査を行っており、アレルギーを引き起こす可能性のあるものは出回らないと発表しています。

遺伝子組み換え商品が不安な方は、購入の際に「遺伝子組換えでない(non-GMO)」と表記されているものを選ぶようにしましょう。

出典:厚生労働省|遺伝子組換え食品

とうもろこしの摂取目安量

淡色野菜を基準にすると

大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。

緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。

とうもろこしは淡色野菜で、他の淡色野菜と合わせて230gが目安なので、1日あたり多くても100g程度、つまり1/2〜1本程度が摂取目安量といえます。

出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)

炭水化物を基準にすると

南米などでは、とうもろこしを主食として食べている国もあります。

一般的にカロリーのバランスを考えると、摂取カロリーのうち炭水化物は55〜60%が良いとされています。

1日の摂取カロリーの目安は成人女性だと1400〜2000kcal、男性なら2000〜2400kcalです。なので成人女性の炭水化物の目安は1000kcal程度、男性は1320kcal程度です。炭水化物は1gあたり4kcalですので、1日の炭水化物の摂取目安量は女性で約250g、男性で約330gです。

とうもろこし1本の可食部が約150gですので2本で女性は1日の炭水化物の摂取カロリーの目安を超えてしまうことになります。他にも炭水化物を食べるなら、女性で1日2本とうもろこしは食べ過ぎです。そのため、前述した通り、1/2〜1本程度が妥当ということになります。

出典:農林水産省|食事バランスガイド

とうもろこしに含まれる栄養素

不飽和脂肪酸

リノール酸

とうもろこしには、リノール酸が豊富に含まれています。リノール酸は、人の体内で合成できない必須脂肪酸です。オメガ6系脂肪酸のひとつで、ひまわり油やコーン油、ごま油に含まれています。血液中のコレステロールを低下する作用があり、動脈硬化や心臓病の予防に繋がります。

ただし、リノール酸は摂取しすぎると、血液凝集作用や炎症を引き起こす作用を持ったアラキドン酸の生成促進に関与することが分かっています。現代人の食生活ではリノール酸を多く摂取しているので、摂取量は気をつけましょう。

α-リノレン酸

とうもろこしには、α-リノレン酸も少し含まれています。α-リノレン酸は脂質の構成成分の主体である脂肪酸のひとつで、人の体内で合成できない必須脂肪酸です。主にエゴマや亜麻に含まれる体に良い油です。また多価不飽和脂肪酸の中でもオメガ3(n-3脂肪酸)とも呼ばれています。

α-リノレン酸には多くの効果があります。まず、体内に入るとDHAやEPAに変換されるので、血液をサラサラにする効果があります。さらに脳細胞を活性化します。

α-リノレン酸が不足すると、細胞を守る細胞膜がしっかりと構成されなくなり、老化促進に繋がり、シワやたるみの原因となってしまいます。他にもアレルギーを抑制する効果もあります。

アミノ酸

アスパラギン酸

アスパラギン酸は非必須アミノ酸のひとつで、その名の通りアスパラガスから発見されたアミノ酸です。アスパラギン酸は酸味を含むうま味成分で、日本人が古くから重宝している醤油や味噌などの発酵調味料のうま味の正体だと言われています。

アスパラギン酸はうま味成分としてだけでなく、人の体調を整える働きもあります。アスパラギン酸はカリウムやマグネシウムを細胞に取り込みやすくし、疲労回復の働きをしています。さらには人間の体液のバランスを整えたり、アンモニアを解毒して肝臓の負担を減らす働きもあります。

また新陳代謝を活発にし角質の水分を保持してくれるので、肌の保湿効果も期待でき、化粧品にも使われています。

グルタミン酸

グルタミン酸は体内で合成することが出来る非必須アミノ酸の一種で日本で最初に発見されたうま味物質です。グルタミン酸は、脳の機能にダメージを与えるアンモニアを解毒してそれらを含む尿の排出を促進する効果があります。

また、興奮系の神経伝達物質として働き脳機能を活性化させるので、認知症予防の効果や、記憶力や学習能力を高める効果があると言われています。血圧を下げる効果があることもわかっています。

アラニン

アラニンは筋肉や内臓をつくるたんぱく質の元となる非必須アミノ酸の一種です。そんなアラニンにはアルコール代謝を促し、肝機能や二日酔いを改善する効果があります。

ビタミンB1

日本人が不足しがちなビタミンB1が含まれています。

糖質がエネルギーに変わるときには酵素が働きますが、その酵素の働きを促す補酵素の役割を果たすのがビタミンB1です。糖質の分解をサポートし、体を元気にします。

また、糖質は脳や神経系のエネルギー源ですから、イライラを抑える作用もあります。

ビタミンB2

ビタミンB2は動物性食品に多いビタミンですが、植物性食品にもわずかに含まれています。ビタミンB2は脂質とたんぱく質の分解に働き、脂質の代謝を助けます。細胞の再生を助けて成長を促し、健康な肌や髪つくり、目や口などの粘膜を守ります。発育のビタミンとも呼ばれており、発育促進や健康に欠かせない栄養素です。

ビタミンB2が不足すると、脂質が体内に蓄積されやすくなるため、太りやすくなり、ニキビが増える原因のひとつになります。

またビタミンB2は「甲状腺ホルモン」が分泌されることで、体内で働けるようになるため、甲状腺の機能が低下してしまうと、ビタミンB2を補充しても生かしきれないことがあります。

カリウム

カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。

また、カリウムは水に溶けやすい性質があります。特に葉菜類は茹でると50%以上が失われてしまうのでスープなどにして汁ごと食べることがおすすめです。ただしナトリウムを摂りすぎないよう薄味にしましょう。

参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス