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準強力粉と中力粉の違いと使い分け|代用はできる?

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準強力粉と中力粉の違いと使い分け|代用はできる?

準強力粉と中力粉の違いをご存知でしょうか?準強力粉と中力粉は、どちらも小麦を製粉して作ります。本記事では、準強力粉と中力粉の違いを詳しく解説します。

準強力粉と中力粉の違い①原料・グルテン含有量

準強力粉と中力粉はどちらも小麦を製粉した小麦粉の一種です。

小麦は15%が表皮、2%が胚芽、83%が胚乳で構成されています。表皮には繊維質やたんぱく質、カルシウムなどが含まれており、胚乳には脂質、たんぱく質、ミネラル、ビタミンが含まれています。

準強力粉と中力粉の原料はどちらも小麦の胚乳で、原料に使われる小麦の品種とグルテンの含有量が異なります。

グルテンとは、弾力に富むが伸びにくいグルテニンと、弾力は弱いが伸びやすいグリアジンの2種類のたんぱく質が、水分によって結びついたものです。グルテンの量によって生地の硬さが決まります。パンなどの「ふわふわ、モチモチ」という食感はこのグルテンによってもたらされます。

準強力粉

準強力粉の原料は硬い硬質小麦(こうしつこむぎ)や、やや硬い中間質小麦(ちゅうかんしつこむぎ)です。米国産のハードレッドウインターホイートや、ダークノーザンスプリングホイート、カナダ産のウエスタンレッドスプリングホイートという品種で作られていることが多いです。

日本産の小麦は欧米産に比べるとグルテンの含有量が少なく、灰分量が多く小麦の風味が強すぎるといった理由から、ほとんどが外国産の小麦を原料に作られています。

準強力粉のグルテンの含有量は、10.5%〜12.5%で、強力粉と中力粉の中間に位置します。

同じく硬質小麦を原料に作る小麦粉には、強力粉があります。強力粉は、カナダ産のウエスタン・レッドプリングホイートや米国産のダーク・ノーザン・スプリングホイットという品種で作られることが多いです。強力粉のグルテンの含有量は1.5~13.5%と小麦粉の中で最も多いです。

中力粉

中力粉の原料は、粒の硬さが中くらいの中間質小麦(ちゅうかんしつこむぎ)です。

準強力粉も中間質小麦を原料に作られることがありますが、準強力粉とは品種が異なりオーストラリア産のスタンダード・ホワイト・ホイートという品種や、国内産の普通小麦で作られることが多いです。

中力粉のグルテン含有量は8~9%です。

ちなみに、同じく小麦粉の一種である薄力粉の原料は粒が柔らかい軟質小麦(なんしつこむぎ)です。粒が柔らかい=グルテンの含有量が少ないことを表し、小麦粉の中で最もグルテンの含有量が少ないです。

準強力粉と中力粉の違い②粒子の大きさ・感触

準強力粉と中力粉はどちらも見た目は白く、目視では判別することができませんが、粒子の大きさが異なるため感触に違いがあります。

準強力粉

準強力粉は、粒子の大きさがやや粗くサラサラとしています。感触は強力粉に似ていて、手でギュッと握っても跡が残りません。

中力粉

中力粉は、粒子の大きさが細かくふんわりとしています。感触は薄力粉に似ていて、手でギュッと握るとまとわりつく感覚があり、跡が残ります。

準強力粉と中力粉の違い③用途

準強力粉と中力粉はグルテンの含有量が異なるため、それぞれ食感などの特徴が異なります。そのため、用途に合わせて使い分けるのが一般的です。

準強力粉

フランスパン

準強力粉はグルテンを多く含みますが、強力粉よりもグルテンの含有量は少なく、伸びの良い生地を作ることができるという特徴があり、フランスパンやカンパーニュなどのあまり膨らませないハードパンを作るのに適しています。

準強力粉を使うことで、表面はパリっと香ばしく中はもっちりとしたバランスの良い食感に仕上がります。

クロワッサンや塩パン、蓋をつけずに焼くことで表面をカリカリの食感に焼き上げる山型食パンを作ることができる他、メロンパンなどの菓子パンやフォッカッチャ、プレッツェルを作ることもできます。

準強力粉を使うことで、表面はパリっと香ばしく中はもっちりとしたバランスの良い食感に仕上がります。

焼き菓子

準強力粉を使って、クッキーや、スコーン、パウンドケーキなどの焼き菓子を作ることもできます。焼き菓子には粒子が細かくグルテンの含有量が少ない薄力粉を使うことが多いですが、薄力粉よりも粒子が粗くグルテンの含有量が多い準強力粉を使うと、ザクっとした食感に仕上げることができます。

中華麺

準強力粉を使って、中華麺やパスタを作ることもできます。準強力粉で作る麺は、ほどよくコシのあるもちもちとした麺になります。

パスタはデュラム小麦という、また別の小麦が原料に使われることが多いですが、準強力粉で代用することが可能です。デュラム製品のグルテン量は準強力粉と同程度であるため、食感も似ています。

中力粉

うどん・素麺

中力粉は適度な弾力のある食感を出すという特徴があり、うどんを使われるときによく使われます。そのため中力粉は、「うどん粉」という製品名で販売されていることも多いです。

薄力粉ではグルテンの含有量が少なく粘度が低くすぎて弾力が出ず、強力粉ではグルテンの含有量が多く粘度が高すぎて弾力が出すぎてしまいますが、中力粉はほどよいコシを出すことができます。

焼き菓子

中力粉を使ってクッキーやサブレ、スコーン、スポンジケーキ、パンケーキ、タルトなどの焼き菓子を作ることも可能です。

中力粉を使うことで硬めの生地になるので、アイスボックスクッキーを作るのにも適しています。

日本で最も一般的で手に入りやすい小麦粉は薄力粉であり、お菓子作りには薄力粉が使われることが多いですが、アメリカで最も一般的で手に入りやすい小麦粉は中力粉です。そのため、中力粉を使うことでずっしりと重くザクっとした食感を楽しむことができるアメリカンクッキーを作ることができます。

中力粉を使ってスポンジケーキやパンケーキ、タルトを作ると、強力粉を使って作るときほどふんわりとはしませんが、中身がぎゅっとつまった噛みごたえのある仕上がりになります。アメリカではマフィンやカップケーキ、パウンドケーキなども中力粉を使って作ることが多いです。

お好み焼き・たこ焼き

中力粉を使ってお好み焼きやたこ焼きを作ることもできます。中力粉を使うことで、中力粉ならではのもちもちとした食感に仕上げることができます。

肉まん・餃子の皮

中力粉は粒子が細く、もちもちとした程良い弾力のある食感を出すことができるため、肉まんや餃子皮を作るのにも適しています。

準強力粉と中力粉の違い④成分・カロリー

準強力粉

準強力粉100gに含まれる成分は下記の通りです。

  • たんぱく質…10.7g

  • 脂質…1.8g

  • 炭水化物…72.7g


準強力粉100gのカロリーは366kcalで、糖質量(炭水化物から食物繊維を引いた値)は、およそ70gです。

中力粉

中力粉100gに含まれる成分は下記の通りです。

  • 水分…14.0g

  • たんぱく質…9.0g

  • 脂質…1.6g

  • 炭水化物…75.1g

  • 灰分…0.4g

中力粉100gのカロリーは337kcalで、はおよそ71gです。

カロリーは準強力粉よりも低いですが、糖質量に大きな差はありません。どちらもほぼ炭水化物(糖質)であるため、食べすぎると太ってしまう原因になります。

また、準強力粉と中力粉には上述したようにグルテンが含まれます。グルテンにはタバコのニコチンやコーヒーのカフェインと同じように依存性があり、食欲を増進させてしまいます。ダイエット中の方は特に食べすぎないように注意しましょう。

準強力粉と中力粉はお互いに代用可能?

準強力粉と中力粉はお互いに代用可能です。ただし、粒子の大きさやグルテンの含有量が異なるため食感などに違いがでます。

例えば、中力粉を準強力粉の代用品としてフランスパンを作ると、準強力粉ほど膨らみませんが準強力粉のようにもちもちとした弾力のある食感に仕上がります。

ちなみに強力粉と薄力粉を8︰2の割合で混ぜ合わせることで、準強力粉に近くなります。例えば、準強力粉300g必要が場合は、強力粉240gと薄力粉60gを合わせます。食感などより準強力粉に近づけたい場合は、強力粉と薄力粉を混ぜ合わせて使うことをおすすめします。

準強力粉を中力粉の代用品としてうどんを作ることもできます。準強力粉でうどんを作ると、中力粉よりもグルテンの含有量が多いため、よりもちもちとした食感に仕上がります。