中力粉と薄力粉の違いをご存知でしょうか。中力粉と薄力粉はどちらも原料は小麦ですが、原料に使われる小麦の品種が異なります。本記事では中力粉と薄力粉の違いについて詳しく解説します。
中力粉(ちゅうりきこ)と強力粉(きょうりきこ)は、どちらも小麦を製粉した小麦粉の一種です。
小麦は15%が表皮、2%が胚芽、83%が胚乳で構成されています。表皮には繊維質やたんぱく質、カルシウムなどが含まれており、胚乳には脂質、たんぱく質、ミネラル、ビタミンが含まれています。
中力粉と準強力粉の原料はどちらも小麦の胚乳で、原料に使われる小麦の品種とグルテンの含有量が異なります。
グルテンとは、弾力に富むが伸びにくいグルテニンと、弾力は弱いが伸びやすいグリアジンの2種類のたんぱく質が、水分によって結びついたものです。グルテンの量によって生地の硬さが決まります。パンなどの「ふわふわ、モチモチ」という食感はこのグルテンによってもたらされます。
中力粉の原料は、粒の硬さが中くらいの中間質小麦(ちゅうかんしつこむぎ)です。オーストラリア産のスタンダード・ホワイト・ホイートという品種や、国内産の普通小麦で作られることが多いです。
中力粉のグルテンの含有量は8~9%で、薄力粉と強力粉の中間に位置します。
薄力粉の原料は、粒が柔らかい軟質小麦(なんしつこむぎ)です。米国産のウエスタンホワイトホイートという品種で作られることが多いです。
粒が柔らかい=グルテンの含有量が少ないことを表し、薄力粉のグルテンの含有量は6.5~8%(原料小麦によって違いがあります)と最も少ない小麦粉です。グルテンの含有量がさらに少ないものを「超薄力粉」ということがありますが、商品名としては使われていません。
「薄力粉」は「薄力小麦粉」といわれる場合もありますが、全く同じものを指し、違いはありません。「薄力小麦粉」を略して生まれたのが「薄力粉」という言葉です。
中力粉は薄力粉と比較してグルテンの含有量が多く、しっかりとした歯ごたえを与えるという特徴があります。薄力粉は、グルテンの含有量が少なく粘度が低いため、料理をサクサクとした歯切れの良い食感に仕上げるという特徴があります。それぞれ特徴が異なるので、使用用途に合わせて使い分けます。
中力粉は、うどんや素麺(そうめん)を作るときに使われることが多いです。そのため、「うどん粉」という製品名で販売されていることもあります。
薄力粉はグルテンの含有量が少なく粘度が低くすぎて弾力が出ず、強力粉ではグルテンの含有量が多く粘度が高すぎて弾力が出すぎてしまいますが、中力粉はグルテンの含有量が薄力粉と強力粉の中間量であるためほどよいコシを出すことができます。
ちなみに、うどんのモチモチ感は中力粉だけの働きではなく、タピオカ粉でんぷん粉が加えられている場合も多いです。そばにも繋ぎとして小麦粉が使われますが(十割そば以外)、グルテンの量が少ないと繋がらないので(薄力粉ではなく)中力粉(または強力粉)が使われます。
また、スパゲッティやマカロニなどのパスタはデュラム小麦という、また別の小麦が原料に使われることが多いですが、中力粉で代用することも可能です。
中力粉は薄力粉よりもグルテンの含有量は多いですが、強力粉ほどグルテンが含まれないためフランスパンやカンパーニュなどのあまり膨らませないパンを作るのに適しています。
中力粉を使うことで外はサクッと香ばしくなり、中はずっしりと重く噛みごたえのある食感になります。フランスパンやカンパーニュの他にもプレッツェルやクロワッサン、塩パン、メロンパンなどの菓子パンやフォッカッチャ、ナン、カリッとした食感が楽しめるクリスピータイプのピザを作ることが可能です。
中力粉を使ってクッキーやサブレ、スコーン、スポンジケーキ、パンケーキ、タルトなどの焼き菓子を作ることも可能です。
中力粉を使うことで硬めの生地になるので、アイスボックスクッキーを作るのにも適しています。
日本で最も一般的で手に入りやすい小麦粉は薄力粉であり、お菓子作りには薄力粉が使われることが多いですが、アメリカで最も一般的で手に入りやすい小麦粉は中力粉です。そのため、中力粉を使うことでずっしりと重くザクっとした食感を楽しむことができるアメリカンクッキーを作ることができます。
中力粉を使ってスポンジケーキやパンケーキ、タルトを作ると、強力粉を使って作るときほどふんわりとはしませんが、中身がぎゅっとつまった噛みごたえのある仕上がりになります。アメリカではマフィンやカップケーキ、パウンドケーキなども中力粉を使って作ることが多いです。
また、中力粉を使ってチュロスやドーナツ、サーターアンダギーなどの揚げ菓子を作ることもできます。
中力粉を使って、肉まんや餃子の皮を作ることもできます。中力粉を使って作ることで、もちもちとした程良い弾力のある食感を楽しむことができます。
中力粉を使ってお好み焼きやおやきを作ることもできます。中力粉を使うことで、中力粉ならではのもちもちとした食感に仕上がります。
中力粉は料理のとろみ付けとしても使うことができます。中力粉は薄力粉よりも粘度が高いため、薄力粉よりもしっかりとしたとろみをつけることが可能です。クリームコロッケを作るときなどに適しています。
薄力粉はクッキーやケーキなどの焼き菓子を作るときに使われることが多いです。薄力粉でクッキーを作るとサクサクとした食感に仕上がります。粒子が細かいため、ケーキを作るとキメが細かく口当たりなめらかでふんわりとします。
ただし、薄力粉はダマになりやすいため焼き菓子を作る際は予めふるいにかけてサラサラの状態にしてから使いましょう。
薄力粉は唐揚げや天ぷらなどの揚げ物の衣にも適しています。薄力粉を揚げ物の衣にすると、カリッとした歯切れのよい食感に仕上がります。ただし、少ないとはいえ薄力粉にもグルテンが含まれているため、混ぜすぎると粘りが出てしまい、薄力粉の良さが損なわれてしまいます。薄力粉で衣を作る際は、混ぜすぎないように注意しましょう。
薄力粉を魚などにまぶしてフライパンで焼いてムニエルを作ることもできます。
薄力粉を使って、料理にとろみをつけることもできます。ただし、片栗粉ほどしっかりとしたとろみをつけることはできません。薄力粉でつけるとろみは、サラサラとしています。また、薄力粉でつけるとろみは透明にはならずにごります。クリームシチューを作るときなどに適しています。
上述したように薄力粉はダマになりやすいので、とろみをつける際もしっかりと水で溶いてから使いましょう。
中力粉100gに含まれる成分は下記の通りです。
水分…14.0g
たんぱく質…9.0g
脂質…1.6g
炭水化物…75.1g
灰分…0.4g
中力粉100gのカロリーは337kcalです。
中力粉100gあたりのカロリーは337kcalで、糖質量(炭水化物から食物繊維を引いた値)はおよそ71gです。
薄力粉100gに含まれる成分は下記の通りです。
水分…14.0g
たんぱく質…8.3g
脂質…1.5g
炭水化物…75.8g
灰分…0.4g
薄力粉100gのカロリーは349kcalで、糖質量は75.4gです。
中力粉と比較してカロリーは低いですが、糖質量は中力粉よりも多いです。どちらもほぼ炭水化物(糖質)であり、食べすぎてしまうと太ってしまう原因になってしまうので注意しましょう。
また、中力粉と薄力粉にはどちらもグルテンが含まれています。グルテンには、タバコのニコチンやコーヒーに含まれているカフェインと同じように依存性があります。グルテンを摂取することによって「もっと食べたい」「食べないと気がすまない」という状態になってしまい、食欲を増進させてしまうためどちらもダイエットの方はとくに食べるのを控えたほうが良いです。
中力粉と薄力粉は、どちらも小麦の一種であるためお互いに代用可能です。
ただし、上述したように原料に使われている小麦の品種が異なり、グルテンの含有量が違うため食感に違いがでます。
例えば、薄力粉を中力粉の代用品として麺を作っても、中力粉で作るときのような歯ごたえやコシを出すことはできません。また、クッキーを作ると、中力粉よりも歯切れがよくサクッとした食感になります。中力粉を使うと硬くずっしりとしたクッキーに仕上がるため、小さなお子様が食べる場合などは薄力粉を使うと良いでしょう。
薄力粉を中力粉の代用品として料理にとろみをつけると、中力粉と比較してサラっとしたとろみになります。ホワイトソースなどを作るときのとろみには薄力粉、クリームコロッケを作るときのとろみにはよりしっかりとしたとろみをつけることができる中力粉が適しています。
薄力粉の代用品として中力粉を唐揚げなどの衣にすることもできます。ただし、中力粉はグルテンの含有量が多いため衣を厚く付けすぎてしまうと硬くなってしまいます。中力粉を揚げ物の衣にする場合は、薄くつけるのがポイントです。また、天ぷらの衣にする場合はサクサクにならずベチャッとした食感になります。中力粉を天ぷらの衣にする場合は、片栗粉やコーンスターチを加えてでんぷんの比率を高くするなどの工夫が必要です。衣を作る際にかき混ぜすぎてしまうとどんどん粘りが出てきてしまうため、サクッと混ぜましょう。
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