上新粉と上用粉は、どちらもうるち米を原料に作る米粉の一種です。本記事では上新粉と上用粉の違いを詳しく解説します。
上新粉(じょうしんこ)と上用粉(じょうようこ)は、どちらもうるち米を原料に作る米粉の一種です。
うるち米とは、一般的に食べられているお米のことです。有名な品種には「あきたこまち」や「コシヒカリ」などがあります。うるち米と対になるのはもち米です。もち米とは白く不透明で、お餅やお赤飯にする粘性のあるお米のことです。
上新粉は、うるち米を2ロール製法で製粉します。製粉した後にふるいにかけて粒子の粗いものと細かいものとでわけ、目の細かいほうが上新粉になります。目の粗いほうは「並新粉(なみしんこ)」になります。上新粉と並新粉の総称を「新粉(しんこ)」といいます。
2ロール製法は、水洗いした米を乾燥させロール製粉機で製粉するという方法です。強い粘性を出すことができますが、水分量が少ないため硬化が早いという特徴があります。
上用粉は、胴搗き製法(どうつきせいほう)で製粉します。
胴搗き製法は、精米後にお米の水分が多く保たれた状態で、杆搗き臼(きねつきうす)で徐々に細かくしていく製法です。スタンプミル製法ともいいます。2ロール製法と比較して時間はかかりますが、より良い粉が得られます。関西地方では古くよりこの製法が主流であり、関西では上用粉がよく使われます。
上新粉と上用粉の見た目はどちらも白く目視で判断することは難しいですが、粒子の大きさが異なります。
上新粉の平均粒径は105.5μmです。
上新粉は上用粉と比較して粒子が粗くサラサラとしていて、しっかりとした歯ごたえと歯切れのよい食感を出すという特徴があります。
上用粉の平均粒径は46.7μmです。
上用粉は米粉の中でも特に粒子が細かく、なめらかで口当たりがよく柔らかい食感を出すという特徴があります。
上新粉は、まんじゅうの主原料として使われます。また、お湯を加えてこねるとお餅のような粘りがでるという特徴があり、団子や柏餅、すあま、ういろうなどの和菓子を作る際に使われることも多いです。上新粉で作った和菓子は歯切れがよく、しっかりとした歯ごたえがあります。
和菓子の他にもクッキーやケーキなどの焼き菓子を作ることができます。小麦粉(薄力粉)とは異なりグルテンが含まれていないのでふんわりとはしませんが、密度が高く歯ごたえのある仕上がりになります。
また、唐揚げや天ぷらなどの揚げ物の衣として使うこともできます。上新粉は小麦粉と比較して油の吸収率が低いため、カラっと揚がり時間が経ってもサクサクとした食感を保つことができる他、小麦粉を衣にしたときと比較してカロリーが低くなります。
その他にも料理のとろみ付けやハンバーグを作るときなどのつなぎとしても使用することが可能です。
上用粉は、薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)を作るときに使うことが多いです。そのため、「薯蕷粉(じょうよこ)」と呼ばれることもあります。
薯蕷饅頭とは、薯蕷饅頭はすりおろした大和芋と米粉の皮であんを包み、蒸し上げた饅頭のことです。薯蕷饅頭の薯蕷は、大和芋や山芋、つくね芋を意味しています。
砂糖や小豆が高価だった時代では、砂糖や小豆を使ったお菓子は貴族などの地位の高い人だけが食べられるものだったため、目上の人が食べるお菓子という意味で「上用饅頭」ともいわれます。例えば、お祝いなどで出される紅白饅頭も薯蕷饅頭です。
薯蕷饅頭の他にも浮島(うきしま)を作る時にも使われます。浮島は、あんこに卵や砂糖、上新粉などを加え、蒸し上げて作ります。見た目がカステラに似ていることから「蒸しカステラ」ともいわれます。
上用粉も上新粉と同じようにお湯を加えてこねるとお餅のような粘りが出る性質があるので、お団子などの和菓子を作ることが可能ですが、基本的には高級和菓子を作るときに使われます。
上新粉はイオンなどのスーパーで購入することができます。
片栗粉などと同じ粉物のコーナーに置かれていることが多く、200gで値段は170円〜200円程度です。業務スーパーでは大容量のものが安い値段で購入することができます。
Amazonなどネットで購入することも可能です。一口に「うるち米」といっても様々なお米の種類があるので、「新潟産のお米が良い」などこだわりのある方はネットで購入するのがおすすめです。
上用粉は、イオンなどのスーパーでは取り扱っている店舗が少ないです。
そのため、直接購入するのであれば製菓材料専門店で購入するのが良いでしょう。製菓材料専門店は百貨店に入っていることが多く、値段はだいたい200g200円〜300円程です。
また、Amazonなどネットで購入することも可能です。近くに上用粉を取り扱っている店舗がない場合は通販を利用するのがおすすめです。
上新粉は上用粉はお互いに代用することができます。
例えば上新粉を使って、薯蕷饅頭を作ることができます。ただし、上用粉よりも粒子が粗いため粉が材料である薯蕷(山芋)の水分を吸ってしまい、固くなってしまうことが多いです。そのため、薯蕷饅頭を作るにはやはり粒子の細かい上用粉が適しているといえます。
反対に、上用粉を上新粉の代用品として使うこともできます。ただし、上用粉を使って団子などの和菓子を作ると、上新粉よりも粒子が細かいためなめらかで柔らかい食感になります。団子のようにしっかりとした歯ごたえが求められる場合は上新粉が適しています。
また、上新粉の代用品としてクッキーやケーキなどの焼き菓子を作ったり、揚げ物の衣にすることもできます。しかし、上用粉は上新粉とは異なりスーパーなどではなかなか取り扱いがないため、上新粉の代用品として上用粉を使うことはあまりないでしょう。
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