色鮮やかで主に西洋料理で使われるパプリカですが、食べ過ぎるとどんなリスクがあるのでしょうか?パプリカをたくさん食べた場合に起こりうるリスクについて解説していきます。
パプリカには食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、パプリカはどちらも含まれています。
不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になる場合があります。
水溶性食物繊維は摂りすぎるとお腹がゆるくなることがあります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまう可能性もあります。
出典:
栄養学博士 新出真理 監修(2014)『第2版 くらしに役立つ栄養学』ナツメ社。
カプサイシンは辛味成分です。唐辛子に多く含まれる成分で、ナス科トウガラシ属であるパプリカやピーマンに含まれています。カプサイシンは末梢血管まで血流を良くする働きがあり体をあたためてくれるため、冷え性改善が期待できます。
しかし、カプサイシンを摂取しすぎると粘膜を傷付けたり、胃や喉が荒れることがあります。
パプリカを通常の食事で摂取したくらいではほとんど問題はありませんが、食べ過ぎには注意しましょう。
出典:農林水産省|カプサイシンに関する情報
そもそもひとつの食材だけを摂取していると栄養が偏ってしまいます。
パプリカに含まれていない栄養には、ビタミンDやビタミンB12があります。ビタミンDは骨の形成を助け、ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。ビタミンDは肉類や卵に、ビタミンB12はレバーや牡蠣、あさりやしじみなどの魚介類、海苔をはじめとする藻類に多く含まれています。
様々な食材を摂取して、バランスの良い食事を心がけましょう。
出典:農林水産省|食事バランスガイド
パプリカにはカリウムが豊富に含まれています。
カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。
塩や醤油、味噌を使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
パプリカは100gあたり28kcalで糖質5.6gなので、食べすぎて太る心配はほとんどありません。パプリカに限らず野菜は基本的にカロリーや糖質が低いのでたくさん食べて太ることはないでしょう。
ただ、味付けには注意が必要です。砂糖や油、塩分を多く使って調理するとその分カロリーは上がってしまいます。
ちなみに、ごはん100gあたりカロリー156kcal、糖質35.6gです。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
パプリカの1日の摂取量は決まっていませんが、野菜の摂取目標量を参考にある程度目安を付けることは可能です。1番良い目安は緑黄色野菜・淡色野菜を基準にすることです。
赤パプリカは緑黄色野菜、黄パプリカは淡色野菜に分類されます。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
成人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
他の野菜と合わせて上記の数値を目標にしましょう。そのため他の野菜も食べることを考慮すると、1日あたり多くても100gくらいが目安といえます。パプリカは1個150g〜200gなので、1日半分くらいが目安で、多くても1個にしましょう。
代表的な緑黄色野菜には、人参やブロッコリー、ニラ、トマトなどがあります。淡色野菜はじゃがいもや玉ねぎ、キャベツ、レタス、大根、れんこん、カリフラワー、セロリ、ごぼうなどあります。
出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)
パプリカにはβ-カロテンが豊富に含まれています。パプリカのオレンジ色はβ-カロテンの色です。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換されます。皮膚や喉など全身の粘膜を健康に保ち、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐことで免疫力をアップします。また、抗酸化作用もあるので、アンチエイジング効果や生活習慣病の予防効果が期待できます。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目や視力低下の抑制効果、他にも皮膚の健康維持に関与していることから乾燥肌やニキビ肌の改善など美肌効果も期待できます。
日本人が不足しがちなビタミンB1が含まれています。
ビタミンB1は糖質をエネルギーにする(体を元気にする)ために欠かせないビタミンです。不足すると、体のだるさや倦怠感、足のむくみ、動悸の症状、太りやすくなったりします。また、糖質は脳や神経系のエネルギー源なので、ビタミンB1には精神を安定させる作用があるといわれています。
昔、日本人の主食は精白米ではなく玄米で、その玄米にはビタミンB1が含まれていたために、意識していなくても摂取することができました。しかし、昨今ではビタミンB1が豊富に含まれている米ぬかの部分が、精白米にする段階でほとんど取り除かれてしまいます。他にもお菓子やジュースなどの過剰摂取でビタミンB1は不足するとも言われているため、積極的に摂取したい栄養素です。
パプリカはピーマンに比べて、2倍ものビタミンCを含有します。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
ヘスペリジンやルチンなどのフラボノイドをあわせてビタミンPと呼ばれています。ビタミンPは熱に弱いビタミンCを守ってくれる作用があります。そのため、本来熱に弱いビタミンCですが、パプリカのビタミンCは熱に強くなっています。
他にも、ビタミンPには毛細血管を強化し、歯茎の止血の効果や動脈硬化や高血圧を改善する効果もあります。また強い抗酸化作用もあるので全般的な生活習慣病の予防にも効果が期待できます。
ピラジンはパプリカやピーマンの特有成分で、香りや苦味の元となっています。ピラジンは血流促進作用があるため、高血圧予防の効果が期待できます。さらに血流が良くなることで夏の冷え性対策にも効果があります。
また、血液が固まるのを防ぐので、血液が固まって血管を塞ぐ血栓の予防が期待できます。パプリカはピーマンのワタにほとんど含まれているので、ぜひワタごと調理しましょう。
カプサイシンは辛味成分です。唐辛子に多く含まれる成分で、ナス科トウガラシ属であるパプリカにも含まれています。カプサイシンは末梢血管まで血流を良くする働きがあり体をあたためてくれるため、冷え性改善が期待できます。新陳代謝が活発になるため血行促進され老廃物の排出や疲労回復の効果が見込めます。さらに副腎からアドレナリンの分泌を促し、発汗や強心作用を促進してくれます。ちなみに赤いパプリカはカプサイシンの色です。
参考文献:
栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
栄養学博士 新出真理 監修(2014)『第2版 くらしに役立つ栄養学』ナツメ社
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