さまざまな味付けが楽しめ満足感もあり大変人気の高いアボカドですが、食べ過ぎには注意が必要です。アボカドをたくさん食べた場合どんなことが起こるのか解説していきます。1日あたりの摂取目安量も紹介します。
アボカドの食べ過ぎにはまずアレルギーに注意する必要があります。
アボカドはアレルギーを引き起こす食物の一つです。症状としては唇や口の中、喉にかゆみや腫れを起こしたり蕁麻疹やアナフィラキシーショックなどの重篤な症状が出る場合があります。
出典:厚生労働省|食物アレルギー
ラテックスは天然ゴムのことで、ラテックスアレルギーを持つ30〜50%の人がアボカドでアレルギーを引き起こすことがあります。これをラテックスフルーツ症候群といいます。アボカド以外にも栗やバナナ、キウイフルーツなども発症するリスクが高く注意が必要です。症状としては口の中の違和感やピリピリ感といった口腔アレルギー症状、蕁麻疹やアナフィラキシーショックなどの症状が出ることもあります。
出典:消費者庁・厚生労働省・経済産業省|ラテックスアレルギー
アレルギーを持っていない人でもかゆみやじんましんなどのアレルギーと似た症状を引き起こすことがあります。これを仮性アレルギーと言います。アボカドにはチラミンやセロトニンなどの仮性アレルゲンが含まれています。仮性アレルギーは発疹やかゆみが出ることが多く、症状は比較的軽いといわれています。しかし、大量に食べると強く症状がでることがあるため、症状が出る場合は食べるのは控えましょう。
出典:
アボカド100gあたりのカロリーは176kcalあり、根菜であるにんじんでも100gあたり39kcal、甘い西洋かぼちゃは91kcal、と他の野菜と比べてもアボカドのカロリーはとても高いことがわかります。
また、脂質は1個あたり約24.5gあり、だいたい大さじ2杯分の油を含んでいます。18歳〜29歳の女性の1日の脂質の目標量が44〜67gなのでアボカド1個で1日の脂質の半分から1/3程度摂れてしまうことになります。
食べすぎると1日の必要なカロリーや脂質量を超えてしまう可能性が高いため、肥満やニキビの原因になる場合があります。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
アボカドには食物繊維が含まれています。食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、アボカドにはどちらも含まれています。
不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になる可能性があります。
水溶性食物繊維は摂りすぎるとお腹がゆるくなる可能性があります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまう場合もあります。
出典:
栄養学博士 新出真理 監修(2014)『第2版 くらしに役立つ栄養学』ナツメ社薬の食べ合わせに注意
アボカドにはビタミンKが比較的多く含まれています。
ビタミンKには、ワルファリン(ワーファリン、クマジンとも言われている)という抗凝血剤(血栓の治療薬)の効果を低下させる可能性があります。
というのも、ワルファリンは血液を固まりにくくし血栓ができるのを防ぐ作用があります。しかしビタミンKは血液が固まるのに必要な成分であるため、効果を下げてしまいます。
薬を服用している場合は、かかりつけ医の指示に従いましょう。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
栄養を見ているだけでは分からないのが、生産や輸送過程での残留農薬や防カビ剤の心配です。少量なら問題ありませんが、摂取を続けると体に悪影響がある可能性があります。
日本で出回っているアボカドの9割以上が、メキシコ産のハス種といわれるものです。熟すと皮が黒くなるのがハス種の特徴です。
大阪市立環科研報告 平成21年度 第72集の「農産物中の残留農薬検査結果」ではアボカドから農薬は検出されなかったと結果が出ています。また、アメリカの環境保護団体『EWG』(Environmental Working Group)の調査結果でもアボカドの残留農薬は少ないと発表しています。これはアボカドのハス種は皮が固く厚いため、果肉からは検出されなかったと考えられます。逆にメキシコ産アボカドから基準値以上の農薬が検出されたという報告もあるため、必ずしも安全とは言えなさそうです。
もし、安全なものを求めるのであればオーガニックのものを選びましょう。輸入品で気になるのは農薬だけでなく防カビ剤の問題もあります。長期的な運搬や貯蔵によるカビの発生を防ぐため、輸入品の農作物の多くは防カビ剤が使用されています。防カビ剤は表示義務があるため、値札や品名札、陳列棚などに表記してあります。気になる方は防カビ剤、防ばい剤の表記がないものを選ぶか、しっかりと水洗いをして、厚めに皮をむくようにしましょう。
出典:大阪市立環科研報告 平成21年度 第72集『農産物中の残留農薬検査結果』
アボカドばかり食べ過ぎていると、栄養が偏ってしまいます。
例えば、アボカドに不足している栄養素には、ビタミンB1・B2・12・Dなどがあります。
ビタミンDは骨の形成を助け、ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。ビタミンDは肉類や卵に、ビタミンB12はレバーや牡蠣、あさりやしじみなどの魚介類、海苔をはじめとする藻類に多く含まれています。
ビタミン・ミネラルはバランスよく摂取するように心がけましょう。同じ栄養素であっても複数の食材から摂取した方が体によいとされていますので、アボカドばかり食べないように注意しましょう。
出典:農林水産省|食事バランスガイド
アボカドはカリウムが最も多く含まれる食品の一つです。
カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。
塩や醤油、味噌を頻繁に使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
アボカドの摂取量に決まりはありませんが、カロリーや果物の摂取目安量を参考に、目安を付けることは可能です。
実はアボカドは、果物に分類されます。農林水産省では概ね2年以上栽培する草本植物及び木本植物であって、果実を食用とするものをフルーツとして定義しているためです。ちなみにスイカやメロン、いちごは栽培方法の定義から野菜に分類されます。
果物の摂取目安量は、1日あたりおおよそ200〜300gです。アボカド1個の可食部は150g程度であり、他の果物を摂取した方がよいことを考慮すると、やはり1/2〜1個が妥当といえます。
出典:農林水産省|食事バランスガイド
アボカドには1個(可食部150g)当たり脂質が約26gと多く含まれていて、この量は1日の脂質目標量の1/3以上の量となります。
カロリーの観点ではアボカドは1個あたり約262kcaあり、これはおにぎり1個215kcaよりも高くなります。また、他のフルーツと比べてみるとみかん1個34kcal、バナナ1個77kcalととびぬけてカロリーは高いことがわかります。
脂質やカロリーの観点からみてもアボカドの1日の摂取量は1/2個あたりが目安となります。多くても1日1個にしましょう。
出典:農林水産省|脂質のとりすぎに注意
アボカドにはビタミンEが豊富に含まれています。
ビタミンEは抗酸化作用があります。体内の脂質が酸化するのを抑え、老化の予防をしてくれます。ビタミンEは血液中の悪玉コレステロールの酸化を抑える働きがあり、酸化によって進行してしまう動脈硬化の予防に役立ちます。さらにビタミンEは末梢血管の拡張させる働きがあるため、血行促進に繋がります。
また副腎や卵巣にも蓄えられる成分で、女性ホルモンや男性ホルモンなどを含むホルモンの代謝にビタミンEは関与しています。性ホルモンの生成や分泌の調整をする脳下垂体に働きかけ生殖機能の維持にも役立ちます。ビタミンEを十分に摂取することで、生理痛や月経前のイライラ、また生理不順などを改善する効果もあります。
葉酸はほうれん草の葉っぱから発見されたビタミンB群のひとつで、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球をつくるのに必要な栄養素で「造血ビタミン」とも言われています。赤血球は約4ヶ月で生まれ変わり体内では常に新しい赤血球が作られています。
また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。葉酸は水に溶けやすく、熱や光にも弱い性質があるので、茹でたり水洗いすることで含有量が減ってしまいます。そのため葉酸が含まれた野菜や果実は加熱せずに生野菜サラダや生搾りジュースで効率よく摂ることをおすすめします。
脂質の70%が不飽和脂肪酸でできてます。アボカドは森のバターと呼ばれるほど、脂質が高い食材です。
オレイン酸はオリーブオイルやひまわりオイルなどに多く含まれている一価不飽和脂肪酸に分類される油です。他の脂質に比べて酸化しにくく、加熱や長期保存にも強いのが特徴です。。
オレイン酸は善玉コレステロールを減らすことなく、悪玉コレステロールを低下させる効果があります。
さらには、小腸で消化吸収がされにくいことから腸を刺激して、腸の働きを活発にする効果があるため、便秘解消が期待できます。
また、動脈硬化や心疾患の予防の効果があると、研究されています。
リノール酸は、人の体内で合成できない必須脂肪酸です。オメガ6系脂肪酸のひとつで、ひまわり油やコーン油、ごま油に含まれています。
血液中のコレステロールを低下する作用があり、動脈硬化や心臓病の予防に繋がります。
ただ、リノール酸は摂取しすぎると、血液凝集作用や炎症を引き起こす作用を持ったアラキドン酸の生成促進に関与することが分かっています。現代人の食生活ではリノール酸を多く摂取しているので、摂取量は気をつけましょう。できればこのあと紹介するリノレン酸を含むオメガ3脂肪酸を積極的に摂取し、不飽和脂肪酸のバランスを整えることが大切です。
α-リノレン酸は脂質の構成成分の主体である脂肪酸のひとつで、人の体内で合成できない必須脂肪酸です。主にエゴマや亜麻に含まれる体い良い油です。また多価不飽和脂肪酸の中でもオメガ3(n-3脂肪酸)とも呼ばれています。
α-リノレン酸には多くの効果があります。まず、体内に入るとDHAやEPAに変換されるので、血液をサラサラにする効果があります。さらに脳細胞を活性化します。
α-リノレン酸が不足すると、細胞を守る細胞膜がしっかりと構成されなくなり、老化促進に繋がり、シワやたるみの原因となってしまいます。他にもアレルギーを抑制する効果もあります。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
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