濃い緑色で栄養価の高いイメージがある小松菜ですが、食べ過ぎるとどんなリスクがあるのでしょうか?小松菜の食べ過ぎが危険である原因を分かりやすく解説していきます。
シュウ酸は人間にとって栄養素というよりも老廃物です。シュウ酸は、摂取しすぎると尿路結石症を引き起こす原因になるため摂りすぎには注意が必要です。
シュウ酸は茹でることで減らせます。3分茹でると3分の1〜2分の1消失します。茹でることで水溶性の栄養素は損失してしまいますが、シュウ酸はなるべく摂取しないほうがいいです。
他にシュウ酸が含まれる食材は、ほうれん草やたけのこ、チョコレート、バナナなどがあります。
出典:日本医師会|尿路結石
小松菜には食物繊維が含まれています。食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類ありますが、小松菜にはどちらも含まれています。
不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になります。
水溶性食物繊維は摂りすぎると軟便や下痢に可能性があります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうことになりますので注意しましょう。
どのくらい摂取すると過剰摂取になるかの明確な数値はありません。逆に摂取目安量が設定されています。厚生労働省が発表してる日本人の食事摂取基準(2020年版)における、18〜64歳の食物繊維の1日あたりの摂取目標量は女性が18g以上、男性が21g以上です。キャベツなら2玉以上分の食物繊維です。
出典:
栄養学博士 新出真理 監修(2014)『第2版 くらしに役立つ栄養学』ナツメ社
カルシウムは普通の食事をしていて過剰摂取になることはほとんどありませんが、カルシウムを過剰摂取をすると、便秘、高カルシウム血症や高カルシウム尿症、軟組織の石灰化など様々な健康障害を引き起こす可能性があります。また鉄や亜鉛などの他のミネラルの吸収を阻害してしまいます。
カルシウムの耐用上限量は、成人であれば1日2,500mgとされています。小松菜100gに含まれるカルシウム量は170mgです。
片頭痛が起こるのは、脳血管の拡張と収縮が関係していると言われています。そのため血管を拡張させる働きがあるポリフェノールが多く含まれる食品が片頭痛を引き起こす可能性があります。
出典:全日本民医連『けんこう教室 頭痛』
鉄は摂取しすぎると、亜鉛の吸収を抑制します。ちなみにその亜鉛を摂りすぎると、今度は銅の吸収を抑制してしまいます。通常の食生活では、過剰摂取の心配はそこまでありませんが、慢性的に摂取しすぎると便秘や吐き気などといった症状を引き起こします。
鉄の1日あたりの耐用上限量は、成人女性で40mg、成人男性で50mgとなっています。小松菜可食部100gに含まれる鉄は2.8mgですので、通常の食事をしている場合は、摂りすぎの心配はありません。
ひとつの食材だけを摂取していると栄養が偏ってしまいます。
小松菜に不足している栄養素はまずビタミンDとビタミンB12です。含有量は0です。ビタミンDは骨の形成を助け、ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。ビタミンDは肉類や卵に、ビタミンB12はレバーや牡蠣、あさりやしじみなどの魚介類、海苔をはじめとする藻類に多く含まれています。
様々な食材を積極的に摂取し、バランスの良い食事を心がけましょう。
出典:農林水産省|食事バランスガイド
小松菜の可食部100gのエネルギー量(カロリー)は13kcal、糖質は0.5gととても低くなっています。ピーマンですら22kcal、じゃがいもだと59kcalです。相当な量を食べない限り太る心配はありませんが、味付けには注意が必要です。砂糖や油、塩分を多く使い調理するとその分カロリーは上がってしまいます。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
小松菜のGI値は23で、低GIに分類されます。
GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。
ただ何でも食べすぎはよくありませんので、程よい量を食べるようにしましょう。
小松菜はカリウムが豊富な野菜です。
カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。
日本人は塩や醤油、味噌を使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
小松菜にはβ-カロテン(ビタミンA)が豊富に含まれています。
ビタミンAは過剰摂取すると頭痛や吐き気などを伴うことがあります。また妊婦さんは特に気にかけた方がよく、妊娠初期に過剰摂取すると胎児に悪影響を及ぼす可能性が高くなることが報告されています。
ただ、ビタミンAはβ-カロテンが体内で必要な分だけ変換され、食べ物を摂取するうえで過剰症になる心配はありません。ビタミンA自体には過剰摂取の危険性はありますが、β-カロテンは問題ありません。
基本的に、ビタミン過剰症などはサプリメントの過剰摂取などから引き起こることが多いです。通常の食事や、1日に1つの食材を普段より多く食べたくらいでは過剰症の心配はありません。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
小松菜の1日の摂取目安量は明確に定まっていませんが、厚生労働省が発表している野菜の摂取目標量を基準に目安を把握することができます。
大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
小松菜は緑黄色野菜に分類されるので、他の野菜と合わせて120g以上を目安にするということになります。小松菜以外の緑黄色野菜には、人参やかぼちゃ、ブロッコリー、トマト、ピーマンなどがあります。他の緑黄色野菜も食べることを考えると、小松菜の1日あたりの摂取量は50g程が目安になります。
出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)
小松菜は栄養素の含有量で見ると、全体的に見るとほうれん草には及びませんがカルシウムや鉄分は小松菜の方が含有量は高く、ビタミン類もミネラルも十分に含まれていて栄養価が高い緑黄色野菜であることには間違いありません。またシュウ酸がほとんどないという点でも安心して食べられる食材です。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換されます。皮膚や喉など全身の粘膜を健康に保ち、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐことで免疫力をアップします。また、抗酸化作用もあるので、アンチエイジング効果や生活習慣病の予防効果が期待できます。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目や視力低下の抑制効果、他にも皮膚の健康維持に関与していることから乾燥肌やニキビ肌の改善など美肌効果も期待できます。
小松菜はビタミンC含有量は多いですが、採取後の損耗や加熱による損失が非常に早くなっています。20℃で貯蔵した場合、貯蔵4日後には葉身では3分の1、葉肉では減少率がやや少ないがかなりの量が分解、消失してしまいます。萎凋(いちょう)が激しいと、ビタミンCの分解が早いです。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
小松菜のカルシウム含有量は、なんとほうれん草の3〜4倍以上で、野菜の中で飛び抜けて多いです。ほうれん草のカルシウムはシュウ酸と結合して体内で吸収されにくいですが、小松菜のカルシウムは吸収されやすい特徴があります。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。
カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
鉄分はミネラル成分のひとつです。体に必要な栄養素で、成人のからだには約3〜5gの鉄が存在しています。
鉄は大きく分けて2種類あります。ひとつは機能鉄といって赤血球のヘモグロビンの材料となり、酸素を運びます。
もうひとつは貯蔵鉄といって肝臓や骨髄、筋肉などに蓄えられており、機能鉄が不足すると体内に放出されます。また、酵素の構成成分で、エネルギー代謝を助ける働きがあります。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
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