パールシュガーとは、直径4〜6mmの白い粒状の砂糖です。真珠のように見えることから「パール」と名付けられていますが、ベルギーワッフルによく使われることから「ワッフルシュガー」ともいいます。今回はパールシュガー(ワッフルシュガー)の特徴や栄養などを詳しく解説します。手作り方法もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
パールシュガーの原料は甜菜(テンサイ)です。甜菜は、温かい地域では病虫害に侵されやすいため、一般的に寒地で栽培されます。元々、甜菜はヨーロッパ地域が主産地でした。現在では、原産地は西アジア地域とされていますが、温帯から亜寒帯を中心に栽培地域が広がり、日本では北海道で、年間約62.1万トン*もの甜菜が生産されています(サトウキビは約18.6万トン*)。
*2009年の国内原料における砂糖生産量
パールシュガーは、上白糖の塊を砕いてふるいにかけ、所定の直径になるまで細かくして作られます。また、押し出し製法で作られることもあります。
パールシュガーは、他の砂糖と比較して融点が高いため、高温で焼いても溶けにくいです。そのため、シャリシャリという食感を残すことができ、ワッフルやカステラなどの甘味料として使用されます。
パールシュガーの原料となる上白糖(白砂糖)は、製法による分類で分蜜糖の車糖に該当する砂糖です。
分蜜糖とは、原料を絞った搾り汁(糖汁)から不純物を取り除き、濃縮して得られる白下糖(結晶と糖蜜の混合物)を分離させて、結晶だけを取り出して乾燥させた砂糖のことを指します。さらに分蜜糖はザラメ糖や車糖、加工糖などに細分化されます。車糖とは、ザラメ糖より結晶が小さく、糖度が94〜96%の砂糖を指します。
車糖などの砂糖を加工糖してつくられる砂糖を加工糖といいます。加工糖には、パームシュガー以外にも氷砂糖や角砂糖、粉砂糖などがあります。
ちなみに、糖蜜の部分も含んで作られる砂糖は含蜜糖(がんみつとう)といいます。原料の搾り汁(糖汁)から、不要な成分や不純物を大まかに除去し、そのまま加熱・濃縮して固化させた砂糖のことを指します。黒砂糖、きび砂糖、てんさい糖、パームシュガーなどが含蜜糖に分類されます。
パールシュガーは、ベルギーワッフルによく使用されることから「ワッフルシュガー」ともいいます。つまり、パールシュガー=ワッフルシュガーです。ちなみにワッフルシュガーは和製英語で、世界的にはパールシュガー(pearl sugar)やニブシュガー(nib sugar)が正式名称です。
また、あられのような塊をしていることから、「あられ糖」ということもあります。
したがって、ワッフルシュガーとあられ糖は、パールシュガーと同義です。
パールシュガーに似た砂糖に「ポップシュガー」があります。これは、グラニュー糖と氷砂糖を粉砕し固めた砂糖です。原料はテンサイとサトウキビで、ジャリジャリとした独特の食感が特徴です。
パールシュガーは、高温でも溶けにくいという性質を生かして、お菓子のトッピングとして使われることがほとんどです。
例えば、ベルギーワッフル、カステラ、ケーキ、マフィン、シナモンロールなどの生地に練り込んだり、焼き上がりのお菓子の上にのせます。
溶けにくい砂糖なので、料理や飲み物の甘味料としては不向きの砂糖です。
パールシュガーの栄養成分表は下記の通りです。
エネルギー・・・400kcal
たんぱく質・・・0g
脂質・・・0g
炭水化物・・・99.9g
食塩相当量・・・0g
※100gあたり
パールシュガーの100gあたりのカロリー(熱量)は400kcalです。ちなみに、上白糖の100gあたりのカロリーは384kcal、白ごはん100gのカロリーは168kcalです。
上述の通り、パールシュガーは分蜜糖に該当します。分蜜糖は、ミネラル類などの栄養素を含む糖蜜が除かれて作られるので、パールシュガーにもミネラル類は含まれていません。
パールシュガーの正確なGI値は不明ですが、原料である上白糖のGI値は109であり、高GI値食品です。
GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。
他の砂糖のGI値は、グラニュー糖は110、黒砂糖は99、てんさい糖は65です。GI値で見ると、てんさい糖を使用した方が、血糖値の急激な上昇を抑えやすくなります。
パールシュガーの重さは、粒の大きさによって異なりますが、大さじ1杯で約11g、小さじ1杯で約4gです。
パールシュガーは、ダイソーやセリアなどの100円ショップや、カルディ、成城石井、コストコなどで販売されています。
パールシュガーを取り扱っているスーパーであれば、製菓コーナーに置いてあることが多いです。スーパーなどで入手できない場合は、Amazonなどでも購入することが可能です。
パールシュガーの値段は、200gで300円前後、1kgで1,500円前後です。
パールシュガーの賞味期限は、製造メーカーによって異なりますが、製造日から1年であることが多いです。ただし、これは未開封である場合や正しく保存されていた場合なので、できるだけ早めに使い切りましょう。
また、メーカーによっては賞味期限を設けていないものもあります。砂糖は食品表示法によって、長期保存をしても品質の変化が極めて少ないものとして、賞味期限や消費期限の表示が省略可能な品目に定められています。
未開封の場合は、直射日光のあたる場所や高温多湿の場所を避けた場所で保存します。開封したら、密閉容器で保存します。冷蔵庫で保管すると、保存状態をよく保つことが可能です。
パールシュガーが自宅にない場合は、グラニュー糖を使って手作りすることが可能です。
必要な材料は、下記の通りです。
グラニュー糖:300g
水:大さじ6
氷水:適量
クッキングシート:2枚(30cm×25cm)
グラニュー糖と水を鍋に入れ火にかけ、112〜115℃になるまで加熱します。その後すぐに氷水で鍋を冷やし、混ぜながら温度を下げます。透明感がなくなり完全に白くなったら、クッキングシートに1〜1.5mmの薄さになるように伸ばします。半乾きになったら好みの大きさに切って、粒状に丸めてクッキングシートの上に置き完全に乾燥させます。これで手作りパールシュガーの完成です。
グラニュー糖は、分蜜糖のザラメ糖に該当します。グラニュー糖の粒径は0.2〜0.7mmと、ザラメ糖の中では最も結晶が小さいです。クセがなく淡白な甘味が特徴です。粒が小さいため溶けやすく、また焦げにくい性質があります。
グラニュー糖の「グラニュー」は、英語の「granulated(粒状の、粗い)」に由来します。日本では砂糖というと白砂糖(上白糖)が一般的ですが、世界的にはグラニュー糖を指すことが多いです。
クセがない甘味を活かし、紅茶やコーヒーなどの香りを大切にしたい飲み物の甘味料や、クッキーやケーキ、マフィン、マカロンなどの洋菓子作りに適しています。
グラニュー糖の100gあたりのカロリー(エネルギー)は387kcalでGI値は110です。
グラニュー糖は、大さじ1杯で12g、小さじ1杯で4gです。ちなみに、上白糖の重さは大さじ1杯で9g、小さじ1杯で3gです。上白糖と比較すると、結晶が大きいためやや重みがあることがわかります。
白ザラ糖も、グラニュー糖と同様に分蜜糖のザラメ糖の一種です。ショ糖純度が99.0%と高いです。結晶が1〜3mmと大きめで、無色透明の直方体になっています。
上白糖やグラニュー糖と同じように、クセがない淡白な甘味が特徴です。焼き菓子や和菓子、飲み物(コーヒー、紅茶)、果実酒など幅広く使用することが可能です。
粒が粗いことから、元々は「粗目(あらめ)」と呼ばれていたものが、発音が訛って「ざらめ」と呼ばれるようになったといわれています。「双目(ざらめ)」は当て字です。なお、英語では「caster sugar」といいます。
白ザラ糖の100gあたりのカロリー(エネルギー量)は387kcalで、GI値は110です。
白ザラ糖の重さは、大さじ1杯で約13〜15g、小さじ1杯で約4〜5gとなります。
中ザラ糖は、上記でご紹介した白ザラ糖に、カラメルで着色した砂糖を指します。褐色を帯びていることから、別名「黄ざら糖」「赤ざら」ともいいます。
中ザラ糖は、カラメル風味がする香ばしい甘さが特徴です。しょうゆとの相性が良いといわれており、煮物や照り焼きなどの和食に適しています。
重さや栄養素、カロリー、製造方法などは白ザラ糖とほぼ同じです。
角砂糖は、パールシュガーと同様に分蜜糖の加工糖に該当する砂糖です。グラニュー糖に飽和溶液を加えて型に入れ、熱風で加熱して固めたものです。飽和溶液がセメントの役目をして、グラニュー糖を立方体型やドミノ型などの形に成型することが可能です。
角砂糖は蜜の香りがほとんどしないため、香りを大切にしたい紅茶やコーヒーなどに入れるテーブルシュガーとして使用されます。重さを測る必要がないので、計量スプーンなどがない場合の調理にも便利です。
角砂糖の100gあたりのカロリー(エネルギー)は387kcalです。
角砂糖1個あたりの重さは約3〜4gです。
上白糖(じょうはくとう)は、分蜜糖の車糖に該当する砂糖です。糖の再結晶化を防ぐためにビスコと呼ばれる糖液を添加しているため、ザラメ糖と比較するとしっとりとしています。上白糖は、白ザラ糖やグラニュー糖をつくる際に回収される糖蜜を加熱、乾燥してつくられます。
上白糖は一般に「白砂糖」と呼ばれる砂糖のことを指し、上白糖は日本独自の砂糖で、国内の砂糖消費量の半分以上を占めています。
甘さにクセがないため、料理全般や菓子、パンなど幅広く使われますが、加熱すると焦げやすいので注意が必要です。
上白糖の100gあたりのカロリー(エネルギー)は384kcal、GI値は109です。
大さじ1杯で9g、小さじ1杯で3gです。
パールシュガーがない場合は、上記でご紹介したように、グラニュー糖で手作りすることが可能です。グラニュー糖もない場合は、白ザラ糖や中ザラ糖などのザラメでパールシュガーの代用が可能です。
ザラメ糖も、焼き菓子などに使用しても食感が残りやすいです。ただし、パールシュガーと比較すると結晶が小さく、熱で溶けてしまうこともあります。
ザラメ糖の食感を残したい場合は、生地に混ぜ込むのではなく、生地の上からザラメ糖をかけて焼くと溶けにくいです。
パールシュガーの代用として角砂糖も使用可能です。角砂糖の方が塊が大きいので、砕いて使用しましょう。
角砂糖をビニール袋に入れて綿棒などで叩くと、砂糖が飛び散らず細かく砕くことができます。細かくしすぎると砂糖が溶けてしまいますので、ある程度の塊になるように大きさを確認しながら作りましょう。
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