ピンクソルトは岩塩の一種でミネラルを豊富に含んでいることで知られていますが、ピンクソルトにはどんな効果があるのでしょうか?本記事ではピンクソルトについて詳しく解説します。
ピンクソルトは岩塩の一種で、「ピンク岩塩」ともいわれます。
岩塩とは、海底だった場所が地殻変動で隆起し、海水を閉じ込めた状態の陸になった場所や、砂漠地帯にある塩分を多く含む湖などの水分が長い年月をかけて蒸発し、塩が結晶化したものです。
世界一標高の高い山々であるヒマラヤ山脈から取れる岩塩をヒマラヤ岩塩、アンデス山中標高3,700mにあるウユニ湖周辺から切り出した岩塩をアンデス岩塩といいます。
岩塩は結晶の格子欠陥や成分の含有量などの作用により、淡紅色(たんこうしょく)といわれるうす紅色をしたものの他、紫色や黒色、黄色などの様々な色があり、淡紅色のものを「ピンクソルト」として販売しています。
販売されているピンクソルトの多くは、ヒマラヤ山脈に繋がる パキスタンの巨大ソルトレンジ(巨大な岩塩鉱脈が存在する洞窟)で採掘したヒラヤマ岩塩で、ピンクソルトは岩塩の中で最も採掘量が多いです。
ピンクソルトの大きな特徴は、ピンク色の見た目です。
ピンクソルトがピンク色なのは、着色料を使っているからではありません。ピンクソルトは鉄分の多い土壌で結晶化したものであり、この鉄分が色素となっています。鉄分の含有量によって薄いピンクから赤茶色のものまで様々な色味があり、深い赤色のものを「レッドソルト」といいます。その他にもローズソルトなどの商品名で販売されていることがあります。
ピンクソルトなどの岩塩は粒子が粗く直径3cm~5cmの塊状のものや直径3~5mmの粒状のものが多く、ミルなどで砕いて使います。粒子が粗く溶けにくいため塩粒の食感と味がそのまま残ります。
ピンクソルトはまろやかで、甘みがあります。塩特有の塩辛さはありません。これは、ピンクソルトに塩辛さの元になる塩化ナトリウム以外のミネラル成分が多く含まれているためです。
色が赤いほど塩化ナトリウム以外の含有量が多くなり塩辛さが軽減されますが、塩化ナトリウム以外のミネラル成分の含有量が多くなるぶん雑味が出てしまうため、程よい色味のピンクソルトを選ぶと良いでしょう。
普段食卓で使っている普通の塩(食卓塩)とピンクソルトは、どちらも塩気を出す調味料として使うことができますが、明確な違いがあります。
普段食卓で使っている塩は、岩塩ではなく海塩(かいえん)です。
海塩は簡単にいえば海水を原料に作られる塩です。製法には海水を火にかけて水分を蒸発させる方法や、組み上げた海水を天日干しにして水分を蒸発させる方法(天日塩)などがあります。
出典:食用塩公正取引協議会
普通の塩は色や粒子の大きさ、味などもピンクソルトとは異なります。
普通の塩は、白いです。粒子が非常に細かいため水に溶けやすく、料理の下味などに使うのにも適しています。
普通の塩は、製造の過程で塩化ナトリウム以外のミネラル分がほとんど除去されているため100%近くを塩化ナトリウムが占めています。そのためピンクソルトと比較して塩分の濃度が高く、塩辛さがあるのが特徴です。
ピンクソルトは、料理の仕上げに味付けとしてふりかけて使うことが多いです。
粒子が粗く溶けにくいため下味付けには不向きです。料理の最後に使ったほうがピンクソルトの良さを活かすことができます。
ピンクソルトはまろやかで、旨味が出すことができるため赤身肉のステーキや、焼き魚などの料理との相性がとても良いです。また、野菜にふりかけても素材そのものの味をしっかり引き立てます。その他にもフォッカッチャなどのパンや、果物にピンクソルトをふりかけると、程よい塩味がアクセントになるのでおすすめです。
てんぷらなどの揚げ物のつけ塩として使うことも多いです。
ピンクソルトを味付けに使うことで旨味が増すだけではなく、栄養価も高めることができます。
オリーブオイルなどのオイルにピンクソルトを入れればドレッシングにもなります。
普通の塩よりもまろやかなので、塩辛さが苦手な方や高血圧で塩分を控えたい方にもおすすめです。
ピンクソルトには食用だけではなく非食用もあり、バスソルトとして使われることが多いです。
バスソルトとは入浴時に浴槽に入れる塩のことです。
水道水に含まれているカルキはたんぱく質を破壊する作用があり、髪や皮膚に悪影響を及ぼすともいわれています。ピンクソルトにはカルキを除く働きがあるため、カルキによる髪や皮膚へのダメージを低減する効果が期待できます。
また、バスソルトには様々な種類がありますが、ピンクソルトは匂いがほとんどしないため匂いがきついものが苦手という方にもおすすめです。
非食用のピンクソルトは、バスソルトの他にも洗顔料や歯磨き粉として使われることもあります。
塩は空間を清めるために使われることがありますが、ピンクソルトも空間の浄化やお守りとして使われることがあります。
ピンクソルトの原産地であるヒマラヤはパワースポットとしても有名で、ヒマラヤで採れるピンクソルトも浄化力が高いといわれています。また、ピンクソルトはマイナスイオンを発生させるため部屋に置いておくと湿気を取り除くことができます。
ピンクソルトは天然岩塩であるため含まれている成分や含有量には変動がありますが、ピンクソルト(ヒマラヤ岩塩)100gあたりに含まれている目安は下記の通りです。
塩化ナトリウム…39.1g
カルシウム…274mg
マグネシウム…211mg
鉄…8.83mg
マンガン…0.19mg
銅…0.02mg
一般的に食卓で使う塩と比較して塩辛さを感じる塩化ナトリウムの含有量が少なく、マグネシウムやカルシウム、カリウムが豊富に含まれています。
ミネラルを豊富に含んだピンクソルトは、水に溶かして飲んだりバスソルトとして使用することで皮膚や脂肪に蓄積された毒素を排出するイオン液体になるため、身体に溜まった毒素を排出するデトックス効果があるといわれています。
ダイエット中の方は朝起きてから30分以内に300ccの白湯にピンクソルト小さじ1杯程度を入れて飲むのがおすすめとされています。体から毒素や老廃物が体内から排出され新陳代謝がアップするため、痩せやすい体質に導くことが期待できます。
ピンクソルトには上述したようにミネラルが豊富に含まれており、そのミネラルバランスは人間の体内にあるミネラルとほぼ同じであるといわれています。そのため、ピンクソルトは、崩れてしまいがちな体内のpHバランスを整える効果が期待できます。pHバランスとは体内の血液や体液の酸性・アルカリ性のバランスのことで、pHバランスが整っていると免疫力を高めたり、消化機能の改善に繋がります。消化機能が改善することは、空腹感を減らすことにも繋がるためダイエット中の方にも利点があるといえます。
塩といえば血圧を高くしてしまう原因としても知られていますが、ほぼ100%が塩化ナトリウムである普通の塩とは異なり、ピンクソルトはミネラルがバランス良く含まれているため体がミネラルを分解・吸収する時間がより短くするといわれています。
ピンクソルトなどの岩塩は、古くから薬効効果があるといわれ薬としても使われてきたといわれています。
例えば、ピンクソルトは喉の腫れを抑え口内を清潔に保ってくれるため、ピンクソルトを入れた水でうがいをすることで、炎症を起こした喉の痛みを緩和する効果も期待できます。鼻づまりが辛いときは、ピンクソルトを使って鼻うがいをすると鼻炎の解消に繋がるといわれています。
また、筋肉痛や炎症による痛みがある場合もピンクソルトを入れて入浴すれば、痛みを和らげることができるとされます。
睡眠と塩に含まれているナトリウムには実は深い関係があり、毎日の食事の中で十分に摂取することは睡眠の質を高めることができるといわれています。
ピンクソルトにがナトリウムが豊富に含まれているため、1度の食事でしっかりと摂ることができ質の高い睡眠をとることができます。近年では食事として摂取するだけではなくピンクソルトで作られたランプがマイナスイオンを発生させ、睡眠の質を上げるともいわれています。
ピンクソルトには様々な効果・効能がありますが、塩であることには変わりありません。
特に味付けに使う際は、普通の塩よりも塩辛さがないためかけすぎてしまう事が多いです。厚生労働省では目標量を成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満としていますので、こちらを目安に摂取しすぎないよう注意しましょう。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)
ピンクソルトは輸入商品を多く取り扱うカルディやコストコで購入することができます。
また、イオンや業務スーパーなどの一般的なスーパーや無印良品でも取り扱っている店舗が多くなっています。ただし普通の塩とは異なり必ずあるというわけではないので、購入する際は店舗に確認してみてください。
近くに取り扱っている店舗がないという場合は、Amazonや楽天などのネット通販の利用がおすすめです。
値段はメーカーによって異なりますが、例えばカルディでは110g(ミル付き)306円で販売されています。
ゴマ塩やクレイジーソルトなど塩以外のものがブレンドされている塩を除き、塩には基本的に賞味期限がありません。食品は細菌や微生物が原因で劣化してしまうのですが、塩は水分が少なく細菌が繁殖する原因となる水分がほとんどありません。そのため品質が劣化しにくく賞味期限を記載することが義務付けられていないのです。
ピンクソルトにも賞味期限が記載されていないことが多いのですが、メーカーによっては目安として賞味期限が記載されていることがあるので、記載がある場合はそちらに従ってください。
ピンクソルトは、湿気が原因で劣化してしまうことがあるので空気に触れないよう密閉できる容器に入れて直射日光の当たる場所や高温多湿の場所を避けた冷暗所で常温保存するのが基本です。
冷蔵庫に入れたほうが品質が保たれるような気がしますが、冷蔵保存だと出し入れや扉の開け締めの温度変化により結露ができてしまい、水分がピンクソルトに入り劣化させてしまう可能性が高いです。
ブラックソルトも岩塩の一種です。
ピンクソルトと同じくヒマラヤ山脈の岩塩地層から採取されており、赤色の鉄分と緑色の銅分が含まれているため固形時は黒色に見えます。
独特な硫黄の香りを持っているのが特徴で、お肉料理などの味付けに使うと肉の臭みを緩和し、甘みを引き出してくれます。その他チーズや枝豆、そら豆にも良く合います。
ピンクソルトと同じように亜鉛や鉄マグネシウムなどのミネラルが多く含まれ食用としてはもちろん、バスソルトやスクラブなどの美容目的で使用されることも多いです。
クリスタルソルトも岩塩の一種です。
陸地に自然に押し上げられた海水の塩分が自然に結晶化した自然由来の塩で、「クリスタル岩塩」ともいわれます。
自然由来のクリスタルソルトは、主にヒマラヤ山脈で採掘されます。不純物が少なく、採掘量が少ないため希少価値が高いです。
クリスタルソルトは、長時間かけて海水の水分を飛ばしているため普通の塩よりも塩気がなく優しいしょっぱさが特徴です。
肉料理などの味付けはもちろんのこと、一緒に果物や野菜にかけて食べることも多いです。
粗塩(あらじお)は、海水を塩田に入れて太陽や風にあててゆっくりと水分を飛ばし結晶化させた塩です。
海水の水分を飛ばして作るという点では普通の塩と同じですが、普通の塩は上述したように火にかけて水分を蒸発させ、そのなかに含まれる残留物を洗浄した後に選別したものなので、粗塩とは製造方法が異なります。
粗塩は海水から自然に水分を飛ばしているため、海水に含まれる天然のミネラル分やにがりのほのかな苦みを含んでおり、複雑なうま味とマイルドな味わいが特徴です。素材の味をダイレクトに感じることができる粗塩は、おにぎりなどに良く合います。
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