黒砂糖は、サトウキビの搾り汁から不純物を取り除き、煮詰めて作る砂糖のことです。黒糖(こくとう)ともいいます。独特な風味やコクがあり、黒褐色をなしています。他の砂糖と比較してミネラルやビタミンが豊富に配合されているのが特徴です。今回は、黒砂糖の特徴や製造方法、他の砂糖との違いなどを詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
そもそも砂糖とは、サトウキビ(甘庶)やビート(サトウダイコン、テンサイ)などの植物に含まれる糖分を抽出し、結晶化させた甘味料です。砂糖は、原料もしくは製法によって分類することができます。
砂糖の原料による分類は、サトウキビ由来の砂糖を「甘庶糖(かんしょとう)」、テンサイ由来の砂糖を「テンサイ糖」または「ビート糖」と呼びます。サトウキビの正式名称は甘庶(かんしゃ)といいます。
日本で消費される砂糖のうち3〜4割は国産原料で、6〜7割は輸入糖です。国産砂糖のうち約7割がテンサイ由来で、約3割がサトウキビ由来です。輸入糖はほぼすべてサトウキビ由来です。つまり、日本で消費される砂糖の約8割は甘庶糖ということになります。
製法による分類は、分蜜糖(ぶんみつとう)と含蜜糖(がんみつとう)に大別されます。
分蜜糖は、原料を絞った搾り汁(糖汁)から不純物を取り除き、濃縮して得られる白下糖(結晶と糖蜜の混合物)を分離させて、結晶だけを取り出して乾燥させた砂糖のことを指します。さらに分蜜糖はザラメ糖や車糖、加工糖などに細分化されます。グラニュー糖や上白糖、三温糖、一部のきび砂糖などは分蜜糖に分類されます。
含蜜糖とは、原料の搾り汁(糖汁)から、不要な成分や不純物を大まかに除去し、そのまま加熱・濃縮して固化させた砂糖のことを指します。黒砂糖、きび砂糖、てんさい糖、パームシュガーなどが含蜜糖に分類されます。
黒砂糖とは、サトウキビを原料とした砂糖です。黒褐色をなしており、形状はレンガ状やレンガ状の黒砂糖を大まかに砕いたブロック状、そして粉状のものがあります。結晶自体は極めて小さいため、舌触りがよいです。
独特の風味やコクがあり、ややクセのある砂糖ですが、この特徴を生かして様々な料理や菓子に用いられます。黒砂糖は、ビタミンやミネラルなどの栄養を豊富に含んでいます。
黒砂糖は含蜜糖の代表で、糖蜜を多く含むため固まりやすいです。ショ糖分は約80〜86で、水分量は4%と、他の砂糖と比較すると多めです(上白糖は0.8%、グラニュー糖は0.01〜0.02%)。
サトウキビ栽培が盛んな一部地域では甘味料として使用されますが、その他の地域では健康食品として扱われることも多いです。
上述した通り、黒砂糖の原料はサトウキビ(甘庶)です。サトウキビは、イネ科の多年性植物です。茎だけで高さが3mにもなり、茎には竹のように節があります。サトウキビは、高温多湿で年間の平均気温が20℃以上の土地でよく育つといわれており、日本では沖縄県と鹿児島県が主な生産地となっています。
そもそもサトウキビ自体の歴史は古く、4000年以上も前からインドですでに栽培されていたといわれています。日本では江戸時代に奄美大島にサトウキビの苗が植えられ、栽培が始まりました。黒砂糖のことを「大島糖」と呼ぶこともありますが、これは以前に大島(奄美大島)が主な産地だったためです。
1623年に琉球王国の士族であった儀間真常(ぎましんじょう)が、中国に使節団を送った際に黒砂糖の製法を習得させ、日本での生産が始まったといわれています。
上記でご紹介した通り、黒砂糖は含蜜糖に該当する砂糖です。黒砂糖の製造方法には、伝統的な製法と新式な製法があります。沖縄県や鹿児島県などの温暖な地域では伝統的な製法で小規模に生産されています。
伝統的な製法でも新式な製法でも、サトウキビの搾り汁をそのまま加熱してph調整を行い、不純物を取り除いた後に濃縮し冷却して固めて作るのが一般的です。
サトウキビの茎の皮を剥いて圧搾機で搾り、搾り汁を取ります。搾り汁に石灰乳を加えて煮立たせると、アクやかすが浮かびあがるので取り除き、さらに煮詰めて濃縮していきます。シロップ状になったら冷却します。冷却する間に結晶が出来上がるので、人力でしっかり撹拌するのが伝統的な製法、機械的に撹拌するのが新式な製法です。最後に型に入れて固めて出来上がりです。
伝統的な製法の方が、製造工程が多くかつ人力で行うことも多いです。
黒砂糖の品質は、アクの取り方や石灰乳の添加量などによって異なります。丁寧にアクを取り除くと、仕上がりの色が淡くなり、アクや苦味の少ない黒砂糖になります。
黒砂糖の形状によって重さは異なります。ブロック状などの黒砂糖の重さは、塊の大きさによって違います。
粉状の黒砂糖の重さは、大さじ1杯で9g、小さじ1杯で3gです。
黒砂糖は別名「黒糖」ともいいます。
加工黒糖は、黒糖(黒砂糖)に原料糖や糖蜜などを合わせた砂糖のことです。原料糖とは、サトウキビを煮詰めて遠心分離機にかけた時に得られる結晶のことで、糖蜜は、遠心分離機にかけた時に得られる液体のことを指します。
原料糖や糖蜜を加えることで、黒砂糖独特の風味がやわらぎ、使いやすく食べやすくなるのが特徴です。
加工黒糖の場合は、食品成分表に「原料糖、黒糖」と表示されます。
黒砂糖の栄養素は下記の通りです。
エネルギー・・・352kcal
たんぱく質・・・1.7g
脂質・・・Tr
炭水化物・・・90.3g
無機質
ナトリウム・・・27mg
カリウム・・・1100mg
カルシウム・・・240mg
マグネシウム・・・31mg
リン・・・31mg
鉄・・・4.7mg
亜鉛・・・0.5mg
銅・・・0.24mg
マンガン・・・0.93mg
ヨウ素・・・15μg
セレン・・・4μg
クロム・・・13μg
モリブデン・・・9μg
※Trとは「微量」のこと
※100gあたり
参考:食品成分データベース
黒砂糖の100gあたりのカロリー(エネルギー量)は352kcalです。ちなみに、上白糖(白砂糖)のカロリー(エネルギー量)は384kcalです。ごはん一杯(100g)のカロリーは168kcalです。
上記の成分表からもわかる通り、黒砂糖には各種ミネラルが豊富に配合されています。特にカルシウムやカリウムの配合量が、他の砂糖類と比較すると顕著に多く含まれています。これは、黒砂糖がミネラル成分を含むサトウキビの搾り汁をそのまま使用して作られているためです。
ミネラルは、私たち人間の体にとって必要不可欠な成分です。ミネラルには、ナトリウムやカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など様々な種類があります。これらのミネラルは、体の成分になったり、神経や筋肉を正常に保ったり、代謝を促進するなどの役割があります。残念ながら体内では合成されないため、食事を通してミネラルを摂取する必要があります。
黒砂糖には、ビタミン類も豊富に配合されています。
ビタミンA
β-カロテン・・・13μg
ビタミンB1・・・0.05mg
ビタミンB2・・・0.07mg
ナイアシン・・・0.8mg
ナイアシン当量・・・0.9mg
ビタミンB6・・・0.72mg
葉酸・・・10μg
パントテン酸・・・1.39mg
ビチオン・・・34.0μg
特に、ビタミンB類やナイアシンなどのビタミンが含まれているのが特徴です。
ビタミンB1は糖質がエネルギーに代謝されるのをサポートする働きが、ビタミンB2には糖質や脂質、たんぱく質の代謝のサポートをする働きがあり、ビタミンB12には赤血球を作るのに欠かせない栄養素です。
黒砂糖には、ポリフェノールも豊富に配合されているといわれています。ポリフェノールとは、植物の葉や茎などに含まれる色素の総称で、紫外線や乾燥などの外的環境から自らを守るための成分です。
ポリフェノールには高い抗酸化作用があるといわれています。ポリフェノールの種類には、カテキンやアントシアニン、クルクミンなどがあります。黒砂糖には、17種類のポリフェノールが配合されているといわれています(メーカーや製造方法によって配合種類や量は異なります)。
黒砂糖には、血圧や血中コレステロール値を正常に保ったり、ストレスの緩和や睡眠の質の向上などの作用があるγ-アミノ酪酸(GABA)も配合されているといわれています。
黒砂糖のGI値は99であり、高GI値食品に分類されます。
GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。
ちなみに他の砂糖のGI値は、グラニュー糖は110、黒砂糖は99、てんさい糖は65です。GI値で見ると、てんさい糖を使用した方が、血糖値の急激な上昇を抑えやすくなります。
黒砂糖の原料であるサトウキビを摂取することで、アレルギー反応が出ることがあるようです。具体的には、黒砂糖に微量に含まれているたんぱく質やイネ科植物の花粉などにより、かゆみや頭痛などが生じる場合があります。
そのため、さとうきびアレルギーをお持ちの方は、さとうきびでつくられたきび砂糖は避けるべきです。黒砂糖以外でも、上白糖(白砂糖)やグラニュー糖、黒糖などもサトウキビで作れていますので、これらの砂糖も控えるべきです。
サトウキビアレルギーの方は、黒砂糖砂糖の代用品としては、てんさい糖やメープルシロップ、アガベシロップなどがあります(詳しくは後述します)。
黒砂糖は、甘味料として使用されることが多いですが、現代では風味や食感などを生かした使い方をされることもあります。
黒砂糖の独特の風味を生かして、かりんとうやまんじゅう、みたらし、どらやき、わらび餅などに使われます。
白砂糖と併用することでアクを調整し、羊羹などに独特の風味をもたせるために使われることもあります。
黒砂糖は、和菓子だけでなく、洋菓子の甘味料としても使われることが多いです。具体的には、パウンドケーキや蒸しパン、クッキーなどに用いられます。
黒砂糖は黒褐色をなしているため、上白糖やグラニュー糖を使用する時と比べて、仕上がりが黒っぽくなります。贈り物など、きれいな見た目を優先したい場合は、黒砂糖の使用を避けるとよいです。
また黒砂糖は、ヨーグルトの上にかけて食べても美味しいですよ。
黒砂糖の独特の風味とコクは、和食との相性が抜群です。佃煮や煮物などの甘味づけとしておすすめです。
上述の通り、黒砂糖は黒褐色を帯びていますので、仕上がりの色が濃くなる場合があります。
黒砂糖の独特な甘味は、コーヒーや梅酒などの飲み物などとも合います。
梅酒などの果実酒は、基本的に氷砂糖で甘味をつけますが、黒糖を使うことで風味豊かな仕上がりになります。じっくりと溶ける方が果実の甘味がでやすいので、ブロック状の黒砂糖を使用することをおすすめします。
黒砂糖に限らず砂糖全般に言えることですが、砂糖には賞味期限が設けられていません。食品表示法に基づき、砂糖は長期保存をしても品質の変化が極めて少ないものとして、賞味期限や消費期限の表示が省略可能な品目に定められています。
長期間保存してる砂糖も基本的には使用可能ですが、砂糖の状態を見て使用できるか否かを判断しましょう。湿気て溶け出していたり、部分的に変色している場合は、使用を避けるべきです。
また、製造メーカーによっては、賞味期限を設けている場合もあります。その場合の賞味期限は4ヶ月〜2年とばらつきがありますので、購入時に必ず確認しましょう。
黒砂糖は水分量が多く、吸湿性があるため、なるべく冷暗所で、容器で密閉保存することをおすすめします。
上白糖(じょうはくとう)は、分蜜糖の車糖の一種です。車糖に含まれる砂糖(三温糖、中白糖など)は、ザラメ糖よりも結晶が小さく、ショ糖純度が94〜96%と比較的高いのが特徴です。糖の再結晶化を防ぐためにビスコと呼ばれる糖液を添加しているため、ザラメ糖と比較するとしっとりとしています。上白糖は、白ザラ糖やグラニュー糖をつくる際に回収される糖蜜を加熱、乾燥してつくられます。
上白糖は一般に「白砂糖」と呼ばれる砂糖のことを指し、上白糖は日本独自の砂糖で、国内の砂糖消費量の半分以上を占めています。
甘さにクセがないため、料理全般や菓子、パンなど幅広く使われますが、加熱すると焦げやすいので注意が必要です。
上白糖の100gあたりのカロリー(エネルギー)は384kcal、GI値は109です。
大さじ1杯で9g、小さじ1杯で3gです。
「きび砂糖」の名称で販売されている砂糖は、日新製糖独自の砂糖です。「きび砂糖」と「きび」は日新製糖の登録商標です。日新製糖のきび砂糖と同じ原料や似たような製造方法で作られている砂糖もありますが、それらは「さとうきび粗糖」や「さとうきび糖」、「きび糖」などの名称で販売されています。
きび砂糖はメーカーによって、分蜜糖の場合と含蜜糖の場合があります。分蜜糖の場合、原料糖を溶かして液体にし、精製する途中で煮詰めて結晶化して作られます。含蜜糖の場合は、サトウキビの搾り汁から最低限の不純物を取り除き、煮詰めて作られます。
上白糖などの一般的な砂糖は精製工程が多いため、無色透明の砂糖に仕上がります。一方で、きび砂糖は製造工程が上白糖より少ないため、もともとサトウキビに含まれる成分や風味が残ります。また、きび砂糖の栄養素は、上白糖や三温糖よりも高く、カリウムやナトリウムなどのミネラルが豊富に含まれています。
きび砂糖には、黒砂糖に似た独特の風味があり、まろやかな甘さが特徴です。そのため、黒砂糖よりも調理に適しており、色付きを気にしなければ、上白糖と同様に料理全般や菓子、コーヒーなど幅広く使用することが可能です。特に、筑前煮や照り焼きなど、コクを出したい和食の味付けに最適です。
ちなみに、「素精糖」はきび砂糖の一種で、沖縄県北部産のサトウキビを原料としてつくられるきび砂糖です。
きび砂糖の100gあたりのカロリー(エネルギー量)は396kcalです。
大さじ1杯は9g、小さじ1杯は3gとなります。
てんさい糖は、甜菜(テンサイ)の根に含まる糖から作られる砂糖です。含蜜糖に該当する場合と、分蜜糖を製造する際に得られる糖蜜のみを原料にしているメーカーもあります。
含蜜糖の場合、原料である甜菜の搾り汁から不純物を取り除き、搾り汁を煮詰めて作られます。糖蜜から作られる場合、分蜜糖を製造する際に得られる糖蜜を煮詰めて作られます。
てんさい糖(ビート糖)には天然のオリゴ糖が含まれているため、腸内環境を整える効果が期待できます。まろやかな甘さと風味、コクが特徴で、上白糖と同じように様々な料理や菓子などに使用することができます。
てんさい糖の100gあたりのカロリー(エネルギー)は約380kcalで、GI値は65です。他の砂糖と比較してGI値が低いため、てんさい糖を使用した方が、血糖値の急激な上昇を抑えやすくなります。
大さじ1杯で9gで、小さじ1杯で3gです。
三温糖は、分蜜糖の車糖に該当する砂糖です。上白糖や中白糖(上白糖を回収した糖蜜からつくられる砂糖)を回収した糖蜜からつくられます。
三温糖は、上白糖と同様に日本独自の砂糖で、三温糖という名前は、「糖蜜を三度煮詰めてつくる」という工程に由来しています。グラニュー糖や白ザラ糖、上白糖と比較すると純度は低いです。三温糖を作る際の加熱によって黄褐色に色付き、カラメル成分が形成されるため、カラメル色になっています。
三温糖は甘味が強くカラメル風味がするのが特徴で、煮物や佃煮、角煮、菓子の甘味料に適しています。
三温糖の100gあたりのカロリー(エネルギー量)は382kcalで、GI値は108です。
三温糖の重さは、上白糖と同じで、大さじ1杯で9g、小さじ1杯で3gとなります。
グラニュー糖は、分蜜糖のザラメ糖に該当します。グラニュー糖の粒径は0.2〜0.7mmと、ザラメ糖の中では最も結晶が小さいです。グラニュー糖も白ザラ糖と同様に味にクセがなく淡白な甘味が特徴です。粒が小さいため溶けやすく、また焦げにくい性質があります。
グラニュー糖の「グラニュー」は、英語の「granulated(粒状の、粗い)」に由来します。日本では砂糖といえば白砂糖(上白糖)が一般的ですが、世界的にはグラニュー糖を指すことが多いです。
グラニュー糖の100gあたりのカロリー(エネルギー)は387kcal、GI値は110であり、いずれも白ザラ糖と同じです。
グラニュー糖は、大さじ1杯で12g、小さじ1杯で4gです。
クセがない甘味を活かし、紅茶やコーヒーなどの香りを大切にしたい飲み物の甘味料や、クッキーやケーキ、マフィン、マカロンなどの洋菓子作りに適しています。
白ザラ糖は、グラニュー糖と同じザラメ糖に該当する砂糖です。漢字表記は「白双糖」です。
白ザラ糖の結晶は1〜3mmとザラメ糖の中では最も結晶が大きく、平たい直方体になっています。結晶は無色透明です。クセがない淡白な甘味が特徴です(使い方は後ほどご紹介します)。
結晶が大きいため溶けにくく、また100〜150℃で加熱しても着色しにくいといわれています。
白ザラ糖は大さじ1杯で約13g、小さじ1杯で約4gです。一般的な砂糖である上白糖(白砂糖)は大さじ1杯で9g、小さじ3gです。白ザラ糖は結晶が大きいため、上白糖よりも重みがあります。
白ザラ糖は色がなく甘味にクセがないことから、焼き菓子や和菓子、飲み物(コーヒー、紅茶)、果実酒など幅広く使用することが可能です。
中ザラ糖は、白ザラ糖(ザラメ糖、上双糖ともいう)に、カラメルで着色した結晶が大きい砂糖を指します。漢字表記は「中双糖」となります。
中ザラ糖の栄養素や重さは、白ザラ糖とほぼ同じです。
カラメルの香ばしい風味を生かして、煮物や照り焼きなどの和食に適しています。また、しょうゆとの相性も良いといわれています。
素焚(すだきとう)糖は、上記でご紹介したきび砂糖とほぼ同じ種類の砂糖です。素焚糖ときび砂糖の違いは、原料の生産地といわれています。
素焚糖は100%国産の砂糖です。鹿児島県の奄美大島で育ったサトウキビだけが、素焚糖の原料として使用されます。一方で、きび砂糖の原料となるサトウキビは、国産だけでなく外国産のものも使用されることがあります。
また、素焚糖に含まれるミネラル分は、きび砂糖よりも若干多いといわれています。
粗糖(そとう)とは、分蜜糖の原料のことを指し、砂糖の名称ではありません。
サトウキビの生産地でまず粗糖(原料糖)という黄褐色の砂糖が作られ、消費地に運ばれて様々な種類の砂糖に加工されます。粗糖(原料糖)にする理由としては、サトウキビの糖分は分解しやすく、遠距離での輸送に耐えられないためです。
てんさい糖は、原料である甜菜の生産地で原料から製品まで一貫して製造されます。生産地で原料から製品まで作られる砂糖を耕地白糖(こうちはくとう)といいます。
はちみつ(蜂蜜)は、ミツバチが集めた蜜が巣の中で熟成されたものを指し、人類最古の甘味料といわれています。
はちみつの主成分は糖分(果糖とブドウ糖)で、ビタミン類や鉄、カルシウム、マンガンなどのミネラル分を豊富に含みます。
花の種類によって味や色、香りに違いがありますが、一般的にはちみつはすっきりとした甘さや風味が特徴です。パンやホットケーキにかけたり、コーヒーや紅茶などの飲み物に入れたりして用いられます。
はちみつの甘味の強さは、温度により変わりやすいため、調味料としては不向きといわれていますが、甘みを加えるといった意味では、黒糖の代用が可能です。
はちみつは、蜂の蜜であるため、ヴィーガン食品としては認められていません。
はちみつの方が黒砂糖よりも甘さが強いため、黒砂糖の代用品としてはちみつを使用する場合は、黒砂糖の分量よりも少なめに使用しましょう。
カエデ科のサトウカエデの樹液から採った糖液がメープルシロップ、樹液を濃縮して水分を飛ばしたものがメープルシュガーです。
カロリーは上白糖(白砂糖)より低く、様々なミネラル分が豊富に含まれています。はちみつのような香りがあり、メープルと特有の風味と甘味が特徴です。メープルシロップは、樹液の採取時期などによって色が異なります。
パンケーキやワッフルにかけたり、「メープルラテ」の風味付けなどに用いられます。なお、メープルシロップはヴィーガンです。ヴィーガンレシピで、はちみつの代わりによく使用されます。
黒砂糖の方がメープルシロップやメープルシュガーよりも甘さが強いため、黒砂糖の代用品として使用する場合は、黒砂糖の分量よりも多めに使用しましょう。
近年、注目を浴びている甘味料の一つにアガベシロップがあります。アガベシロップは、メキシコを中心に分布している多肉植物「アガベ」から作られる甘味料です。アガベはテキーラの原料でもあります。
アガベは、一般的な砂糖(上白糖、白砂糖)の1.3倍の甘さがあるのにもかかわらず、カロリーは75%と低く、またGI値は驚きの21です!血糖値の急激な上昇を抑えたり、アガベシロップに含まれるイヌリンが腸内環境を整えてくれます。健康や美容効果が期待できることから、注目を集めています。
アガベシロップの甘さにはクセがなく、後味がさっぱりとしてしつこくないため、様々な料理に使うことができます。メープルシロップと同様に、アガベシロップもヴィーガンです。シロップの色が濃いものもあります。アガベシロップは、他の甘味料と比較して値段が高価な傾向があります。
アガベシロップは一般的な砂糖よりも甘いため、少なめに使用することをおすすめします。
羅漢果(らかんか)とは、中国の山岳地帯「桂林」で育つウリ科の植物です。顆粒タイプの羅漢果が、砂糖の代わりとして用いられることがあります。
羅漢果は、400年前から漢方の原料として使用されていました。羅漢果の実を乾燥させ砕き、それらを煮出すと甘い漢方茶になります。喉の痛みや咳、歯周炎症、胃腸に効果があるとされています。
羅漢果を使った甘味料に「ラカント」があります。ラカントとは、羅漢果(らかんか)というウリ科の植物から抽出されるエキスと、トウモロコシの発酵から得られる天然甘味成分で作られる甘味料です。顆粒状やシロップ状として販売されています。
羅漢果の果実は、砂糖の約400倍の甘さがあるといわれています。精製された羅漢果は、上白糖とほぼ同じか、もしくは2、3倍ほどの甘さといわれているので、甘さを確認しながら使用しましょう。
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