栄養価の高いそら豆ですが、食べ過ぎには注意する必要があります。そら豆を大量摂取した場合のリスクについて解説します。
そら豆は野菜の中では糖質が高い部類に入りますので、食べ過ぎた場合は肥満の原因になります。
そら豆の可食部100g(約17粒)あたりの糖質は(炭水化物から食物繊維を引いた)12.9gです。カロリーはなんと102kcalにもなります。
よく食卓に並ぶトマトは100gあたりカロリー20kcalで糖質は3.7g、ピーマンは100gあたりカロリー20kcalで糖質は2.8gと低いです。糖質の高いイメージのあるじゃがいもでも100gあたりカロリー59kcalで糖質は8.4gです。
ちなみに、ごはん100gあたりカロリー156kcal・糖質35.6gです。ミルクチョコレートだと100gあたりカロリー550kcal・糖質59.3gです。ごはんやお菓子に比べたら、そら豆の糖質は低いといえます。
出典:食品成分データベース(文部科学省)
また、乾燥させたり、素揚げすると、さらに糖質が上がります。調理法や調味料によっても変化します。
乾燥させたり、素揚げすると、糖質が上がります。揚げたそら豆である「いかり豆」は436kcalとかなり高いので、ダイエット中の方は避けるようにしましょう。
ダイエット中にそら豆を食べる場合は塩茹でがベストな調理法です。油を使わずに調理することでカロリーを抑えられます。
そら豆には食物繊維が含まれています。可食部100gあたりの食物繊維総量は2.6gです。食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、便秘・下痢の改善、腸内環境を整える際に、この2つの摂取のバランスが重要となります。
そら豆に含まれる食物繊維は、ほとんどが不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維を摂りすぎると便秘を促し、水溶性食物繊維は摂りすぎると軟便や下痢症状を引き起こします。不溶性食物繊維は体内でほとんど分解されず、腸内で水分を吸収して膨張し腸管壁を刺激するので、便秘改善が期待できます。しかし、摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になります。
ちなみに、水溶性食物繊維は小腸で栄養素の吸収を緩やかにする作用があるため、糖質や脂質の吸収を抑え血糖値やコレステロール値の上昇を抑える効果が期待できます。一方で、摂りすぎるとビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうことになりますので注意しましょう。
どのくらい摂取すると過剰摂取になるかの明確な数値はありませんが、摂取目標量については後述しています。食物繊維に摂取上限量ではなく摂取目標量が設定されているのは、現代人の食物繊維の摂取が足りていないためです。食物繊維の不足の大きな原因は食生活の欧米化により、食物繊維を豊富に含む穀類や豆類、野菜などの摂取が減ったことが挙げられます。
可食部100gあたりに含まれるカリウムは440mgです。細胞内液に存在するカリウムは、細胞外液にあるナトリウム(塩分)とお互いに作用しながら細胞の浸透圧を維持し、どちらかの水分量が多くならないように、適正な水分を保っています。つまり、カリウムには、余分なナトリウム(塩分)の体外への排出を促す作用があります。
カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。高カリウム血症の症状は、軽度ならば筋力低下がみられる程度ですが、重度の場合は不整脈や心停止することがあります。
塩や醤油、味噌を多く使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。
ビタミンAの過剰摂取はとても危険です。過剰摂取によって頭痛や筋肉痛、皮膚の乾燥や脱毛などの症状が現れます。また妊婦さんは特に気にかけた方がよく、妊娠初期に過剰摂取すると胎児に器官形成異常が起こってしまう可能性が高くなることが分かっています。
体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンが含まれるそら豆は大丈夫?と思うかも知れませんが、全てがビタミンA変換されるわけではなく、必要量のみビタミンAに変換されます。そのためそら豆をたくさん食べてもビタミンAの過剰症になることはありません。
基本的に、ビタミン過剰症などはサプリメントの過剰摂取などから引き起こることが多いです。通常の食事や、1日に1つの食材を普段より多く食べたくらいでは過剰症の心配はありません。
現実的にそら豆の食べ過ぎで最も懸念されるのは栄養の偏りです。
そら豆に含まれていない栄養には、ビタミンDやビタミンB12があります。ビタミンDは骨の形成を助け、ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。そら豆ばかり食べているとこれらが不足し、骨粗しょう症や貧血のリスクが伴います。ビタミンDが多い食材には、魚類や卵があります。またビタミンB12はレバーや牡蠣、あさりやしじみなどの魚介類、海苔をはじめとする藻類に多く含まれています。
また、同じ栄養素でも複数の食材から摂取する方がよいとされていますので、一つの食材のみを食べ過ぎるのは避けるようにしましょう。
ソラマメ中毒というものがあります。ただし、これはグルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症を抱えている人がソラマメを食べた後に、血中グルタチオン濃度が低下し、赤血球が溶血してしまう食中毒のことで、一般的にはソラマメ中毒の心配はありません。
そら豆の1日の摂取目安量は明確に定まっていませんが、厚生労働省が発表している各栄養素などの摂取目標量などを基準に目安を把握することはできます。
大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
そら豆は淡色野菜に分類されます。他の淡色野菜と合わせて230gを目安にするとよいでしょう。ですので他の緑黄色野菜も食べることを考慮すると、そら豆の1日あたりの摂取量は多くても100gあたりが妥当といえます。
出典:厚生労働省
食物繊維は不足している人が多いことから、摂取目標量が設定されています。厚生労働省が発表してる日本人の食事摂取基準(2020年版)における、18〜64歳の食物繊維の1日あたりの摂取目標量は女性が18g以上、男性が21g以上です。キャベツなら2玉以上分の食物繊維です。
そら豆100gに含まれる食物繊維は2.6gですので、690〜800g食べなければ目標量を超えません。ただそら豆を1日でそれだけ食べることは通常ないので、食べ過ぎの心配はありません。また、目標量を摂取するときは他の食材も合わせて食物繊維の摂取しましょう。
食物繊維を多く含む食材には、玄米やとうもろこしなどの穀類、グリーンピースをはじめとした豆類、ごぼうやれんこんなどの根菜類、モロヘイヤなどがあります。
出典:厚生労働省
カリウムも上述したとおり不足している人が多いことから、摂取目標量が設定されています。
体内のカリウム平衡を維持するために適正と考えられている1日の摂取目安量は、日本人の食事摂取基準(2020年版)によると18歳以上の男性が2,500mg、女性が2,000mgとなっています。生活習慣病予防を目的とした場合は、18歳以上の女性が2,600mg、男性が3,000mgとなっています。
茹でたそら豆100gに含まれているカリウムは390mgで、体内のカリウム平衡を維持するためにそら豆だけでカリウムを摂取する場合6,700〜7,700g程度食べなければいけないので、摂取しすぎる心配はありません。
カリウムも1つの食材だけで栄養素を補うのは難しく、また様々な食材から摂取することを推奨しています。カリウムは、いも類、野菜類、果物に多く含まれます。
出典:厚生労働省
食べ過ぎはよくありませんが、適量摂取すれば、そら豆は素晴らしい効能が期待できます。
そら豆可食部100gあたりのたんぱく質の含有量は10.9gです。そら豆のたんぱく質の量は野菜の中でもトップレベルです。たんぱく質は筋肉を作るのに不可欠であり、筋肉量が増えると代謝が上がり、脂肪を燃焼しやすくします。
筋肉を付けるにはたんぱく質が必要ですが、筋肉を付けるための運動をするためにはエネルギー源となる糖質がある程度必要です。そのため、運動習慣のある人にとってはそら豆はとてもダイエット向きといえます。運動をしっかりしてダイエットする方はたんぱく質と糖質(炭水化物)が必要なので、脂質を控えるダイエットが向いています。
そら豆はビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群が豊富に含まれており、その中でもビタミンB1が特に豊富に含まれます。可食部100gあたりのビタミンB1の含有量は0.30mgです。ビタミンB1は糖質をエネルギーとして使うときに多量に必要とされます。不足すると、体のだるさや倦怠感、足のむくみ、動悸の症状、太りやすくなったりします。また、糖質は脳や神経系のエネルギー源なので、ビタミンB1には精神を安定させる作用があるといわれています。ビタミンB1は日本人に不足しがちといわれています。
そら豆には、ビタミンCがたっぷり含まれています。可食部100gあたりのビタミンCの含有量は23mgです。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。
さらにビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
他にも抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。
多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。また喫煙者はビタミンCの消費が激しいので、一般成人の2倍は摂ることをおすすめします。
そら豆可食部100gあたりのカリウムの含有量は440mgです。カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。さらに、心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。
また、カリウムは水に溶けやすい性質があります。根菜類は比較的損失が少なくなっていますが、葉菜類は茹でると50%以上が失われてしまうのでスープなどにして汁ごと食べることがおすすめです。ただしナトリウムを摂りすぎないよう薄味にしましょう。
そら豆可食部100gあたりのマグネシウムの含有量は36mgです。マグネシウムはカルシウムの量を調整し、筋肉の収縮を促します。摂り過ぎたカルシウムが血管壁に貯まるのを防ぎ、動脈硬化を予防する働きもあります。そしてカルシムやリンとともに働き、丈夫な骨や歯をつくります。血液中のマグネシウムが不足すると骨から溶け出して補充されますが、このときカルシウムも一緒に放出されてしまうため骨がもろくなります。
またストレスが生じると、マグネシウムの消費量が増えます。そのため疲れているときやイライラしているときはマグネシウムを積極的に摂取しましょう。マグネシウムは過剰に摂取しても腸管からの吸収は抑えられ、余分なものは速やかに排泄されるので食事で摂取している限りは過剰症の恐れはありません。
マグネシウムは汗によって失われる成分ですので、運動をするときや夏の時期は積極的に摂取しましょう。
そら豆可食部100gあたりのリンの含有量は220mgです。リンはミネラルの中で、カルシウムの次に多く体内に存在しています。リンの約80%はカルシウムやマグネシウムと結合して歯や骨の構成成分となっています。また、リンは体内でビタミンB1やB2と結合して補酵素になり、糖質の代謝促進をします。
さらに、エネルギー代謝に不可欠であるATP(アデノシン三リン酸)の構成成分であり、エネルギー発生やエネルギーの貯蓄に関わっています。さらに筋肉や神経などの機能を正常に保つ効果もあります。
リンとカルシウムは血液中で一定のバランスを保っているため、この2つの成分のバランスがとても大切です。カルシウムとリンの割合は1:1で摂取するのが理想的な比率とされていますが、加工食品や清涼飲料水をよく飲食する人はリンを多く摂取しがちですので、カルシウムもバランスよく摂取するようにしましょう。
出典:食品成分データベース(文部科学省)
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