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さやえんどう(絹さや)の栄養と効能、効果的な食べ方を解説

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さやえんどう(絹さや)の栄養と効能、効果的な食べ方を解説

さやえんどうにはすぐれた抗酸化作用があり免疫力を高めてくれるビタミンCや、同じく抗酸化作用があるβ-カロテンが豊富です。その他にも糖質の代謝に欠かせないビタミンB1や、腸の調子を整える食物繊維も多く含まれます。

さやえんどう(絹さや)のビタミン

β-カロテン(ビタミンA)

β-カロテンはさまざまな野菜にも含まれていますが、さやえんどうにも豊富に含まれます。野菜の中でもβカロテンが豊富な青ピーマンよりも多く含まれています。

β-カロテンは体内で必要な分だけ、ビタミンAに変換されます。

ビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。そのため、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぎ感染症を予防する効果が大きく、免疫力を高めます。
また、β-カロテンには強い抗酸化作用もあるので、アンチエイジング作用があります。

ビタミンB1

日本人が不足しがちなビタミンB1がさやえんどうには含まれています。

ビタミンB1は糖質がエネルギーに変換されるのをサポートする栄養素です。不足すると、体のだるさや倦怠感、足のむくみ、動悸の症状、太りやすくなったりします。また、糖質は脳や神経系のエネルギー源なので、ビタミンB1には精神を安定させる作用があるといわれています。

昔、日本人の主食は精白米ではなく玄米で、その玄米にはビタミンB1が含まれていたために、意識していなくても摂取することができました。しかし、昨今ではビタミンB1が豊富に含まれている米ぬかの部分が、精白米にする段階でほとんど取り除かれてしまいます。他にもお菓子やジュースなどの過剰摂取でビタミンB1は不足するとも言われているため、積極的に摂取したい栄養素です。

ビタミンB2

ビタミンB2は動物性食品に多いビタミンですが、植物性食品にもわずかに含まれています。ビタミンB2は脂質とたんぱく質の分解に働きます。ビタミンB1が糖質の代謝に作用するのに対し、ビタミンB2は特に脂質の代謝を助けます。そして細胞の再生を助けて成長を促し、健康な肌や髪つくり、目や口などの粘膜を守ります。「発育のビタミン」とも呼ばれており、発育促進や健康に欠かせない栄養素です。

ビタミンB2が不足すると、脂質が体内に蓄積されやすくなるため、太りやすくなり、ニキビが増える原因のひとつになります。

また、ビタミンB2は「甲状腺ホルモン」が分泌されることで、体内で働けるようになります。甲状腺の機能が低下してしまうと、ビタミンB2を補充しても生かしきれないことがあります。

ビタミンC

さやえんどうはビタミンCが特に豊富で、その含有量はいちごと同じくらいです。

ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。

さらにビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
また抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。

多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。また喫煙者はビタミンCの消費が激しいので、一般成人の2倍は摂ることをおすすめします。

ビタミンE

ビタミンEは抗酸化作用があります。体内の脂質が酸化するのを抑え、老化の予防をしてくれます。ビタミンEは血液中の悪玉コレステロールの酸化を抑える働きがあり、酸化によって進行してしまう動脈硬化の予防に役立ちます。さらにビタミンEは末梢血管の拡張させる働きがあるため、血行促進に繋がります。また副腎や卵巣の性ホルモンの分泌の調整にもビタミンEは関与しているので、生殖機能の維持にも役立ちます。

ビタミンK

ビタミンKは血液を凝固させる成分を合成する働きがあり、出血を止める役割があります。月経による出血が多い場合も、症状を軽減する効果が期待できます。ただ、血液は出血している箇所以外(血管内など)は正常に流れていなければなりませんが、ビタミンKは血流が悪くならないよう凝固の抑制にも働きかけています。

さらにビタミンKは、骨から血液中にカルシウムが放出されるのを抑え、骨にカルシウムが沈着するのを助けてくれます。そしてカルシウムの合成に必要なたんぱく質を生み出し、腸内でカルシウムが吸収されるのを助けます。ビタミンDと並び、健康な歯や骨を作るのに欠かせないビタミンです。

加齢や女性ホルモンの減少、またダイエットなどにより骨密度は低下します。それが重症化すると骨粗しょう症を発症します。特に女性に多いこの病気とされているので、日頃からカルシウムの吸収を助けるビタミンKとビタミンDを一緒に摂り、骨密度アップを心がけましょう。

さやえんどう(絹さや)のミネラル

カリウム

カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。そのため、高血圧の予防になるミネラルの一つです。また心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。

またカリウムは水に溶けやすい性質がありますが、根菜類は比較的損失が少なくなっています。ただ葉菜類は茹でると50%以上が失われてしまうのでスープなどにして汁ごと食べることがおすすめです。ただしナトリウムを摂りすぎないよう薄味にしましょう。

カルシウム

体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨も新陳代謝を繰り返しており、古い骨を壊しては新しい骨をつくり、なんと1年間で20〜30%が新しい骨に生まれ変わっています。この骨の代謝にカルシウムは深く関わり骨の健康を保っています。
そのためカルシウムが不足すると、骨が弱くなり、やがて骨粗鬆症を招きます。ビタミンKがカルシウムの吸収を助けるので、一緒に摂取することで骨粗しょう症の予防も期待できます。

残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉などに広く存在し大切な情報の伝達を行っています。それによって血液中のカルシウム濃度が常に一定に保たれています。機能カルシウムはこの細胞内外の濃度の差を利用して、血液の凝固や酵素の活性化、ホルモンや神経伝達物質の放出をしています。さらには神経の興奮を抑え精神を安定させたり、筋肉を収縮させたりする働きもあり、筋肉のなめらかな動きをサポートしています。そのため、カルシウム不足でこむら返りを起こすことがあります。

リン

リンはミネラルの中で、カルシウムの次に多く体内に存在しています。リンの約80%はカルシウムやマグネシウムと結合して歯や骨の構成成分となっています。また、リンは体内でビタミンB1やB2と結合して補酵素になり、糖質の代謝促進をします。
さらに、エネルギー代謝に不可欠であるATP(アデノシン三リン酸)の構成成分であり、エネルギー発生やエネルギーの貯蓄に関わっています。さらに筋肉や神経などの機能を正常に保つ効果もあります。

リンとカルシウムは血液中で一定のバランスを保っているため、この2つの成分のバランスがとても大切です。カルシウムとリンの割合は1:1で摂取するのが理想的な比率とされていますが、加工食品や清涼飲料水をよく飲食する人はリンを多く摂取しがちですので、カルシウムもバランスよく摂取するようにしましょう。

さやえんどう(絹さや)のその他の栄養

食物繊維

食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、さやえんどうの食物繊維は大半が不溶性食物繊維です。

不溶性とは液体に溶解しない性質のことで、不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。

水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性を高めます。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇をゆるやかになり糖尿病予防になります。

便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。他にも免疫やうつ病、脳とも関連があることが近年の研究で明らかになってきています。

リジン

さやえんどうは野菜でありながら豆としての栄養も摂れるのが魅力です。リジンは必須アミノ酸のひとつです。脂肪をエネルギーに変換することを促進する「カルニチン」の材料になりますので、ダイエットには欠かせないアミノ酸です。また、リジンは糖質をエネルギーに変換することもをスムーズにする働きがあるので、集中力向上をサポートします。

さやえんどう(絹さや)の三大栄養素

さやえんどう可食部100gあたり

  • エネルギー…38kcal

  • 水分…88.6g

  • たんぱく質…3.1g

  • 炭水化物…7.5g

  • 脂質…0.2g

  • 食物繊維…3.0g

三大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。野菜には少ないたんぱく質や炭水化物(糖質)が主成分です。例えば、かぼちゃのたんぱく質は100gあたりたった1.6g、なすは1.1gです。トマトやきゅうりなど水分量の多い野菜はそれ以下です。

炭水化物から食物繊維を引いたものが「糖質」で、さやえんどうの糖質は4.5gです。糖類はブドウ糖が多く、ショ糖と果糖が少しずつ含まれています。

さやいんげん・さやえんどう・絹さやの違いに関してはこちらの記事をご覧ください。

さやえんどう(絹さや)の栄養に関するQ&A

茹でると栄養は減る?

茹でると減ってしまう栄養素はあります。たとえば、ビタミンCやカリウムは水溶性であるため、煮たりする場合は煮汁に溶け出してしまい、減ってしまいます。そのためスープなど水分ごと食べられる調理法がいいでしょう。ちなみにビタミンAやEは脂溶性であるため、揚げ物や炒めものにすることで吸収率が上がります。油と一緒に摂取するといいでしょう。

冷蔵・冷凍すると栄養は減る?

冷凍した場合、ほとんどの脂溶性の栄養素は損なわれることはありませんが、水溶性であるビタミンCなどは減ってしまうことがあります。

また茹でてから冷凍保存されることも多く、その際に栄養素が流れ出てしまっている可能性があります。しかし急速冷凍などであれば、栄養素が壊れにくいようになっているため、大幅に栄養素が減る等の心配はありません。市販されている冷凍食材もそのような処理をされていることが多いので、栄養をしっかりと摂ることができます。

新鮮なさやえんどうの見分け方は?

当然ですが、新鮮な野菜の方が栄養価が高いです。新鮮なさやえんどうの特徴は下記です。

  • 鮮やかな緑色で全体にハリとツヤがある

  • 実がピンと張っている

  • ひげが白っぽくピンとしているもの

  • 豆を感じないくらい薄いもの

さやえんどうの効果的な食べ方・調理法

たんぱく質と

絹さやは料理の付け合わせで使われることが多いですが、栄養が豊富なので具材として積極的に食べたい野菜です。

ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。ご存知の方も多いかと思いますが、コラーゲンには美肌効果が期待されています。さやえんどう自体にもたんぱく質は含まれますが、鶏肉や卵などと一緒に摂ると、さらに効果アップが見込めます。
また、ビタミンA(β-カロテン)がビタミンCのこの作用を助ける働きがあります。さやえんどうにはどちらも含まれていますので、たんぱく質と一緒に食べるのが大変効果的と言えます。

定番料理、絹さやの卵とじがおすすめです。卵はたんぱく質が豊富であるため、さやえんどうとの組み合わせは大変効果的です。

ビタミンEと一緒に

ビタミンCには、ビタミンEの抗酸化作用を持続させる作用があります。そのため栄養学的にもとても良い組み合わせとされています。植物油にはビタミンEが多く含まれています。上述したように油も一緒に摂取するといいので、植物油で炒めるといいでしょう。さらに、すじこやうなぎなど魚介類にも含まれますので、一緒に食べると効果がアップします。

油で炒める

さやえんどうに多く含まれるβ-カロテンは体内でビタミンAになりますが、体内で吸収されにくいと言われています。このβ-カロテンは脂に溶けやすく吸収率を油がアップしてくれるので、炒めものにしたり、サラダにしてオリーブオイルをかけたりするなど、油と一緒に食べることをおすすめします。ビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあるため健康に保つので、人にとってもとても大切な成分となります。

汁ごと

ビタミンB群やビタミンCは水溶性なので茹でることで栄養が溶け出してしまいます。そのため茹でた汁ごと一緒に食べるといいでしょう。
スープや煮物などの料理が適しています。ただスープなどは塩分(ナトリウム)を摂りすぎないように注意しましょう。