あまり栄養のないイメージが強いもやしですが、たくさん食べるとどんな影響があるのでしょうか?もやしを過剰摂取した場合のリスクについて解説します。
もやしは約95%が水分です。
そのため、食べ過ぎると水分の摂りすぎによりお腹がゆるくなる可能性があります。水分を大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度が低下し、水中毒である「低ナトリウム血症」状態になってしまうためです。
また、めまいや頭痛を引き起こしたり、放尿により熱が逃げて体が冷える場合もあります。
出典:MSDマニュアル家庭版『低ナトリウム血症(血液中のナトリウム濃度が低いこと)』
食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、便秘・下痢の改善や腸内環境を整える際に、この2つのバランスが重要となります。
もやしに含まれるのはほとんどが不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘になってしまう場合があります。
どのくらい摂取すると過剰摂取になるかの明確な数値はありません。逆に、摂取目安量が定められています。厚生労働省が発表してる日本人の食事摂取基準(2020年版)における、18〜64歳の食物繊維の1日あたりの摂取目標量は女性が18g以上、男性が21g以上です。キャベツなら2玉以上分の食物繊維です。
出典:
栄養学博士 新出真理 監修(2014)『第2版 くらしに役立つ栄養学』ナツメ社
もやしを食べ過ぎる、その分他の食材があまり食べられなくなるので、栄養不足に陥る可能性が大です。
例えば、もやしに含まれていない栄養には、β-カロテンやビタミンD、ビタミンB12などがあります。βカロテンは体内で必要量がビタミンAに変化し、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進して健康を保ちます。ビタミンDは骨の形成を助けます。ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。
また、同じ栄養素でも複数の食材から摂取した方がよいとされているため、バランスのよい食事を心がける必要があります。
出典:農林水産省 厚生労働省「食事バランスガイド」
もやしには種類があり、その中でも「大豆もやし」を使用する場合は、大豆アレルギーの症状が出てしまう可能性があります。
大豆アレルギーはその中でも患者数が比較的多く、主な症状は湿疹などの皮膚症状と、口の中が痒くなる口腔アレルギー症候群です。アナフィラキシー症状はめったに起こらないとされます。
大豆アレルギーのある人は、大豆もやしの食べ過ぎに注意しましょう。ブラックマッペもやしや緑豆もやしであれば、原材料が大豆ではないので、大豆アレルギーの症状が出る心配はありません。
出典:厚生労働省|食物アレルギー
もやしはカリウムが少ない野菜です。
カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。
醤油や味噌を日常的に使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
もやし100gあたりのエネルギー量(カロリー)29kcalで、糖質は0gです。
なんともやしは炭水化物のすべてが食物繊維のため、糖質が0gなんです。他の野菜と比べてもカロリーは低い部類に入ります。低カロリー・低糖質であるため、たくさん食べても太る心配はほとんどありません。
ただし、味付けによってはカロリーや塩分量が上がるので注意しましょう。
ちなみにごはん(白米)の糖質は100gあたり35.6g、カロリーは156kcalとなっています。チョコレートの糖質は、ミルクチョコレートの場合100gあたり59.3gで550kcalにもなります。
出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)
もやしの1日の摂取目安量は明確に定まっていませんが、厚生労働省が発表している野菜の摂取目標量を基準に目安を把握することはできます。
大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
もやしは淡色野菜に分類されるので、他の淡色野菜と合わせて230g以上を目安にしましょう。もやし以外の淡色野菜には、玉ねぎやキャベツ、大根、れんこん、セロリなどがあります。
他の淡色野菜も食べることを考えると、もやしの1日の摂取量は50〜100gあたりが目安となります。
出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、もやしの食物繊維はほとんどが不溶性食物繊維です。水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
食物繊維は便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。
カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。また心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。
また、カリウムは水に溶けやすい性質がありますが、根菜類は比較的損失が少なくなっています。ただ葉菜類は茹でると50%以上が失われてしまうのでスープなどにして汁ごと食べることがおすすめです。ただしナトリウムを摂りすぎないよう薄味にしましょう。
アスパラギン酸は非必須アミノ酸のひとつで、その名の通りアスパラガスから発見されたアミノ酸です。アスパラギン酸は酸味を含むうま味成分で、日本人が古くから重宝している醤油や味噌などの発酵調味料のうま味の正体だと言われています。
アスパラギン酸はうま味成分としてだけでなく、人の体調を整える働きもあります。アスパラギン酸はカリウムやマグネシウムを細胞に取り込みやすくし、疲労回復の働きをしています。さらには人間の体液のバランスを整えたり、アンモニアを解毒して肝臓の負担を減らす働きもあります。
また新陳代謝を活発にし角質の水分を保持してくれるので、肌の保湿効果も期待でき、化粧品にも使われています。
もやしは発芽するときに豆にはもともと含まれていないビタミンCを生成します。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
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