ごぼうは根野菜なのでカロリーばかり高くて栄養がないと思われがちですが、それは間違っています!確かにあまり含まれない栄養素はありますが、重要な栄養が豊富に含まれています。
野菜は品種改良が繰り返され、特有の香りやクセをなくし食べやすくした結果、栄養価が大幅に減少しているのは事実です。例えば、1950年と2005年で比較すると、人参はβ-カロテン(ビタミンA)は8割減、ほうれんの鉄分も8割減、アスパラガスのビタミンB2は半減、キャベツのビタミンCも半減しています。
しかし、味が薄い=栄養がない、とは一概にいえません。無味無臭な栄養素の方がむしろ多く、ピーマンの香り成分であるピラジンや、ゴーヤの苦み成分であるモモルデシンのように強い風味がある栄養素は例外的です。
ごぼうは中身が白色です。色が薄いと、なんとなく栄養がないと感じる方が多いかと思います。一般的に色が濃い野菜の方が栄養価が高いといえますが、必ずしもそうではありません。すべての栄養素に色素があるわけではありません。
一般に色がはっきりしている野菜は緑黄色野菜で、白っぽい野菜は淡色野菜です。ごぼうは淡色野菜に分類されます。緑黄色野菜と淡色野菜の違いはβ-カロテン(ビタミンA)の含有量です。淡色野菜はβ-カロテンの含有量は少ないですが、食物繊維など他の栄養素を豊富に含む傾向があります。
実際、ごぼうはβ-カロテン(ビタミンA)はほとんど含まれていませんが、食物繊維を豊富に含みます。
ごぼうは確かにビタミン類が豊富ではありません。特に緑黄色野菜と比べると差は歴然!これが「ごぼうは栄養がない」と言われてしまう一因なのは間違いないでしょう。
強い抗酸化作用のあるβ-カロテン(ビタミンA)や、コラーゲンの合成に必要不可欠なビタミンCはほぼゼロです。血液を凝固させる働きを持つビタミンKもほぼゼロです。糖質をエネルギーに変えるのを助ける働きを持ち、日本人に不足しがちなビタミンB1もあまり含まれていません。
ビタミン類が少ないごぼうですが、食物繊維やミネラル類、ポリフェノールが豊富に含まれ、様々な効能が期待できます。
ごぼうは水分が少なく、炭水化物の多い野菜です。炭水化物は消化されエネルギー源になる糖質と、消化・吸収されない食物繊維に分けることができます。ごぼうの栄養的特徴はなんといっても食物繊維の多さにあります。
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、ごぼうはどちらも豊富に含まれます。
水溶性の食物繊維は、腸内の有害物質が体内に吸収されるのを防ぎ、素早く便として体外へ排泄してくれます。また、食べた時の血糖値の上昇速度を緩やかにしてくれます。
一方、不溶性の食物繊維は腸内の水分を吸収してカサを増やし、便の量を多くすることで、大便の蠕動(ぜんどう)運動を触発して便秘の解消をしてくれます。また、腸内の有害物質が腸壁に触れる時間を短くしてくれます。
ごぼうの食物繊維は、様々なメカニズムで生活習慣病を防いでいると言えます。
ごぼうはビタミン類は少ないですが、ミネラル類は比較的豊富です。
体内の塩分の量を調整し血圧上昇を抑えるカリウム、貧血を防ぐ鉄、カルシウムと主に鉄の合成を助けるマグネシウム、味覚や臭覚の働きを助ける亜鉛などのミネラルを含みます。
変色とえぐみの原因であるクロロゲン酸(ポリフェノールの一種)ですが、栄養的によい効能が期待できます。
ほうれん草に多く含まれていることで有名なえぐみ成分シュウ酸は、大量摂取すると体によくないため、アク抜きが必須ですが、ごぼうはむしろアク抜きをしない方が無駄なくポリフェノールを摂取することができます。
クロロゲン酸はコーヒーにも多く含まれている成分で、血圧の上昇や血糖値の急上昇を抑制する効果があります。これは、糖質を分解する酵素を阻害する働きがあり、これによって糖質の吸収をゆるやかにしているからです。
さらに、脂肪燃焼促進の効果もあり、体内にすでに溜まっている脂肪も新しく発生した脂肪も燃焼させてくれます。特にメタボリックシンドロームの原因である肝臓脂肪の燃焼効果が期待され、ダイエットをする際にも注目される成分のひとつです。
ごぼうの食物繊維、特に水溶性食物繊維は腸内の糖質の吸収を抑え、コレステロールを下げる作用があります。そのためコレステロールの高い食品を食べるときにごぼうを組み合わせるといいでしょう。さらにコレステロールを下げるのは脂質代謝への働きがあり、LDL(悪玉)コレステロールを増えにくくし、狭心症や心筋梗塞のリスクを下げる効果もあります。
ごぼうを生で食べることはありませんが、食物繊維が豊富な食材は加熱することでカサを減らしてたっぷり摂りたいものです。
ただし、食物繊維の摂り過ぎには注意。厚生労働省が発表してる日本人の食事摂取基準(2020年版)では、18〜64歳の食物繊維の1日あたりの目標量は男性が21g以上、女性が18g以上です。キャベツなら2玉以上分の食物繊維になります。
また、油と一緒で摂ることで、食物繊維がコーティングされるため、腸の中ですべりがよくなるともいわれています。
ごぼうはビタミン類が不足しているため、ビタミン類の豊富な食材と組み合わせて食べるのがポイント。
例えば、定番の惣菜「きんぴらごぼう」なら、人参にβ-カロテンが、ごまにはビタミンEが豊富に含まれます。「牛ごぼう」なら、牛肉にたんぱく質とビタミンB12が豊富に含まれます。ビタミンB1が豊富な豚肉と組み合わせるのも◎。
ごぼうの香りは肉や魚を引き立てるので、味の面でもおすすめです。
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