ピーマンばかり食べるとどんな影響があるのか解説していきます。ピーマンの1日の摂取目安量も紹介します。
緑黄色野菜か淡色野菜かの分類はβ-カロテンという栄養素の含有量で決まります。
ピーマンに含まれるβ-カロテンは緑黄色野菜の基準を満たさないのですが、一度にたくさん食べられることから緑黄色野菜に分類されています。
「たくさん食べられる」ということはその分栄養がとれるのでメリットなのですが、「食べ過ぎ」てしまうとデメリットもあります。
ピーマンにもアレルギーがあります。
ピーマンが引き起こすアレルギーは遅延型が多く、食べてすぐに反応が出るわけではないため、原因がピーマンであることに気付きにくいのが特徴です。
また、口腔アレルギー症候群の場合、もともと発症の原因となった野菜が違っても、ピーマンを食べることでアレルギーを起こすことがあります。
出典:中野区医師会
ピーマンに限った話ではありませんが、ピーマンばかり食べていたら、栄養が偏ってしまう懸念があります。
ピーマンは栄養が豊富な野菜ですが、含まれていない栄養素も存在します。例えば、ビタミンDやビタミンB12などです。ビタミンDは骨の形成を助け、ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。
同じ栄養素でも様々な食材を摂取した方がよいとされているので、バランスの良い食事を心がけましょう。
出典:農林水産省 厚生労働省「食事バランスガイド」
ピーマンは独特な香りや苦味があるため、それらを和らげるために味付けを濃くしがちです。
調理法によっては塩分の量がかなり多くなってしまったり、油の使いすぎて高カロリーになってしまう場合もあります。甘味料を多く使うことでも、高カロリーになってしまうので注意しましょう。
ピーマンには食物繊維が豊富に含まれます。
食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、ピーマンにはどちらも含まれていますが、不溶性の方が3倍ほど多く含まれています。
不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になる場合があります。
水溶性食物繊維は摂りすぎると軟便や下痢に可能性があります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうことになりますので注意しましょう。
どのくらい摂取すると過剰摂取になるかの明確な数値はありません。
出典:
栄養学博士 新出真理 監修(2014)『第2版 くらしに役立つ栄養学』ナツメ社
ピーマンはビタミン類が豊富に含まれている野菜です。特定のビタミンは摂取過剰に注意が必要です。
ビタミンAは過剰摂取によって頭痛や筋肉痛、皮膚の乾燥や脱毛などの症状が現れます。しかし、野菜に含まれるβ-カロテンは必要量のみビタミンAに変換されるので心配いりません。
ビタミンCは大量摂取すると、吐き気や腹痛などが生じることがありますが、通常の食事でビタミンC過剰症になることは基本的にありません。ビタミン過剰症はサプリメントの過剰摂取などから引き起こることが多いです。
ビタミンKに関してはどのくらいの量で過剰症を発症するか、という研究報告は十分にされていないのが現状で、耐用上限量は設定されていません。しかし、食物からの摂取では尋常ではない量を食べない限り過剰症にはならないので、心配ありません。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
ピーマンはカリウムを豊富に含む野菜です。
カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。
塩や醤油、味噌を多く使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
ピーマンの可食部100gあたりのエネルギー量は20kcalで糖質は2.8gなので、低カロリー・低糖質な食品に分類されます。
ピーマンに限らず野菜は基本的にカロリーや糖質が低いのでたくさん食べても太る心配はありません。
ちなみに、ごはん100gあたりカロリー156kcal、糖質35.6gです。
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
ピーマンの1日の摂取目安量は明確に定まっていませんが、厚生労働省が発表している野菜の摂取目安量を参考にすることができます。
大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
ピーマンは緑黄色野菜に分類されるので、他の野菜と合わせて120g以上を目安にするということになります。他の緑黄色野菜も食べることを考慮すると、ピーマンの1日あたりの摂取量は50g程度が妥当といえます。ピーマンは1個あたり約35gなので1〜2個です。
ピーマン以外の緑黄色野菜には、人参やかぼちゃ、ブロッコリー、トマト、ほうれん草などがあります。
出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)
最後にピーマンに豊富に含まれる栄養素とその効果について解説していきます。
ピーマンに含まれるβ-カロテンは100gあたり400μgで、緑黄色野菜の基準である600μgに満たないのですが、一度に食べる量が多いことから緑黄色野菜とみなされます。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換されます。皮膚や喉など全身の粘膜を健康に保ち、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐことで免疫力をアップします。また、抗酸化作用もあるので、アンチエイジング効果や生活習慣病の予防効果が期待できます。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目や視力低下の抑制効果、他にも皮膚の健康維持に関与していることから乾燥肌やニキビ肌の改善など美肌効果も期待できます。
ピーマンはビタミンCがとても豊富で、なんとレモンよりも多く含まれており、トマトの約4倍ものビタミンCが含まれています。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
ピラジンはピーマンならではの栄養素で、ピーマンの香りや苦味成分の原因物質です。ピラジンは血流促進作用があるため、高血圧予防の効果が期待できます。さらに血流が良くなることで夏の冷え性対策にも効果があります。
また、血液が固まるのを防ぐので、血液が固まって血管を塞ぐ血栓の予防が期待できます。
ピラジンはピーマンのワタにほとんど含まれているので、ぜひワタごと調理しましょう。
食物繊維は実にも含まれます。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、ピーマンの食物繊維はどちらも含まれていますが、不溶性食物繊維の方が約3倍多いです。
不溶性食物繊維は水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。他にも免疫やうつ病、脳とも関連があることが近年の研究で明らかになってきています。
また、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
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