Fily Kindle
  1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. ふきの食べ過ぎはNG?1日の摂取目安量は?

ふきの食べ過ぎはNG?1日の摂取目安量は?

公開日

更新日

ふきの食べ過ぎはNG?1日の摂取目安量は?

旬の山菜であるふきは食べ過ぎとどんなリスクがあるのでしょうか?ふきの食べ過ぎがNGである原因を解説していきます。

ふきは食べ過ぎ注意?

ペタシテニン

ペタシテニンは肝毒性の強い、有毒成分アルカロイドの一種です。少量であれば問題ありませんが、摂取しすぎると肝臓にダメージがあると言われています。

ふきにはこのペタシテニンが含まれています。これはいわゆるアクであるため、アク抜きが必要になります。アク抜きをしないと体内に取り込んでしまうことがあります。そのため下茹でが必須となりますが、水溶性であるカリウムも損失してしまうのが懸念点です。下茹でで約50%のカリウムが失われてしまいます。

出典:食品安全に関するリスクプロファイルシート(農林水産省)

カリウム

ふきにはカリウムが含まれます。

カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。

日本人は塩や醤油、味噌を使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。

参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス

水分

ふきは茹でると100gのうち約97.4gが水分です。そのため、ふきを食べ過ぎると水分の摂りすぎでお腹がゆるくなってしまう可能性があります。

これは水分を大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度が低下し、水中毒である「低ナトリウム血症」状態になってしまうからです。下痢だけでなく、めまいや頭痛を引き起こします。

出典:MSDマニュアル家庭版『低ナトリウム血症(血液中のナトリウム濃度が低いこと)』

アレルギー

ふきの雄花の花粉がアレルギーを引き起こす可能性があります。ちなみに、これは加熱をしてもアレルギー反応が出てしまうこともあり、調理をしたからといってアレルギーが出ないわけではありません。なるべく雄花の花粉に触れないようにし、少しでも症状が出たら食べないようにし、専門医に相談するようにしましょう。

栄養不足

ふきは栄養素が豊富ではありません。

他の野菜には豊富に含まれまれるβ-カロテンやビタミンB群、Cがほとんど含まれていません。また、ミネラル類も豊富ではありません。カリウムやカルシウムが少量入っているのみです。ふきの食べ過ぎで特に懸念されるのが栄養失調です。

出典:農林水産省 厚生労働省「食事バランスガイド」

シュウ酸

ふきにはシュウ酸が含まれています。

シュウ酸は人間にとって栄養素というよりも老廃物です。人体での合成量は微量で、ほとんどが食物から摂取されています。このシュウ酸は、摂取しすぎると尿路結石症を引き起こす原因になります。といっても相当量摂取しない限りは過剰症にはならず、健康上の問題はあまりないとされています。

シュウ酸は茹でることで減らせます。3分茹でると3分の1〜2分の1消失します。茹でることで失われる栄養素もありますが、シュウ酸はなるべく摂取しないほうがいいです。

他にシュウ酸が含まれる食材は、ほうれん草やたけのこ、チョコレート、バナナなどがあります。

出典:日本医師会|尿路結石

1日の摂取目安量

大量のふき

ふきの1日の摂取量は明確に定まっていませんが、厚生労働省が発表している野菜の摂取目標量を基準に目安を把握することはできます。

淡色野菜の摂取目安量

大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。

緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。

ふきは淡色野菜に含まれますので、他の淡色野菜と合わせて230g程度にするとよいでしょう。淡色野菜には玉ねぎや大根、レタス、キャベツ、もやし、れんこん、かぶ、きゅうりなどがあります。他の淡色野菜を食べることを考慮するとふきは1日あたり50gあたりが妥当といえます。

出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)

ふきの栄養

ふきはあまり栄養が豊富な野菜ではありません。風味と食感を楽しむ旬の山菜です。しかしながら、いくらか栄養素が含まれますので、その効能を解説していきます。

カリウム

カリウムはミネラルの一種です。

カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。

そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。

カルシウム

体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。

残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。

カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。

食物繊維

食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、ふきの食物繊維はほとんどが不溶性食物繊維です。

不溶性食物繊維は水に溶けず水分を吸って、腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させることで、便秘の予防や改善、腸内環境を整える役割を果たします。腸内環境を整えることは美肌や痩せやすい身体づくりなどに貢献すると考えられています。

さらに、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。

参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス