水分量が多くあまり栄養のないイメージが強いふきですが、どんな栄養素が含まれているのでしょうか?ふきの栄養と効能、効果的な食べ方を解説していきます。
ふきは4〜6月が旬の山菜です。ふきは96%が水分で、100gあたり11kcalととても低カロリーです。カリウムやマンガン、食物繊維をやや含む以外にはほとんど栄養はありません。香りや歯ざわりを楽しむ旬野菜です。
三大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。野菜には少ないたんぱく質や炭水化物(糖質)が主成分です。
ふきの根の可食部100gあたり
エネルギー...20kcal
水分...93.9g
たんぱく質...0.7g
炭水化物...4.6g
脂質...0.1g
食物繊維...1.5g
ふきは水分が90%以上でできています。特別多く含まれている栄養素はありませんが、食物繊維やミネラルが含まれています。
ふきは緑黄色野菜には含まれませんので、淡色野菜です。
炭水化物から食物繊維を引いたのが糖質です。ふきの糖質は100gあたり3.1gと低いので、たくさん食べても糖質の摂りすぎなどを気にする必要はありません。ちなみにごはんの糖質はお茶碗一杯分(100g)で35.6g、カロリーは156kcalとなっています。チョコレートの糖質は、ミルクチョコレートの場合100gで59.3gで550kcalにもなります。
カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。さらに腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。そのため、高血圧の予防になるミネラルの一つです。また心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。ふきには葉にも根にも含まれていますので、しっかりと摂取したいですね。
カリウムは水に溶けやすい性質があり、葉菜類は茹でると50%以上が失われてしまうのでスープなどにして汁ごと食べることがおすすめです。ただしナトリウムを摂りすぎないよう薄味にしましょう。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨も新陳代謝を繰り返しており、古い骨を壊しては新しい骨をつくり、なんと1年間で20〜30%が新しい骨に生まれ変わっています。この骨の代謝にカルシウムは深く関わり骨の健康を保っています。
そのためカルシウムが不足すると、骨が弱くなり、やがて骨粗鬆症を招きます。ビタミンKがカルシウムの吸収を助けるので、一緒に摂取することで骨粗しょう症の予防も期待できます。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉などに広く存在し大切な情報の伝達を行っています。それによって血液中のカルシウム濃度が常に一定に保たれています。機能カルシウムはこの細胞内外の濃度の差を利用して、血液の凝固や酵素の活性化、ホルモンや神経伝達物質の放出をしています。さらには神経の興奮を抑え精神を安定させたり、筋肉を収縮させたりする働きもあり、筋肉のなめらかな動きをサポートしています。そのため、カルシウム不足でこむら返りを起こすことがあります。
マンガンは各組織にまんべんなく存在している栄養素です。酵素の成分になり、骨の成長に関与したり抗酸化作用を発揮します。食事からの吸収率は1〜5%程度と低いです。また、鉄と似た経路で体内に吸収・利用されるため、食事に鉄の含有量が多い場合、マンガンの吸収率が下がってしまいます。基本的に様々な野菜や豆、穀類、海藻など植物性食品に含まれているため、日頃の食事で植物性のものを食べていれば不足することはありません。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、ふきの食物繊維はほとんどが不溶性食物繊維です。水分を吸って腸の中で大きく膨らみ、排便をスムーズにし、有害物質が体にとどまる時間を短縮させ、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
また、便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。他にも免疫やうつ病、脳とも関連があることが近年の研究で明らかになってきています。
さらに、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。
フラボノイドはポリフェノールの一種で、天然に存在する植物色素の総称です。白(無色)〜黄色の水溶性色素です。
ポリフェノールは空気に触れると褐変化が早いです。この茶色く変化することを「褐変」と呼びます。褐変を止める方法は3つあり、1つ目は「水でよく洗うこと」です。これは水にさらしても組織が壊れにくいジャガイモやさつまいもなどに適しています。2つ目は酢やレモンなどにつけて食材を酸性にし、酵素の働きを定価させる方法です。そして3つ目は食塩水につけることです。りんごを食塩水につけて色が変わるのを止めたことがある方は多いのではないでしょうか?これがまさにその方法です。
古い民間療法では、ふきの葉や根の部分を煎じて風邪薬として服用したり、生の葉を切り傷や虫さされの外用薬として用いたりしていたと伝えられています。
そしてふきの根茎を乾燥したものが、生薬の蜂斗菜(ほうとさい)で、解毒や咳止めに用いられていました。
さらにふきは鎮咳や去痰としても用いられ、根茎に含まれているセスキテルペン化合物は、リンパ球性白血病細胞に対して抑制作用を示すことが認められています。
薬膳には「五気」というものがあり、植物分類の基礎理論です。「寒」「涼」「平」「温」「熱」の5つの性質を表され、ふきは「温」に分類されます。
簡単に説明すると、
寒…身体を冷やす食べ物、鎮静作用・消炎作用があり高血圧の人やのぼせやすい人が摂るべきもの
涼…寒より作用が弱いが身体を冷やす食べ物、鎮静作用と消炎作用あり
平…身体を冷やしたり温めたりする作用がない食べ物
温…身体を温める食べ物、興奮作用があり冷え性の人が摂るべきもの
熱…温よりさらに身体を温める食べ物、冷え性の人に加えて貧血の人も摂るべきもの
です。
また、寒い時期には「温」「熱」のものを、暑い時期は「寒」「涼」ものを食べるといいです。
先ほども言いましたが、ふきは「温」に分類されるので、冷え性の人や寒い時期に食べることで身体を温めてくれます。
ふきは加熱すると、水分量が若干増えます。
ただ、栄養素によっては減ることがあります。特に、カリウムは水溶性であるため茹でることで少なくなってしまいます。
ちなみにビタミンCも水溶性であるため、茹でると半分以上減ってしまうことがあります。ふきには若干のビタミンCが含まれていますが、茹でるとほとんどなくなってしまうでしょう。
ふきには肝毒性の強いペタシテニンが含まれています。摂取しすぎると肝臓にダメージがあります。
これはいわゆるアクであるため、アク抜きが必要になります。
ただ、アクが強く下茹でが必須であるため、上述しましたが、水溶性であるカリウムも損失してしまうのが懸念点です。下茹でで約50%のカリウムが失われてしまいます。
妊婦に必要な、葉酸を始めとしたビタミンB群は少なめなので、特に積極的に食べる必要はありません。さらに、アク(天然毒)があるので、しっかり下茹でするのを忘れないようにしましょう。
カリウムは水溶性なので茹でると水に溶けだしてしまいます。
これは茹で時間を短くするだけでも対策になります。切り口から特に出るので、丸ごと茹でるという方法もあります。
またアク抜きしたあとは汁も一緒に食べられるスープなどのレシピが理想的です。
カリウムは塩分を体外に排出するので、塩分を摂り過ぎると一緒にカリウムも排出されてしまいます。なので減塩調理をすることで体内にカリウムをとどめておくことができます。
さらに、カリウムは尿によって体外に排泄されます。そのため利尿作用が強いものを摂りすぎることでカリウムも排泄されやすくなります。基本的にカリウム不足の心配はありませんが、大量発汗したときや利尿剤を利用している場合はカリウム不足には注意しましょう。
しゃきしゃきとした歯ごたえや特有の香りを生かして和え物や煮物にするといいでしょう。
あのしゃきしゃき感はなかなか得られませんよね。旬の時期だと、よりしゃきしゃきとしていますので、ぜひ旬のふきを食べましょう。
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