栄養価の高いグリーンアスパラガスですが、食べ過ぎるとどんな症状が起きるのでしょうか?アスパラガスをたくさん食べるリスクについて詳しく解説していきます。
アスパラギン酸には、利尿作用があります。そのため過剰摂取すると必要以上に水分やミネラルを排出してしまいます。それによって脱水症状が起き、こむらがえりを発症する可能性があります。尿が出ることで体が冷える場合もあります。
また、アスパラギン酸は独特な臭気を持っていて、食べると尿が臭くなることがあります。臭くなるかどうかは個人差があり、臭くなっても特に問題ありません。
アスパラガスにはオリゴ糖が含まれています。オリゴ糖は善玉菌のエサとなり腸内フローラを整える働きがあります。糖質の中ではカロリーが低いと言われ、ダイエッターからも人気な成分です。
ただし、オリゴ糖は消化があまりよくありません。そのまま吸収されることがないため、カロリーが低くなっているのですが、摂取しすぎるとフルクタンやラフィノースというオリゴ糖に含まれる成分が下痢症状を引き起こしたり、お腹が張ってしまうことがあります。
オリゴ糖製品によるオリゴ糖の有効摂取量は1日あたり2〜10gとされているので、それを目安にするといいでしょう。腸に良いからといって、闇雲に多量摂取するのは控えましょう。また、過敏性腸症候群の方はオリゴ糖の摂取を控えるよう推奨されています。
出典:厚生労働省|e-ヘルスネット『腸内細菌と健康』
アスパラにはプリン体が少量ですが含まれています。プリン体は、摂取しすぎると尿酸として体内に蓄積してしまい、高尿酸血症になります。高尿酸値の状態が続くと、尿酸が結晶化して体内の様々なところで沈着し病気を引き起こす原因となります。
プリン体の1日の摂取目安量は400mgとなっています。アスパラガスの穂先100gには55mg、下部100gには10mg含まれていますので、摂取目安量を超えないように調理しましょう。
ビタミンCには尿酸の排泄を促す働きがありますので、プリン体の摂取量が気になる方はビタミンCを多く含む食材を摂るといいでしょう。
出典:厚生労働省|e-ヘルスケア『プリン体』
アスパラガスには食物繊維が含まれています。食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、便秘・下痢の改善や腸内環境を整える際に、この2つのバランスが重要となります。
アスパラガスはどちらも含まれていますが、不溶性食物繊維が水溶性食物繊維より3倍多いです。
アスパラガスに含まれる不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になります。
水溶性食物繊維は摂りすぎると軟便や下痢に可能性があります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうことになりますので注意しましょう。
どのくらい摂取すると過剰摂取になるかの明確な数値はありませんが、摂取目標量については後述しています。
出典:
厚生労働省|e-ヘルスネット『食物繊維』
栄養学博士 新出真理 監修(2014)『第2版 くらしに役立つ栄養学』ナツメ社
カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。高カリウム血症の症状は、軽度ならば筋力低下がみられる程度ですが、重度の場合は不整脈や心停止することがあります。
塩や醤油、味噌を多く使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
いわゆるえぐみの正体がこのシュウ酸で、人間にとって栄養素というよりも老廃物です。シュウ酸は、摂取しすぎると尿路結石症を引き起こす原因になるため摂りすぎには注意が必要です。
シュウ酸は茹でることで減らせます。3分茹でると3分の1〜2分の1消失します。茹でることで水溶性の栄養素は損失してしまいますが、シュウ酸はなるべく摂取しないほうがいいです。
他にシュウ酸が含まれる食材は、ほうれん草やたけのこ、チョコレート、バナナなどがあります。
出典:日本医師会|尿路結石
アスパラガスにもアレルギーが存在します。アスパラガスの場合は遅延型アレルギー(潜在型アレルギー)と言って、すぐには症状が出ず時間が経ってからアレルギー反応が出るため、原因がアスパラガスであることに気付きにくくなります。
また口腔アレルギー症候群の場合、もともと発症の原因となった野菜が違くても、アスパラガスを食べることでアレルギーを起こすことがあります。さらに花粉症の人は口腔アレルギー症候群を引き起こすことも多く、注意が必要です。
出典:厚生労働省|食物アレルギー
ビタミンAは過剰摂取によって頭痛や筋肉痛、皮膚の乾燥や脱毛などの症状が現れます。また、妊婦さんは特に気にかけた方がよく、妊娠初期に過剰摂取すると胎児に悪影響を及ぼす可能性が高くなることが報告されています。しかし、野菜に含まれるβ-カロテンは必要量のみビタミンAに変換されるので心配いりません。
基本的に、ビタミン過剰症などはサプリメントの過剰摂取などから引き起こることが多いです。通常の食事や、1日に1つの食材を普段より多く食べたくらいでは過剰症の心配はありません。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
アスパラガスは可食部100gあたりの糖質が2.1gで、エネルギー量は22kcalと低糖質・低カロリーですので、食べ過ぎによって太ってしまうという心配は必要ありません。アスパラガスに限らず野菜は基本的にカロリーや糖質が低いのでたくさん食べて太ることはないでしょう。ただ、もちろん1日のエネルギー量の摂取目安量を超えれば、何を食べても太ります。
ちなみに、アスパラガスのGI値は25で、低GIに分類されます。
GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。
アスパラガスばかり食べていては栄養が偏る心配があります。
アスパラガスにはβ-カロテンやビタミンCなどが豊富に含まれる一方で、ビタミンB12・D、クロムやセレンといったミネラルが含まれていません。
また、同じ栄養素でも複数の食材から摂取した方がよいため、アスパラガスを食べ過ぎず、幅広い食材から栄養を摂るように心がけましょう。
出典:農林水産省「食事バランスガイド」
アスパラガスの1日の摂取目安量は明確に定まっていませんが、厚生労働省が発表している各栄養素などの摂取目標量などを基準に目安を把握することはできます。
大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
アスパラガスは緑黄色野菜に分類されるので、他の緑黄色野菜と合計で120g以上を目安にするということになります。その他の緑黄色野菜には、人参やかぼちゃ、ブロッコリー、トマト、ピーマンなどがあります。他の野菜を食べることを考慮すると、アスパラガスの1日の摂取量は50〜100gが目安といえます。
出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)
成人女性の1日のエネルギー量の摂取目安は1400〜2000kcalで、男性は2000〜2400kcalです。
アスパラガスは100gあたり22kcalなので、6300g〜10900g食べても問題ない計算になります。
しかし、アスパラガスだけで1日分のカロリーを摂取するのは非現実的であり、健康的ではありません。野菜はカロリーが低いので、カロリーで1日の摂取目安量を算出するのに向きません。カロリーを軸に摂取目安量を決定するのは主に炭水化物、たんぱく質、脂質です。
出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)
食物繊維は不足している人が多いことから、摂取目標量が設定されています。厚生労働省が発表してる日本人の食事摂取基準(2020年版)における、18〜64歳の食物繊維の1日あたりの摂取目標量は女性が18g以上、男性が21g以上です。キャベツなら2玉以上分の食物繊維です。
アスパラガス100gに含まれる食物繊維は1.8gですので、1000〜1160g食べなければ目標量を超えません。ただし、アスパラガスだけその量を摂取することは通常ないので、他の食材も合わせて食物繊維の摂取量を考えるようにしましょう。
食物繊維を多く含む食材には、玄米やとうもろこしなどの穀類、グリーンピースをはじめとした豆類、ごぼうやれんこんなどの根菜類、モロヘイヤなどがあります。
出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)
カリウムも上述したとおり不足している人が多いことから、摂取目標量が設定されています。
ちなみに体内のカリウム平衡を維持するために適正と考えられている1日の摂取目安量は、日本人の食事摂取基準(2020年版)によると18歳以上の男性が2,500mg、女性が2,000mgとなっています。生活習慣病予防を目的とした場合は、18歳以上の女性が2,600mg、男性が3,000mgとなっています。
アスパラガス100gに含まれているカリウムは270mgで、アスパラガスだけで摂取目安量を達成するなら、960〜1100gほど食べてよいことになります。カリウムも1つの食材だけで補うのは難しく、また様々な食材から摂取することを推奨されているので、他の食材と合わせてこの値を目指すとよいでしょう。
カリウムを多く含む食材には、いも類や野菜類、果物があります。
出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)
適量食べれば、栄養たっぷりの野菜なので積極的に摂取するといいでしょう。特にアンチエイジングに効果があります。
アスパラギン酸は非必須アミノ酸のひとつで、その名の通りアスパラガスから発見されたアミノ酸です。アスパラギン酸は酸味を含むうま味成分で、日本人が古くから重宝している醤油や味噌などの発酵調味料のうま味の正体だと言われています。
アスパラギン酸はうま味成分としてだけでなく、人の体調を整える働きもあります。アスパラギン酸はカリウムやマグネシウムを細胞に取り込みやすくし、疲労回復の働きをしています。さらには人間の体液のバランスを整えたり、アンモニアを解毒して肝臓の負担を減らす働きもあります。
また新陳代謝を活発にし角質の水分を保持してくれるので、肌の保湿効果も期待でき、化粧品にも使われています。
ルチンはポリフェノールの一種で、ビタミンPと呼ばれている水溶性のビタミン様物質です。主に毛細血管を強化する働きがあります。歯茎の止血の効果や、動脈硬化や高血圧を改善する効果があります。
また強い抗酸化作用もあるので全般的な生活習慣病の予防にも効果が期待できます。
このルチンはアスパラガスの穂先によく含まれています。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換されます。皮膚や喉など全身の粘膜を健康に保ち、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐことで免疫力をアップします。また、抗酸化作用もあるので、アンチエイジング効果や生活習慣病の予防効果が期待できます。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目や視力低下の抑制効果、他にも皮膚の健康維持に関与していることから乾燥肌やニキビ肌の改善など美肌効果も期待できます。
他の野菜にも豊富に含まれるビタミンCも、アスパラガスには比較的多く含まれています。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
アスパラギン酸はビタミンB1の吸収を高めます。そのためビタミンB1と一緒に摂取するといいでしょう。またアスパラギン酸もビタミンB1も疲労回復効果があるため、一緒に摂取することで相乗効果が期待されます。
ベーコン(豚肉)はビタミンB1が多く含まれているので、アスパラのベーコン巻きは栄養的に理にかなっているということになります。
ルチンはビタミンCの吸収を高める効果があります。そのためビタミンCが含まれているものと一緒に食べると、ビタミンCの効果アップが期待でき、体内でのコラーゲンの合成などをサポートします。
さらにルチンはビタミンCと共に働き、毛細血管を強化する作用もあります。
βカロテンは体内でビタミンAになりますが、体内で吸収されにくいと言われています。このβカロテンの吸収率を油がアップしてくれるので、炒めものなどにして油と一緒に食べることをおすすめします。
ビタミンA・Kは脂溶性なので、油炒めや良質な油を使ったドレッシングで油と一緒に食べる調理法がいいでしょう。
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