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ベーキングパウダーとは?代用品は?アルミフリーって何?

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ベーキングパウダーとは?代用品は?アルミフリーって何?

ベーキングパウダーは、パンや焼き菓子に使われる膨張剤です。本記事ではベーキングパウダーについて詳しく解説します。

ベーキングパウダーの原料・成分

ベーキングパウダーは別名「膨らし粉(ふくらしこ)」といわれ、パンや焼き菓子に使われる膨張剤で、食品添加物の一つです。

ベーキングパウダーは簡単にいうと、ガス発生剤と酸性剤、遮断剤の3つの原料から成ります。ガス発生剤として主に炭酸水素ナトリウムが使われます。炭酸水素ナトリウムとはいわゆる重曹のことです。アルカリ性であるガス発生剤と中和反応によって分解を促すのが酸性剤です。酒石酸水素カリウムやリン酸二水素カルシウム、グルコノデルタラクトンなどがそれに当たります。遮断剤は、保存中にガス発生剤と酸性剤が反応するのを防ぐためのもので、デンプンや小麦粉が使われます。

見た目はただの白い粉で、特に匂いはありません。

アイコク ベーキングパウダーの場合

例えば「アイコク ベーキングパウダー」の場合、成分表は

  • 炭酸水素ナトリウム 25.0%

  • グルコノデルタラクトン 18.0%

  • 酸性ピロリン酸ナトリウム 15.0%

  • 第一リン酸カルシウム 10.0%

  • d-酒石酸水素カリウム 6.0%

  • ステアリン酸カルシウム 1.0%

  • コーンスターチ 25.0%

となります。
こちらはアルミフリーの商品です。

炭酸水素ナトリウム(重曹)がガス発生剤で、グルコノデルタラクトン 、酸性ピロリン酸ナトリウム 、第一リン酸カルシウム、d-酒石酸水素カリウム は酸性剤、ステアリン酸カルシウム、コーンスターチが遮断剤です。

コンスターチとは、とうもろこしからなるでんぷんのことで、小麦粉と違いグルテンを形成しません。

この商品は、グルテンフリーかつヴィーガンといえます。ただし、商品によっては小麦粉由来のでんぷんが使われていることもありますので、小麦粉アレルギーの方は注意しましょう。

また、コーンスターチ以外はすべて食品添加物です。

出典:株式会社アイコク

ベーキングパウダーが膨らむ理由

水分にさらされたアルカリ性のガス発生剤と、酸性剤が化学反応を起こして炭酸ガスを発生させて膨らみます。酸性剤が複数あるのは常温で反応する物質と、加熱によって反応する物質の両方が入っているためです。二段階にすることで、よりふっくら膨らませることができます。

アルミフリー(ノンアルミ)って?

ベーキングパウダーを調べると「アルミフリー」という言葉をよく見かけます。膨張剤に使われるアルミとは「ミョウバン」といわれるもので、正式名称は「硫酸アルミニウムカリウム」です。

ラットを用いた実験で大量投入すると、腎臓や膀胱への影響や握力の低下などが認められていますが、人体への影響は不明確です。WHOが人体に影響がないと定める量を、日本のすべての世代で下回っていたと報告されているので、摂り過ぎをあまり心配する必要はないでしょう。また、アルミの摂取が認知症に繋がるとも昔いわれていますが、最近の実験でこれは否定されています。

食品業界が自主的にアルミの使用を避けているのが現状です。少しでもアルミの摂取を減らしたい方はアルミフリー商品を購入するとよいでしょう。特に赤ちゃんや子供にアルミフリーのベーキングパウダーを使う人が多いです。

参考文献:アルミニウムに関する情報 |厚生労働省

アルミフリー、グルテンフリーの商品であっても、ベーキングパウダーは食品添加物なので、ケミカルな食品を避けたい方は使用を避けるようにしましょう。

ベーキングパウダーの使い方

ベーキングパウダーはパンや焼き菓子を作るときなど、生地を膨らませたいときに使います。酵母を使って膨らませる方法に比べて、温度・湿度の調整や寝かせる工程が必要ないため、家庭で手軽にケーキやクッキー、ホットケーキなどが作れると人気になりました。

米粉などグルテンが含まれておらず、生地を膨らませることができない粉を使ってパンや焼き菓子を作る場合も、ベーキングパウダーを使えばふんわりと膨らませることができます。

焼き菓子に使う場合は粉の2〜2.5%の割合で使用されます。ベーキングパウダーは混ぜた瞬間から膨らみ出すので、長時間置かないように注意が必要です。ベーキングパウダーを使って作る生地は、基本的に混ぜたら寝かせずにすぐ焼きます。

また、天ぷらの衣や、山菜のアク抜きとして使われる場合もあります。

ベーキングパウダーのカロリーと栄養素

ベーキングパウダー100gあたりのエネルギー量(カロリー)は127kcalです。100gでこのカロリーは調味料の中では高い方ですが、一度にたくさん使わないので、あまり心配しすぎる必要はありません。小さじ1杯(4グラム)なら4kcal、大さじ1杯(12グラム)なら15kcalです。

脂質は1.2g、炭水化物(糖質)は29.0gです。たんぱく質、食物繊維は含みません。

その他、カルシウム、リン、ナトリウムといった栄養素を含みますが、ビタミン類は含みません。

ベーキングパウダーの重さ

ベーキングパウダーの重さは下記の通りです。

  • 小さじ1:4g

  • 小さじ2/3:2.7g

  • 小さじ1/2:2g

  • 小さじ1/4:1g

  • 小さじ1/8:0.5g

  • 大さじ1:12g

  • 大さじ1/2:6g

お菓子作りの計量は正確さが要求されるので、スケールを使って測るようにしましょう。

ベーキングパウダーの賞味期限

ベーキングパウダーは賞味期限はブランドによって違いますが、ほとんどの商品が1年以上になっています。ただし、時間が経つとベーキングパウダーが固まってしまう場合があります。また、古くなると膨らませる力が弱くなってしまうためなるべく早く使い切るのがベストです。

保存方法

ベーキングパウダーは開封前・開封後ともに直射日光の当たる場所や高温多湿の場所を避けた冷暗所で常温保存することができます。開封後は、空気中の水分と反応すると膨らませる力が弱くなってしまうので密閉できる容器に移し替えましょう。

冷蔵庫や冷凍庫に入れると、扉の開け締めやベーキングパウダーの出し入れによる温度変化で結露ができてしまう可能性が高いです。ベーキングパウダーは湿気に弱いので常温で保存するのが良いです。

賞味期限が切れたら

未開封の状態であれば賞味期限が切れていても問題なく使えることが多いです。

開封済みで賞味期限が切れたベーキングパウダーは、異臭がしたり変色している、黒い点が見えるという場合はカビが生えている可能性があるので使用を中止してください。特に異常が見られなければ問題なく使えることが多いです。

ただし、上述したように膨らませる力が弱くなってしまっていることがあります。膨らませる力が弱くなっているベーキングパウダーを使うとパンやお菓子を作っても失敗してしまいます。コップなどにベーキングパウダーを小さじ半分程度入れ、お湯を注いだときにシュワシュワと泡立たない場合は膨らませる力が弱くなっているので使用しないほうが良いです。

使えなくなってしまったベーキングパウダーは、脱臭剤にしたり排水溝や浴室などの水回りの掃除に使うことができます。また、ベーキングパウダーには漂白効果もあるため、洗濯をするときに使うと洋服の黄ばみやくすみを落とすことができます。

ベーキングパウダーの値段

ベーキングパウダーは業務スーパーやイオンなどのスーパーで手軽に購入することができます。製菓材料が置かれているコーナーに置かれていることが多いです。

値段はメーカーによって異なりますが、日清フーズでは32gで157円〜160円程、ホームメイドでは30gで353円です。

ダイソーやセリアなどの100円均一でも販売されていますが、スーパーで販売されているものより内容量が少ないです。

ベーキングパウダーの代用品

いざお菓子作りをしようと思うとベーキングパウダーがない!という方も多いかと思います。そんな方のためにベーキングパウダーの代用品を紹介します。

重曹

ベーキングパウダーは、その成分である重曹(ベーキングソーダ)で代用することができます。重曹で代用する方法は2つあります。

1つ目は、ベーキングパウダーのように、重曹と酸性の食品(液体)を組み合わせて使う方法。酸性の液体には、レモン(クエン酸)やマヨネーズ、ヨーグルト、はちみつなどがあります。

2つ目は、重曹のみで代用する方法。重曹のみだと、

  • やや黄色味がかった色になる

  • 多く加えると特有の苦味と塩気がある

  • もっちりとした仕上げになる(ベーキングパウダーはふわっとした仕上げ)

  • 横に膨らむ(ベーキングパウダーは縦に膨らむ)

などの特徴があります。仕上がりを考慮すると、どら焼きや饅頭などの和菓子に向いています。

ドライイースト

ベーキングパウダーは重曹(炭酸水素ナトリウム)と酸性剤からできた食品添加物ですが、イーストは酵母つまり微生物であり、発酵作用によって炭酸ガスを発生させ膨らませます。

ドライイーストを使う場合は、生地を寝かせる工程が必要不可欠です。室温や湿度、イーストの種類、加熱温度など様々な影響を受けるので、膨らみ方や食感を毎回一定に保つのが意外と大変です。

ベーキングパウダーや重曹よりも、もっちりとした仕上がりになります。パン作りに使われるものなので、パンの食感に近いマフィンやドーナツなどを作るときにおすすめです。

ホットケーキミックス

ベーキングパウダーはないけどホットケーキミックスなら家にある!という方は多いのではないでしょうか?ホットケーキミックスの原料にはベーキングパウダーが配合されるため、ベーキングパウダーの代用として使うことが可能です。ただし、ホットケーキミックスには他にも小麦粉や砂糖もすでに含まれているので、ベーキングパウダーそのもの代用ではなく、お菓子作りの粉そのものの代用として使います。ホットケーキミックスは砂糖が含まれており、甘味料の調整が必要なことは覚えておきましょう。

天ぷら粉

意外かもしれませんが、天ぷら粉もベーキングパウダーの代用として使えます。天ぷら粉の主な原料は小麦粉と卵粉、でん粉、ベーキングパウダーです。ホットケーキミックスと同じで、ベーキングパウダーの代用ではなく、お菓子作りの粉としてそのまま使えます。卵粉が含まれているので、クッキーやスコーン、パンなどが作れます。

お好み焼き粉・たこ焼き粉

お菓子作りの粉として代用できるものにはお好み粉やたこ焼き粉もあります。ただし、これらは食塩と、かつおや昆布などのエキス粉末が含まれているので、風味がだいぶ変わります。しょっぱくなってもよいお菓子のときに使うようにしましょう。

ベーキングパウダーと代用可だがあまりおすすめしないもの

炭酸水

炭酸水もベーキングパウダーと同じく炭酸ガスを発生させるので生地を膨らませる効果が一定ありますが、ベーキングパウダーや重曹ほど膨らみません。時間が経つと固くなってしまうことが多いです。炭酸水は水分を含むので、お菓子作りの際の水分と置き換えて使うようにしましょう。ホットケーキなど水分の多い生地に対して使うのがおすすめです。

メレンゲ(卵白)

メレンゲもベーキングパウダーの代用として使うことが可能です。卵白をしっかり混ぜて泡が消えないように生地に混ぜます。炭酸ガスで膨らませるわけではないので、膨らみも弱く、食感が全く違います。ベーキングパウダーのような膨らみや食感を求めている人にはあまりおすすめできません。

山芋

山芋もメレンゲと同じく炭酸ガスで膨らませるわけではありませんので、膨らみが弱く、ふんわりした食感にはなりません。

ベーキングパウダーに代用できないもの

小麦粉(薄力粉・強力粉)

白い粉であり見た目が似ている小麦粉ですが、膨らみませんのでベーキングパウダーの代用として使うことはできません。小麦粉にはグルテンの配合量に応じて、薄力粉、中力粉、強力粉と分かれていますが、どれもベーキングパウダーの代用品として使うことはできません。

片栗粉

ベーキングパウダーに見た目が似ている片栗粉。市販されている片栗粉はじゃがいものでんぷんから作られていることが多いです。片栗粉も小麦粉と同じく生地を膨らませる働きはないので、ベーキングパウダーの代用品として使うことはできません。ただし、お菓子の生地に入れることでサクッとした食感を出すことはできます。

同じ理由で、米粉やオートミール、おからパウダー、もち粉などもベーキングパウダーの代用品として使うことはできません。

コーンスターチ

コーンスターチは、とうもろこしからとれるでんぷん粉です。こちらも膨らむ作用はないので、ベーキングパウダーの代用にはなりません。むしろコーンスターチはベーキングパウダーの遮断剤として使われます。コーンスターチはスープにとろみを出すときなどにも使われます。

マヨネーズ

卵や酢から作れるマヨネーズですが、これも生地を膨らませる作用はないので、ベーキングパウダーの代用として使うことはできません。ただし、重曹とマヨネーズを組み合わせて、ベーキングパウダーの代用として使うことは可能です。マヨネーズには酢が入っているので、酸性剤として使うことができるためです。