肌トラブルが増え始める20代後半。20代後半ならではの肌悩みに注目し、正しい選び方を解説します。定番の人気アイテムから、日本ではまだあまり知られていない海外ブランドまで紹介します。
洗顔とは、洗顔料でクレンジング剤の残りや花粉、ほこり、角質、汗など主に水性の汚れを落とすことを指します。メイクをした日は、クレンジング→洗顔の順に行います。
洗顔は、朝と夜の1日2回行うのが一般的です。朝の洗顔では寝てる間に分泌された皮脂や汗、夜に塗ったスキンケアの残りなどを洗い流し、夜の洗顔ではほこりや花粉、角質、皮脂、肌に残ったクレンジング剤などを洗い流します。
顔の汚れをしっかり落とさなければ、どんなにスキンケアをしても意味がありません。「洗顔なくして、スキンケアなし」です。
メイクをする方は、最初にクレンジングを行ってから洗顔を行います。
クレンジングとは、クレンジング剤でメイクやスキンケアの残り、皮脂、排気ガスなど油性の汚れを落とすことを指します。
洗顔だけでは油分が落ちづらいため、メイクをした日はもちろん、日焼け止めを使用した日もクレンジングすることが重要です。
上図の種類と洗浄力の強さは一般的にいわれているものです。それぞれの商品の洗浄力の強さは界面活性剤の種類と量によって決まるため、同じ種類の洗顔料の中でも洗浄力の強さにはかなり開きがあります。
固形石けんの洗浄力は、あらゆる洗顔料の中でも高い傾向があり、洗い上がりはさっぱりとした肌になるのが特徴です。
最も一般的な洗顔料はフォームタイプ(ペースト状)で、洗顔料を泡立てて使用します。洗浄力は弱〜強で、洗い上がりや泡立ちの良さなどはアイテムによって異なります。フォームタイプはほとんどの場合チューブの容器に入っています。
ジェルタイプもアイテムによってまちまちですが、洗浄力は中〜強で、フォームタイプよりやや高い傾向にあります。
泡タイプの洗顔料は、泡立てる手間が省けるため忙しい方に向いています。洗浄力は固形石けんやフィームよりもマイルドな傾向があります。ただし、刺激性の高い発泡剤が配合されている場合もあるので注意しましょう。泡タイプはポンプ式容器に入っています。
20代後半になると、ホルモンバランスが不安定になりやすく、皮脂の分泌が多くなることがあります。皮脂が過剰に分泌されると、毛穴の詰まりや黒ずみ、顔のテカリなどの肌トラブルが増える傾向があります。
皮脂の分泌が多い場合は、洗浄力の強い洗顔料を使ってしっかりと落とすことが大切です。肌に皮脂が残った状態だと、皮脂が酸化し様々な肌トラブルの原因となったり、洗顔後のスキンケア用品(化粧水や美容液)が浸透しにくくなります。
毛穴ケアができる洗顔料は、洗浄力が高いものや、クレイ、スクラブなどが配合されています。毎日の洗顔とは別に、週1〜2回クレイパックや酵素洗顔などの毛穴スペシャルケアを行うことで、毛穴トラブルが改善しやすくなります。
20代後半では仕事やプライベートのストレスで、今まで感じなかった肌の変化が起こる人が多いです。例えば、肌がヒリヒリしたり、肌荒れなどの敏感症状が現れたりします。その場合は、通常のスキンケアを一旦休止し、敏感肌特化のスキンケアアイテムなど、低刺激な成分で作られたスキンケアアイテムを使用することをおすすめします。
敏感肌向けのブランドには、ラロッシュポゼやビオデルマ、ディセンシア、dプログラム、キュレルなどがあります。これらのブランドは、刺激となる成分の使用を極力控えおり、肌に優しい商品が多いです。ただし、使用されている成分によっては、刺激を感じる場合もありますので、不安な方は皮膚科などの専門医に相談しましょう。
また、一般のブランドの中に、敏感肌向けのスキンケアシリーズが用意されていることもあります。例えば、SHISEIDOの「ジェントルフォース」やAYURA、IPSAの「センシティブ」シリーズなどです。
個人差はありますが、肌の水分量は生まれたときから右肩下がりで減少し続けます。20代後半から肌の乾燥が気になり始める方が多く、乾燥が原因で目元の小じわなどのエイジングサインが出やすくなります。
よって、20代後半からは、保湿ケアを意識することが大切です。保湿ケアは洗顔後の化粧水や乳液などがメインですが、保湿成分配合の洗顔料がありますので、積極的に取り入れましょう。洗顔料によく使用されている保湿成分には、グリセリンやスクワラン、ヒアルロン酸などがあります。
オルビスは、株式会社ポーラ・オルビスホールディングスが展開しているブランドです。
この商品は、オルビスのエイジングケアシリーズ「オルビス ユー」の洗顔料です。オルビスユーのスキンケアアイテムには、共通成分キーポリンブースター(アマモエキス、モモ葉エキス、ヤグルマギク花エキス)が配合されています。これらの働きにより角質細胞内部までしっかりとうるおいで満たされ、肌本来の力が発揮されやすい肌環境に整えます。この洗顔料にもキーポリンブースターが配合されています。さらに、洗浄成分としてモロッコ溶岩クレイが配合されており、毛穴汚れや皮脂などをしっかり取り除き、透明感のある肌へと導きます。
アルコールフリー、オイルフリー、無香料、無着色、アレルギーテスト済み*です。
*全ての方にアレルギーが起こらないというわけではありません。
洗顔前は、同ブランドの「オルビス オフクリーム」でのクレンジングがおすすめです。また、同ラインのスキンケアアイテムには化粧水と保湿ジェルなどが用意されています。
LUNASOL(ルナソル)は、カネボウ化粧品が運営する高級化粧品ブランドです。
この商品は、毛穴汚れや古い角質によるくすみに積極的にアプローチすることができる洗顔料です。独自開発の肌に負担をかけないポリッシングクレンズ処方により、肌の潤いを守りながら落ちにくい角栓や毛穴汚れを分解してすっきり落とし、なめらかな肌に導きます。保湿成分には水溶性コラーゲン、シソ葉エキス、ハイビスカス花エキスが配合されているので、洗い上がりの肌に潤いを与えることが期待できます。
この洗顔料は泡立たないジェル上の洗顔料です。厚みのあるジェルで、肌への摩擦を最小限に抑えることが可能です。
同ブランドのスキンケアアイテムには、クレンジングオイルやポイントメイクリムーバー、化粧水、日焼け止めクリームなどがあります。
ETVOS(エトヴォス)は、日本で初めて国産のミネラルファンデーションを製造、販売した化粧品メーカーです。ヒト型セラミドを配合したスキンケア商品にも定評があります。
この商品の特徴は、ヒト型セラミドと植物性アミノ酸系洗浄成分による「保湿洗顔」です。植物性アミノ酸系の洗浄成分により、肌の潤いやバリア機能を守りながら、肌の汚れや不要な角質だけを落とします。保湿成分として3種類のヒト型セラミド(セラミドEOP、NP、AP)やリピジュア、グリコシルトレハロースが配合されているため、洗顔後の肌に潤いを残します。また、アーチチョーク葉エキス、ビルベリー葉エキス、ヨーグルト液、ダイズ種子エキスなどの整肌成分配合により、肌荒れを防いでキメの整った肌を保ちます。
パラベンフリー、アルコールフリー、石油系界面活性剤フリー、鉱物油フリー、シリコンフリー、着色料フリー、合成香料不フリーです。また、パッチテストとスティンギングテスト済み*の肌にやさしい低刺激処方の洗顔です。
* 全ての方に肌トラブルや皮膚刺激が起こらないということではありません。
同ブランドの泡立てネットを使用すると、濃密でキメの細かい泡が作れます。
ドランクエレファントは、2021年10月に日本に上陸したばかりのアメリカのスキンケアブランドです。
この商品は、クレンジングと洗顔の両方の機能を果たす洗顔料です。ココナッツベースの界面活性剤を含む植物性洗浄成分で、肌のバリア機能を守りながら、メイクアップ汚れや日焼け止め、不要な皮脂、大気汚染物質などを落とします。オメガ6とオメガ9を含むバージンマルラオイルやカンタロープエキスなどの抗酸化成分も配合されています。また、保湿成分としてグリセリンやイボメロン果実エキスが配合されており、洗顔後はやわらかい肌になります。
エッセンシャルオイルフリー、シリコンフリー、無香料で、ヴィーガン、クルエルティフリーです。
同ブランドのクレンジング剤には、バームタイプの「スレイ メイクアップ メルティング バタークレンザー」があります。
DIOR(ディオール)は、フランスのファッションデザイナー、クリスチャンディオールが創業したブランドです。世界4箇所にイノベーションセンターを設け、約350人の研究者が最先端の研究・開発を行っています。また、世界に7つのディオールガーデンを所有しており、希少な花々をそれぞれの土地に適した方法で有機栽培しています。
この商品は、20年にわたる幹細胞研究とディオール独自のフローラルサイエンスパワーを組み合わせたエイジングケアシリーズ「カプチュール トータル」の洗顔料です。日本人の繊細な肌を意識して作られており、皮脂や古い角質、汚染物質などの汚れをやさしく取り除いてくれます。活性化作用を持つロゴンザエキス(フラモムムアングスチホリウム種子エキス)が配合されています。乾ききった土地でも花を咲かせるほどの強い生命力をもつロゴンザから抽出されたエキスが、健康で美しい肌へと導きます。
同ラインのスキンケアアイテムには、化粧水や美容液、クリームなどが用意されています。
DECORTÉ(コスメデコルテ)は、株式会社コーセーが運営するブランドです。
この商品は、コスメデコルテの保湿、美白シリーズ「フェイトチューン」の洗顔料です。フィトチューンシリーズの共通成分であるフムスエキスとハーバルコンプレックスの働きにより、しっとりと透明感のある肌に導きます。フムスエキスは、数千万年の歳月をかけて植物などが海底に堆積した土壌から抽出したエキスで、限られた地域でしか取れない貴重な成分です。採取からさらに2年もの歳月で精製し、エキスが取り出されます。そんなフムスエキスには、フルボ酸・ミネラル・アミノ酸など成分がバランス良く含有しています。ハーバルコンプレックスは、保湿成分として厳選された三種のハーブ(シソ葉エキス、ローズマリーエキス、ローズヒップオイル)で、美肌への生まれ変わりをサポートしてくれます。
植物生まれの洗浄成分配合なので、敏感症状が出ている20代後半の方でもご使用いただけます。泡で出てくるポンプ式なので、泡立てる手間が省けて便利です。
同シリーズのスキンケアアイテムには、クレンジングや美容液、乳液、クリームが用意されていますので、ライン使いがしやすいです。
Red B.Aは、POLA(ポーラ)最高峰のラグジュアリーブランド「B.A」のプレエイジングシリーズです。
この商品は、きめ細かく密度の高いソフニングムース感触の泡が毛穴にフィットし、メークや毛穴の汚れを肌を優しくスッキリ洗い上げることができます。ポーラは、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」の影響を解消するオリジナルエキス、シュードアルテロモナス発酵液Tの開発に成功しました。コルチゾールは、仕事のストレスや睡眠不足、ホルモンバランスの乱れにより発生し、コラーゲンの生産を低下させ、肌のうるおいを低下させてしまいます。シュードアルテロモナス発酵液Tは、南極に住む微生物であるシュードアロテロモスが分泌する発酵液とセンブリエキスを組み合わせたエキスです。本商品を含むRed B.A全商品にシュードアルテロモナス発酵液Tが配合されているので、ストレスによる肌状態の悪化をケアし、凛としたハリのある肌へ導くことができます。
微賦香、アレルギーテスト済み*、敏感肌の方を対象としたパッチテスト済み**の洗顔料です。
*全ての方にアレルギーが起きないというわけではありません。
**全ての方に皮膚刺激が起きないというわけではありません。
同ラインのスキンケアアイテムには、クレンジングや化粧水、クリームなどがあります。
基本的には1日2回(朝・夜)の洗顔がおすすめです。洗顔のタイミングは起床後と帰宅後(入浴時)です。
朝の洗顔を省く方や、1日に3回以上洗顔を行う方がいるかもしれませんが、しすぎもしなさすぎもよくありません。例えば、ニキビや過剰な皮脂分泌が気になるからといって1日に何回も洗顔を行うのは逆効果です。皮脂を取りすぎてしまうことにより肌のバリア機能が低下し、かえって肌トラブルが起こってしまう可能性が大です。
朝は洗顔料を使わずに洗顔する方もいるかと思います。乾燥が気になる場合や肌が敏感になっている場合はぬるま湯での洗顔だけでも構いませんが、基本的には朝も洗顔料を使用して洗顔を行うことをおすすめします。
理由は上記でも述べたように、寝ている内に分泌される皮脂や前夜のスキンケアなどが肌に付着しているためです。とはいえ頑固な汚れではありませんので、洗浄力がマイルドな洗顔料を使用し、やさしく汚れを落としましょう。
日焼け止めやメイクの汚れは油性なので、洗顔だけで汚れを落とし切ることは難しいといえます。日焼け止めや薄いメイク(下地+フェイスパウダー)をした際も、洗顔前にクレンジングを行うことをおすすめします。
おすすめのクレンジングはこちらの記事でご紹介しています。
洗顔料の中には「美容成分たっぷり!」や「◯◯エキス配合!」などの宣伝文句を目にすることがあるかと思います。しかしながら、洗顔は一部の成分を除いてほとんどの成分が汚れと一緒に洗い流されますので、洗顔料に美容成分は必須ではありません。それよりも大切なことは、汚れをしっかりと落としてくれる洗浄力の有無です。
「石けんは肌に優しい」というイメージを持っている方がいますが、実際は固形石けんの洗浄力・肌負担はともに洗顔料の中で最も高いです。石けんの成分はアルカリ性で、汚れや皮脂をしっかりと取り去るだけでなく、皮脂膜を洗い流して肌の水分も奪う場合があります。そのため、乾燥肌や敏感肌の方は使用を避けた方が良いでしょう。
洗顔方法は、使用する洗顔料の形状によって異なりますが、基本的な洗顔方法は以下の通りです。
毛穴を引き締めるために冷水を使用することは、実はあまり意味がないといわれています。一時的には効果があるかもしれませんが、すぐに皮膚の温度は元に戻り毛穴も元の状態に戻ります。また、冷水での洗顔は皮脂が固まってしまって汚れが落ちにくくなってしまうため、洗顔時に冷水を用いるのもおすすめしません。
スペシャルケアとして酵素洗顔やクレイ洗顔がありますが、これらは通常の洗顔と異なり毎日行うものではありません。週に1〜2回取り入れることで、余分な皮脂や角質などを適度に落とすことができます。毎日使用すると、皮脂の取りすぎにより乾燥を招く恐れがありますので、使用頻度には注意が必要です。
スクラブとは、細かい粒子状の研磨剤のことで、古い角質や毛穴汚れなどを取り除くことができます。最近の洗顔料にはスクラブが配合されているものもあります。基本的にスクラブは摩擦により肌に傷をつけてしまう可能性があるため、毎日の使用は控えるべきです。ただしスクラブ入り洗顔料の中には、スクラブ自体が非常に細かかったり、肌にやさしい成分で毎日使用できるものもあるので、使用方法は事前に確認しましょう。
ある程度であれば毛穴の汚れも落ちるかもしませんが、積極的におすすめしたいアイテムではありません。洗顔ブラシの摩擦により肌が刺激され皮膚が肥厚し、毛穴が詰まり広がりやすくなる可能性があります。そればかりではなく、シミなどができる可能性も高まります。また、洗顔ブラシの中で雑菌やカビなどが増殖してしまう可能性があり、それらが肌トラブルの原因となりえます。手でやさしく行うのが、肌にとってやさしい洗顔です。
この記事の冒頭でもご紹介していますが、洗顔の目的は汚れを落とすことです。界面活性剤などの成分が含まれた洗顔料を長時間肌に置くことで、肌に必要な水分や皮脂まで洗い流してしまう恐れがあります。そのため、洗顔時にマッサージを行うのはおすすめしません。マッサージを行う場合は、洗顔後のスキンケア中に取り入れると良いでしょう。(ただし過度な摩擦は禁物です!)
かずのすけ, 白野実(2019)『美肌成分事典』主婦の友インフォス
上原恵理(2021)『医者が教える 人生が変わる美容大事典』KADOKAWA
永松麻美(2021)『正しい知識がわかる 美肌事典』高橋書店
すみしょう(2021)『最短で美肌になるために知っておきたい スキンケア大全』KADOKAWA
久光一誠(2021)『効果的な「組み合わせ」がわかる 化粧品成分事典』池田書店
川島眞, 川田暁, 神田吉弘, 世喜利彦, 能﨑章輔(2018)『美容の科学』じほう
宇山侊男, 岡部美代治, 久光一誠(2020)『化粧品成分ガイド 第7版』フレグランスジャーナル
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