グリセリンが原因のニキビや吹き出物に悩む方に、グリセリンフリーのクレンジング剤を紹介します。グリセリンとは何なのか、他の保湿成分にはどのようなものがあるのか解説します
グリセリンは、水性の保湿成分です。無色透明のやや粘性のある液体で、油脂を加水分解したり化学合成したりすることで製造されます。水分を吸収する性質があることから優れた保湿作用を持っており、うるおいを長時間キープします。グリセリンは皮膚にも存在している成分ですので、アレルギー性が弱く低刺激といわれています。一般的には敏感肌の方でも使用できるとされています。
また、グリセリンは保湿成分としてだけでなく、肌へのなじみを良くしたり、感触を調整する目的でも使用されます。グリセリンは、水と混ざると発熱する性質があることから、温感クレンジングジェルや温感クリームなどに配合されることも多いです。温感作用が目的の場合、グリセリンを大量に配合する必要があるため、全成分表示の1番目にグリセリンが表示されます。
グリセリンはとても優れた保湿成分といえ、実際国内で販売されている化粧水の約90%にグリセリンが配合されているといわれています。
グリセリンには3種類ある
グリセリンには、動物性油脂を分解して製造するもの、植物性油脂を分解して製造するもの、石油化学で合成して製造するものの3種類があり、近年最も多く使われているのは植物性油脂を分解して製造したものです。狂牛病の影響から、動物性油脂を避ける消費者が多くなったためだといわれています。
上述した通り、グリセリンは決して悪い成分ではありません。
一方、高濃度のグリセリンはアクネ菌のエサとなる場合があり、ニキビや吹き出物に悩む人は、グリセリンフリーコスメで改善できる可能性があります。
また、グリセリンは湿度が65%以下の環境で使用すると、皮膚の下層から水分を引き出して表面に留め、皮膚の内側を乾燥させてしまう可能性があることも報告されています。インナードライ肌で悩んでいる方も、グリセリンフリーコスメで改善する可能性があります。
グリセリンは粘性が高くベタベタとした使用感が苦手な方もいます。
グリセリンフリーの商品を購入する際は、グリセリン以外の保湿成分に注目しましょう。
代表的な保湿成分には下記があります。
セラミド
アミノ酸
ヒアルロン酸
コラーゲン
スクワラン
ホホバ油
ワセリン
レシチン
スフィンゴ脂質
グリセリン以外でクレンジング剤によく使用される保湿成分は、スクワランやヒアルロン酸などです。
ただし、クレンジングの主目的はメイク汚れを取ることで保湿ではありません。保湿は化粧水や乳液などのスキンケアでしっかりと行うことを踏まえると、クレンジング剤の保湿成分にはそこまで神経質になる必要はないでしょう。
メイクをした日はオイルやバーム、油性ジェルタイプなど洗浄力の高いクレンジング剤で、メイクや皮脂の汚れをしっかり取り除くのが基本です。
薄いメイク(下地とフェイスパウダーのみ)や日焼け止めだけの日は、クリームや水性ジェル、ミルクなど肌負担の小さいクレンジング剤を使うのがおすすめです。
メイクをしっかり落とすことが美肌への第一ステップです。化粧水や美容液、乳液などのスキンケアの効果を高めるためにも、クレンジングでしっかりメイクを落とすことが重要です。
肌質に関係なくメイク汚れはしっかり落とすことが重要なので、しっかりメイクの日は洗浄力の高いものがおすすめです。
乾燥肌の人が洗浄力の強いクレンジング剤を使うと、皮脂が取れすぎてしまうと心配する方もいるかと思いますが、洗浄力の弱いクレンジング剤で長時間クレンジングをしたり何度もこすると、かえって乾燥を助長してしまう場合があるので注意しましょう。
ノーメイクの日でも、オイリー肌の方で皮脂汚れが気になる方は、クレンジング剤の使用をおすすめします。
オイリー肌でなく完全ノーメイクの日はクレンジング剤は使用する必要ありません。ただし、ノーメイクの日でも肌のために日焼け止めは使用するようにしましょう。
キールズは米国ニューヨークでアポカセリー(調剤薬局)として始まったブランドです。アポカセリーとは、カウンセリングをもとに顧客一人ひとりに適した薬草や原料を調合し、薬やお茶を販売する店を指します。Nature(自然)・Science(科学)・ Service(サービス)という3つの信念をコンセプトにしています。
この商品は美容オイル発想のクレンジングで、様々なエッセンシャルオイルが配合されています。その中の一つであるイブニングプリムローズオイルは、肌のバリア機能をサポートしてくれます。整肌や保湿ができるスキンケア効果の高いクレンジング剤です。
マツエク非対応、W洗顔不要、濡れた手で使用可能、ウォータープルーフメイク対応です。
ゆるめのテクスチャーで、洗い上がりはしっとりふっくらな肌になります。ラベンダーの香りはリラックス効果があります。
あらゆる肌タイプの人におすすめです。
Tatcha(タッチャ)は2021年9月に日本に上陸したばかりの、アメリカのブランドです。創業者が初めて日本を訪れた際に、京都の舞妓の美容習慣に感銘を受けて作られました。ブランド名は、日本の生花の原型「立花(たてはな)」からインスピレーションを得ているなど、ブランド全体を通して日本を感じられます。
この商品には、伊豆大島産のカメリアオイル(椿油)と米ぬか油が配合されています。また、日本が誇るスーパーフード(米・茶・海藻)を発酵させたTatcha独自の「HADSEI-3™: ハダセイ-3™」も配合されています。
鉱物油フリー、合成香料フリー、フタル酸フリー、パラベンフリー、動物実験フリーです。また、アレルギーテスト済み*の商品です。
*全ての人にアレルギーが起きないというわけではありません。
マツエク対応、W洗顔不要、濡れた手で使用不可、ウォータープルーフメイク非対応です。
さらさらとしたテクスチャーで、洗い上がりはしっとりとした肌になります。
あらゆる肌タイプの人におすすめです。
Clinique(クリニーク)は、1968年に世界で初めて皮膚科学的見地から生まれたアメリカのブランドです。皮膚科医の問診からヒントを得て独自に開発された肌診断ツールを使用し、一人ひとりにあった商品を提供しています。
この商品は洗浄力が高く、落としづらい日焼け止めやしっかりメイクもするとメイクオフできます。また、保湿成分(エモリエント作用)としてハイブリッドサフラワー油が配合されています。
パラベンフリー、フタル酸エステルフリー、香料フリー、ヴィーガンフレンドリーです。また、アレルギーテスト済み*です。
*全ての方にアレルギーが起きないというわけではありません。
マツエク非対応、W洗顔不要、濡れた手で使用不可、ウォータープルーフメイク対応です。
手のひらで溶けるバームは、とろっと厚めのオイル状になります。皮脂やうるおいを取りすぎることはありませんが、さっぱりとした洗い上がりです。ほぼ無臭ですが、油特有の匂いがかすかにあります。
あらゆる肌タイプの人が使用できますが、特に脂性肌の方におすすめです。
THE BODY SHOP(ザボディショップ)は、英国ブライトン発祥のブランドです。THE BODY SHOPの商品は全てクルエルティフリーです。動物実験を行わず、動物毛や昆虫などから得られる色素を使用しない、100%ベジタリアンの商品を提供しています。
この商品は、自然の恵みで作られたクレンジングバームです。イギリスで採取されたカモマイル(整肌成分)やイタリア産オリーブオイル(保湿成分)、ガーナ産シアバター(保湿成分)が配合されています。
防腐剤フリー、ベジタリアンフレンドリー、ヴィーガンフレンドリー、クルエルティーフリーの商品です。
マツエク対応*、W洗顔必要、濡れた手で使用可、ウォータープルーフメイク対応です。
*マツエクによって使用されている薬剤が異なりますので、施術店に使用可否をご確認ください。
体温ですぐに溶けるバームは、軽めのテクスチャーです。洗い上がりはしっとりふっくらとした肌になります。カモマイルの香りは筆者のお気に入りです。
あらゆる肌タイプの人が使用できますが、特に乾燥肌や敏感肌の方におすすめです。
クレンジング後の洗顔には、同ブランドの「ドロップスオブライト ピュアクラリファイング フォームウォッシュ」などがおすすめです。
オルビスは、ポーラの通販部門として1987年に設立されたブランドです。化粧品に油性成分を含まない「オイルカット」など、肌に不要なものは使用しない商品開発を行っています。スキンケアやメイクアップ商品以外に栄養補助食品やボディウェア等も販売しています。簡易包装や詰替え用販売を採用しており、環境へ大きく貢献しています。
この商品は「メルティクリアベース」が採用されており、メイク汚れとなじむとオイルのような液状に変化します。また、ヒアルロン酸ナトリウムやマリンコラーゲン、ローヤルゼリーエキスなどの保湿成分が配合されています。
オイルフリー、無香料、無着色で、アレルギーテスト済み*、ノンコメドジェニックテスト済み**です。
*全ての人にアレルギーが起きないというわけではありません。
**全ての人にコメド=ニキビのもとができないというわけではありません。
マツエク対応***、W洗顔必要、濡れた手で使用可能、ウォータープルーフメイク非対応です。
***一般的なシアノアクリレート系の接着剤に対応しています。使用されている接着剤については、施術店にご確認ください。
弾力のあるジェル状のテクスチャーです。洗い上がりはしっとりもちもちとした肌になります。無香料なので香りはほぼありません。
IPSA(イプサ)は、資生堂の子会社として1986年に設立されたスキンケア・メイクアップブランドです。
IPSAの「レシピづくり」に定評があります。IPSA独自の肌診断(イプサライザー)で肌状態を総合的、科学的に分析し、個々人に合ったスキンケアをレシピストが提案します。
この商品は、肌のキメに密着したファンデーションなどのメイク汚れとなじみがよく、マッサージ感覚でやさしく汚れを取り除くことができます。
アレルギーテスト済み*です。
*全ての人にアレルギーが起きないというわけではありません。
マツエク対応、W洗顔必要、濡れた手で使用、ウォータープルーフメイク非対応です。
濃厚でなめらかなテクスチャーです。洗い上がりの肌はしっとりとした肌になります。柑橘系の香りです。
洗浄力はマイルドなので、薄いメイクの日(下地とフェイスパウダーのみ)におすすめのクレンジングです。
あらゆる肌タイプの方にご使用いただけますが、特に乾燥肌の方におすすめです。
クレンジング後は、同ブランドの「クレンジング モイスチュアフォーム」で洗顔を行いましょう。
アクセーヌは、ピアス株式会社の傘下にあるブランドです。1970年代に頻発した化粧品アレルギーを2度と繰り返さないために、皮膚科専門医とともに共同研究され生まれました。肌への負担が少ない商品が多いことから、皮膚科でも紹介されています。
この商品は、低刺激性のクレンジングミルクです。肌をほぐして取り除く角質ケアに特化しています。角質柔軟成分やザラつきやくすみ、ニキビなどの原因となる古い角質を柔らかくし、取り除きやすい状態に整えます。
アルコール(エタノール)フリー、無香料、無着色です。また、肌に残りやすく刺激になりやすいといわれるラウリン酸やオレイン酸もカットしています。
マツエク対応*、W洗顔必要、濡れた手で使用不可、ウォータープルーフメイク対応です。
*一般的なシアノアクリレート系の接着剤に対応しています。使用されている接着剤については、施術店にご確認ください。
やや粘度の高いテクスチャーです。洗い上がりはもちもちの肌に仕上がります。無香料ですが、かすかに原料臭がします。薄いメイク(下地とフェイスパウダーのみ)時にぴったりのクレンジング剤です。
あらゆる肌タイプの人が使用できますが、特に敏感肌の方におすすめです。
同ブランドの洗顔料には「リセット ウォッシュ」があります。泡で出てくるタイプなので、泡立ては不要です。
ビオデルマは1977年にフランスで創業されたスキンケアブランドです。生物学の視点を皮膚科学に取り入れた科学的アプローチで、40年以上にわたり研究を続けています。皮膚科学に関心の高いフランスでは、多くの皮膚科専門医がビオデルマの商品を処方しています。
この商品は、1本でクレンジング・洗顔・保湿の役割を果たすというコンセプトで作られた、弱酸性のクレンジング剤です。保湿成分であるキュウリ果実エキスやビオデルマ独自D.A.F.(マンニトール、キシリトール、ラムノース)が配合されています。
エチルアルコールフリー、オイルフリー、パラベンフリー、無香料、無着色です。パッチテスト済み*、ノンコメドジェニックテスト済み**です。
* 全ての人に皮膚刺激が起きないないということではありません。
** 全ての方にコメド(ニキビのもと)が発生しないということではありません。
マツエク対応、W洗顔不要、濡れた手で使用不可、ウォータープルーフメイク対応です。
リキッドタイプなので、水のようにさらさらとしたテクスチャーです。拭き取り後の肌はさっぱりとします。無香料ですが、かすかに原料臭がします。
敏感肌の方も含め、あらゆる肌タイプの人が使用できます。
肌に触れる前に、手を清潔にすることが第一ステップです。手についた雑菌などが肌荒れを引き起こす場合があるので、ハンドソープなどで軽く手を洗いましょう。
一般的なクレンジングは、乾いた手で使用するように作られています。手を洗ったらタオルなどでしっかりと水気を取り、クレンジング剤を手に取ります。使用方法などに記載されている分量、もしくはそれよりも多めに使いましょう。
クレンジング剤を肌にのせる順番は、皮脂腺が活発なTゾーン(おでこから鼻先)→Uゾーン(フェイスライン)→頬です。
顔全体にクレンジング剤をのせたら、顔の中心から外側に向かってなじませていきます。この時、ゴシゴシと強い摩擦を加えるのはNGです。小鼻周りなど毛穴が気になる部分は、薬指の腹を使って小さな円を描くようにやさしくなじませます。
肌にクレンジングオイルをのせる時間は、30秒〜1分程度にしましょう。それ以上は、肌に必要な皮脂まで落ちてしまい、肌負担が大きくなってしまいます。また、1分以上かけてもメイクとなじまない場合は、メイクに対してクレンジングの洗浄力が低いことが考えられますので、クレンジング剤を変えるなどして対処しましょう。
クレンジング剤が顔全体になじんだら、少量の水またはぬるま湯をつけて油分と水分をまぜて、クレンジング剤が白くなるまで乳化させましょう。乳化とは、油や水分のように本来混ざり合わないものが均一に混ざり合うことを指します。乳化によってメイク汚れが浮き、少ない摩擦で落とすことができます。
乳化ができたらクレンジング剤を洗い流します。この時、ぬるま湯で洗い流すのがポイントです。お湯の温度が高すぎると、肌に必要な皮脂まで洗い流してしまいます。ほんのり温かいと感じる人肌程度の温度が最適です。洗い流す時は顔をこするのではなく、お湯を顔に優しくつけるようにします。すすぎの回数は30回ほどが目安で、オイルのヌルヌル感がなくなるまでです。生え際やフェイスライン、小鼻の周りなども丁寧に洗い流しましょう。界面活性剤などのすすぎ残しがあると、肌荒れの原因になってしまいます。
清潔なタオルもしくはティッシュで水分を吸い取ります。顔を擦って水分を「拭く」のではなく、タオルやティッシュを顔にやさしく当て水分を「吸い取る」ことが重要です。肌当たりの良い素材のものを使用しましょう。
W洗顔が必要な場合は、05のあとに洗顔へとうつります。
洗顔料の使い方も、基本的にはクレンジングオイルの使い方と同じです。泡立てが必要なものは、手やネットを使ってたっぷりの泡を立てて使います。
かずのすけ, 白野実(2019)『美肌成分事典』主婦の友インフォス
上原恵理(2021)『医者が教える 人生が変わる美容大事典』KADOKAWA
永松麻美(2021)『正しい知識がわかる 美肌事典』高橋書店
すみしょう(2021)『最短で美肌になるために知っておきたい スキンケア大全』KADOKAWA
久光一誠(2021)『効果的な「組み合わせ」がわかる 化粧品成分事典』池田書店
川島眞, 川田暁, 神田吉弘, 世喜利彦, 能﨑章輔(2018)『美容の科学』じほう
宇山侊男, 岡部美代治, 久光一誠(2020)『化粧品成分ガイド 第7版』フレグランスジャーナル
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