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生トマトとトマト缶の違いは用途と栄養?お互い代用できる?

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生トマトとトマト缶の違いは用途と栄養?お互い代用できる?

生のままのトマトと、缶詰になっているトマトにどのような違いがあるかご存知ですか?全く同じものではなく、使われている品種や収穫時期、栄養価などが全く異なります。この記事では、トマトとトマト缶の違いを詳しく解説しています。またトマト缶の種類や違い、トマト缶がない時のおすすめの代用品などもご紹介します。


生トマトとトマト缶の違い①品種

生のトマトと、トマト缶などに使用されるトマト(加工用トマト)は品種が異なります。生のトマトがピンク系(桃色系)の品種であるのに対し、加工用のトマトは赤系の品種が用いられます。

ピンク系のトマトは酸味やトマト臭が少なく、また皮が薄くて果肉が柔らかい特徴があります。サラダなどとして生のまま食べたり、加熱料理として食べても美味しくいただけます。ピンク系の品種には、日本で最もメジャーな桃太郎やファーストトマト、フルティカ、サターン、おどりこ、ピッコラルージュなどがあります。

一方で赤系トマトは、酸味と甘味の両方が強く、果実の内部まで真っ赤な色をしています。加熱することで美味しさが増すのが特徴で、生食には適さないことが多いです。加工用に用いられる赤系トマトには、サンマルツァーノやローマトマト、かごめ77、ふりこま、くりこまなどの品種が使われます。加工用トマトは加工メーカーが独自に育成しているものや、契約栽培されているものがほとんどなので、一般に入手することは難しいです。

ちなみに日本では最も一般的なピンク系トマトですが、世界的には赤系トマトの方が主に生食用・調理用として用いられることがほとんどです。

生トマトとトマト缶の違い②収穫のタイミング

生食用・調理用トマトは完熟前に、加工用トマトは完熟後に収穫されます。

生食用・調理用のトマトは、スーパーなどに並ぶ際に食べ頃になるように逆算して収穫されています。完熟した状態で収穫してしまうと流通過程で食べ頃を過ぎてしまったり腐敗してしまうため、トマトの実が緑色かほんのりピンク色をしている程度で収穫されます。トマトは収穫後も呼吸をしているため、24〜26℃の状態に置くと呼吸量が増え追熟します。

一方でトマト缶に使用されるトマトは、完熟してから収穫されます。収穫後は工場で加熱処理されることでより甘みが増し、濃厚な味の製品になります。

生トマトとトマト缶の違い③用途

生食・調理用トマトとして使用されるピンク系トマトは、トマトの酸味やみずみずしさを生かしてサラダやマリネ、サルサソースなどで生のまま食べたり、パスタソースやトマトスープで加熱して食べるなど用途が様々です。

トマト缶を生食することはほとんどなく、主に加熱調理に用いられます。上述したように、トマト缶に使用される赤系トマトは、加熱することでより美味しくなり、ピンク系トマトよりも酸味と甘味が強く濃厚な味が楽しめます。

生のトマトと缶詰のトマトは、風味や特徴が異なります。それぞれの特徴を生かすために、トマトソースやミネストローネなどの加熱料理を作る際は両方を使用するのがおすすめです。より濃厚で深みのある味に仕上がります。

生トマトとトマト缶の違い④栄養価

生のトマトと缶詰のトマトではリコピンやビタミンC、ビタミンBなどの栄養素の含有量が異なります。リコピンの含有量は加工用トマトの方が多く、ビタミンCやビタミンBの含有量は生のトマトの方が多く含まれています。

加工用トマトには、色素成分である「リコピン」が多く含まれます。このリコピンですが、完熟前のトマトと比べると3〜4倍(10mg%程度)も多く含まれているといわれています。リコピンは抗酸化作用のある栄養素で、リコピンの抗酸化作用は同じ抗酸化作用を持つβ-カロテンの2倍以上、ビタミンEの100倍以上といわれています。肌や血管の老化を防いだりガンや動脈硬化などを予防する効果が高いことがわかっています。さらにリコピンは加熱調理することで吸収率がアップします。

ただし、加工用トマトは缶詰にする前に加熱処理が行われるため、トマト自体のビタミンCやビタミンBなどの栄養素は失われてしまいます(ただし短時間で処理されるので損失は少ないという考えもあります)。

ホールトマトとカットトマトの違い・使い方

トマト缶には、固形のままトマトを残したホールトマトと、ダイス状(サイコロ状)にカットしたダイストマトがあります。

ホールトマトとカットトマトは、栄養素的な違いはほとんどありません。また、味も大きな違いはありませんが、ホールトマトの方が若干甘みや酸味、香りが強く残り、カットトマトの方があっさりとした味わいです。

ホールトマトとカットトマトの大きな違いは、使用されているトマトの品種と使い方です。ホールトマト状のトマト缶には、細長い形をしているサンマルツァーノ種やローマ種などが使われることが多いです。これらの品種は、加熱することで美味しさを発揮します。トマトが丸ごと入っているため、種も多く含まれています。そのため果実の甘みと種の酸味のバランスがよく、トマトの旨味が際立ちます。ホールトマトのトマトは煮崩れしやすいので、トマトソースや煮込み料理などに適しています。煮崩れしやすいですが、調理前にトマトを2〜3回ほど手で潰すことで、果実と実がよりなじみ旨みが出やすくなります。

カットトマトのトマトには、ラウンド種やロマーノ種など丸い形のトマトが使われます。これらのトマトも加熱向けで、煮込むことでより美味しくなります。種がある程度取り除かれているため酸味は弱めです。果肉がしっかりしていて煮崩れしにくいため、スープなどトマトの食感を残したい料理に適しています。

トマト缶がない時の代用品

トマト缶を使いたい時に在庫を切らしてしまっていても、その他のトマト製品で代用することができます。トマト缶がない時に使えるトマト加工用をご紹介します。

生トマト

トマト缶がない場合は生のトマトで代用可能です。ただしそのままだとトマト缶のような深い風味は味わえないため、調味料を加えて煮詰めて使うことをおすすめします。

トマト缶1缶に使用されているトマトは大玉トマトだと2〜3個、中玉トマトだと4〜5個分だといわれています。トマトの皮をむいてサイコロ状にカットし炒め、トマトジュースや塩、コンソメなどを加えてトマトを潰しながら煮詰めるとトマト缶に似た風味を出すことが可能です。

ケチャップ

そもそもトマトケチャップとは、濃縮トマトに砂糖や塩、香辛料など様々な調味料を加えたものです。味がしっかりとつけられているため、トマト缶の代用としては使いづらい場合もあります。

トマト缶と同量のケチャップを使用すると、味が濃くなったり甘みが強くなってしまうので、少量使用するとよいでしょう。煮込み料理などには向いておらず、ミートソースなどの隠し味として加えるのに適しています。

トマトピューレ

トマトピューレとは、水煮したトマトを裏ごし煮詰めたものを指します。つまり、ホールトマトやカットトマトをペースト状にしたようなものです。そのため、トマト缶がなくてもトマトピューレで代用することが可能です。

ホールトマトやカットトマトのように果実が残ることはありません。煮込み料理などに加えることで、トマトの旨みがプラスされ味わいが深くなります。

トマトジュース

トマトジュースとは、生のトマトを絞って皮や種を裏ごしし加熱処理したものです。濃縮しているわけではないため、トマトのフレッシュ感がより感じられる加工品です。

トマト缶の味わいと比べるとかなりあっさりとした味わいなので、代用として使用するのは適していません。ただし、トマトケチャップとトマトジュースなど、他のトマト加工品と合わせて使用することで、トマト缶に似た風味を出すことは可能です。

トマトジュースは水分が多いため煮込み料理に適してます。また、トマトのフレッシュ感を生かすためにドレッシングやドリンク、デザートなどとして使用するのもおすすめです。