ミニトマトのような小さいサイズからこぶし大ほどの大きさの大玉トマトまで、トマトには様々な種類があります。普通のトマトとミニトマトには大きさ以外にどのような違いがあるかご存知ですか?この記事ではトマトとミニトマトの様々な違いを詳しく解説しています。
トマトの分類方法は様々ありますが、この記事では、トマト=大玉トマトまたは中玉トマト、ミニトマト=小玉トマトとします。
トマトとミニトマトの最大の違いは大きさです。
トマトは、大きさに応じて大玉・中玉・小玉の3種類に大別することができます。直径7〜10㎝ほどで重さが150g以上のものが大玉トマト、大玉トマトよりも一回り程度小さいサイズで重さが50〜150g前後のものが中玉トマト、直径2〜3㎝ほどで重さが30g以下のものが小玉トマトに分類されます。
日本で最もメジャーな品種である「桃太郎」は大玉トマトに該当します。「ミニトマト」は「小玉トマト」に分類されるトマトの総称として使われます。
トマトの原産地は南米のアンデス山脈(ペルー・エクアドル圏)です。「トマト」という名前は、古代メキシコ語で「膨らむ果実」を意味する「Tomatl(トマトゥール)」に由来しているそうです。当時インカ族は、トマトを太陽の輝きを象徴する神聖な果実として珍重しており、トマトは食用ではありませんでした。移民とともにメキシコ→アメリカ→ヨーロッパ→アジアと世界各国に伝来し、トマトを食用に育て上げたのはメキシコ人といわれています。
15世紀末にコロンブスによってヨーロッパに伝わりましたが、当初は観賞用(有毒植物と思われていたという説有り)として扱われ、食用とされたのは18世紀になってからといわれています。19世紀に入ってイタリアで品種改良が進み、英国では早生品種が育成されました。
日本へトマトが伝わってきたのは17世紀末とされていますが、野菜として利用され始めたのは明治に入ってからで、一般に普及したのは1930年代に入ってからです。
トマトの原種はミニトマトのような小さいサイズだったのですが、品種改良によって中玉や大玉のような大きいトマトが誕生しました。
ミニトマトは、元々機内食用に開発されたトマトです。当初は国際空港周辺でのみ栽培されていましたが、見た目の可愛さや食べやすさなどの理由から1980年代に入り一般的になりました。
トマト全般にいえることですが、ハウス栽培がさかんに行われているため、トマトは1年中出回っています。1年の中でも美味しく食べられる「旬」の時期はトマトとミニトマトで若干異なります。
そもそも「旬」とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。露地栽培で育ったトマトはハウス栽培で育ったトマトよりも太陽をたくさん浴びることができ、甘みや栄養価などが高いです。
トマトの旬は、実は夏ではなく春〜初夏、ミニトマトの旬は5月〜10月頃です。トマトは実は高温多湿に弱く、涼しく強い日差しがある環境を好みます。春〜初夏は、トマトが育つには最適の季節となり、この時期に出回るトマトは夏のトマトよりもより美味しく食べることができます。
世界には10,000種類以上ものトマトがあるといわれており、日本では現時点で約340種類が品種登録されています。
日本で最もメジャーな品種「桃太郎」のような大玉トマトには、ファーストトマトやサンロード、ルネッサンス、パルト、ごほうび、麗夏などの品種があります。中玉トマトサイズの品種には、フルティカやカクテルトマト、こくみプラス、イタリアン・トマト、紫トマト、カンパリ、アメーラ、シンディースイートなどがあります。
小玉トマト(ミニトマト)にも様々な品種があります。色別で分けると、オレンジ系、黄色系、緑色系、黒系、クリーム色系などに分けることができます。また、形は普通のトマトのように丸いものだけでなく、卵型やイチゴ型などもあります。
<ミニトマトに分類される品種一例>
アイコ、チョコレートチェリー、キャロル7、トマトベリー(トマトベリーガーデン)、ブラックチェリー、ブラッディタイガー、スノーホワイト、アメーラルビンズ、グリーンベリー、ゴールデンナゲット、ピッコラカナリア、こくパリッ、つやぷるん(プチぷよ)、フルーツイエロー、ビタミンエース、ピュアスイートミニ など
ミニトマトの栄養価は普通のトマトよりも高いのが特徴です。ビタミンCやビタミンB群、β−カロテン(ビタミンA)、カリウム、食物繊維などは約1.5〜2倍、リコピンに関してなんと約3〜5倍も多く含まれてます(トマトには4mg前後、ミニトマトには8mg前後)!
また、トマトは小ぶりなものほど糖度が高くなる傾向があります。そのため、普通のトマトよりもミニトマトの方が甘みが強く感じられます。ミニトマトは栄養価が高いのでたくさん食べたいところですが、食べ過ぎると糖度の過剰摂取になるので注意しましょう。
ここで、トマトに含まれる主な栄養素の特徴をご紹介します。
トマトの栄養素の中でも注目してもらいたいのは「リコピン」という栄養素です。多くの人が耳にしたことであろうリコピンですが、実はトマトの赤色の成分なのです。トマトが熟すにつれてリコピン(と、カロテン)が増加し、緑色素のクロロフィルが消失するため赤色になります。リコピンはトマトのほかにも、スイカや金時人参、柿にも含まれています。
リコピンは抗酸化作用のある栄養素です。リコピンの抗酸化作用は同じ抗酸化作用を持つベータカロテンの2倍以上、ビタミンEの100倍以上といわれています。肌や血管の老化を防いだりガンや動脈硬化などを予防する効果が高いことがわかっています。
トマトの皮には、全体の約40%ものリコピンが含まれているといわれています。口当たりをよくするために皮を剥いて調理する方も多いと思いますが、大変もったいない!皮はそのままで食べるほうが栄養的には◎です。
ちなみに、トマトに含まれるリコピンは常温保存することで最大60%もアップします。
「トマトの赤色はカロテンではなくリコピンです」と言われることがあり、間違いではありませんが、トマトにはβ-カロテンも豊富に含まれています。
β-カロテンは、皮膚や喉などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあり、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐ事で免疫力をアップし病気にかかりにくくなります。また、抗酸化作用もあるので、アンチエイジング作用があり、がんや動脈硬化を予防する働きがあります。亜鉛が補酵素に入ると、β-カロテンがレチナールへ、さらにレチナールにナイアシンが結合することで体内に作用します。ビタミンAとしての働きを促すにはミネラルの亜鉛、ビタミンB群のナイアシンも必要になります。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目もあり、夜盲症の予防や視力低下の抑制があります。また皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。
トマトにはビタミンCも豊富に含まれます。旬の時期、ビタミンCの含有量は特に多くなります。貯蔵によって減ることも少ないです。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。
さらに、ビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
また抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。
カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。さらに腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。また、心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。
カリウムは水に溶けやすい性質があり、茹でると50%以上が失われてしまうこともあるので、スープなどにして汁ごと食べることがおすすめです。ただしスープでナトリウムを摂りすぎないよう薄味にしましょう。トマトに塩をかけて食べるのは避けた方がよいでしょう。せっかくのカリウムの良さを消してしまいます。
トマトに含まれる様々な栄養素を効率的に摂取するおすすめの調理法や食べ方をご紹介します。
実は、トマトは温かい地域が産地であり、寒いのが苦手です。冷蔵庫に入れっぱなしにすると、低温障害を起こしリコピンが大幅ダウン!これではもったいないですよね。
すぐにトマトを食べない場合は、まだヘタまわりなどにうっすらと青みが残ったトマトを選び、15〜25度くらいの直射日光が当たらない場所でヘタを下にして置いておくと、追熱して赤くなります。赤くなるということは、リコピンが増えている証拠です。最大60%もリコピンがアップします。
夏は避けた方がいいですが、暑くなりすぎない日は冷蔵庫の野菜室に入れる前に、やってみてください。
トマトのリコピンは加熱することで細胞壁が壊れ吸収率がアップします。サラダで食べるよりも、炒めたりスープ、煮込み料理にして食べた方がリコピンは2〜3倍吸収することがわかっています。
また、加熱することでトマトに含まれるうま味成分であるグアニル酸が増加するので、うま味もアップします。
トマトに多く含まれるリコピンとβ-カロテンは油に溶けやすい性質を持ちます。油で調理すると吸収率がアップします。オリーブオイルなどの酸化しにくい油で炒めるのがおすすめです。またサラダで食べる場合でもオリーブオイルやドレッシングをかけることでリコピンの吸収率が上がります。
リコピン摂取で考えると、イタリア料理はとても理にかなっています。カプレーゼなどはまさに!トマトにオリーブオイルを合わせていますよね。他にもパスタやピザなどもオイルを使い、加熱もしているのでリコピンを思う存分摂取することができます。
トマトを切ると、中のゼリー部分はとても切りづらく、つぶれて流れて出てしまうことがありますよね。しかし、このゼリー部分にはトマト全体の80%のアミノ酸が詰まっています。そのためゼリー部分がなくなるとうま味がぐんと減ってしまいます。包丁をしっかりと研ぎ、種を無駄にしないようにしましょう。
また、種も切らないように注意しましょう。種はトマトのおしりからのびる放射線状の白線上にあるので、トマトを切るときは白線を避けて切りましょう。
実は、トマトの皮には栄養が多く詰まっています。トマトと言えばの栄養素であるリコピンやβ-カロテンが多く含まれています。正確に言うと、野菜や果物は皮のすぐ下の部分に栄養が詰まっていることが多く、剥いてしまうとその部分も一緒に取れてしまうことから皮ごと食べることが良いとされています。
またトマトの皮には不溶性食物繊維も多く含まれています。食物繊維を摂りたい人は皮ごとしっかり食べるといいでしょう。ただ、皮には農薬や見た目を良くするワックスが付いていることが多いので、無農薬のものを買ったり食べる前にしっかり洗ったりと、皮ごと食べる際は対策が必要です。
トマトの皮はやや厚めで消化しにくいため、食べる際は細かく切ることで栄養素の吸収力がアップします。
トマトもミニトマトも、食べる前に切って食べましょう。ただし上述したように、トマトのゼリー部分を潰さないように、トマトのお尻部分から伸びている白い線を避けて切りましょう。ミニトマトは半分に切って食べると◎。
リコピンは抗酸化力が強いビタミンEを一緒に摂ると抗酸化力がアップします。同じ効果を持つ別々の栄養素を一緒に摂取すると、その効果がアップするんですよね。それを相加効果と言います。
ビタミンEを豊富に含む食材にはアボカド、南瓜、アーモンドなどがあります。
トマトにはビタミンPの一種であるケルセチンが比較的多く含まれ、ビタミンCの働きを助ける効果があるといわれています。ビタミンCにはシミやシワを防ぎ免疫を高める効果がある栄養素です。
柑橘系の果物、いも類などのビタミンCが多く含まれている食材と組み合わせると効果的です。逆もまた然りでトマトもビタミンCを多く含むのでタマネギやブロッコリーなどケルセチンを多く含む食材と合わせるとより効果を発揮します。
トマトの食物繊維と、イカや牡蠣、あさりなどのタウリンには、コレステロールを下げる効能があるため、一緒に摂取することでより効果がアップします。
食物繊維は、コレステロールを吸着して体外に排出することで、血中のコレステロール値を低下させます。タウリンは、血中の悪玉(LDL)コレステロールを大きく低下させ、さらには善玉(HDL)コレステロールを増やします。全体の総コレステロールは低下します。またタウリンには血圧を下げる効果もあります。
トマト全般は、主に食用と加工用に分けられます。ミニトマトは生のまま食べることが多いですが、トマトは品種によって生食向けと加熱調理向けのものがあります。
例えば、桃太郎やファーストトマトなどの「ピンク系」とよばれるトマトは甘みが強く果肉が崩れにくいため生食に適しています。クッキングトマトなどの「赤系」のトマトは酸味があり味がしっかりとしているため、主に加熱料理に適していますがもちろん生食としても美味しくいただけます。
ミニトマトは皮が薄く甘みが強いため、生のままサラダやマリネなどとして食べられることが一般的です。もちろん加熱料理にも使用することができ、スープや煮物の具材として使われます。つよい甘みを生かして、味が濃く美味しいトマトソースを作ることも可能です。
「ミニトマト」と同じように使われている言葉に「プチトマト」があります。
ミニトマトは小玉サイズのトマトの総称ですが、プチトマトは、ミニトマトに分類される品種の一つです。つまりミニトマト=プチトマトではありません。
プチトマトは、昭和50年頃に種メーカーであるタイキ種苗株式会社が開発した品種です。当時は高度経済成長期で、マンションや団地で暮らす人が増えていました。そんな中、スペースが限られたベランダでも簡単にプランター栽培できるようにと開発されたのがプチトマトです。
プチトマトは、平成19年(2007年)に販売終了となっていますが、いま現在も「プチトマト」という言葉は使用され、「ミニトマト」の意味で誤用されることが多いです。
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