豆苗は生で食べることもできますが、「生で食べると危険」と言われることがあります。本記事では豆苗を生で食べると危険と言われている理由を紹介します。
まずはじめに、豆苗について紹介します。
豆苗はえんどう豆の若菜です。えんどう豆から発芽した若い葉と茎を食べています。
豆苗のように、種子が発芽して小さな若葉が生えた段階の植物のことを「スプラウト」といい、豆苗の他にもかいわれ大根やブロッコリースプラウトなどがあります。
豆苗は日本では1970年頃から食べられています。国内では山梨県が日本一の生産量を誇ります。
三大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。
豆苗の可食部100gあたり
エネルギー...27kcal
水分...92.2g
たんぱく質...3.8g
炭水化物...3.2g
脂質...0.4g
食物繊維...2.2g
です。糖質は1.0gです(炭水化物から食物繊維を引いた値)。
ほうれん草:糖質0.3g、18kcal
トマト:糖質3.7g、20kcal
ピーマン:糖質2.8g、20kcla
じゃがいも:糖質8.4g、59kcal
西洋かぼちゃ:糖質17.1g、78kcal
です。他の野菜と比べると、糖質が低いことが分かります。
ちなみに、他の豆類は可食部100gあたり、
グリーンピース...76kcal、糖質7.6g
そら豆...102kcal、糖質12.9g
枝豆...125kcal、糖質3.8g
です。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
豆苗の生食が危険と言われている理由を紹介します。
本記事は情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。
生で食べると毒性があると言われていることがありますが、豆苗には毒性はありません。
毒性があり生食できないといわれている野菜には、例えばほうれん草やたけのこなどがあります。ほうれん草やたけのこにはシュウ酸と呼ばれるアク(料理の風味や味を損ねる成分)が含まれており、シュウ酸は結石を作ったりカルシウムの吸収を阻害すると言われているためアク抜きをする必要があります。
豆苗には、アクもないので問題なく生食することができます。
生食は加熱せずに食べるぶん、食中毒のリスクが伴うことがあります。それは、食中毒の原因となる微生物がいる可能性があるためです。
豆苗を始めとするスプラウト類は衛生管理がしっかり行われた場所で栽培されているためサルモネラ菌など食中毒の原因となる最近がいることは少ないです。
ただし、食中毒のリスクを減らすためには、正しく保存し鮮度を保つことと、しっかり洗うといった対策も必要です。
出典:スプラウトの微生物実態調査の結果(農林水産省)
野菜を生食する際に、農薬が気になる方もいらっしゃいます。
日本で使われている農薬は、国に認められたもののみです。残留性が高く人体影響を及ぼすものや環境に影響を与えるほど毒性が強い農薬は、販売が禁止されていますし、使用が認められている農薬に関しても使用できる作物や時期、量などの使用基準が定められています。農薬が使われているからといって神経質になる必要はありませんが、健康に良い影響を与えるかといえばそうではありませんので、できるだけ余計なものが口に入るのは避けたいですよね。
豆苗はトマトなど土壌で栽培されている野菜とは異なり、水耕栽培されていることがほとんどです。水耕栽培は環境が整った室内で行われるのが一般的で、害虫の被害などに合うことがすくないため基本的には農薬は使われません。
実際に「無農薬」と表記されている豆苗が多く販売されています。
豆苗には食物繊維が含まれているため、食べすぎてしまうとお腹を壊してしまう場合があります。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、豆苗の食物繊維のほとんどが不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になります。
出典:
栄養学博士 新出真理 監修(2014)『第2版 くらしに役立つ栄養学』ナツメ社
豆苗は生食することができますが、豆苗が発芽する前のえんどう豆にはレクチンというタンパク質があります。生のまま食べるとレクチンが体内に入り下痢や嘔吐といった消化器症状を引き起こし、食中毒になります。
茹でたり炒めたりするなどの調理法でしっかり火を通しておくと、レクチンが体内に影響することはないといわれています。豆類を生で食べるときは注意が必要です。
豆苗は上述したように生食することができます。豆苗を生食するメリットは下記の通りです。
豆苗に限らず、野菜は生食したほうが栄養を無駄にすることなく摂取することができます。
例えば茹でると、ビタミンなどの水溶性の栄養素は溶け出してしまいます。
例えばビタミンCは、生の豆苗100gあたり43mg含まれていますが、茹でると14mgまで減ってしまいます。他にも葉酸は120μgから51μgに、カリウムは130mgから73mgにまで減ってしまいます。
豆苗には食物繊維が含まれており、シャキシャキとしたしっかりとした食感が特徴です。
しっかりとした食感は、咀嚼回数を増やします。咀嚼回数が増えると満腹中枢を刺激するため、満足感を得ることができ、食べすぎを防止することができます。
そのため、ダイエット中の方におすすめです。
豆苗を生食するときのポイントを紹介します。
豆苗に限らず、野菜を生食するときは鮮度が重要です。
鮮度が落ちてしまうと、味や風味が悪くなっているため美味しく食べることができませんし、細菌が分布している可能性があり下痢や嘔吐などの症状が出ることもあります。
新鮮な豆苗の特徴は下記の通りです。
葉が大きく開いている
緑色が濃いもの
ハリとツヤがある
切ったものより根付きのもの
です。根付きのものの方が持ちがよく、さらにカットしたあとにもう1度収穫出来ることが多いので、コスパを考えても根付きのものがいいでしょう
豆苗は主に水耕栽培されているものが販売されているので、土壌に由来する細菌がついている可能性は低いです。しかし、保存状態や鮮度が落ちていたりすると、細菌がついている可能性も0ではありません。
そのため、豆苗に限らず、野菜を生食する場合はしっかりと洗って細菌を落としておくことが大切です。
上述したように、豆苗はシャキシャキとした食感が特徴ですが、人によっては噛み切れず食べにくいと感じることがあります。
そのため、豆苗を生食するときは小さめにカットするのがおすすめです。繊維を細かくカットしておくことで小さなお子様でも食べやすくなります。
豆苗は食物繊維が含まれているため、食べ過ぎると人によってはお腹の調子が悪くなってしまうことがあります。
1日の摂取目安は人によっても異なりますが、基本的には1パックと言われています。
栄養素的には、1/2パックでも1食で食べるべき摂取量の7割の栄養素を摂取することができる栄養価の高い野菜ですので、うまく調節し、バランスの良い食生活を心がけましょう。
豆苗は再生栽培できる野菜で、残った根と豆を育てて食べる方も多いです。
自宅で再生栽培した豆苗については、加熱して食べることをおすすめします。
販売されている豆苗は衛生管理が徹底された環境で育っていますが、自宅で再生栽培した豆苗の場合は細菌が繁殖しやすいデメリットがあります。
レンジで加熱調理をしたりさっと炒めて食べるのが良いでしょう。
豆苗を生で美味しく食べる方法を紹介します。
豆苗はサラダに加えると、シャキシャキとした食感と甘みが加わります。
まず、豆苗を水で洗って水気を切ります。次に、適当な大きさに切って、他の野菜と一緒にボウルに入れます。トマトやキュウリ、パプリカなどの野菜と一緒に混ぜ、オリーブオイルやレモン汁でドレッシングを作ります。
シンプルに塩とコショウで味付けしても良いですし、お好みでハチミツやマスタードを加えても美味しいです。
豆苗はサンドウィッチの具にするのもおすすめです。
豆苗はサンドイッチに加えると、さっぱりとした風味としっかりとした食感を楽しむことができます。
サンドイッチの具材として使う場合は、洗った豆苗をパンに挟んで、ハムやチーズ、トマトなどと一緒に食べると美味しいです。マヨネーズやマスタードを加えても良いでしょう。
豆苗を和え物にすると、さっぱりとした味わいが楽しめます。
洗った豆苗を茹でて湯通しし、水気を切ります。次に、ごま油と醤油、おろししょうがを合わせたタレで和えます。
他にも、ポン酢や柚子こしょうを使って和えることもできます。香り豊かな和え物ができあがります。
豆苗をスムージーに加えると、栄養価がアップし、新鮮な風味を楽しむことができます。
洗った豆苗を適量取り、バナナやベリー類、ヨーグルト、牛乳や豆乳と一緒にブレンダーにかけて混ぜ合わせます。
甘さを調整するためには、はちみつやメープルシロップを加えるのがおすすめです。ただし、甘味料を加えると糖質量が多くなってしまうので、ダイエット中の方には注意が必要です。
豆苗は再生栽培すると節約にも役立ちます。最後に豆苗を再生栽培する方法を紹介します。
豆苗を再生栽培する際は、1回目に食べる際に舌から6cm〜8cmでカットしましょう。
ファイトケミカルが爆発的に生成するのは2回再生から。ただ、切る場所を間違えると豊富な栄養を使わないまま枯れてしまうので損なんです。
最初に切る時に、下から6〜8cmくらいの成長点である脇芽を残すように切ることで、2回目の再生でも十分に栄養を摂ることができます。
カットした登用の根本を水に浸します。
根元を水につけることで、豆苗が水を吸い上げて根を伸ばすことができます。浅めの容器に水を入れ、豆苗の根元を浸しておきましょう。
毎日、水を新しいものに入れ替えます。古い水が汚れたり腐ったりすると、豆苗の再生に悪影響を与える可能性があるためです。
豆苗に限らず、再生栽培するときは、水につけて栽培するためどうしてもゴキブリや小さな虫が湧いてしまうことがあります。
虫が湧いてしまうと気分が悪いですよね。豆苗に限らず自宅で再生栽培する場合は、清潔に保つことが重要ですので、毎日水換えを行いましょう。
水につけたままの豆苗を日当たりの良い場所に置き、根が伸びるのを待ちます。
根が伸びると、細長い白い根が水中に伸びていくのが見えます。これには通常数日から1週間かかります。
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