本記事では、サザエの肝は食べられるのかどうか、解説します。
まずはじめに、サザエの肝について紹介します。
サザエの「肝(きも)」と呼ばれている部分は、サザエの殻から身を取り出したときの、貝柱から後ろにある渦を巻いた部分です。
サザエの砂袋を含む内臓+生殖線がある部分で、内蔵と生殖線を合わせて「肝」といい、「ワタ」と呼ばれることもあります。
形や色合い、末端にあることから「サザエのうんこ」と言われることもありますが、上述したように厳密には砂袋と内臓、生殖線であり糞ではありません。
サザエの肝は、オスとメスで違いがあります。
オスの場合は乳白色をしていて、メスの場合は緑色や黒っぽい色をしています。これは生殖腺の色がオスとメスで異なるためです。
サザエ100gあたりに含まれている栄養素は下記の通りです。
エネルギー…83kcal
たんぱく質…19.4g
脂質…0.4g
炭水化物…0.8g
ナトリウム…240mg
カリウム…250mg
カルシウム…22mg
マグネシウム…54mg
リン…149mg
鉄…0.8mg
亜鉛…2.2mg
銅…0.39mg
マンガン…0.02mg
ヨウ素…97μg
ビタミンA…5.58μg
ビタミンE…2.3mg
ビタミンK…3μg
ビタミンB1…0.04g
ビタミンB2…0.09mg
ナイアシン…1.7mg
ビタミンB6…0.05mg
ビタミンB12…1.3μg
葉酸…16μg
パントテン酸…0.24mg
ビオチン…1.9μg
ビタミンC…1mg
食塩相当量…0.6g
サザエの肝は、「食べてはいけない」「食べられない」と言われることがありますが、食べてはいけない部位なのでしょうか。解説します。
サザエの肝は、食べられる部位です。
サザエの部位は大きくわけて、殻・蓋・身・ヒモ・貝柱・肝(ワタ)があります。
蓋は外敵から身を守る役割をしている硬い部分なので食べることはできませんが、蓋以外は全て可食部となります。
形や色合いは美味しそうではありませんが、実際どんな味がするのでしょうか。
サザエの肝は、オスとメスで異なります。
乳白色をしているオスのサザエの肝は濃厚な味わいを楽しめる一方で、緑色や黒色をしているメスのサザエの肝は苦みがあるのが特徴で、ほどよい苦みと甘みを楽しむことができます。
メスのサザエの肝においては、好き嫌いが分かれます。苦みが苦手な方はオスのサザエの肝を選んで食べるのが良いでしょう。
サザエの肝は加熱調理をして食べることもできますし、生食することもできます。
ただし、生食する際は鮮度が重要です。鮮度が落ちてしまうと、食中毒の原因となる細菌が繁殖してしまうことがあります。
生食する場合は、サザエが生きている状態で2日以内に食べるようにしましょう。
サザエの内臓には水銀が含まれていることがあり、これが妊娠中の胎児に影響を与える可能性があるため、妊娠中には食べるのを控える方が安全です。
水銀は神経系に影響を及ぼす可能性があるため、特に胎児や乳児に影響が出ることが懸念されます。妊娠中は安全な食材を選び、リスクの高いものは控えることが重要です。
出典:魚介類に含まれる水銀について(厚生労働省)
食べても問題ないのにも関わらず、食べてはいけないと言われるのはなぜなのでしょうか。解説します。
貝類を食べる際には、貝毒による食中毒が懸念されますが、サザエは肝をはじめすべての部位で貝毒をもっている可能性は非常に低いとされています。
貝毒とは、絵画毒素を含むプランクトンを食べることで体内に毒素を蓄積してしまうことが原因で、食中毒の症状が出てしまうことがあります。主にホタテやアサリなど二枚貝に起きやすい現象で、サザエなどの渦を巻いている巻き貝は、プランクトンを食べてもすぐに排出され、蓄積されることはありません。
出典:貝毒の特徴(農林水産省)
魚介類には様々な種類があり、内蔵が食べられないものも多いです。そのため、サザエも同様に内蔵は取るのが当たり前と思っている方が多いと考えられます。
内蔵が食べられないのは魚類に多く、食べられない理由としては魚が餌として食べた物が残っていることが多いためです。サンマなど胃がない種類は丸ごと食べられますし、鮎など藻を餌としている魚も丸ごと食べられます。また、ふぐのように内蔵に毒をもつ種類も食べられません。
サザエなどの貝類は海藻やプランクトンを餌としており、毒を持たないので丸ごと食べて問題ありません。
ただし、種類によっては唾液腺を取る必要があるなど食べられない部分があることもあるので注意しましょう。
サザエは海の生きものであるため、多少の磯臭さは感じます。
しかし、明らかに鼻をつくような異臭がする場合は腐敗している可能性が高いです。
サザエなどの魚介類は傷みが早く、特に肝は傷みやすいです。そのため、あきらかに磯の香りとは異なる異臭がする場合は残念ですが破棄するのが無難です。
サザエの肝は新鮮なうちに食べることが大切です。
魚の内蔵には、「アニサキス」が寄生していることがあり、アニサキスが寄生した魚を食べてしまうと食中毒になってしまうことがあります。
アニサキスが魚類に寄生してしまうのは、アニサキスをもった甲殻類を餌として魚が食べてしまうためです。
サザエは上述したように海藻やプランクトンを餌としているためアニサキスが寄生してしまうことはありません。
ただし、「サザエノハラムシ」という寄生虫がいることがあります。サザエの口腔内に寄生していますが、アニサキスとは異なり大きいので気がつきます。万が一食べてしまったとしてもアニサキスのように食中毒の症状は出ません。無害の寄生虫なので安心してください。
出典:アニサキスの食中毒を予防しましょう。(厚生労働省)
サザエの肝には苦みがあります。そのため、苦みが苦手な人にとっては食べにくく、好き嫌いが分かれます。
この苦みも体に悪いと感じさせ「食べてはいけない」といわれる原因であると考えられます。しかし、苦みは悪い成分が原因ではありません。
確かにメスのサザエの肝は強めの苦みはありますが、オスのサザエの肝は比較的まろやかで食べやすいので、苦みが苦手な方はオスのサザエの肝を選ぶのがおすすめです。
サザエの基本的な食べ方を紹介します。
サザエは蓋以外食べることができますが、苦みが気になる場合は、ヒモをとります。
ヒモ(はかま)は貝柱の周りについているヒラヒラとした部分で、苦みが強いのが特徴です。そのため、ヒモをとっておくと苦みが軽減され食べやすくなります。
また、サザエには砂袋がついていて、砂抜きされていない場合、ジャリっとした食感になってしまうことがあります。
基本的には砂抜きされた状態で販売されていますが、捕れたての場合など砂抜きをしていないサザエの場合は食塩水につけて砂抜きをするか、砂袋を取り除いておくことをおすすめします。
砂袋は渦巻きのような模様があるのが特徴で、包丁を使って切り取ることができます。
サザエの肝は、身や貝柱と同様にお刺身にして食べることができます。
蓋を取り、殻から取り出したら食べやすい大きさにカットして食べます。
醤油をつけて食べるのが王道ですが、ポン酢をつけて食べるのもおすすめです。
生食に抵抗がある方は、茹でて食べるのもおすすめです。
茹でると、身が引き締まり、プリっとした食感を楽しむことができます。
茹でる場合は、鍋にサザエが浸るぐらいのたっぷりの水と酒を少々加えて、水から茹でます。沸騰後1分したら、火を止めさらに5分ほど予熱で火を通していきます。
サザエはつぼ焼きにするのも定番ですよね。
つぼ焼きは焼き網を使わなければできないイメージがある方も多いと思いますが、フライパンを使えば自宅でも簡単にできます。
つぼ焼きにする場合は、フライパンにくしゃくしゃにしたアルミホイルをひき、その上にサザエを並べます。
サザエを並べたら1cmほど水を入れて、蓋をして中火で5分ほど加熱します。
加熱したら、サザエの口に醤油と酒を適量入れて、蓋をし再び5分ほど火が通るまで加熱します。
魚焼きグリルやオーブンを使うことも可能です。
サザエの肝の美味しい食べ方を紹介します。
サザエ身や肝を食べやすい大きさにカットし、バターやにんにく、塩胡椒などで味付けをして炒めるのも人気です。
炒め物にすることで、風味や香ばしさが増して美味しくいただけます。
サザエの肝を包丁で細かく刻んでペースト状にしてから醤油に和えるだけで、簡単に肝醤油を作ることができます。
肝醤油も定番の食べ方の一つで、サザエの刺し身をつけて食べるほか、ご飯の上に乗せた卵黄にかけて食べるのも人気です。
サザエの肝をソースにして、茹でたパスタと合わせれば、簡単に美味しい肝ソースパスタが完成します。
サザエの肝の濃厚な味わいは、パスタとの相性も抜群です。
サザエの肝は身と一緒にアヒージョにしても美味しく食べることができます。
サザエの肝は濃厚な味わいがにんにくやオリーブオイルと相性が良く、アヒージョにもぴったりです。
アヒージョにしたら、そのままおつまみとして食べるのもおすすめですが、焼き立てのバケッドやパンと一緒に召し上がるのが人気です。
最後に、サザエの肝に関するQ&Aを紹介します。
サザエの肝はオスが乳白色、メスの場合は緑色や黒色をしていますが、赤っぽい色をしていることもあります。
赤カビが生えているのかなどと心配になってしまうと思いますが、赤カビや腐敗のサインではありません。
サザエの肝は、育っていく過程で食べたものに影響されやすく、赤色の海藻を食べた場合などは赤色っぽくなることがあります。
サザエを食べるときは殻を食べることはありませんが、殻ごと焼いたり調理をすることが多いです。
そのため、つぼ焼きにする場合や茹でる場合は、流水で洗ましょう。
まれに泥や砂がついていることがあるので、洗い流しておいたほうが食感を損なうことなく美味しく食べることができます。
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