1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. チャーハンをお弁当に入れると危険?食中毒の原因と対処法を解説

チャーハンをお弁当に入れると危険?食中毒の原因と対処法を解説

公開日

更新日

チャーハンをお弁当に入れると危険?食中毒の原因と対処法を解説

チャーハンをお弁当に入れる方も多いかと思いますが、「お弁当にチャーハンは危険」といわれることがあります。本記事では、弁当にチャーハンが危険な理由などを解説します。

チャーハン弁当に食中毒が起こりやすい原因

チャーハンをお弁当に入れると食中毒が起こりやすいといわれている原因は下記の通りです。

セレウス菌が繁殖しやすい

チャーハンを弁当に入れると食中毒が起こりやすいのは、セレウス菌が繁殖しやすいためです。

セレウス菌とは、河川や土の中に広く分布している細菌の一種です。お米や小麦、豆、野菜といった土壌で育つ農作物につきやすいことで知られています。

少量であれば問題ないのですが、食材についたセレウス菌が増殖し多量摂取してしまうと下痢や嘔吐といった食中毒の症状が出てしまうことがあります。

これは、お米を原料に作られるチャーハンはもちろんのこと、ピラフやおにぎりなどのご飯全般や、小麦を原料に作られる焼きそばなども同様にいえることなので、注意が必要です。

出典:セレウス菌(東京都保険医療局)

「焼飯は加熱してるから大丈夫」でない

チャーハンやピラフなどは、加熱調理しているため「食中毒になりにくい」と認識している方も多いかと思いますが、加熱調理をしていれば食中毒になりにくいということはありません。むしろ、この誤認のため、単なる白米やおにぎりより、チャーハンでの食中毒が多く報告されています。

特にチャーハンやピラフの食中毒の原因となるセレウス菌は、酸素を必要としない細菌で厳しい環境下では「芽胞」を形成する性質があります。「芽胞」とは殻のようなもので、芽胞によって身を守るため90℃で加熱をしても60分は耐えられることがわかっています。

そのため、加熱をして死滅させることが難しく、調理後温度が下がったタイミングで再び活発に活動し始め、食材の中で急激に増殖してしまいます。

確かに加熱をすることで死滅する菌もありますが、様々な種類の細菌があり必ずしも加熱すれば死滅するということはないことを念頭に入れておくことが大切です。

具材が多いのも注意

チャーハンの場合は、野菜やお肉、卵など様々な具材を入れることが多いですが、具材の多さも食中毒が起こりやすい原因です。

具材が多いとそれぞれの具材から出てくる水分によって、チャーハン全体の水分量が高くなる傾向があります。水分量が高くなってしまうと、細菌などの微生物が繁殖しやすくなってしまうため、食中毒が起こる原因となります。

食中毒を防ぐためには、細菌や微生物が繁殖しにくい環境を作ることが大切です。

出典:役に立つ食中毒の知識(食品安全委員会)

セレウス菌による食中毒の症状

嘔吐や下痢

セレウス菌には、大別して嘔吐型と下痢型があります。

食品についていたセレウス菌の毒素が原因である場合は嘔吐型、セレウス菌がついた食品を食べた後、体内で毒素が作られたことが原因である場合は下痢型になります。

嘔吐型の場合は、下痢だけではなく腹痛や下痢の症状も伴いますが、軽症で済むことが多いです。一方下痢型は腹痛や下痢の症状が見られます。

潜伏期間は?

潜伏期間は、一般的に嘔吐型の場合は30分〜5時間で、下痢型の場合は6時間〜15時間といわれています。

嘔吐型の場合は比較的早く症状が出ますが、下痢型の場合は体内で作られた毒素が原因であるため症状が出るまで時間がかかることがあります。

怪しいなと感じるチャーハンを食べてしまった場合は、しばらく様子を見ましょう。

症状が出てしまったら?

万が一症状が出た場合は、自己判断で市販の下痢止めなどの薬を飲むのはやめた方が良いとされています。自己判断で市販の薬を使うと、症状の原因である細菌やウイルスの排出を邪魔してしまい病状が悪化してしまうことがあります。

症状が出た場合は、速やかに病院を受診しましょう。少しでも怪しいなと感じる場合は、食べずに処分した方が安全です。

出典:食中毒かな?と思ったら(農林水産省)

チャーハンの食中毒を防ぐコツ

中華鍋で作るチャーハン

チャーハンによる食中毒を防ぐ方法を紹介します。食中毒予防の3原則は「付けない」「増やさない」「やっつける」です。

清潔な手・調理器具で

チャーハンによる食中毒を防ぐためには、清潔な手と調理器具で作ることが大切です。

まず食材や調理器具、調理スペースを使用する前に手を洗い、清潔な状態を保ちましょう。人の手には黄色ブドウ球菌などの細菌がついていることがあり、それが食材についてしまうことで食中毒になってしまうことがあります。

また、調理器具やまな板なども十分に洗浄し、衛生的な状態を保ち、チャーハンを入れるお弁当箱などの容器もアルコール消毒しておくなど清潔な状態にしておきましょう。

水分量が多い具材を避ける

作ったチャーハンをお弁当として持っていくなど、すぐに食べないことが予めわかっている場合は、水分量が多い具材を使うのを避けましょう。

例えば、レタスなどの水分量が多い野菜やイカやエビといった食材は避けることをおすすめします。

上述したように水分量が多い具材を使うとチャーハン全体の水分量が多くなってしまい、細菌が繁殖しやすくなってしまいます。

しっかりと加熱する

チャーハンを作るときは、しっかりと加熱することも重要です。

上述したように水分量が多いと細菌が繁殖してしまいやすいので、しっかり加熱することで水分を飛ばしましょう。

また、卵を入れる場合、火がしっかり通っておらず半熟の状態になってしまうのも危険です。卵にはサルモネラ菌と呼ばれる食中毒の原因となる細菌がついていることがあります。サルモネラ菌は70℃以上の加熱で死滅するといわれているので、卵を入れる場合もしっかり加熱しましょう。

予熱をとってから容器に入れる

チャーハンをお弁当箱に入れて持ち運ぶときは、しっかりと予熱をとってから容器に入れましょう。

予熱がとれていない状態でお弁当箱に詰めてしまうと、蒸気が発生してしまいます。蒸気が発生してしまうと湿度が高くなり食中毒の原因となる細菌が繁殖しやすくなります。

お弁当箱に入れて予熱をとってから蓋をするというよりは、お皿等にチャーハンを移して広げて予熱をとり、それからお弁当箱に入れるのが望ましいです。

持ち運ぶときは保冷する

チャーハンの食中毒の原因となるセレウス菌は、加熱をすると芽胞を作り活動を停止しますが、温度が下がると再び活発になり増殖していきます。

セレウス菌が最も活発に活動するのは30℃前後だといわれているので、持ち運ぶときは30℃にならないようしっかりと保冷をすることが大切です。

特に夏場などの温かい季節は必ず保冷バックに入れ、さらに保冷剤などを使用しましょう。

チャーハンに関するQ&A

冷凍したチャーハンは?

セレウス菌は8℃以下の環境であれば、ほとんど生成されないことが報告されています。そのため、作ったチャーハンをすぐに食べない場合は冷凍保存しておくのがおすすめです。

ただし、冷凍後温めて食べる場合は、再び温度が上がりセレウス菌が増殖してしまうことがあるので、すぐに食べきるようにしましょう。

また、セレウス菌が一度生成してしまった毒素は取り除くことができません。冷凍保存するときは、セレウス菌が増えてしまう前に速やかに冷凍保存しましょう。

市販の冷凍チャーハンは?

冷凍チャーハンの方が食中毒になりにくいのではないかと考える方も多いかと思いますが、冷凍チャーハンも加熱をしてからお弁当箱に詰める必要があるので、条件は通常のチャーハンと同じであると考えられます。

冷凍チャーハンを自然解凍して食べることは基本的にできません。場合によっては加熱されていない食材も一緒に冷凍されていることがあるので、パッケージなどに「自然解凍OK」の表記がない限り必ず加熱をし、粗熱をとってからお弁当箱に詰めましょう。

ちなみに、職場にレンジがある場合など食べる直前に温められる環境であれば、冷凍された状態で持っていき、食べる前に温めることをおすすめします。ただし、冷凍されたチャーハンを常温に置きっぱなしにするのは危ないので食べるまでは冷凍庫に入れておきましょう。

冬なら大丈夫?

食中毒は夏に起こりやすいです。これは、夏などの温かい季節は食中毒などの細菌が増殖しやすいためです。チャーハンなどセレウス菌による食中毒においても、夏が圧倒的に多いです。

しかし、セレウス菌による食中毒は9月〜12月に発生した事案もあり、涼しい季節なら食中毒にならないというわけではありません。

冬場など涼しい季節でも気を抜かないようにしましょう。

食べられないチャーハンの特徴

下記のような特徴が見られるチャーハンは、腐敗している可能性が高いので破棄しましょう。夏などの温かい季節は特に腐敗しやすいので、食べる前は必ずチェックしてから食べましょう。

  • 糸を引いている

  • べちゃっとしている

  • 酸っぱい匂い・生ゴミの匂い

チャーハンが糸を引いていたりべっちゃっとしてしまっている状態の場合は、食中毒となる細菌が増殖してしまっている可能性が高いです。細菌が繁殖してしまうとこのような特徴が見られるので注意しましょう。

また、鼻をツンとつくような酸っぱい臭いや生ゴミの臭いがする場合も腐敗している可能性が高いです。チャーハンに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたりします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象があるときに「腐敗」と呼ばれます。腐敗が進むと生ゴミのような臭いがすることもあります。明らかに異臭がすると感じる場合は破棄しましょう。

弁当用チャーハンを美味しく作る方法

チャーハン

お弁当に入れて冷めても固くならず美味しく食べられるチャーハンの作り方を紹介します。

冷やご飯を使う

チャーハンは、前日のご飯など冷やご飯を使うとパラパラ感が出やすいです。一晩冷やしておくと水分が適度に抜け、食材とよく馴染みます。

冷凍してあるご飯は軽く温めて解凍してから炒めましょう。

適切な油の使用

フライパンに油を熱してから具材を炒めると、香りが引き立ちます

一般的にはごま油やサラダ油を使用しますが、マヨネーズを使う方も多くいらっしゃいます。ご自身の好みに合わせて選んでください。

油を多めに使うことで、ご飯が油でコーティングされパラパラ感も保ちやすいです。

炒め方

具材を炒める際は、高温で素早く炒めることで、香ばしさを引き出しパラパラっとしたチャーハンに仕上げることができます。

ただし、焦げないように注意し、均等に火が通るようにしましょう。

弁当におすすめの食材・調理法

最後に、お弁当におすすめの食材や調理方法を紹介します。

殺菌作用のある食材・調味料

お弁当には殺菌作用のある食材や調味料を使うのがおすすめです。

殺菌作用のある食材や調味料を挙げると、以下のようなものがあります。

  • 梅干し

  • 生姜

  • にんにく

  • レモン

  • ハーブ

  • カレー粉

ご飯の上に梅干しを1個乗せるだけでも殺菌効果が期待できます。またカレー粉に含まれているクルクミンにも殺菌作用があるといわれており、野菜などをカレー粉で炒めたものをおかずに入れるなど、食中毒を防げる調味料で味付けをするのもおすすめです。

自然解凍できる冷食

近年は、解凍せずにお弁当箱に詰めれば、食べる頃には解凍されて食べられるという冷凍食品も多く販売されていますよね。

自然解凍できる冷食を入れておくと保冷剤代わりとなるため、食中毒の原因となる細菌を防ぐ効果が期待できるのでおすすめです。

ただし、家庭で作って冷凍したおかずをそのままお弁当に詰めてしまうのはNGです。保冷剤代わりに冷凍されたおかずを使いたい場合は必ず市販の冷食を使いましょう。

揚げ物

唐揚げなどのしっかり高温調理された食材は、高温調理によって食材の表面にある微生物が殺菌されますし、水分量も少ないのでお弁当のおかずにおすすめです。

ただし、揚げ物は油が空気中の酸素に触れて参加してしまうと、風味が悪くなるなどのデメリットがあります。保存期間が長いというわけでもないので、持ち運ぶときは揚げ物を入れるときもしっかりと保冷するなど工夫をしましょう。