1. Fily
  2. Food
  3. Encyclopedia
  4. 舞茸が黒く変色...食べられる?原因と対処法は?

舞茸が黒く変色...食べられる?原因と対処法は?

公開日

更新日

舞茸が黒く変色...食べられる?原因と対処法は?

舞茸の味噌汁や煮物が黒くなってしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。本記事では、舞茸を使って調理をしたときに煮汁が黒くなってしまう原因を紹介します。

舞茸の煮汁が黒くなる原因は?食べられる?

舞茸の煮汁が黒くなってしまう原因は下記の通りです。

ポリフェノール

舞茸の煮汁が黒くなってしまう原因はポリフェノールが溶け出してしまうためです。

ポリフェノールとは植物などがもつ苦味・渋みを感じさせる化合物の総称です。構造の違いによって様々な種類があり、例えば紫色の色素となるアントシアニンなどがあります。舞茸に含まれているポリフェノールについては、詳しく記載された資料がないため不明ですが、黒色の色素となるポリフェノールが多く含まれているためであると考えられています。

ポリフェノールは水溶性であるため、茹でたり煮たりすると水に溶け出してしまうのです。また、炒めものをした際にも食材から出る水分などでポリフェノールが溶け出し、他の食材に色移りしてしまうこともあります。

食べて問題ない

味噌汁やスープが黒くなってしまったりすると、見た目が悪くなってしまうため食べられるのか不安になってしまう方も多いと思います。

見た目は毒々しくなってしまいますが、舞茸からポリフェノールが溶け出して煮汁が黒くなってしまったり、他の食材に色移りしてしまっても問題なく食べることができます。

黒く変色してしまう原因となるポリフェノールは、抗酸化作用などがあることで知られており、人体に害のある成分ではありません。

舞茸の煮汁に含まれている栄養

舞茸の黒くなってしまった煮汁には、ポリフェノール以外の栄養も含まれています。そのため黒くなってしまったからといって捨ててしまうのは非常にもったいないです。

舞茸の煮汁に含まれている栄養は下記の通りです。

グルタミン酸

グルタミン酸は非必須アミノ酸のひとつです。グルタミン酸はアンモニアを解毒し、尿の排出を促進する効果や脳の機能を活性化する効果があります。神経伝達物質の材料となるセリンやエネルギー源として使われるアスパラギン酸など体内でアミノ酸を生成します。またリラックス作用のあるGABAの材料にもなります。

また、日本で最初に発見されたうま味物質として調味料などに活用されています。

グアニル酸

プリンヌクレオチドの一つで、グアノシン一リン酸ともいい、GMPと略称されています。 生体内ではリボ核酸(RNA)の構成成分の一つとして非常に重要で、 またうま味調味料の一つとしても利用されています。

グルタミン酸と相乗効果で、うま味が倍増します。

食物繊維

舞茸には食物繊維が含まれています。食物繊維には大きくわけて不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がありますが、舞茸の場合は100gあたり不溶性食物繊維が2.4 g、水溶性食物繊維が0.3 g含まれています。

食物繊維は便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。
また、きのこ類にはβ-グルカンという食物繊維が豊富です。

カリウム

カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。そのため、高血圧の予防になるミネラルの一つです。また心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。

主に野菜類に多く含まれていますが、きのこ類にも含まれています。

出典:日本食品標準成分表2020年版 八訂(文部科学省)

舞茸の煮汁を黒くしない方法

舞茸の煮汁が黒くなってしまっても煮汁ごといただくべし!ということがおわかりいただけたかと思います。しかし、見た目が悪くなってしまうのがデメリットですよね。舞茸の味噌汁など黒くなってしまうのを防ぐ方法を紹介します。

さっと湯通しする

舞茸の煮汁を黒くしないためにはさっと湯通しするのがよい

舞茸を使ったときに汁が黒っぽくなってしまったり、他の食材に色移りしてしまうのを防ぎたい場合は、さっと湯通ししてから使うのが良いでしょう。

上述したように黒くなってしまう原因であるポリフェノールは、水溶性であるため、さっと湯通ししてあらかじめ落としておくことで調理時に黒くなってしまうのを防ぐことができます。

ただし、上述したようにポリフェノールには抗酸化作用などがあり体に良い成分であるため、落としてしまうのは勿体無いです。栄養価を下げたくない方には湯通しして使うことはおすすめできません。

舞茸を最後に入れる

味噌汁やスープなどに舞茸を入れたい場合や、炒めものをするときは舞茸を最後に入れるようにすると、煮汁が黒くなってしまったり、他の食材に色移りしにくいです。

味噌汁などのスープにする場合は、水から舞茸を入れたほうが旨味たっぷりの味わいに仕上げることができます。しかし、水から茹でるとその分ポリフェノールが多く溶け出して黒くなってしまうので、黒くなってしまうのを防ぎたい場合は最後に入れるのが良いでしょう。舞茸は火が通るのが早いため、最後に加えてもあっという間に火を通すことができます。

炒めものなども、長く炒めすぎてしまうと他の食材から出た水分などの影響でポリフェノールが溶け出し黒くなってしてしまうので、最後に加えて炒めるのが良いでしょう。

醤油で味付けをする

舞茸を使った料理が全体的に黒くなってしまって見た目が悪くなるのが気になる場合は、醤油で味付けをすると◎スープなどでも、醤油を入れて中華風のスープにするなど工夫をすると汁が黒っぽくなってしまっても気になりません。

炒めものをする際も醤油やオイスターソースを使うなど、色移りが気にならないような調味料で味つけをしてみてください。栄養を無駄にすることもありませんし、見た目の悪さも気にならないのでおすすめです。

白舞茸を使うと色移りなし!

どうしても色移りが気になる場面もあるかと思います。例えば、シチューなどの白い料理に舞茸を使うときなどです。シチューに舞茸を入れてポリフェノールが溶け出してしまうと、全体的に灰色っぽい見た目になります。味はもちろん美味しいのですが、特にお客様のおもてなし料理として作りたい場合などは見た目が悪くなるのは避けたいですよね。

そんなときは、白舞茸を使うのも一つの手です。白舞茸とは、その名と通り白色をしている舞茸の品種で、一般的に販売されて食べられている舞茸とは異なりアクが少なく色落ちすることがありません。そのため、白舞茸を使えば見た目を美しく仕上げることができます。

白い見た目から栄養がなさそに思えますが、含まれている栄養は舞茸とほぼ同じです。白舞茸を使ったからといって栄養価が下がってしまうこともないので、ぜひ利用してみてください。