チキン南蛮作りに使う鶏肉の皮は、そのまま使うのと捨てるのではどちらが良いのでしょうか。この記事では鶏肉の皮を使うメリットやデメリット、他の料理に生かす方法などを解説します。
チキン南蛮に使う鶏肉の皮は使った方が良いのでしょうか。
鶏肉の皮はカロリーが高く、脂肪分が多いことで知られています。そのため、そのまま食べると摂取カロリーや脂質の量が増えてしまいますが、鶏肉の皮には旨味や栄養素も含まれています。
メリット・デメリットがあるので、皮を使うか取り除くかは好みで決めてみてください。
鶏肉の皮はカロリーが高く、脂肪分が多いと言われますが、どのくらい多いのでしょうか。100gあたりのカロリーと脂質の量を数字にしてみると、
鶏むね肉・皮あり(生):133kcal、脂質5.9g
鶏むね肉・皮なし(生):105kcal、脂質1.9g
鶏もも肉・皮あり(生):190kcal、脂質14.2g
鶏もも肉・皮なし(生):113kcal、脂質5.0g
となっています。確かに皮つきではカロリー・脂肪ともに数字が大きく、元々脂肪分の多いもも肉では特に数字が大きくなっていることがわかります。
出典:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(文部科学省)
鶏肉の皮は栄養素も豊富です。人間の体に存在するたんぱく質の約3割を占め、皮膚や軟骨などの組織を構成するたんぱく質の一種である「コラーゲン」や、ビタミンB群の一種で代謝機能を助ける「ナイアシン」などを含んでいます。
また、脂肪の構成要素である脂肪酸は「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類されます。不飽和脂肪酸には、増えすぎると血管壁に蓄積して動脈硬化を起こす血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減らす作用があります。
チキン南蛮は揚げ物かつタルタルソースをかけるため、カロリー・脂質ともに高めなので、皮を取り除くことでヘルシーに仕上げることが出来ますが、捨ててしまうのはもったいないですよね。そこでおすすめなのが、取り除いた皮を別の料理に生かす方法です。
定番の鶏皮ポン酢や鶏皮チップスといったサイドメニューやおつまみに使うことが出来ます。一度に出る量が少なければ冷凍しておき、ある程度集まったらまとめて料理に使うのがおすすめです。お肉屋さんなどで安く売られているものを買い足すこともできます。
チキン南蛮を作る前に鶏肉の下処理を行うことでより美味しく食べることができます。
鶏肉(とくにもも肉)には余分な脂と筋がついていることが多いので、包丁や調理バサミを使って取り除きましょう。
厚みがある鶏肉は、厚さが均等になるように包丁を入れて広げておくことで火が通りやすくなります。
チキン南蛮を鶏皮なしで作る場合は取り除きますが、手で簡単に剥がすことができます。
上の画像のように、鶏肉の端から皮を剥いでいきます。手で剥がしにくい場合は、包丁で切り離しながら手で剥がすと◎。
皮と実の間にも脂や筋が残っていることがあるので、気になる場合は包丁や調理バサミで処理しましょう。
鶏皮を使ったレシピを紹介します。サイドメニューの1品としておすすめです。
鶏皮を使った定番料理である「鶏皮ポン酢」は、鶏皮のコリコリとした食感とポン酢のさっぱりさのバランスの良さでお酒のあてとして人気の料理です。ポン酢がない場合は醤油とお酢、みりん、レモン汁などを混ぜて代用できます。
【材料(2人分)】
鶏皮…2枚
青ネギ…1本
料理酒...大さじ1
ポン酢…大さじ1
七味唐辛子…お好みで
【作り方】
パリパリとした食感とコショウやガーリックを効かせた鶏皮チップスもお酒のあてとして人気の料理です。七味唐辛子を加えてピリ辛のテイストにするのもおすすめです。
【材料(2人分)】
鶏皮…200g
料理酒...大さじ1
片栗粉…30g
塩・コショウ…適量
ガーリックパウダー…適量
【作り方】
居酒屋などで人気の鶏皮の焼き鳥も自宅でフライパンを使って作ることが出来ます。香ばしい甘辛のたれとコリコリした食感が病みつきになります。
【材料(2人分)】
鶏皮…200g
料理酒...大さじ1(茹でる用)
醤油…大さじ2
料理酒…大さじ2(タレ用)
みりん…大さじ2
砂糖…小さじ1
【作り方】
チキン南蛮と同じ甘酢だれでも鶏皮は美味しく食べられます。甘じょっぱい味わいでお酒のあてとしてはもちろん、ご飯にもよく合います。
【材料(2人分)】
鶏皮…2枚
料理酒...大さじ1
片栗粉...適量
醤油…小さじ2
お酢…小さじ2
みりん…大さじ2
青ネギ…お好みで
いりごま...お好みで
【作り方】
鶏皮から出るうまみを生かしたスープもおすすめで、水溶性のコラーゲンも逃さずに摂れます。お好みの野菜を加えて栄養バランス豊かに仕上げることも出来ます。
【材料(2人分)】
鶏皮…1~2枚
青ネギ…適量
水...400cc
料理酒…小さじ1
鶏がら顆粒...小さじ2
醤油…小さじ2
塩・コショウ...適量
【作り方】
チキン南蛮を上手に仕上げることの出来る様々なコツを紹介します。
通常、チキン南蛮の衣は小麦粉→卵の順で衣をつけて揚げますが、混ぜ方を変えたり、他の素材を使ったりすることで衣をサクサク・カリカリにすることができます。
衣は、小麦粉と卵を2回つける(二度付け)、小麦粉・卵・水を混ぜたバッター液で絡みを良くして衣を厚くする、小麦粉や卵で衣をつけてから更に片栗粉をまぶす竜田揚げ風にするといった工夫方法があります。
チキン南蛮に使う鶏肉は調理する少し前に冷蔵庫から出して常温に戻しておきましょう。30分ほど常温でならしておくのがおすすめです。
冷たい状態のまま揚げると中まで火が通りにくく、生焼けになってしまう可能性があります。また、しっかり火を通すために揚げる時間が長くすると焦げやすくなります。
チキン南蛮は揚げてから鶏肉をカットするイメージがある方もいると思いますが、小さくカットしてから揚げると火が通りやすくなり、失敗する可能性を下げることができます。
ただし、小さくカットすると衣がたくさんつくので、糖質量やカロリーが増加してしまいます。
チキン南蛮の鶏肉を揚げる際の油の温度は170~180℃が基本です。温度が高いと焦げやすく、衣が色づいても中までしっかり火を通っていないことが多いです。ただし、温度が低いと衣がサクサクに揚がりにくく、揚げる時間が長くなってベチャベチャな仕上がりになってしまいます。
温度の確認は調理用の温度計を使うのが手っ取り早いですが、温度計が無い場合は、菜箸を油に入れてみましょう。細かい泡が箸全体にくっついてくる状態であれば揚げるのにちょうどよい温度(170~180℃)です。
また、衣のかけらを油に落としてみると大体の温度がわかります。油に落とした衣が一度下に落ちても、すぐに上がってくれば適温になっています。落として沈んだままなら170℃以下、一度も落ちずにそのまま浮かんで揚がるようなら180℃よりも高温に油が熱せられています。
チキン南蛮などの揚げ物で中まで火を通すには余熱を活かしましょう。高温の油で揚げるとどうしても外側の温度が上がりやすいですが、鍋から揚げてバットに置いておくことで余熱によってじわじわと中まで火が通ります。
チキン南蛮の場合は少なくとも揚げてから5分は余熱で火を通す時間を設けましょう。心配な方は二度揚げをするとより確実に火を通すことができます。
鶏肉の下ごしらえや甘酢だれ、タルタルソースを工夫するのがおすすめです。
チキン南蛮の発祥がむね肉を使ったまかない料理であり、基本的には鶏むね肉を使うことが多いですが、脂肪分が多くジューシーなもも肉や、むね肉よりもさらにヘルシーなささみを使うレシピもあります。
ジューシーな鶏もも肉は冷めて水分が飛んでもパサパサ感が気になりにくいので、お弁当に入れるチキン南蛮はもも肉で作るのがおすすめです。
チキン南蛮は鶏肉の臭みを取ることで雑味が減り、美味しく仕上げることができます。
一般的な方法は、ボウルなどに入れた鶏肉に塩をふり、軽く揉みます。次に料理酒をふりかけたら、ラップをかけて冷蔵庫で30分〜1時間ほど休ませます。この時、醤油も少し入れて軽く下味をつけることでしっかりとした味わいにもなります。
鶏肉を塩で揉むことで肉の旨みを引き出し、火を通した時に水分が逃げ出しにくくなるので、味もしみ込みやすくなります。また、料理酒は鶏肉の臭みを取り除いて香りを良くし、お肉を柔らかくする効果があります。
鶏むね肉を柔らかくするのによく使われる、砂糖と塩と水を混ぜた「ブライン液」に漬け込む方法も人気です。
お肉の筋肉を構成するたんぱく質が食塩水に溶けやすいため、お肉の保水性が上がってお肉自体も柔らかくなります。砂糖は水分子と結合しやすいため、肉の繊維に入り込むことで保水効果を高めてくれる働きがあり、お肉がジューシーに仕上がります。お肉の下味としての役割もあります。
基本的な作り方は、水200mlに対し、塩と砂糖をそれぞれ10gです。お肉とブライン液を保存袋などに入れ、冷蔵庫で1~2時間漬け込みましょう。じっくり漬け込みたい方は一晩寝かせてみても良いでしょう。
二度揚げはとんかつやから揚げなど、大きいサイズの揚げ物を作る時に用いられる調理手法の一つです。サイズが大きい揚げ物は、一度揚げただけでは外がサクサクで中まで火が通っている状態にするのが難しいため、二度揚げをします。
揚げ物は長時間揚げてしまうと焦げてしまったり、お肉が固くなってしまったりするので、揚げた後に余熱を利用して中までじっくり火を通しますが、時間の経過とともに水分が外に出るので、衣がしなしなになってしまいがちです。そこで再度短時間だけ揚げる二度揚げをすることで衣の水分を飛ばし、サクサクの状態に戻せます。
チキン南蛮の鶏肉を二度揚げする場合、手順は下記の通りです。
カットせずに鶏肉を丸ごと揚げる場合は火が通るまでに時間がかかるので、要注意です。切ったら中が生だった場合は電子レンジで温めましょう。
チキン南蛮を作る際、衣のサクサク感を活かすためにあえて甘酢だれには漬けず、後からかける方法もあります。味の染み込んだ美味しさはありませんが、代わりにサクサク感を楽しめます。
味が絡まりにくいと感じる方は甘酢だれに少量の片栗粉を混ぜてみましょう。甘酢だれにとろみがつき、鶏肉に絡みやすくなります。
鶏肉を漬ける甘酢だれの基本材量はお酢、醤油、砂糖ですが、ここに様々な調味料を加えることで味わいを豊かにすることができます。
コクや旨味をプラスしたい方は料理酒やみりん、バルサミコ酢を加えてみると良いでしょう。定番の穀物酢を米酢や黒酢に変えてみる、砂糖をきび砂糖やてんさい糖、蜂蜜に変えてみるといった方法でもコクが生まれます。
スパイシーな風味が好みという方はおろしにんにくやおろし生姜、一味唐辛子、鷹の爪などを加えるのがおすすめです。入れすぎると辛味が強くなってしまうので要注意です。
タルタルソースを工夫するのもおすすめです。定番の具材であるマヨネーズ、玉ねぎのみじん切り、ゆで卵以外にも様々な調味料や具材を加えてみるのがおすすめです。
玉ねぎは他の野菜でも代用でき、酢漬けになっているラッキョウやピクルスはとても相性がよく、旨味たっぷりな仕上がりになるのでおすすめです。
ケチャップや牛乳、みりんはコクをプラスすることができ、レモン汁やワインを加えれば風味豊かになります。
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