かぼちゃに限らず野菜は冷凍することで長く保存することができますが、栄養は減ってしまわないの?と心配になったことがある方も多いのではないでしょうか。本記事ではかぼちゃを冷凍すると栄養は減ってしまうのかどうか解説します。
かぼちゃは栄養豊富な野菜です。特に豊富に含まれている栄養素と成分を紹介します。
なんといってもかぼちゃにはβ-カロテンが豊富です。人参にも多くのβ-カロテンが含まれていますが、かぼちゃは一度に量を食べやすいことから、栄養の供給源として理想的です。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換される成分のうちの一つで、その中でも最も活性が高くなっています。
β-カロテンには強い抗酸化作用があり、体内に発生した活性酸素を除去します。活性酸素は本来ウイルスと闘うなど健康維持に大切ですが、増えすぎると害を及ぼし、老化の促進などに繋がります。活性酸素はストレスや紫外線、不規則な生活習慣や加工食品、また喫煙などによって増加しすぎると言われています。
ビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目もあり、夜盲症の予防や視力低下の抑制があります。そのため、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぎ感染症を予防する効果が大きく、免疫力を高めます。また皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。
さらにビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
また抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。
多くの動物が体内でビタミンCを合成することができますが、人間は合成に必要な酵素がないため食品から摂取するしかありません。ビタミンCは吸収率が高いですが、一定量を超えると吸収されないまま排出されてしまいます。1日100〜200mg程度摂取すると吸収率は80〜90%と高いですが、1g以上摂取すると50%以下に低下します。また喫煙者はビタミンCの消費が激しいので、一般成人の2倍は摂ることをおすすめします。
カリウムは98%が細胞内液に存在します。細胞内液に存在するカリウムは、細胞外液にあるナトリウム(塩分)とお互いに作用しながら細胞の浸透圧を維持し、どちらかの水分量が多くならないように、適正な水分を保っています。つまり、カリウムには、余分なナトリウム(塩分)を体外へ排出を促す作用があります。また、腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。他にも心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。
さらにカリウムは心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。ただこの筋肉を正常に動かすためにもカリウムとナトリウムをバランスよく摂取することが大事になります。
マグネシウムはカルシウムの量を調整し、筋肉の収縮を促します。摂り過ぎたカルシウムが血管壁に貯まるのを防ぎ、動脈硬化を予防する働きもあります。そしてカルシムやリンとともに働き、丈夫な骨や歯をつくります。血液中のマグネシウムが不足すると骨から溶け出して補充されますが、このときカルシウムも一緒に放出されてしまうため骨がもろくなります。
またストレスが生じると、マグネシウムの消費量が増えます。そのため疲れているときやイライラしているときはマグネシウムを積極的に摂取しましょう。マグネシウムは過剰に摂取しても腸管からの吸収は抑えられ、余分なものは速やかに排泄されるので食事で摂取している限りは過剰症の恐れはありません。
上記で紹介したようかぼちゃには様々な栄養素や成分が含まれていますが、冷凍することで減ってしまうのでしょうか。解説していきます。
かぼちゃは冷凍すると解凍したときに、凍っていたかぼちゃの水分と一緒に水溶性の栄養素が流出してしまいますが、大幅に栄養が減ってしまうことはありません。
基本的に野菜などの食材の鮮度が落ち、栄養価が落ちたり腐敗してしまうのは、空気に触れて酸化が進んだり、乾燥したりといった外的要因や食品に含まれる酵素や微生物の働きなどの内的要因によるものです。
冷凍庫などの低温の環境では、腐敗や食中毒の原因になるほとんどの菌類や微生物、酵素の分解作用が働くことはありませんので、外的要因である乾燥や酸化を防げれば鮮度が落ちたり栄養価が落ちてしまうことを防ぐことができます。
科学的根拠はありませんが、カルシウムやマグネシウム、リンに関しては冷凍することで増加するとも言われています。
冷凍によって大幅に栄養が減ってしまうことはありませんが、茹でてから冷凍する場合は茹でることによって水溶性の栄養素は流出してしまいます。
かぼちゃに含まれている水溶性の栄養素には例えばビタミンCやカリウムなどがあります。茹でてから冷凍すると、生のまま冷凍したときと比較して味や風味、食感の変化や変色を防ぐことができますが、水溶性の栄養素は茹でることでどうしても流出してしまうことになります。
水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えたい場合は茹でる以外の加熱方法で加熱してから冷凍することをおすすめします。
食材によっては冷凍することで食感が柔らかくなってしまうため、冷凍保存するとまずくなるといわれることがあり、かぼちゃも例外ではありません。
かぼちゃは冷凍するとスカスカの食感になってしまったり、水っぽくべちゃっとしてしまうことがあります。また、青臭さが強調されたり冷凍庫の臭い移りが原因で風味が悪くなってしまうことも。
しかし、正しい冷凍方法で冷凍し、解凍方法にも注意すれば冷凍かぼちゃも美味しく食べることができますよ。
かぼちゃを美味しく冷凍するコツは下記の通りです。
かぼちゃの種やわたは食べることができます。しかし、かぼちゃの中で最も傷みやすい部分なので、保存するときは、必ずわたと種はとりましょう。
わたは保存しておくことができないので、食べるのであればすぐに調理をして食べてください。かぼちゃのわたはホットケーキの生地に混ぜて焼いて食べたり、カレーの隠し味として使うことができます。
種は、耐熱皿に広げてふんわりとラップをし、600Wの電子レンジで4〜5分ほど加熱します。種が割れたら中身を取り出し、クッキーやスープの具材として使用します。そのまま食べるのも◎。加熱した種は大変熱くなっているので、やけどに注意してください。
冷凍保存には直接冷凍する(ダイレクトフリージング)という方法がありますが、家庭用冷凍庫では急速凍結(瞬間冷凍)ができないため、味や食感、色が悪くなることが多いです。特にかぼちゃのように水分量の多い野菜はこの傾向が顕著です。緩慢冷凍(徐々に冷凍すること)する過程で身の中に氷結晶ができ、開け閉めで冷凍庫内の温度が上がったときに、それが水蒸気となり身がスカスカになってしまいます。
そのため、加熱してから冷凍することをおすすめします。冷凍する前に茹でたり蒸気をあてたりと必要最低限の加熱処理を行うことを「ブランチング」といいます。
かぼちゃ以外の野菜でも使える方法で、加熱して野菜の持っている酵素を不活性化させることにより変色を防いだり、組織を軟化させることにより冷凍によって組織が破壊され食感を損なわれるのを防ぐことができます。また、食品表面に付着している微生物の殺菌にもなります。
茹でても良いのですが、上述したように水溶性の栄養素が流出してしまいますし、どうしても水分を含んでしまうのでレンジでの加熱をおすすめします。
出典:冷凍食品Q&A冷凍食品の基礎知識(日本冷凍食品協会)
冷凍したかぼちゃの食感の悪さが気になる場合は、マッシュにしてから冷凍するのがおすすめです。予めマッシュにした状態で冷凍をすれば、食感の悪さをカバーすることができます。
かぼちゃの皮を剥いて茹で(皮つきのままでも◎)、熱いうちに麺棒で潰します。粗熱が取れたら小分けにしラップで平たく包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。
用途は限られてしまいますが、離乳食やポタージュ、コロッケなどを作るのに便利です。
カットしたかぼちゃを茹でて冷凍する場合とマッシュにしてから冷凍する場合どちらも、保存袋に入れたらしっかり空気を抜いて密閉します。
空気を抜いて密閉してしまうことで、かぼちゃが酸化して劣化してしまうのを防ぐことができます。また、冷蔵庫の臭い移りもしないので、かぼちゃそのものの風味や味を損ねてしまうことがありません。
かぼちゃに限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をしたほうが旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。
金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。
また、冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いたほうが早く冷凍することができます
冷凍すれば永遠に保存できてしまうような気がしてしまいますが、どんなに長く保存しても1ヶ月を目安に食べきるようにしましょう。
冷凍しても長く保存していると鮮度は落ちてしまうので、味や食感はどんどん悪くなってしまいます。冷凍しているからといっていつまでも入れておかず、なるべく早く食べきることが大切です。
上述したように冷凍したかぼちゃをまずくしないためには、解凍方法も重要です。
冷凍したかぼちゃは、解凍せずにそのまま加熱調理するのがベストです。解凍してしまうとどうしても水分が出てきてしまい、食感が悪くなったり水っぽくなってしまいます。
そのまま加熱調理をすれば、水分が出てしまうのを最小限に抑えることができますし、水分と一緒に出てきてしまった水溶性の栄養素も無駄にすることがありません。
かぼちゃは基本的に煮物にするなど加熱調理をして食べることが多い野菜なので、そのまま調理に使って良いと覚えておくと良いでしょう。
マッシュにして冷凍したかぼちゃは、冷蔵庫に入れて自然解凍しましょう。レンジで加熱して解凍すれば早いのですが、やはり水分が出てきすぎてびちゃびちゃになってしまいます。
冷蔵庫に入れて低温でゆっくり解凍すれば、水分が出てきすぎず、かぼちゃの風味を守ることができます。ただ、時間がかかるので調理をする前日には冷蔵庫に移しておくようにしましょう。
かぼちゃの定番料理といえば煮物ですよね。煮物であれば、冷凍することによって柔らかくなってしまった食感も気になりにくいですし、冷凍することで調味料が染み込みやすくなっているのでしっかりと味がついて美味しく食べることができます。
冷凍したかぼちゃはカレーの具材としてもピッタリ!カレーも煮込むので、柔らかくなってしまった食感をカバーすることができますし、風味が悪くなってしまっていてもスパイスの効果で気になりにくいです。
青臭さもカバーすることができるので、冷凍することで青臭くなってしまったかぼちゃにもおすすめできる調理法です。ぜひ試してみてください。
冷凍したかぼちゃは、ポタージュにするのもおすすめです。流出してしまうビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素も汁ごと一緒に摂取することができるので栄養面でも◎
予めマッシュにして冷凍しておいたかぼちゃを使えば簡単に作ることができます。
冷凍したかぼちゃは解凍せずにそのままミキサーに入れて撹拌すれば、スムージーを作ることができます。近年はスムージーの作り方も多様化しており、生の状態の野菜や果物をミキサーに入れて作ることも多いですが、本来スムージーは冷凍した野菜や果物をミキサーに入れて作ります。
そのため冷凍したかぼちゃは解凍しなくても、そのままミキサーに入れればスムージーになります。バナナなど甘みのある果物などと一緒にスムージーにすると飲みやすくなるのでおすすめです。栄養満点なので朝ごはんなどの置き換えにも良いでしょう。
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